リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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再び主人公パート。
連続することもある、ということで。

原作開始前をグダグダやるつもりもないのでちゃっちゃと進めましょうか。
というか、すぐにでも原作開始したいんですけどね。

前準備というのが必要なこの作品でした。


ワールド・A・ライフ

「さて、ここは何処だろう……とにかく遠くに逃げようとしたからなぁ…………」

 

 俺ことアクア・プロトは今現在困っています。

 まあ、目が覚めたから繭を破って、外に出てみたんだけど……マジでここ何処?

 息苦しいし、なんていうか……日本? もしかして外国まで逃げちゃった?

 

「……人探すか――の前に食糧調達。まあ…………このサソリでいいか」

 

 生意気にも俺のこと刺そうとしていやがったので捕まえる。そういや、サソリの毒もどれかの薬の材料にあったな……保管するって、ビンとか無いか。

 

「……あ、あの手があった」

 

 ◇◇◇

 

 俺が思いついたのは、ベターマンの原作に出ていたある情報。ベターマンこと、ソムニウムと呼ばれる生命体は着ている服とかサングラスとか、自分の体から出る物質を使って作っていたような……たしか、さっきの繭とか変身後の外骨格と同じ成分だったはず。

 そこで、繭のところに戻ってチマチマと、ビンのようなものを作っています。

 

「骨が折れる……っていうかマニュアルに作り方が書いてあるのにも驚きだよ。俺以外にも実験体がいたのか?」

 

 どうも、繭や外骨格を粘土のように溶かすことの出来る液体をプレトが出せるように調整していたらしい。服とかも作りたいし、繭だけじゃ材料足りないかな~と思った矢先。

 

「忘れていたけど、残るんだよなこれ……材料になるから助かったけど、どうしようか…………」

《GA?》

「あ、うん。とりあえず溶かしておいて。これ見つかったらヤバイ」

 

 俺が変身していたベターマン・アクアの外骨格がそのまま残っているんだよね……コア部分に俺がいるだけで、俺と分離した後、死体のように固まる……っていうより、サナギの抜け殻に近い。

 サナギを動かしていた? って言えばいいのか……微妙に違う気もするけど、俺の頭の中に、それ以上的確な言葉が見つからなかった。

 

「まず、必要なのは服と……荷物を入れるリュック、ビンを何本か。後は……適当に考えるか」

 

 まずはこねてこねて、薄くのばす。時間かかりそうだな……どんな服にしようか悩む。

 

《GAA》

「ん、どうかした? って、このページを読めって?」

 

 プレトがマニュアルのあるページを指差す。トカゲみたいな見た目のクセに芸が細かい。

 さて、何が書かれているのか……えっと、『生体デバイスとの合体の際、なるべく薄着でなくてはいけない』

 あー、そこまで気にしていなかったけど、接続不良とかでたらダメだよな。

 とりあえず、薄着で……まあ、目立たない感じで半袖にズボンで、上着を着ておくか。

 ここ肌寒いから、なんか調達しないと……っていうか、服はちゃんとしたのを入手しよう。かなりごわごわする。

 

 ◇◇◇

 

 目が覚めてから一ヶ月が経ちました(笑)

 

 

 

 ……スイマセン、予想以上に単調な日々が続いていたんです。ここならある程度俺の見た目でも違和感なく働けるのでなんとかやっていけます。

 とまあ、そんな変なことを考えていたが、一ヶ月を簡単に振り返ると、まずここが世界一高い首都がある国だということに気がついた。

 どうりで息苦しいはずだよ……一番高いところだと富士山より高いんじゃなかったっけ? まあ、公式の記録でも数100メートルぐらいの差だし、息苦しいことには変わりないって…………数日で慣れたこの体に少し戦慄は覚えたけど。

