リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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本日2話目!

なんか本当に筆が進む。
こんかいはグロイ描写や残酷描写を含むのでご注意ください。

あと、プレシア戦のためいつもより少し長いです。


フォルテ・A・ベターマン

 さてと、シードモンスターになっているプレシア。アレを剥がすにはちょっと、時間がかかる。そこでユーノにプレトを転送するまでの時間で、外側をまず剥がさないと、中のプレシアを助け出せない。

 

「いくらバカ魔力なプレシアでも長くはもたない。早期決着しかないな」

「なにか方法があるの?」

 

 アルフは行動不能なため、俺とフェイトしか戦えない。しかも、プレシア自身が次元震ってやつを発しているのでユーノと一緒に来た管理局も動けないらしい。

 っていうか、管理局ようやく来たのかよ。

 

「まあ、奥の手ならあるよ。出来れば使いたくなかったけど、ユーノたちがいるなら大丈夫だ。俺が動けなくなっても封印は任せられる」

 

 高町の魔力はかなりあるみたいだし、まあ、何とかなるだろ。

 ふとフェイトの方を向くと、うつむいていた。

 

「ごめんなさい。貴方を巻き込んでしまって……」

「うーん、元々の研究の根っこが同じだろうし、いつかはこういう風になる運命だと思うけど。まあ……そういう時はな、笑ってありがとうって言えばいいんだよ」

「え、えっと」

「折角可愛いのに勿体無い」

「かかか、かわっ!?」

「ま、軽口はこの辺にして……ついてこれるか、フェイト?」

 

 思わず、顔が笑う。

 俺の意図を分かってくれたのかフェイトも笑う。

 

「当然です。私は貴方より速いですから」

「そうだな……じゃあ、いくぞ!」

 

 懐から紅い、刺々しい物体を取り出す。

 今まで使っていない奥の手。フォルテの実。

 能力は高いが、負担の大きさと、コストパフォーマンスから使用していなかった力。

 

「グォオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 体が炎に包まれる。いや、体が炎のように燃え、形を変える。

 腕は巨大に、硬く、体も大きくなる。

 シードモンスターの大きさが大体7メートルくらい。

 フォルテも、おおよそそのくらいまでの大きさになる。

 ネブラよりも重厚。飛行能力はないが、今までのどの姿よりも強い。

 

『これが、フォルテだ!』

 

 ベターマン・フォルテ、幸い念話は使える。

 この姿では、クランブルポイントと呼ばれる対象の、そこを突けば粉々に出来る一点を頭の角で突く「サイコグローリー」を使うのだが、流石にプレシアの身を考えるとその必殺技は使えない。

 なら、出来ることは一つ。

 

『オラァアア!!』

『ガァアア!?』

 

 己の拳による肉弾戦のみ!

 ムチのようにしなるシードモンスターの腕、左右から交互に自分の体へ叩きつけられる。

 だが、フォルテの前にはそんなチャチな攻撃は無意味!

 

『無駄だ、今度はこっちから行くぞ!』

 

 危険を感じたのか、その多脚でシードモンスターは後ろへ下がる。目線はこちらに向けたまま、なるほど、機動力は確かにある。

 だけども、一つ忘れている。怪物たちの戦いでは小さいもの。だが、この場においては大きな力を持つものだ。

 

「ライトニング、バインド!!」

 

 高い機動力を持ったフェイトが設置していた捕縛魔法。

 そう、コイツはシードモンスター防御を剥がすには魔力も必要だ。

 だが、そのままでは暴発の危険もある。4つのジュエルシードを無力化するには、まず物理的な防御を貫く。

 

『ガァアアアア!!!』

「あ、ああああああ!?」

 

 超音波により、フェイトは弾き飛ばされる。

 いや、弾き飛ばされるのではなく、フェイトの五感を狂わされたのだろう。

 

「ぐぅう……」

『フェイト、下がって最大火力の準備だ。足を狙ってくれ』

「足、ですか?」

『ああ、中の女神像にダメージを与えなければプレシア本人へのダメージもそこまでひどくはない』

 

 中核を担う女神像、外側はマイナスの心が具現化した部分なら、中身はプラス。マイナスなら負担は大きいだろう。

 だが、今までのジュエルシードの暴走をみても、プラスの状態はそこまで負担はなかったようにも思う。

 たとえばあの子猫やゴリ吉。彼らは、ジュエルシードを剥がした後も元気だった。

 

『中核がプラスで助かった。一応、他の部分とリンクしているから早期決着が望ましい。フェイト、準備が出来たら言ってくれ!』

「はい!」

 

