新展開突入前の息抜きみたいな感じですね。
アイツの名前や、あの人の裏話とか、色々出てきます。
そして、今の今まで使わなかったアレも登場。
ドンドン書き進めていける気がする。
今までに集めたジュエルシードは4つ。先日奪われてしまったシリアル14のジュエルシード。それについての対策会議(二人しかいないが)を始めることにしたアクアとユーノ。
「結局、探索者って何人いるんだ?」
「分からない。でも、彼女達のバックに誰か居る可能性も考えないと……」
紫色の電撃。自分が乗っていた船を襲った雷撃は彼女の魔力光とは色が違う。だが、魔法の特徴が似ているのだ。魔法にもクセというのはある。個人の資質で変わってくるが……
「似ている……いや、もとを辿ると同じ魔法にたどり着く気がするんだ」
多くの魔法は、基本となる術式が存在し、そこから派生していく。基本てきには射撃、防御、移動、物質化などの分類。
あの電撃は物質化、いや……電撃へ変換するプロセスは変換資質を用いた天性的なものだと思うのだが……攻撃魔法を組む式がどうも同じな気がする。
「よくそこまで分かるな……」
「攻撃は苦手だからね。その分、相手の情報を見極めないと」
「なるほどねぇ……俺、そういうのは苦手だからなぁ。事象予知が使えれば楽なんだけど」
「魔法にも、そういうのはあるけど……個人の資質だし、脳の負担が大きすぎるよ」
「具体的にはどのくらい?」
「一人で、50台の車を動かしつつ、別々の動きをさせろって言われたら出来る?」
「……無理」
ようはそのぐらいの処理能力が無いと使えないという話。さすがに楽な方法なんて無いのである。自分の得意なことを生かしていく方が堅実だ。
「さてと、この街にジュエルシードってあといくつ残っているのかね?」
「うーん……確認できただけで5個。他の人に盗られている事も考えると…………残りは13個くらい、いやもっと少ないかも知れないけど……」
「最後は争奪戦になるな」
「そうなんだよねぇ……一度、少し街から離れた場所を探そうか?」
「そうさねぇ……問題は俺ら無一文だから移動しても…………」
「野宿か」
慣れてはいる。ただ、この研究所跡地みたいに都合のいい寝床がないとなぁ……ソンナコトを考える二人だった。
「…………なぁユーノ、いい加減に風呂入りたくないか?」
「君があのパンフレットを見せなければそう思うこともなかっただろうね」
先日、温泉とか風呂とかのパンフレットを眺めているところ、ユーノに聞かれたので色々説明したアクア。その際、自分達の状況を思い出して鬱になったものである。
だって、金無しな上、戸籍とか無いし子供だけで……無理です。
「商店街の福引で一発当てる」
「お金ないのにどうするの?」
「……あれだ、ユーノの結界で」
「犯罪するなよ」
「…………くっ、」
「それで終わりなの!?」
「俺は……無力だ」
なんかもう台無し……いや、いい方法を思いついた。
ユーノにも見えた。アクアの頭の上の豆電球が。
「とりあえず、このパンフの旅館の近くまで行ってみよう」
「なんで?」
「秘湯を探す」
「は?」
◇◇◇
「そんなに上手くいくのかなぁ」
後日、二人が実行した計画。それは……まあ、ぶっちゃけ動物とかが入っている秘湯をさがします。
「まあ、デバイスの機能を使えば結構楽勝かもしれないし」
「ていうかデバイスあるならもっとはやく出してよ……」
「今まで忘れていたって言うか、薬の調合にしか使ってなかったし」
そう、ミッドのデバイスを参考に造られた純地球産デバイスの『ハンドウ』である。構造が独特な上、いくつかの機能に特化させてある都合でユーノから教わった魔法はほとんど使えなかったが、それでも封印にはこれを使えばいいことが今頃判明したのでユーノは脱力しているのである。
「それに、今大事なのは探すことだろ」
「……ジュエルシードもそれを使えば早く見つかったかもね」
「頼む、凹むからいわないでくれ……それに、練習も兼ねているし」
「はいはい」
現在、ハンドウのアクセプトモードで温泉を探している二人。これが上手くいけばジュエルシードを探す時にもサーチを応用できる。
「うーん、あるとは思うんだけどなぁ……やっぱ近くの旅館の反応が邪魔だな」
「その反応以外で検索できないの?」
「今まで使ったことが無いから慣れてないんだよ……ょし、設定変更終わり」
改めてサーチを始めるアクア。
「お、おお、おおお。ちょっと距離あるけど見つけた」
「本当!?」
「ああ……ジュエルシードを」
「なんでそっちを見つけるんだよぉぉぉぉ!?」
ユーノのシャウトが森を駆け抜けた。
