リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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フェイトさんとアクアの戦闘。
色々とカオスな時は、Xってつける所存。


サンダーガール・X・リザードボーイ

 カオスな状況、いったいどうしたものかと悩んだ末にアクアはとりあえず交渉というか話し合いをするべきと思って口を開こうとした、そのときである。

 

「ま、魔力を持った人が三人……勝てるか分かりません。ですが、ジュエルシードを渡すわけにはいかないんです!」

 

 少女が暴走。というか、魔道師三人だと思われた。

 

『あー、ユーノ……あとは任せた』

『ちょっと!? 僕にどうしろと!?』

『あれだ、結界の中なら少しは暴れても大丈夫だろうし……その間に猫からジュエルシードを取り出しておいてくれ』

『まるなげ!?』

『だって向こうが臨戦体勢なんだよ!!』

 

 ちなみに、少女が暴走しているのは、アクアの外見が怪奇! トカゲ人間!! だからなのだが、悲しいことにそれには気がついていないのだった。

 とりあえず、プロテクトシェードを展開し、少女を弾き飛ばしてユーノたちから遠ざける。

 

「ぐっ……変わったシールド、でも前面にしか展開していない」

「さて、それはどうかな」

 

 全身防護に切り替え、後ろから飛んできた魔力弾を防ぐ。

 恐がってはいたが、少女はかなり強い。魔法に慣れていない自分が発射の直前まで気がつかないとは……いや、

 

「防いだのは見越してのこと、トラップやら、発射前の魔力弾があちこちに……」

「そこまで気がつかれた!?」

 

 少女は驚いているが、自分は人とは少し違うモノだ。可聴域だってずっと広い。魔力が集まる音というのが聞こえるのだ。電磁波の音とでもいうべきモノも聞こえるし、普通の人間相手では自分には勝てない。

 もっとも、少女が最初から人間相手の戦い方をしていないのも事実であり、アドバンテージはそんなにないなぁとも思っているのだが。自分、そんなに強くないので。能力がピーキーなだけで、こういう対人戦に適した能力はほとんどないのだ。

 

「私には、ジュエルシードが必要なんです」

「分からないな……あんな不安定なものを使ってかなえたい願いがあるのか?」

「貴方には関係のないことです」

「だからって、他人を巻き込んでもいいのかよ。それに君がやっているのは泥棒と同じだと思うけど」

「それでも、私はジュエルシードを集めなくてはいけないんです」

 

 平行線。そもそも少女にその目的自体を疑っている様子も無い。悲しそうな瞳ではあるが、ジュエルシードを集めることに疑問は持っていない。ただ、真っ直ぐに己の目的を阻む敵を映しているだけだった。

 

「結局、倒して事情を聞くしかないのかね」

「……フォトンランサー・フルオートファイア!」

 

 金色の魔力がいくつも飛んでくる。アクアはそれに対し左手をかざし防ぐ。威力が低い。次の攻撃への布石だとしてもコチラにだって考えがある。

 

「反射! からのプラズマホールド!」

「私と同じ魔力変換!?」

 

 少女が驚いたのは相手が自分と同じと思われる魔力を電気に変換する魔法を使ったと思ったから。

 実は、プロテクトシェードを攻撃と捕縛目的に転用した技で、使用するとしばらくプロテクトシェードを使えなくなるという、かなり使いどころを選ぶ技である。

 ちなみに、電機に見えるのは本当にプラズマ。普通は当たればヤバイのだが、アクアはその周りにシールドのような膜を張っており、これすらもフェイントであるが……

 

「高エネルギー反応っ、」

 

 少女の姿が一瞬で消える、いや、アクアの後ろへ瞬時に回りこんだのだ。

 ブリッツアクションと呼ばれる、移動魔法である。

 そして、手に持った鎌のようなデバイスをアクアに突きつけようと――

 

「それをまっていた!」

 

 その言葉と同時にアクアは右腕に溜めていた魔力を解放。

 高速で回転を始める右腕。

 

「ブロウクンマグナム!!」

 

