リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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後半、IQサプリ見ながら書いていたりする。

ついに、ついに彼女との邂逅だけど……どうしてこうなったんだろうね。
ある人物のキャラがおかしな方向へ進みはじめました。

活動報告にて、ネタは思いついたけど結局書くことが無かったネタをさらしています。お暇な人はどうぞ。



ミーツ・W・ミーツ

 どうしてこうなった

 

 それが今現在のユーノとアクアの内心を表す言葉であろう。

 ユーノの腕の中には、ちょっとお姫様願望をこじらせつつある現地民の少女がおり、アクアと対峙しているのは必死にジュエルシードを渡してと涙目で交渉する少女がいる。

 二人は知らないことだが、その様子を現在指名手配中の雷男が遠くから、むっちゃ遠くから頑張ってみている。

 これまた二人は知らないが、山本のぼるという痛い見た目の少年が、必死に草陰に隠れてこの場の全員に見つからないようにしている。しかも本当に見つかっていない奇跡。

 

 

 

 

 本当に、どうしてこうなった

 

 

 ◇◇◇

 

 事の発端は少し前までさかのぼる。

 結局、利害の一致というか、なりゆきというか、何故か一緒にジュエルシードを探すことになったユーノ・スクライアとアクア・プロト

 ユーノは『ミッシングリンク』やキナ臭い状況を考えて、実害が自分に来ないであろうアクアとの行動をしたほうがいいと考えている。彼ならばシードモンスターに対処できるようだし。

 アクアは、今後のことを考えて管理局と接点は必要と判断。ただし、信用の置ける人物でないといけないので、自分よりはその辺りの事情に詳しいユーノとの行動を望んだ。

 まずはジュエルシードを見つけないと始まらないし、他にも探索者がいるらしいのが厄介。ユーノが魔力探知をし、アクアはユーノから感知用の術式をいくつか教わり、リミピッドチャンネルの応用で、発動者となりうる意識を探していた。

 魔力を用いることで、ある程度リミピッドチャンネルの運用が可能になったが、負担は大きくアクアは休憩を始めた。

 

「中々見つからないもんだね~」

「まあ、襲撃のショックで少し封印がゆるくなっているけど、それでも一度は封印したからね。魔力反応が弱まっているんだよ」

「強制発動って方法もあるんだろ?」

「出来るけど……そんなことしたら被害がどんなものになるか…………」

「たしかに。流石にそれは出来ない……というか、そこまでする奴はどうかしているとしか思えない。もちろん、被害が分かった上での行動の場合だけど」

「分からない方がたち悪いと思うけど」

「そりゃそうだ」

 

 しばらく一緒に行動しているため、わりと打ち解けたというか、少し砕けた話し方になっている二人。

 と、そのときのことであった。

 

「!? 発動した!」

「うし、ラクシャーサ!」

 

 流石にそう何度も変身は使っていられないのでプレトを身にまとうアクア。役割分担としては、ユーノが結界と封印。アクアがシードモンスターを相手にし、魔力を封印できるレベルまで削る。

 ユーノだけでは火力が低く、削りきれない。アクアだけでは削れても、封印方法の負担が大きすぎる。

 結果的にだが、お互いの欠点を補ったコンビだった。

 

 ◇◇◇

 

「これは……どういうことだっちゃ?」

「何? その喋り方……まあ、ジュエルシードが正しく願いをかなえたんだと思うよ」

「これでか?」

「うん、これで」

 

 二人は、結構大きなお屋敷の庭に降り立ち、即座に結界を展開。魔力をもつ者のみを取り込んだので、シードモンスターと自分達二人だけがここにいる。

 少なくとも、今の時点では二人はそう思っていた。

 

「というか、でかいなぁ……」

「大きいよね」

 

 二人が見上げているもの、それは……

 

「にゃぁ」

 

 ゾウ並みに大きな子猫(ある意味言葉の矛盾)である。

 どうやら、ジュエルシードが子猫の「大きくなりたい」という願望を正しく叶えた結果というのがユーノの意見なのだが。

 ちなみに、戦闘しようにも出来ないのでプレトは外した。

 

「でも、大人になりたいとか、そういう意味じゃないのか?」

「子猫にそこまでの判断が出来ると思う? 今までの発動事例は、周囲の思念を無秩序に取り込んだスライム型、狩りの本能に身を任せた虎型、二人分の人間のこんがらがった思念を取り込んだ樹木型。それに比べたらちゃんと叶えている方だよ」