 俺はバインドで身動きが取れなくなっているシードモンスターへ突っ込む。そのまま右腕を振り上げ、拳を相手の頭に叩き込む。

 

『オラァ!』

『ギュアア!?』

『まだまだぁ!!』

 

 右、左、右、左。左右の拳でラッシュ。

 時折ムチのように腕を叩きつけるがこの体にそんな攻撃は意味がない。

 超音波も使うが、フォルテの体はそういった攻撃を通さない。

 振動を外殻が無効化する構造なのだ。

 

『まずは、その翼からだ!』

 

 後ろに回りこみ、翼を掴む。

 両手に掴んだ翼を左手に持ち替え、右手で相手の背中を押す。

 

『オラアアアアアアアアアアアア!!』

『グギャグガアアアアアアアアアア!?』

 

 思ったとおり、こいつは大きく分けて4つのパーツから出来ている。

 翼部分、足部分、腕部分、そして核の女神像。

 翼を引きちぎろうとすると、濃密な魔力が漏れ出している。

 お互いを結合させている魔力だろう。

 フォルテでなければこの魔力に触れただけで弾け飛んでいた。

 

『いまだフェイト、足を狙え!』

「はい!」

 

 翼を離し、シードモンスターの両腕にエルボーを打つ。

 シードモンスターは今再び悲鳴を上げてもがく。

 だが、翼は動かず、両腕もだらしなくたれている。

 その間に俺は下がり、フェイトの魔法を待つ。

 

「ハァアアアア……サンダー、レイジィィィィ!!」

 

 電撃が、シードモンスターの足めがけて炸裂する。

 その数は数えるほども馬鹿らしい。

 撃ち終わると、バインドも外れたが……

 

『ぐぉ、おお……』

 

 既に機動力は無い。

 あとは余分な魔力をそぎ落として封印するだけ。

 フォルテももう限界。気がつくと変身はとけている。

 

「はぁ、ハァ、あと少し」

 

 だけど、予想は裏切られた。

 

『ごアアアアアアアア!!』

「ガグッ!?」

「アア!?」

 

 まだ、シードモンスターは動けたのだ。いや、機動力は無い。

 なら何故か?

 

『アアアアアアアアアア!!』

「音波を使った攻撃の時に気がつけばよかった……これ、電磁波」

 

 超音波に酷似した電磁波による攻撃。フェイトガ魔力を電気へ変換する能力の持ち主だったのを忘れていた。遺伝的にプレシアが同じ能力を持っていてもおかしくは無いのに、うかつだった。シードモンスターから迸る電気は紫色。前にユーノに聞いた、襲撃者の電気の色。

 

「そうか、ジュエルシードの輸送機を襲ったのはプレシアか」

 

 電磁波、いや、強力な静電気とも言うべき力は俺達の体の自由を奪う。

 どういった仕組みかは分からないが、体内の電気信号が上手く動かないらしい。

 魔力による現象だからか今のところ体が動かないだけだが、これ以上電磁波を浴びすぎると体が沸騰する可能性もある。

 

「電子レンジでチンなんて終わり方はいやだぞ!!」

 

 なにか、なにか方法は無いか……

 そう思っていたが、

 

「お待たせ、アクア」

「ったく、遅いぞコンチクショウ!」

 

 どうやら予想はいい方向へ裏切られたようだった。

 

「フェイトちゃん、遅くなってごめんね」

「なんで……」

「友達に、なりたいから」

 

 フェイトの方にも高町がシールドを張っている。

 俺の前にはユーノが立っていて、全力でプロテクションを使っている。

 

「で、状況は?」

「一応機動力と物理的な攻撃力は奪ったけどこの通り」

「電気による振動攻撃。かなり厄介だね」

 

 流石ユーノ、一目見ただけで分かるとか。

 ユーノは足をトントンと、何度か動かした後開口一番こういった。

 

「じゃあ、プレシア・テスタロッサを引っ張り出す方向でいこうか」

「簡単に言ってくれるよ」

「大丈夫、方法はある」

 

 そう言って、ユーノは俺になんかの機械を渡した。

 

「これは?」

「ハンドウを調べた時、なんか未完成な気がしたからそれを補うパーツ。急ごしらえだから長くは使えないけどね」

「ちょ、よくそんなことが分かったな!?」

「プレトも少し調べたけど、君の変身にも関わることだよ」

「なに?」

 

 マニュアルにも書いていなかったんだが、どうやってそれを知ったんだ?

