リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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カオスウィーク最終話です。
最後がこんなのでスイマセン。


みんなの食事事情

「ああ、涙が出てくるくらいに美味しい」

「君は黙って食べれないのか」

 

 ◇◇◇

 

 クロノがアクアにツッコミをいれ、そこから始まったのは今までの食事事情の話。

 母親ののむトンデモナイ甘さの液体を見ていたクロノは食に関して嫌な思い出が多い。

 だからこそ、アクアのように食べるだけで幸せそうな人物を見て思わずこう言ってしまったのだ。

 

「まったく、お前もあの生活をしてみれば分かる! 来る日も来る日もひもじい思いだった。野生動物とタイマンしてから裁いて焼いて食べることもあった。そもそもエンカウントするのって意外と少ないから腹を満たす肉なんて滅多に食べれない。たんぱく源? 虫に決まっているだろバカヤロー!!」

「分かった分かった……まったく、そんなに肉を食べたければ買えばいいのに」

「あぁん? クロノ……君の事は見損なったよ」

「ちょ、ユーノまでどうしたんだ!?」

「買いたくても買えないことだってあるんだ。というか戸籍が無いのにお金を稼ぐことは出来ないし、僕達子供だよ? 日本って国じゃ子供は働けないんだ。働けたとしてもろくなところは無いよ世界規模で」

「必然としてサバイバル生活だよ……いや、リアルにゴミ箱をあさった日もあったな。日本は賞味期限切れの弁当がそのままの状態で捨ててあることもあってさ……ふふ、涙が出てきたぜ」

 

 もはやそれはサバイバルではなくホームレスだろう……そんなツッコミという名の言葉のナイフを思わず突き立てそうになる、外見年齢小学生クロノ・ハラオウン実年齢14歳だったが、思いなおして優しい言葉をかけようとする。

 

「あれだ、まあ……生きていればいいことあるさ!」

「ぶっ飛べ!!」

 

 目が覚めたあと、クロノは対人スキルを磨こうと決意したという。

 

 ◇◇◇

 

「むふふ~フェイトちゃんも女の子だねぇ」

「ううぅ……からかわないでよ」

 

 ところ変わってアースラ艦内、エイミィの自室。簡易キッチンにてエイミィとフェイトがエプロンをつけていた。

 

「いやぁ、やっぱり自分の手料理って食べてもらいたいものだよね?」

「う、うん」

「あーもう、赤くなっちゃって可愛いなぁ……喜んでくれるといいよね、彼」

「べっ、別にアクアに食べてもらいたいとかそういうのじゃ――」

「誰も名前いっていないよ?」

「……エイミィのイジワル」

(おおう!? この上目使いは反則だよ!? こりゃあお姉さん久しぶりに燃えてきちゃったよ!!)

 

 内心では顔を赤らめて上目使いで自分を見るフェイトにより荒ぶっているエイミィ。自分が男なら押し倒していた。間違いなくそういいきれる。

 そして海鳴にいる車椅子の少女と彼女がであったとき、さらなる領域に足を突っ込みそうだ。

 エイミィとしては、この反応を引き出しているアクアを一回でいいから殴りたい。あの鈍感男には勿体無い。

 ちなみにリミピッドチャンネルのことはすっかり頭から抜け落ちていた。つまり、アクアは鈍感なわけでなくただこういう話に関しては極度にヘタレるだけである。

 

「で、なに作ろうか?」

「……えっと、地球で食べていたアレかな」

「どんな料理かな、麺とかパンとか」

「えっと、パンに近い。なんか四角くて、色々な味があって……」

 

 少しばかりエイミィさん困惑だよ。パンに近いのは分かったが、色々な味があるというのはどういうことか。

 ジャムパンみたいに中の具の種類が色々とあるのか、いや四角いって?