「たしかにな……今までに比べたら、この子猫も純粋な願いを願っているな」

「……純粋か」

「どうかしたのか?」

「願いをかなえるプロセスについて考えていたんだけど、この子猫はジュエルシードに触れる前から大きくなりたいと思っていたと仮定しよう。子猫だからこそ、大きくなりたいと素直に願っていた。だけど、今までの事例も願いを叶えようとした……というよりは、願いをジュエルシードが取り込んだ」

「まあ、そうなんだろうな。俺には良く分からんが」

「なんでこの子猫の願いはちゃんと叶ったんだろうね?」

「そりゃぁ……なんでだ?」

 

 ジュエルシードは願いを叶える力を持っている。でも、ちゃんと願いを叶えるどころか変な形で叶えていた。

 いや、叶える事は叶えている。ただ、実際にジュエルシードに願ったわけじゃない。

 だけどこの子猫は「大きくなりたい」と思っていた。思い続けていた。子猫だからもっと複雑に、大人になりたいとかじゃなくて、「大きくなりたい」っていう直接的過ぎる表現だっただけだ。

 いままでは、周囲の思念の場合、雑念とか色々取り込んだからスライム状。

 虎は……狩りの本能に影響されて、強くなりたいとかそこらへんかな。

 樹木は二人分、恋人同士のようにも見えたが、よく分からない。ただ、複雑に絡み合った結果、変な効果が出た。

 今回は大きくなりたい……

 

「今までは願いを叶える以前に、願いと言うより、表面に出ていた意識とか、そういうのを吸収して暴走していただけか?」

「そうなんだ。ジュエルシード自体に願いを叶える力はある」

「なんていうか、かなりデリケートみたいだけど」

「だよね……そこが問題なんだ」

 

 歪んだ形や、変な状態で願いを叶える物なんて誰が好き好んで作るんだって話だ。しかも一つで最悪の場合、星ひとつ破壊できるとか。願いを叶える目的で結果的にそこまでの力を持ったならわかる。星を破壊出来るような力が願いを叶える機能をもったっていうのは無いと思う。

 

「でも、21個だろ?」

「そう。流石に数が多すぎる。一つでも十分願いは叶っているのに……一体、どんな願いをかなえようとしたのか」

「全次元を自分の思い通りに書き換えるためとか?」

「まっさかー」

「だよなー」

「「あっはっはっはっは、はは、はぁ……」」

 

 そこまで笑って、案外シャレにならないと二人は暗くなる。

 

「で、ジュエルシードって結局どういう――」

「いい加減にするのぉぉぉぉぉおぉぉお!!」

 

 なんかものすごい叫び声が聞こえて二人は驚く。

 敵襲!? と思い、後ろを向くと何処かで見たことがある少女がいた。

 

「なんですずかちゃんの家に勝手に入っているの!?

 なんで大きな大きな子猫さん!?

 あと、この前のおうj……君は一体誰!?」

 

 いきなり質問攻めにする少女。というか、ユーノに対して顔を赤らめた気もするがどうしたものか……

 

「え、ええと……」

「さあ、はやく答えるの! ハーリーハーリー!!」

 

 何故、この少女はこんなにもテンションが高いのか。そしてなんか鼻息が荒い。

 とりあえず、巻き込むわけにも行かないし……というか子猫からどうやってジュエルシードをはがすか……

 

「ちょ、アクア助けて!」

「がんばれ」

 

 少女に迫られる状況。相手も可愛い方だし、まあ放っておいても問題はない……いや、巻き込むわけにはいかないのでユーノの手腕を期待しよう。

 さてと、ヘルアンドヘヴンを使うのはダメ。子猫にダメージがでかすぎる。

 プレトとの融合はダメ。物理的な威力が大きい。

 ポンドゥス。いや、無理。

 ラティオも負担が大きいし、今の状態じゃ意味がない。

 アクアの実……アポトーシスウイルスって殺す気じゃないから。

 ネブラは……この場所じゃなぁ…………後ろの少女もいるし、というか破壊じゃだめ。

 あ、トゥルバで呼吸できなくして気絶させるとか? やり過ぎはだめだけど、上手くいけば子猫にダメージを残さずにいける。

 ただ、後ろの女の子がね……

 

「アクア!」

「どうした!?」

「なんか、レイジングハートが……」

《彼女には素質を感じました。こう、立ちはだかるもの全てをなぎ倒すような》

「宝石が喋ったの!?」

 

 この子に? いや、結界の中にいるなら魔力を持っているんだろうけど……まあ、苦手だけど感知能力はつど…………おおおおおおおお!?