 高濃度の魔力を纏った回転する右腕、それを少女のほうへ飛ばす。その光景はまさにロケットパンチ。その様子を茂みから観察していた山本のぼる(9歳)は目を輝かせてみていた。一方、上空の指名手配犯は「ね、ネタ過ぎる」と失礼なことを言っていた。

 実はバリアブレイクと高威力を兼ね備え、なおかつ回転により右腕部分の防御を担った上に自動追尾、自動帰還などを同時に実現、さらには魔力を圧縮することにより低燃費を実現した超高性能な一品だったりする。その辺りを分かるのが玄人という奴である。もっとも、ここにはいないが。

 

「狙うのは、「武器!」見抜かれるか……」

 

 技が凄くても戦術では圧倒的に負けている。奇策で翻弄しても決定打にはなりえない。

 アクアが対人戦で使えそうな技は、ほとんどない。ブロウクンマグナムとプロテクトシェード、プラズマホールドにドリルニー、それから肉弾戦くらい……しかも自分の飛行能力はかなり低い。正直、浮いた状態でプロテクトシェードで防いで跳ね返すか、ブロウクンマグナムで攻撃するかの二択なのである。

 

(どうする……まだまだ時間が必要だし…………仕方ない、ポンドゥスを使う)

 

 プレトを脱着。少女は身構えるが、アクアはまるで無防備。思わず問いかける。

 

「貴方は何を考えているんですか? 敵対者の前で武器を外すなんて」

「なーに、ちょっと本気を出すからな。あと、俺の名前はアクアだ。お前は?」

「…………フェイト。フェイト・テスタロッサ」

「いい名前だな」

 

 その言葉に、少女――フェイトは少しはにかむ。もっとも、親しい人では分からないレベルなのでアクアは気がつかなかったが。

 名乗りを上げたのは相手に対する礼儀。二人は無意識だろうが、両者共に少しバトルマニアなところがあった。ポンドゥスの実を食べ、魔力が膨れ上がる。重力や引力といった力を操る姿、ポンドゥスの姿では体に魔力を覆うので彼固有の魔力光である、黒に近い紫色の光が周囲を照らす。

 

「いくぞ!」

「ッ!!」

 

 ◇◇◇

 

 たしかに、アクアは人を超えたモノとして造られた存在だ。だからこそ、人には聞こえない音を聞くことが出来る。本来であれば、アクアの予想では重力球を精製する音なんて聞こえるはずが無いのだ。だが……

 

「なんでそう何度も避けられるんだ!?」

「そんなに大きな音がする攻撃、普通避けられます」

「だからなんで聞こえるんだよ!」

 

 そう、何故かフェイトは聞こえるのだ。重力球を作り出すときに出る空間の軋む音が。

 

「なら、連弾!!」

「当たりません!」

「スピード型とかやり難い……なら、ブレード!」

 

 手刀の形、それに延長するように纏わりつく魔力。ターゲットはフェイトの少し後ろの空間。発動まで、ゼロ!

 

「ディメンションスライサー!」

「大振りすぎる……これでは避けてとっガァ!?」

 

 ディメンションスライサー、アクアがポンドゥスの実を研究した際に発見した性質を基に作った技。空間を弱く圧縮した剣を作り、対象よりも後ろの空間を基点にゆがめ、空間が戻るときに発生するエネルギーを相手にぶつける。

 そのダメージには物理的威力は無く、ただ弾かれるだけという特異過ぎる現象が起こる。

 

「わけが分からない……空間をゆがめるなんて、そんな少しの魔力ではありえない」

「まあ、そういうことを出来るように生み出されているからな」

「?」

「分からなくて結構! ダブルブレード!」

「グッ……私の、最大の魔法で」

 

 フェイトが大技の準備に入ろうとしたそのときだった。

 

『アクア! 封印完了したよ!』

 

 目的は達成した。

 

「ってことで、破ぁ!」

「衝撃波!?」

 

 フェイトを吹き飛ばし、ユーノのもとへ戻る。

 

「ジュエルシード、シリアル14封印完了だよ」

「オッケー! とっとと逃げ――」

 

 油断した。さっきの少女とは違う魔力光――オレンジの光がアクアを吹き飛ばした。

 

「アクア!?」

「おおっと、これはいただくよ」

「なっ!?」

 