 

「黄色い箱のパッケージでそれだけでカロリーが」

「あ、うんフェイトちゃんそれ毎日食べていたの?」

「とっても美味しいんだよ」

 

 ちょっと涙が出てきたエイミィだった。

 というか、それは一般向けのレーションのようなものじゃ……

 一応軍に近い管理局員のため、思い描いたのは微妙に違うが、ニュアンス的にはあっている。つまり、普通の食事で食べるものじゃない。

 

「うん、フェイトちゃんそれはやめようね。お姉さんとの約束だよ」

「え、でも」

「いいから!」

 

 今のうちから矯正しないとマズイ。色々な意味で。そう思うエイミィであった。

 

 ◇◇◇

 

「……」

「どうしたのアクア?」

「いや、不穏なっていうか、向こうも向こうで色々とあったんだなぁ……と」

 

 場所は再びアースラ内食堂。クロノはいまだ目覚めないのでユーノが回復魔法を……かけずに放置している。なんでもフェレット形態や獣化型肉体強化魔法の資料を見たクロノが、フェレットもどきなる不名誉なあだ名を付けてくれやがったのでしばらく頭を冷やせと思っているらしい。

 

「なんか、つらいことでもあったの?」

「電波じゃないからな。いや、まあ……思念波だし似たような物か」

 

 最後のところは声がちいさくてユーノには聞こえなかったようだが、アクアのリミピッドチャンネルは感情の爆発など、大きな動きをする思念を無意識に拾ってしまう。

 たとえば、恐がりな人間がホラー映画をみてしまった時に、心の中で絶叫を上げるとするだろう。そうした場合、デパートほどのサイズの建物の中に恐怖を感じた人とアクアが居た場合、その感情が無意識のうちにアクアに伝わるのだ。

 というわけで、実はアクア……フェイトが赤面した時のその感情を拾ってしまったのである。

 いけないと分かりつつも、その後の会話もなんとなく聞いてしまった。

 とりあえずこれ以上は止めるべき(最初から聞かないほうがよかったが)なので、頑張ってリミピッドチャンネルを封じようとしている。

 

「ぐぅ……思いっきりなぐるな」

「あ、起きたか」

「そのまま永眠すればいいのに」

「なんかユーノは僕に恨みでも……あったなそういえば」

 

 半ば冗談で言ったつもりだったのだが、まさかここまで嫌がられるとは思っていなかったクロノ。本気で対人関係のスキルを磨いた方が良さそうだ。

 

「そういえば、二人に聞きたかったんだが融合はあの後、使えなくなったのか?」

 

 そう、ジュエルシードの影響で融合した二人。それが願いを叶えるジュエルシードの力によるものであるのは間違いない。だが、その場だけの力なのか、二人の身体に影響があるかをまだ聞いていなかったのだ。

 

「うーん、やってみない事にはわからないが……たぶん出来るな。ジュエルシードが俺達の願いをかなえたのは間違いないんだけど、あの融合自体はリンカーコアに式が残っているし」

「僕のほうも同じ意見だね……ただ、もしもう一度融合することになったとして、前回と同じ人格になるかといわれたらそれは違うと思う」

 

 リンカーコアには使われた魔法の式が残る。いまだ謎の多い器官だが、それでも分かっていることもある。

 そして、クロノはユーノの言ったことに疑問を持った。何故以前のアレがでてこないのか。

 

「いや、ベースは僕達二人だけど……あの時はジュエルシードも融合していたからね。願いを叶えたとは言っても、少しぐらい影響はでるよ」

「むしろ、そのときの状況や考えていたことで融合後の人格は決まるんじゃないか? あの時はアイツを倒したいって気持ちが大きかったし、比重が力に置かれていたからね」

「そうなのか……ところで、融合後の魔法は使えるのか?」

「無理だな。アレは融合状態なのが前提っぽい。理屈は分かっていても、俺達が単体で使うのは不可能だ。お互いの能力両方が必要な魔法ばっかりだよ。しかも、融合してお互いが補い合うだけじゃなくて増幅もしているし」

