リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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今回は遂にあの人の出番というか、メインな話。
パワーバランスがおかしい?
覚醒回はみんなそんなものです。

ちなみに、レイハさんの見た目は劇場版に近いってことで。
ディバインバスターはレイハさんに登録はされていたけど、ユーノには使いこなせなかったということで。

本日二度目の投稿です。
最近は投稿ラッシュ。無印部分だけでも速く終わらせたい。


ガール・N・ミーツ

 高町なのはがその少女を思い出したのは偶然だったのか、必然だったのか。最初に見たときは、友達であるすずかの家の庭だった。

 そのときは、自分を守っていた少年のことで頭がいっぱいだと思った。だが、一つだけ心の片隅に引っかかった。

 自分は、誰から守られていたのだ?

 

 ◇◇◇

 

「ねえ、この前あったよね」

「ひ、人違いではないでしょうか」

 

 温泉でバッタリ遭遇。仮にも自分を襲った相手なのだから(正確には違う)こう、どっしりかまえていて欲しいの。そんなことを考える小学3年生。父親の影響をかなり色濃く受けていた。

 

「私、疑問系じゃなくて確信して話しかけているの。だから、これは確認」

「えっと……」

「目を逸らさない」

 

 悲しい目……なんでこの子は悲しい目をするのか…………あと、怯えているのはなんでだろう?

 体中をよく見れば、細かい傷が沢山……いや、これは痣だ。兄や姉が剣の稽古をしていると出来る痣に似ている。なにか強い力で叩かれた後のような……

 

(そ、そうだ! この子は親から虐待されて心に大きな傷を……それで悲しい目をしていて、人に接するのが恐くて怯えていて――そうに違いないの!)

 

 おしい。虐待はあっているが、悲しい目の理由も少し違うだろうし、怯えているのは君が原因だ。

 

「私、高町なのは。あなたのお名前は?」

「……」

「あなたのお名前は?」

「……」

「いいから言うの」

「ふぇ、フェイト・テスタロッサです!」

「そう、いいお名前だね」

 

 その表情はまるで、妹を見守る姉のようだったが……フェイトからは魔王のように見えていた。名前を聞かれた……け、契約とか呪いとか怖いよ母さん!

 少女の冥福を祈る。

 

「ねえ、私とお話しよ?」

「……あ、あなたと話すことなんかない」

「むぅ、そんなこと無いと思うけど」

「平和な世界に生きて、何も知らないあなたに……私が話すことはなにも無い」

 

 それだけ言うとフェイトは立ち上がり、脱衣所へ向かう。

 

「むぅ……何も知らないか…………なら、知ればいいの」

 

 あの少年に会うべき理由が増えた。

 高町なのは、運動オンチだがかなり武闘派の性格だった。

 

 ◇◇◇

 

「こ、恐かったぁぁ……」

 

 ジュエルシードの捜索前に一度、温泉に浸かろうと思ったのが運のつきだったのか。

 

「ううん、まだ大丈夫。母さんのためにもジュエルシードを集めないと……早く終わらせればあの子とも会うことは無いだろうし」

 

 だが、現実は非常だった。

 

 ◇◇◇

 

 深夜、ジュエルシードが発動する。その瞬間、近くにいたアクア、ユーノのコンビとフェイト、その使い魔アルフ……彼らがジュエルシードを感知し、現場に向かった。

 このとき、次元犯罪者オーガは昼間の覗きの件でパトカーとカーチェイス中である。盗んだバイクで走り出してしまったのでさらに罪状が増えた。

 

 だが、そんなことは今は関係ない。今日、この日は彼女が戦いの場へ足を踏み入れた日。

 魔法を使うことは無かった……それでも彼女は大きな力に引き寄せられるように歩みを進める。

 

「まっててね、フェイトちゃん……そして、ユーノ君」

 

 無意識にだが、彼女の周りには魔力が渦巻いていた。その膨大な魔力の圧力だけで風を起こし、薄くだが光を放つ。

 

「こっち、こっちなの」

 

