リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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長ったらしくやるつもりもないので、どんどん進むかも。
本日二話目。




アンダー・Y・ヒストリー

 今日は別々に行動してジュエルシードを捜すことになった。

 だけど、あの悪魔の一件の後、なのははフェイトに二回ほど続けて負けてしまった。

 それが悔しいのか、特訓を頼まれたので僕はなのはに魔法のレクチャーをしている。

 

「ねえ、なのはは何でそんなに魔法に拘るの?」

「んー……」

「お家の手伝いをしたり、ケーキを作っているほうが似合っていると思うけどな」

 

 それに死の危険なんか無いから……そうつぶやいた言葉はなのはにも聞こえたのだろう。

 少し笑っていた顔が、無表情になる。

 

「魔法はなのはが思っているようなものじゃないよ。怪我だってするかもしれない、死ぬかも知れない。そんな危ないものなんだよ」

「そうだね、私もまだよく分からないかもだけど……それでも立ち止まるのはもっと嫌なの」

 

 なのははそういった後、僕にこんな話をした。

 

「あのね、ユーノ君――」

 

 昔、父親が危ない仕事――ボディーガードらしいが、本当は少し違うかも知れないそうだ――をしていた時、大怪我をしてしまい生死の境をさまよったそうだ。

 そのとき、家族が大変で……自分の相手をする暇は無かったらしい。

 でも、自分がいい子でいようとしたこと。いい子にするために、迷惑をかけないようにするために一人で公園で遊んでいたことなど……

 

「私に出来ることがあれば、もっと違ったと思うんだ。だから、危ないかもしれない、それでもあんな悲しい目をしたフェイトちゃんとお話がしたいの。もちろん、ユーノ君のことも助けたいってのもあるけど」

「でも、無理に戦う必要は無いと思う……なのはが戦うことなんて無いんだよ」

「む、そこまで言うと怒るよ」

 

 それに、と続けてなのはは言葉を出す。

 

「そんな感じで一人でいたときなの、スーツを着たお兄さんがこんなことを言ったの」

 

 

『君は、平穏に暮らすのと、戦うのと……どっちがいい?』

 

「あのときは何のことだか分からなかったけど、今は分かるよ。私はね、フェイトちゃんのことを忘れて翠屋を継ぐことになるのと、翠屋のことを必殺料理人のお姉ちゃんに任せることになったとしても、フェイトちゃんとお話できる方、そのほうが幸せだし、たとえ怪我しようがなんだろうが、そうやって立ち向かった方が絶対に幸せなの!」

「……プッ」

「ちょ、なんで笑うの!?」

「なんでもない、なんでもないよ……だめ、おなかいたい」

 

 なんで笑うのー!! そうやってなのはが怒るが何とかなだめる。

 

(そっか、そうだよね……なのはが幸せかなんて、なのは自身にしか決められないよね)

 

 自分が巻き込んでしまったと思ったが、この少女はきっとどんな形にせよ魔法に関わってくる。いや、魔法じゃなくてもなにかしらの戦いへと足を進めるのだろう。

 立ち止まっているより、立ち向かう方が幸せなのだから。

 

「さてと、じゃあ続きをやろう……魔法の意味を分からないまま使うのも危ないし、なのはの苦手な文系の考え方と、体力づくりね」

「ちょ、それは勘弁して欲しいなぁ……って、だめかな?」

「ダメ。さっき立ち向かった方が幸せって言ったよね」

「そ、そんなぁ……」

 

 そんなこんなで、しばらく特訓を続けていた時だった。

 

(ユーノ! ジュエルシードを狙っている奴が他にもいた! 状況が状況だからこっちからの一方的なメッセージになるけど、第三勢力っぽい。前にお前が見せてくれた次元犯罪者の奴だ!)

 

 突然、アクアから念話、いやリミピッドチャンネルというものを使ったメッセージが届いた。

 そして、その言葉はユーノにとって無視できないものだった。

 

「!?」

「ユーノ、君?」

 

 ユーノは走りだそうとした、だが、足が固定されていることに気がつかずバランスをくずして倒れそうになる。

 

「あ、足がぁああ!?」

「むぅ、どうしたの?」

「いやどうしたってなのはこそいきなり何するんだよ!」

 

 レストリクトロックなんていつの間に仕込んだのやら……

 

「ねえ、鏡見て……今のユーノ君、凄く怖いよ」

「あ……」

 

 そこで、姉の言葉がよぎる。優しいままの自分……今の自分はなんだ?

 冷静さを欠いている自分はだめだ。落ち着け。落ち着くんだ……

 

「ねえ、何があったの? 私のことも話したんだから……今度はユーノ君の番だよ」

「……長い話になるし、アクアのことも気になるから走りながらになるけど」

 

 

 ユーノは語る、数年前から始まった因縁。そして、その顛末と、姉の敵がこの街にいること……

 

「ねえ、ユーノ君、ユーノ君はどうしたいの?」

「僕?」

「うん。お姉さんが言ったからじゃなくて、ユーノ君はどうしたい?」

「……そうだ、僕は」

 

 今まで、姉の言葉で動いていた気がする。そうだ、ミッシングリンクと戦うことだけを考えていた。

 今の自分じゃ絶対に勝てない。なら、今の自分はどうしたい?