 アクアは感知した。感知してしまった。

 少女の魔力量に。なんかデカイ。

 ユーノと自分足してもまだ届かない膨大な魔力。威圧感。

 原石であるのに、この圧倒的な恐怖!

 

「……お、お許しください」

「なんでっ!?」

 

 少女を天敵と認定した瞬間だった。

 

「ちょ、しっかりしてよ!」

 

 ユーノが念話に切り替える。少女の魔力が大きいので、万が一にも伝わらないように方向性を念入りにしぼりアクアにのみ聞こえるように。

 

『魔力をこれだけ持っているってことは、シードモンスターの標的になるかもしれないんだよ!』

『そ、そうか……そういえば、魔力を持ったやつを優先的に襲いやすい性質があるんだっけ…………』

 

 その影響なのか、でかい子猫は少女にじゃれつこうとしている。いや、関係ないか。この屋敷にもとからいる猫らしいし、なんか「ちょ、やめるのー」「肉球でいやされるのー」っていうか暢気だなオイ。

 

『だけどな……だからってどうするんだよ』

『そうなんだよね』

 

 二人とも、この世界には存在しないハズというか、公式の立場が無い。

 今の状態だと、何処の誰だか分からない不法侵入者(笑)

 

「……魔力!」

「なに!?」

「え、え?」

 

 ユーノがシールドを発動し、少女の前に出る。すぐにこの区域から離脱できるように少女を抱きかかえた上で。

 きたのは電撃。おそらくは他にいるジュエルシードの探索者。

 アクアはとっさにプレトを装着し、プロテクトシェードで防ぐ。そして、防いだ電撃を回転させ、五芒星の形になり、電撃が放たれた方向へかえす。

 

「で、電撃……」

 

 それは、ユーノにとって因縁とも言うべき相手が使う能力。

 跳ね返した攻撃が着弾した部分の煙が消え、そこからは黒い衣装に身を包んだ金色の髪の少女がいた。歳は同じくらい。その目は何処か悲しそうな色を帯びていた。

 

「違う人か…………デバイスってことは僕と同じ管理世界の住人」

 

 今の電撃は魔力変換、ミッドチルダ式の魔道師。

 

「アクア、気をつけて……今の電撃、パッと見だけど錬度が高い。かなり高ランクの魔道師だよ」

「大丈夫大丈夫、シードモンスターに比べたらかなり軽い一撃だ。今のでもかなり余裕あったからな。よほどの攻撃じゃなけりゃ変身する必要も無い」

 

 そう言って、少女と対峙するアクア。

 少女の顔を覗き込むように見上げる。木の枝の上に立っている少女は見下ろすようにアクアを見ているわけだが……

 

「じゅ、じゅえるしーど、わ、わわ、わたしてくだっください……」

「な、なんで泣いてるの!?」

 

 アクアの顔を見ているうちに泣き出す少女。

 わけがわからないよ……なんかこっちが泣きたくなった。俺が何をしたと……

 

 

 

 ちなみに、少女の側から見たらトカゲ人間が自分を狙うように見ている風な光景に映る。

 それはかなり怖いことだった。

 

 

 この様子を見ていた指名手配中の男は、自分より先に金髪少女に出会った少年達に苛立ちを覚える以上にあまりにもシュールな光景で脱力していた。

 

 

 このほかに誰にも気がつかれない最弱の男が近くにいたわけだが、本当に誰にも気が疲れていない。彼はただ、なんとかして少女達に絡もうと思ったが、ガチの魔法を見てビビッていた。ただ、気がつかれていないのは本当に奇跡だった。

 




今回の用語
『プロテクトシェード』
もとはガオガイガーの防御技。
アクアは左手の部分にくっつくプレトの甲殻に『防御』『反射』などのルーンが刻んであり、相手の攻撃を防御するだけでなく、エネルギー系の攻撃を五芒星の形にし、相手に跳ね返す。その場合は左手前面にしか展開できない。
本人はいまだ気がついていないが、空間を湾曲させることで発動する防御技。
全身に張ることも可能だが、その場合は魔力消費が著しい。
対魔法には効果は絶大だが、物理特化に弱い。
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