 ◇◇◇

 

 再びの対戦。アクアとユーノは劣勢だった。個々の能力では互角。だが、相手のコンビネーションが自分達の数歩先を歩んでいる。

 

「くっそぉ……フルパワーが出せればな…………」

「万事休す、かな」

「さあ、あんたらの持っているジュエルシードを渡しな。そうしたら命だけは助けてやるよ!」

「ぐぅ……本気を出せば一ひねりなんだけど、出すわけにもいかないし」

 

 ネブラの実を取り出し、食べようと思ったが……マズイ。

 ユーノも奥の手を使うべきか考えたが、流石に制御に不安が残る。

 お互いにまだ本気ではない。自分達もそうだが、フェイトもそうである。

 使い魔として生を受けてから数年しかたっていないアルフは精神的にまだ未熟な部分もあるので現在使える手は全て使っているだろう。それに、そういう駆け引きは苦手なタイプだ。

 

「問題は、俺らの魔力量がどんくらい残っているかってことだな」

「うん、正直厳しいね……ほんと、彼女の魔力量はどれだけって話だよ」

「仕方ない……相手を吹っ飛ばしてデバイスを取る」

「そうだね、目的はジュエルシードだ……勝つ必要は無い」

 

 ジュエルシードを取り戻す。ズルイかも知れないが、それが第一優先だ。

 

「瞬動!」

 

 魔力を足の裏に圧縮。そして解放の工程を一瞬で行い、フェイトに肉薄するアクア。

 

「速いっ!?」

「貰った!」

 

 そして、狙い通りデバイスを弾き飛ばす。黒い鎌は持ち主の手を離れmフェイトの後方へ吹き飛んだ。

 

「バルディッシュ!?」

「いただきっ」

「さ、させません!」

 

 瞬動は直線的にしか動けないが、かなり速い移動方である。それを、フェイトは喰らい付いた……いや、追い抜いた。

 

「デバイス無しでも加速できるのか……ユーノに比べたら荒らすぎるんだろうけど、予測が外れたか」

 

 ユーノ曰く、フェイトの持っていたデバイスはインテリジェントデバイス。高度な人工知能が搭載されており、使用者の魔力を使えば単独で魔法を使える代物。

 高価だが、自分で構成を練るのが苦手な魔道師も使うことが多く、高速戦闘に使用しているということはいくつかの魔法はデバイス頼りの可能性がある。

 だが、そうでない場合は……

 

「こりゃ、戦闘慣れしているほうか」

 

 自分の死角を任せたり、相棒という立ち位置の場合。それは高ランク魔道師。互いに信頼しているからこそ、人と機械の垣根を越えてお互いの力を最大限引き出せる。

 しかも、デバイスとの相性は最高値。

 

「ユーノとレイジングハートじゃこうはいかないか……」

 

 信頼関係はあっても、適合できていない。二人ともそれがもどかしいと言っていた。

 原因はいくつかあるのだろう。ユーノの処理能力が人を大きく上回り、デバイスの助けを必要としないレベルであること。

 そもそも、砲撃などに向かないユーノの資質。

 いくらでも原因は浮かんでくる。

 

「せめて、もう一人魔法を使える人がいればな……」

「こんどは、私が足止めを成功させましたね」

「なっ――」

 

 振り向くと、ユーノが弾き飛ばされ……宙を舞うレイジングハート。

 

「しまった!?」

「アルフ!」

「おうよ! ジュエルシード、いただ――」

 

 アルフがレイジングハートを掴もうと動き始めたそのとき、彼女より先に赤い宝石を掴んだ人がいた。その少女は、髪をツインテールにした9歳ほどの年齢の――そう、高町なのはだった。

 

「で、そうすればいいのかな?」

 

 いや、どうもしなくて良いと思う。奇しくも敵味方全員の心が一致した瞬間だった。

 

「いいからそいつをよこしな!」

 

 我に返り、アルフはなのはを狙う。

 だけどもそれを主は制した。

 