 

「時空管理局でテスタロッサと紫色の電気とかで検索をしてもらって、プレシアが首謀者ってのは分かったんだけど……もしジュエルシードが暴走したらって思ってね。プレトも管理局員につれてかれそうになるし、スキャニングだけはかけられたんだけど……」

「それで、何かわかったってことか?」

「うん、プレトは鎧だけじゃなくて他の形態への変形が可能だったってこと」

 

 マジですか!?

 ちょ、初耳なんだけど。

 

「で、前に調べたデータと重ねたらわかったのは……ラティオの実の後でポンドゥスを使うことで発動する形態」

「二つ同時使用!?」

 

 そんなのあったのか……だけど、ユーノはそこで言いよどんだ。

 

「プレトの中に登録されていた魔法なんだけど、確かにプレシアを無傷で引っ張り出せるけど、君への負担が大きい。それでも」

「答えは決まっているよ。つうことで、時間を稼いでくれ」

「私に任せておくといいの」

「あ、高町くれぐれも穏便にな」

 

 凄く心配だが、大丈夫だろうか。

 だけども、シードモンスターは攻撃方法を変えてきた。そう、足が無くとも動けるのだとでも言わんばかりに転がってきたのだ。

 

「広がれ 戒めの鎖! 捕らえて固めろ 封鎖の檻! アレスターチェーン!!」

 

 だが、それにものともせずユーノはいくつもの鎖でシードモンスターを捕まえる。

 シードモンスターも抵抗するが、ビクともしない。

 

「なのは! お願い!!」

「うん、任せて……咎人達に、滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ。貫け!閃光! スターライト・ブレイカー!」

 

 感覚的にだが、周囲に霧散した魔力が高町の下へ集められていくのが分かった。

 この場には先ほどジュエルシードからもれた膨大な魔力が……って、詠唱つきの大魔法の予感がする。

 

「ちょ、それやりす――」

 

 言葉は続かなかった。ただ、無慈悲に振り下ろされた杖から破壊光線なんて目じゃない魔砲が打ち出された。

 

『ガアアアアアアアアアアアアアア!?』

 

「なのは、あれフェイトのお母さんが入っているんだから少しぐらい手加減しようよ」

「か、母さん!?」

「うっかりしてたのぉぉぉ!?」

 

 だけど、シードモンスターは純粋な魔力に対する防御力は高かったのか、まだ結構余力を残していた。もっとも、しばらくは動けないだろうが。

 ただ、仮になのはとフェイトがジュエルシードをかけて戦っていたらいつかアレを喰らうことになったであろう少女のことを考えると、涙が出てきそうだった。

 何でか知らないが、そこ光景がリアルに頭に浮かぶ。

 

「さ、さてと……いくぞ」

 

 ラティオを口に入れて変身。ハンドウは起動済み。ユーノから渡された機械を組み込む。そして、ポンドゥスを口に入れる。

 

「うぐぅ!? ガハッ!?」

 

 体が焼けるように熱い。だけど、分かる。どうすればいいのか。

 プレトが飛び込んでくる。いや、その形を変えてプレトはハンマーのようになった。

 

《モード・ミョルニル起動》

 

 有名な武器の名前の通り、ハンマーの形に変化し、俺の右腕に納まる。

 右腕はハンドウが形を変えて巨大な腕へと変化していた。

 そして、溢れる魔力も色を変える。

 普段は黒に近い紫、ラティオでは輝くようなグリーン。そしていまは……黄金。

 

「ウォオオオオオオオオオ」

 

《コード・ゴルディオンハンマー発動》

 

 ハンドウから出てくる単語。初めて聞くが、頭に使い方が浮かぶ。

 左手には輝く釘を、高町の攻撃でしばらくは動けないであろうシードモンスターに突っ込む。

 

『ユーノ! 高町! フェイト、封印の準備を頼む!』

 

 リミピッドチャンネルを全開ににしてプレシアの位置を特定する。

 時の庭園内部では管理局員と思しき人たちがいるのがわかる。どうやら、自動迎撃システムかなんかに足止めされているようだ。そのなかでユーノたちが進む道を切り開いてくれたのだろう。

 あとで、礼の一つも入れないとマズイな。だけど、今は目の前の敵を――

 

「ハンマー、ヘル!」

 

 釘をプレシアに打ちつける。刺さるわけではなく、中から出すために掴んだ形に近い。

 そして、ハンドウにくっついていたくぎ抜きのような部分で釘を固定。

 

「ハンマー、ヘヴン!!」

 

 一気に引き抜き、プレシアを引きずり出した。

 同時に、ジュエルシードも飛び出し、ユーノたちのほうへ投げる。

 

「ゴルディオンハンマー!!!」

 

 最後に、暴発しそうになっている魔力をハンマーで消し飛ばす。

 