 もちろん罪を償わせたいが……

 

「ああ、そうだった……そうだったよね」

 

 ジュエルシードを探す中で、この街の人たちを見ていた……暖かい人でいっぱいだった。

 なぜか懐かしさを感じたこともある。

 魔力が不自然に多いとか、色々な悪い点を見てしまっていた。

 そうじゃない。自分が望むものは……

 

「もう、今度は力をもたないわけじゃない」

 

 守るための力はここにある。戦うための力はここにある。

 一人じゃ無理かも知れない。いや、一人じゃだめだろう。

 

 だったら、一緒に戦ってくれる人を守れる人に僕はなりたい。

 この地でできた友人二人を守れる人になりたいんだ。

 

 

 そのときだった。空から大きな影が落ちたかと思ったら、なにかが急降下した。

 

「ッ」

 

 それでも、慌てることなくユーノは障壁を張って鎖で縛る。

 シードモンスター。巨大な鳥だ。

 

「なのは、これから迷惑をかけることになるだろうけど……力を貸してくれる?」

「もちろんなの! いやだって言っても勝手についていくからね!」

 

 ◇◇◇

 

 結界をはり、人目につかなくしたが……そこで念話が届いた。

 オーガは逃げたそうだが、アクアが無事でよかった。

 その後にとんでもないことを実行しようとしているが、彼なら大丈夫だろう。

 

「なのは!?」

 

 問題は、魔法陣を見た瞬間に文系を考えてしまい目を回すなのはだった。

 

「まさか……ここまで文系と相性が悪いとは…………」

 

 しばらくかかって、ようやくジュエルシードを封印完了。

 というか、魔力を練りこんでシールバインドでユーノが封印した。

 

「ごめんなの……」

「ま、まあこんな日もあるよ!」

 

 とりあえず今日は終わりにして……そう思ったときだった。

 

「ストップだ! ここでの戦闘は……あれ、もう終わってるのか?」

 

 黒ずくめの少年が転移してきた。

 魔法陣から見てミッド式、ユーノは身構えるが、少年の着ている服がなんなのかに気がついた。

 

「時空管理局?」

「ユーノ・スクライアだな、時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。君を保護しに来た」

 

 物語は動き始めた。だが、近くには先ほどまで戦闘していて、敗北してしまった犯罪者がいたことをユーノは忘れていた。

 いや、あまりの速度に気がつけなかったのだ。

 

「ガアアアアアアア!!」

「な、なんだ!?」

「なに、お、鬼?」

 

「オーガ……まだ近くにいたのか」

 

「ゆるさねぇ……アイツも、俺の人生を狂わせた何もかも、全てだ、時空管理局、あの餓鬼、それにお前もだぁぁああ!!」

 

 自分を見て、そう言ったオーガ、だけど……

 

「散々、人の人生を狂わせておいて、今度は……それに、その後ろの人たちは……」

「ヒッ……」

「なのは、下がっていて。出来れば目をつぶっていて。たぶん、見ていられないよ」

 

 ジュエルシードをあんなふうに使うなんて……オーガは手に持っていた死体を上に投げて、ジュエルシードを投げつける。

 

『ウゴアアアアアアアアアアアア!』

 

 シードモンスター……ゾンビが現れた瞬間だった。

 

「足止めしてろよ……俺は、行くところがあるからな……」

 

 そういうと、オーガは姿を消す。

 残されたのは、シードモンスター一体。だが、死者に取り付いたそれはひどく強暴だった。

 

「クロノ、だっけか? なのはを頼みます」

「ま、まて! 民間人の君が――」

「大丈夫、本気でいくから! 《チェンジ・ビースト》」

 

 動物への変身魔法を発展させた身体強化魔法、《チェンジ・ビースト》

 四肢を獣のように変え、体の形も少し変わる。

 より、しなやかなバネをもつように、筋力を上げる。視力が強化される、聴力も上がる。

 体中の感覚が強化され、肉体も数段強化される。

 

「グゥッ、まだ、負担は大きいか」

 

 両手の爪を使い、ゾンビを切り裂く。

 

「流石に、なのはには任せられないよね、これは……ゴメンナサイ、あなたを助けられなくて。でも、これ以上貴方の体をすきにはさせません」

 

 平行して練り上げていたシールバインド、その他数種類の魔法を一気に発動する。

 

「セット、シールバインド・トルネード!!」

 

 複数種類の魔法を組み合わせたシールバインドの発展系。

 回転するバインドはまるで竜巻のように放たれ、相手を絡めとった上で、一気に封印する。

 

「シリアル02、封印!」

 

 

 ◇◇◇

 

 

「何処だ、何処にいるぅぅ……」

 

 このときは誰も知らなかった。

 実は既に時空管理局は近くに来ており、ジュエルシードも2つを回収して、ようやくユーノを発見したのだ。ジュエルシードに対してすぐに対応していたのが彼の発見を遅らせたとはどういう皮肉だろうか。

 だが、残りはオーガが回収しており、全てのジュエルシードは封印されていたのだ。

 

「時の庭園は、どこだぁああああああああああああああ!!!」

 

 オーガはその座標を知らない。だが、その執念は彼を最悪な舞台へと導くだろう。

 

 

 決戦の刻は近づいている。

 




今回の用語
『チェンジ・ビースト』

本作オリジナル魔法
ユーノ製作の変身魔法の応用。

体の一部を、変身魔法をベースにした強化魔法で一時的に変化させる。
人と、獣の特徴を取り入れた戦闘形態。
だが、まだ未完成のため負担も大きい。
今のところは、骨格が少し変わり、耳が獣っぽくなるのと尻尾が生える。
両手両足が獣のそれに変わる。少し牙が伸びる。
などの変化が出る。
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