 言いたくないけど、子供も働いていることがあるからねこの国。っていうか、日本にまったくと言っていいほどそういう子供がいないだけで、他の国にいくと結構目にする機会はあると思うけどね。こういう問題はその国の政府が何とかしないといけないから旅行にいった場合、自分の行動は自己責任(以下関係ない話が続くので略)

 閑話休題。まあ、着るものを買えるぐらいには金稼ぎました。長かった。実に長かった。

 まあ、着るものって言ってもズボンとシャツと、あとポンチョ。

 ……糸で首から吊るしたらまるでテルテル坊主ですね。

 

「さて、準備も整った」

《GG》

「いざ研究所へ行くぞ……所長、一ヶ月したら此の世にはいないとか不吉なこと言っていたからなぁ…………はやくもどるか」

 

 とりあえず、ネブラの実を捜すか。

 さっきは軽く流したけど、この国って南米なんだよね。アクアの姿ってそんなに速かったっけ? まあ、気にしてもしょうがないしなぁ。

 そういえば……あのマニュアルってちゃんと編集できていないからか、かなりカオスで、情報のつけ足しが多くてどれがどれだか分かりにくい。

 

「あったあった、よし、いくぞプレト」

《GAA》

 

 とりあえず、考えるのは後、今は日本に早く帰ろう。

 ネブラの実を取り出し、口に含む。

 

「ゴゥオ!? ――――グ、ガアアアアア!!』

 

 摂取した瞬間、体中に痛みが走る。

 メキメキと音をたてて、体が組み変わる。

 大きく、しなやかな体。ベターマン・ネブラの形態。

 原作でもおそらくもっとも多く使用された姿。

 

『グゥゥ……』

 

 この形態は音波などを用いる姿、口に物を入れて運ぶことは出来ないため、手のひらに荷物とプレトを乗せる。

 

『グアアアァ!』

 

 翼を広げ、一気に上まで上昇。そのまま進路を北のほうへ。目指すは日本。

 並みの飛行機を上回る速度が出ていると、自分でも思う。

 だが、ここまできたときはアクアの姿。水中なら話は違うが、空中ではネブラ以下のスピードしか出せないと思うのだが……何故ネブラ以上のスピードだったんだ?

 

 ◇◇◇

 

 電磁波を纏いレーダーや人工衛星対策を済ませ、何処か着陸出来そうな場所を探す。

 なるべく人目につかず、抜け殻を処理できそうな場所でないと……

 

《GAGAGA》

 

 ん、プレトから念話が通じた。っていうか、通じるのか……

 どうやら、この付近にいい場所があるらしい。

 着陸してみると、森の中で小さな小屋がある以外は人目に…………小屋がある時点でアウトじゃん。

 

「おいこら……変身といちゃったじゃないかよ」

《G?》

「いや、なんで疑問に――あ、勝手に入るな!」

 

 しばらくの間は休眠に入らなくても大丈夫だけど、時間がないな……小屋の中に入っていったプレトを仕方なく追いかけることにする。

 小屋の中は殺風景で、隠し扉を今プレトがくぐったこと以外は別に普通……なんで隠し扉があるんだよ!?

 

「……はぁ」

 

 ため息を一つ。とりあえず、中に進むけど……どこかで見たような風景だな。

 どこだっけ……記憶を探っていると、中の開けた場所に出た。

 

 

 

 

「……うそ、だろ?」

 

 

 

 そこは、ボロボロだったが俺がいた研究所だった。

 物は散乱し、機材は壊れ、研究員の白衣と思われるものがぼろ雑巾のように壁に引っかかっている。見ると、壁から鉄筋が飛び出ていた。

 

「たしかに一ヶ月って言っていたけど……こんなになるものなのか?」

 

 ぐ……目がかすむ…………まだ変身に慣れていないからか、すぐに眠くなる。

 仕方がない。危険だけどこのまま寝るしかない。

 

 ◇◇◇

 

 目が覚めた。プレトが足元で眠っている。繭を破り体をほぐす。前回よりは体に負担は少ないみたいだ。

 