 ◇◇◇

 

「母さん……」

「フェイト、なの」

 

 管理局員達も到達し、事件は終わった。

 状況や事情を説明した後、プレシアが目を覚ました。

 一応簡易的に検査はしたが、長くは無い。

 

「……ああ、私はいつも気がつくのが遅すぎる。大切なものがなんなのか」

「いいよ、もう喋らなくても」

 

 あの悪魔の力を使えば、病気を治療して延命は可能だ。管理局の医療術でも1年は大丈夫だろう。だけど、プレシアがやったことを考えればこれがフェイトとの最後の会話になる。

 プレシアはフェイトに罪がいかないように自分で全ての罪をかぶる気だ。

 

「ごめんね、ごめんねフェイト」

「母さん、」

 

 その後は、プレシアが知っていることを教えてもらった。

 どうやらジュエルシードについて教えてくれたのはスカリエッティという男らしい。

 人造魔道師計画の研究、つまりフェイトを生み出すきっかけも彼の研究が元らしい。

 つまり、俺の生まれもそこに起因する。

 

「ですが、アルハザードなんて……」

「スカリエッティはアルハザード人のクローン、間違いないわ。まあ、今ではいく方法は無いでしょうね」

 

 リンディさんという、管理局の艦長が話を聞いている。

 だけどもやはり御伽噺のような世界を信じられないのだろう。

 

「あら、証拠はあるわよ」

「そ、それはどこに?」

「貴方たちのお仲間にいるじゃない……その金髪のボウヤが正真正銘のアルハザード人よ」

 

 そのとき、周囲の気温は下がった。

 わけが分からなかった。もちろん、言われた本人もだ。

 

「スクライアの彼よ、前々からおかしいとは思っていたのよ。この年齢にしては頭はよすぎるし、出身は分からない。遺跡の中で拾われたという話も出てきたわ」

「た、たしかに僕は遺跡で拾われましたけど……で、でもレイジングハートはミッド式のデバイスです! 僕はそのときから身に着けていたらしいし」

「それも証拠の一つよ。スカリエッティのように、あちらからこちらへ技術が流れるように、こちらからあちらへ流れるものもあるの。ミッド式が向こうにあっても不思議じゃないし、結構昔からミッド式はあるのよ。

 むしろ、使用者のイメージに合わせて形を作ったり、高度な意思を有していたり、疑わしいことはたくさんある。むしろ、今まで誰も不思議に思わなかったのか、そっちのほうが信じられないわ」

 

 この話は一度ここで終わる。その後は撤収作業やジュエルシードの確認、結局まだ全部見つかっていないので回収は続く。

 オーガという犯罪者もまだ近くにいるから油断は出来ないそうだ。

 ユーノは衝撃的な言葉を聞いたからか、話しかけづらい。そこは、高町に任せてフェイトの方へ向かう。

 色々あった、それにこれから大変なことが彼女達を待ち受けるだろう。

 それでも一つの絆が切れなくてよかった。俺はそう思う。

 

 そして、プレシアがフェイトの頭を撫でようとしたそのときだった。

 

 世界は優しくもあれば、残酷でもあるのだ。

 

 

「かあ、さん?」

「――ぷ、プレシア!?」

「なんで、なんでアイツがここに!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒャアアアアアアアアハハハハハ!! オイオイ、俺を忘れるなよ、それにこんな鬼婆が助かるわけが無いだろ、ちゃんと、ここで死ななきゃダメなんだよなぁコレがよぉ!!」

 

 

 次元犯罪者オーガ、彼の周囲に浮かぶ残りのジュエルシードと共にやってきた。

 まだ戦いは終わっていなかった。

 

 ハッピーエンドはいつだって、悪意あるものの手でぶち壊される。

 




今回の用語
『ゴルディオンハンマー』

元ネタは言わずと知れたガオガイガーの必殺技。
ハンドウ自体、ミスターXあたりが関わっているので、使うときが来るのを予見してあらかじめ用意されていた。

本来はミスターXと直接接触した後に解禁されるであろう力だが、ユーノがハンドウの機能を見抜いたことにより使えるようになった。

ハンマー形態のプレトを巨大な腕と化したハンドウでもつ。このときにラティオとポンドゥスの同時使用も条件になる。
ハンマーで叩きつける部分にチャージした重力エネルギーをぶつけることで、相手を光の粒子にまで分解する。
また、光の釘を使って対象を安全に引きずり出すこともできる。

本家ガオガイガーは機体への負担を減らすために作られたが、アクアの場合、余計に負担が大きい。ただし、対象を救い出すことは効率と安全性が増した。
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