その後、シリアル12をアクアが封印し、再び温泉捜索に戻る二人だった。
◇◇◇
二人が森の中でシャウトしたりしているころ。高町なのはは両親が経営する喫茶翠屋の社員旅行に来ていた。友人のアリサ・バニングスと月村すずかもいっしょである。
「まったく、失礼しちゃうわね」
「勘違いだったみたいだし、別にいいじゃないアリサちゃん」
「そうだけどぉ……」
「んー、なんか気になるの」
先ほど、長身の女性に因縁をつけられそうになったのだが、なのはが慌てた様子を見て勘違いだったと言い、その女性は去っていった。
「んー、この前見た気がするけど……正直、あの人しか覚えていないの」
「はいはい、アンタの夢の話はもういいのよ」
高町なのは。最近、夢見がちな女の子とまわりに思われてしまっているのである。
◇◇◇
「フェイトぉ……あの子ただ巻き込まれただけみたいだったよ」
「まあ、管理外世界でも魔力をもった人がいないわけじゃないし」
どうやら、あの少女は結界に巻き込まれた一般人だったらしい。ということは、あの金髪の少年とトカゲ男……もとい、黒い少年の二人が相手ということか。
「他の探索者もいるらしいし、急いで見つけたほうがいいと思う」
「そう思うんだけどさぁ……体は綺麗にしておいた方がいいと思うよ」
「うん……」
「あと、いつまでそうしているのさ?」
「あ、あとちょっと」
フェイト・テスタロッサ。マッサージ椅子の虜になってしまいました。
◇◇◇
「おめでとうございまーす! 温泉旅行プレゼントです!」
「……マジで?」
車椅子に乗った少女はちょっと驚いていた。なんというか変な同居人を数人拾ってからしばらくイベントに困らんなぁ、って思っていたが、これはいよいよ……
「面白イベント続出の予感やな」
だが残念、君はまだニアミスなのである。もっとも、少女を取り囲む環境はドンドンカオスになっていることを少女は……知っていながらも受け入れていた。まだ小さいのに肝っ玉母さんだった。
◇◇◇
「転生してはや9年……はぁ」
少年、山本のぼるは縁側で茶をすすりながらため息をついた。
「あぁ……魔力はあるみたいだけど、あの状況で誰にも気がつかれないとか…………俺のバカ。なんで見た目だけに特典使うかな……」
銀髪とか今考えると痛いだけだよね……主人公達と同い年になるのにも特典使っちゃったし……いや、地球に生まれて平穏……とは言えないけど、それなりに楽しく暮らせるだけでもありがたいのかなぁ…………
「にーちゃ、ごはんー」
「はいはい。みんな呼んできて。先生もすぐ帰ってくるからね」
せめてこの孤児院は守らないとなぁ……難しく考えるからこの前みたいにジュエルシードを求めてしまう。子供たちの兄として、自分はしっかりしていないと……
転生してからいまだ、現実をしっかりと認識できていないからとは自分でも気がついていなかった。
ただ、目の前の小さい彼らだけは――そんな昼下がりだった。
◇◇◇
「覗き魔は退散だぁぁあああ!」
「う、ウワァァアアアアアアアアアア!?」
次元犯罪者『オーガ・デルグラン』彼は温泉街に来ていたが、フェイトやアルフの姿を確認しようとして、覗き魔としてさらに罪状を重ねていた。
「俺はただ、人探しをしていただけだ!」
「それが覗きなんだと言っておろう!!」
電撃に体を変化させても逃げ切れ無そうなくらいの集団。あれか? この女性達は百の貌なのか? そんなことを考える彼は、もうどうしようもなかった。
なお、旅館に泊まろうと思ってお金を偽造しているのでさらに罪状は増えている。公文書偽造にも手を染め始めているとか。
◇◇◇
「やっと見つかったなぁ」
「もうすぐ夜だけどね」
「危なかった……夜は冷えるから」
やっとのことで見つけた温泉に、ユーノとアクアは入っている。筋肉がほぐれるぅぅぅと気の緩んだ顔でアクアは呟いていた。
「これで手に入れたジュエルシードは5個……それで、さっきの話は本当?」
「ああ、たぶん近くにもう一個くらいジュエルシードはあるよ。あと、変な魔力反応もキャッチしたから探索者が他にもいると思うんだけど……」
「なんか、力尽きたみたいな反応が出たと?」
「……わけが分からない」
「僕もだよ」
それが、ユーノにとっての因縁の相手が最強の女将さんにモップのフルスイングでぶっ飛ばされた反応だったとは、気がつくわけもなかった。
今回の用語
『アクセプトモード』
アクアのデバイス、ハンドウのモードの一つ。
探索や解析などに特化した形態。
大気中の成分や、魔力の解析なども出来る上、登録した反応を追跡できたりもする。
ジュエルシードを捜索するのに大いに役立つのに、アクアはすっかり忘れていたので今まで使わなかった。