「だめだよアルフ! その子は一般人だよ!」

「ぐっ、でもさフェイト!」

 

 その隙にアクアとユーノはなのはのいる場所まで跳ぶ。

 着地し、ユーノはなのはにレイジングハートを返すように言うが……

 

「嫌」

「やっぱり……」

 

 これはもう、どうしたらいいのか……

 

「どうすればいいの?」

「巻き込みたくなかったのに……」

「私はもう巻き込まれているし、ユーノ君が逃げてもまた追いかけるよ。何度でも」

 

 その言葉にはやけに現実味があった。何故だか次元の果てまで逃げてもダメな気がしてきた……

 

「ユーノ、責任をとったほうがいいんじゃないか?」

「アクアが提案したセリフだろ」

「結界張ったのに進入許した方が悪い」

「……それを言われると否定できない」

 

 自分の本職は結界だというのをユーノも自覚している。それを言われたら……

 

「仕方が無い。ここにいると危険だしね。自衛のためにも教えるよ……僕の言葉に続けて復唱してね。言い終わったら自分の身を守る服と、杖の形を思い浮かべるんだ」

「うん、全部打ち抜くから安心してね」

「えっと、僕の話聞いていた?」

「いいから、早くするの」

「……我、使命を受けし者なり」

「我、使命を受けし者なり」

 

 詠唱が始まった。その隙を逃さず、アルフは突撃してくる。フェイトがオロオロしているところを見ると、独断のようだ。

 

「おおっと、邪魔はさせないよ」

「あんたらこそ、フェイトの邪魔をするなぁぁ!!」

「人のものネコババしてるのはオマエらだろ!」

「アタシは猫でもババアでもない。オオカミだ!」

「そういう意味じゃねえよ!」

 

 

「契約のもと、その力を解き放て」

「契約のもと、その力を解き放て!」

「風は空に」

「風は空に」

 

 詠唱を進めるたびに、なのはの周りから高濃度の魔力が吹き荒れる。

 その様子を危険と感じたフェイトは一気に加速するが、ブロウクンマグナムで牽制される。そして、新たに非殺傷術式を組み込んだプラズマホールドで拘束される。

 

 

「星は天に!」

 

 魔力が吹き荒れるため、音では伝わりにくいと判断したユーノが念話に切り替える。周りからはなのはだけが詠唱しているように聞こえるが、その様子がなにかの誕生にも似た恐ろしさをかもし出す。

 

「不屈の魂は! この胸に!! レイジングハートッ、セーットアーップ!!!」

 

 その言葉と同時に、絶望的なまでの魔力が広がった。

 

 ◇◇◇

 

 レイジングハートは己の姿をなのはにとって最適な形に組みかえる。

 なのはが纏ったバリアジャケットは学校の制服をもとに、ドレスのような意匠を施したもの。だが、所々戦闘のために防護能力を高めているような印象を受ける。

 

「レイジングハートだったよね、打ち抜ける?」

《当然です。マスター》

「いくよ……」

《変形します。カノンモード、準備完了》

「えっと、そっかそう読むんだね……うん、いけるよ」

《ターゲット、ロックオン》

 

 スコープが出てフェイト、アルフ、ジュエルシードの三つをロックする。

 

《封印弾も同時装填。いつでもいけます》

「ディバインッバスタァァァァ!!」

 

 桃色の光が、対象を打ち抜いた。

 

 ◇◇◇

 

 結局、フェイトたちには逃げられたがジュエルシードは手に入れた。

 代償は一人の少女が何かに目覚めてしまったことと、ユーノの受難である。

 シリアル18の代償は大きいものになってしまった。

 




今回の用語
「翠屋」

なのはの実家の喫茶店。シュークリームが評判で、テレビでも紹介されたことがある。
母親の桃子は色々とぶっ飛んだ経歴のパティシエール。

バイトの店員も色々と凄い。出番は無かったが、社員旅行にはついてきている。

店のポップなどはなのは製作。

そして、マスターのコーヒーを飲みに来る常連客も色々と凄い経歴なのだろう。
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