 犬耳の長身の女性。ジュエルシードを持ち、フェイトの方へ下がる。

 

「くそっ」

「アルフ!」

「悪いね、フェイト。遅くなっちまった」

 

 アルフと呼ばれた女性は彼らを一瞥した後、フェイトの方を向く。表情だけでしか分からないが、どうやら念話で会話しているようだ。

 会話が終わったのか、二人は何処かへ飛んでいった。

 

「どうやら、分が悪いと思ったみたいだね」

「スマン、油断した」

「ううん。僕も油断していたよ……向こうにも仲間がいる可能性を考えておくべきだった」

 

 仕方が無い。一旦帰ろうと思い、飛行魔法を使おうとしたその瞬間だった。

 

「逃がさないの」

 

 ガシッっという擬音が聞こえるくらい強い力で、ユーノの肩を掴む少女。

 

「えっと、離してくれるとうれしいなって」

「さっきのが何か教えてくれる? あ、私は高町なのはっていうの」

「えっと君、離し――」

「なのは」

「えっと」

「なのは」

「――」

「なのは」

「なのはさん」

「さんは要らないの。君の名前は?」

「ゆ、ユーノ・スクライアです」

 

 有無を言わせない迫力があった。思えば、最初から素質はあった。数年後、ユーノはそう語ったという。

 

「それで、ユーノ君。説明してくれるよね。君が誰で、大きなネコさんとかピカピカ光るあれとか、喋る宝石とか色々。ねえ?」

 

 どうする、どうすればいいんだ……そうだ、相談だ。自分ひとりで答えが出なければ人に聞くのは恥ではないって長老とかお姉ちゃんも言っていた。

 そこまで考えてアクアにヘルプするユーノ。

 

『助けて』

『いや、そういわれても……素直に言えばいいんじゃないか? 俺ら不法進入だし』

『無闇に魔法のことをバラすわけにはいかないよ! 一応、事故でこの世界にたどり着いたから特例で認められると思うけど……』

 

 いくつか特例で大丈夫な場合はあるが、さすがに巻き込みたくない。いくら少女に膨大な魔力があるとしても、なるべく関わらせたくないのだが……

 件のなのはは目が据わっている。関わる気満々だ。

 

『じゃ、あれだ。カッコよく「次にお会いした時にでも話しましょう。大丈夫、なのはが会いたいと思えば必ず会えます」とでも言え』

『ちょ、それは恥ずかしすぎるよ! それに騙すのも……』

『緊急事態だろ。というかお前一人の良心が痛むだけで少女は危険な世界から遠ざかるんだ。まあ、シードモンスターを全部狩り終えるまではちょくちょく安全かどうか確かめに来る必要があるけど』

『うう……綱渡り過ぎるけどしかたがない』

 

 結局、言われたとおりそのまんまではないが、大体同じようなことをなのはに言った、言ってしまったユーノ。

 やはりというか、顔を真っ赤にするなのは。

 混乱し始めたなのは。ただ一言、「絶対だよ」と。

 

 ◇◇◇

 

「アクア、結局帰ることは出来たんだろうけど……彼女とまた会う気がするんだ」

「奇遇だな。ぶっちゃけ俺もはやまった気がする……なんか、スマン」

「せめて、ジュエルシードが集まるまで彼女と出会わないことを祈るよ。そうすれば巻き込まないだろうし」

 

 だが、運命というのは面白い方向へ残酷なことを彼らが知るのは数日後のことだった。

 




今回の用語
『ベターマン・ポンドゥス』

アクアが頻繁に使用している姿。
体への負担も少なく、使用後の休眠時間も短い。
能力は基本的に重力を操ること。
この姿だと、飛行能力も上がる。

近距離、中距離、遠距離、超遠距離、広範囲、あらゆる状況下で対応できる技をもつまさに、ベターマンの面目躍如といった姿。

この世界においては、HGS能力者の遺伝子を使って再現されている。

原典では引力を操っているが、アクアが使用しているのはさらに発展したようなもの。引力を一点に集中させ、超小型ブラックホールのような使い方も出来るのだが、流石に制御しきれないのかアクアは使ったことが無い。
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