「あのドリルはかなりの威力があったのだが……なら、ほかの人なら?」

「それも無理だね。第一に魔力量が足りない。第二に、生身でデバイスどころか戦艦級の処理能力を使えないとダメなんだ」

「まて、戦艦級の処理能力だったのか、あの時」

「あーうん。増幅ってそういうことなんだよ。文字通り桁違いにね」

 

 なんともまぁ、規格外なことだ。だけども、融合するにしても魔力が足りないから現状じゃ無理だし、精神面もシンクロする必要があるから結局実現は無理そうだった。

 

「ただ、なんか次融合すると颯爽登場とか言い出しそうで怖いんだよな」

 

 なんか根拠とか無いし、よく分からないんだけど服装的にって心が叫んでいる……今度こそ、アクアが電波を拾った瞬間だった。

 

 ◇◇◇

 

 そして、結局電波扱いされて自室で落ち込んでいるアクア。

 部屋のスミスで一人寂しく体育座り~

 

「あはは、はは……はぁ」

 

 かなりつらい。かわいそうな人を見る目が自分に突き刺さり、ものすごくダメージが大きい。

 その後、食欲が湧かなくて今日を終えようとしていた。

 

「……あーもう寝よ」

 

 と、そこで部屋を小さくノックする音がした。

 こんこん、そんな柔らかい印象を受けるようなノック。自分の知り合いでそんなイメージがあるのは一人しかいない。

 

「フェイトー入っていいぞ」

「……おじゃまします」

 

 何故か顔を真っ赤にしたフェイトが入ってきた。

 と、そこで今までフェイトがやっていたであろうことを思い出す。

 

「あ、うん……紅茶ぐらいならだせるけど」

「えと、お構いなく……アクアはもう晩御飯食べた?」

「いや、今日はまだ食べてない」

「そっか……うん、よし」

 

 何がよしなんだとは聞かない。流石に野暮ってものだ。

 だけどもこの空気に体制が無くてアクアはなにか話題を変えたくなる。変えるわけにはいかないが。

 

「じゃ、じゃぁ……お弁当作ったから一緒に食べ……てくれる、かな」

「お、おう」

「ホント!?」

「そう言ってるだろ」

「うん!」

 

 結局、いまだ二人は微妙な距離にあったが、少しずつではあるがその絆の形を変えているのであろう。

 今の関係はこれと言った名称はない。だからこそ、形あるものへと変わっていく。

 

 ◇◇◇

 

 一方その頃、海鳴の地では一人の少女が特訓していた。

 

「まだまだね……これじゃあ合格とは程遠いわ」

「お母さんッ、次なの! こっちは自信作なの!!」

 

 先日、予想外のライバル出現に戸惑っていた高町なのは。だが、自分の家の職業を思い出し、跡を継がんばかりの勢いで母の技術を会得しようとしているのだ。

 その頭には既に魔法の力とかは吹き飛んでおり、そこにあるのは一人の乙女。

 

「及第点……かしらね」

「それじゃあダメなの……妥協はゆるさない。それが私なの! 常に全力全開!!」

「よく言ったわ! 美由希次の材料持ってきて!! あ、持ってくるだけで手を付けちゃだめよ」

「どうせ私は料理下手ですよ……」

 

 遂に自分の料理の腕を圧倒的に上回った妹の姿を見て、一人たそがれる少女の姿がそれからしばらく目撃されたという。

 




ということで、今回のオチはこの人でした。

本作のなのはさんのコンセプトは翠屋二代目と魔王の両立にあります。
どっちか片方に比重が置かれるのはありましたが、両方を実現する方はあまりいないので。

次回から新章突入ですが、ベターマン的なホラー要素を入れようと思うので一気にグロくなります。
あと、しばらくなのはさんの出番は無いかも。修行もあるし。
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