「さて、何があったんだろう……とりあえず、ルーン文字をあたりに刻んであるのはなんでだ?」

 

 管理局って魔法を取り締まるところだっけ? よく覚えていないけど、気がつかれているんじゃ……いや、まだ魔力を通していないルーンなら魔力反応はしないか。

 

「なら、魔力を通して起動させる」

 

 それに、意味を理解していないと発動しないってマニュアルにかいてあったし。

 とりあえず、壁の一部に書かれていたところを試す。

 

「えっと、『開く』『収納』……とりあえず、通す」

 

 魔力を通すと、壁の一部が開き、中から本のようなものが飛び出す。

 慌ててとると、表紙には『マニュアル完全版』と書かれていた。

 少し読むと、どうやらあのマニュアルをちゃんと編集したものらしい。

 

「ったく、こんなの書いている暇あるなら逃げろよ……他にはなにかないか?」

 

 いくつもルーンを起動させて分かったのは、全て俺のために残していった物だったということだ。

 食糧や、丈夫な鞄。雨具や持ち運べるテント。よく分からないがドッグタグ型の何か。

 そして……オルトスを除く最強の形態、フォルテへの変身丸薬が一つ。

 

「……最後に手紙か…………『アクア・プロトへ、私達は君という生体兵器を生み出してしまった。エージェントXの協力により、君には一般常識程度の知識があるはずだから私達のことを怨んでいるかも知れない。

 私達、研究チームは全員子供を作れない体だった。その反動なのか、生命を自分達の手で作ってしまう禁忌の道に進んでしまった。

 ……こんなことを言うべきではないのかも知れない。でも、キミは私達が望んで生み出した存在だ。君の意識のない頃から、少しずつ少しずつ、大きくなっていくのを見て一喜一憂した。

 プロジェクトのためとはいえ、君には重荷を背負わせてしまったことを後悔している。だけど、君は確かに私達の子供なのだ。本当はちゃんと話したかった。一緒に暮らしたかった。

 君がクローン技術を元に生み出されたとしても、ヒトとは違う体でも、君は私達の子供だ。

 出来るのなら、自分の命に誇りを持って欲しい。私達10人の願い、その結晶が君だから。『不死者』に子供を作る力を奪われた私達、図々しいのは分かっているが、どうかそのことを覚えていて欲しい』……んなこと言われても、困るだけだっての」

 

 培養液の中から見ていたあの人たちは、バカやって、笑って、またバカやって、漫才やっているみたいにどつきあって、楽しそうだった。

 その笑顔も、俺のほうに向けられたことも沢山あった。

 きっと、『不死者』ってのを何とかしてほしいがために俺を作ったんだろう。

 子供を作る力を奪われた……結局、俺はその復讐の道具として作られたのかもしれない。

 

 

 それなのに…………

 

 

「その道具に情が湧くとか……まったく、なんとかしたくなっちまうじゃん」

 

 なんとなく生きていくつもりだったけど、やりたい事、やるべき事が見つかった。

 どうしたらいいか分からない。とりあえずは魔法を使えるようにすること。海鳴に行って原作開始した後なのか前なのかぐらいは確認するべきだろう。

 そして、『不死者』……不吉な名前だけど、調べるには越したことはない。手探りになるけど、前に進むんだ。

 




今回の用語
『ベターマン・ネブラ』
ネブラの実を使うことで変身する形態。
原作ベターマンも、一番使用頻度が高い形態。

音波や電磁波などの高周波を操る。
腕から電磁波を出し電子レンジのような攻撃方法やレーダーのかく乱。
電子機器を遠隔操作したりできるが、経験が必要な技もある。

必殺技は固有振動数にあわせた音波で対象のみを粉々にする『サイコヴォイス』
使用前に、頭部のムチのような部分で相手を叩き振動数を確認する。

高速飛行可能な形態でもある。
能力を駆使してレーダーなどから感知できなくすることも可能。
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