リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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なんか、早く出来てしまいましたので投稿。
今回も少し短め。
いよいよ原作開始ですが、はじめから言います。無印はある程度原作に沿うかも。あくまで、『かも』です。

というか最初から原作とは違う展開を歩み始めています。

前々からやっていましたが、あとがきの用語のコーナー。
この小説の独自設定を多分に含んでいますので。


既に壊れていた原作開始
リリカル・Y・スタート


「ふぅ……ジュエルシード、シリアル13封印!」

 

 森の中、ユーノ・スクライアは自分が現場指揮をつとめた遺跡から発掘したロストロギア、ジュエルシードを第97管理外世界にて封印し、回収を行っていた。

 

《マスターユーノ、あまり無茶はなさらないでください。無理やり転移魔法を連続で使用した上、適合できていない私を使っての封印魔法。少しは魔力を回復させてください》

「わかってるよ、レイジングハート。でも、僕が回収しなくちゃいけないものだから……」

《ですが、あれは襲撃者が…………》

「それでも、自分が何も出来なくて誰かが傷つくのは嫌だから」

 

 ◇◇◇

 

 時はユーノがジュエルシードを発掘するまで遡る。発掘チーム数名で封印処理をしている頃、ユーノは誰かの視線を感じていた。

 質は違うが、昔……そう、姉を殺害した男が自分をみていた時のような視線。雰囲気は違うが、人を物を見るかのような目で見る視線。

 すぐに感じなくなったが、嫌な予感がしたユーノは後日、輸送機の中に乗り込み、同行することにした。

 嫌な予感は現実のものになった。

 

 紫色の魔力光が見えたと思ったら、一瞬で強力な雷が輸送機を襲った。次元航行中の船を攻撃できる技能。Sランクに匹敵する技能を持つものの仕業……いや、それ以上の使い手かもしれない。

 ユーノは真っ先にジュエルシードのところに向かった。

 そこには、全身を青色のボディスーツで身を包んだ女性がいた。だが、見た目のインパクト以上にユーノが感じ取ったのはその視線。似ているのだ。発掘の時、自分を見ていた視線と。

 

「あなたは……発掘の時に僕をみていた人ですか?」

「ほう、あの視線に気がついたのか……だがそれは私ではなくクアットロなのだが…………」

 

 どうやら、違う人物がみていたようだが、似ている。人を見るのではなく、物……いや、目の前の人をちゃんと認識できていないような違和感。

 

「む、勘が鋭いな……まだ製造から時間が経っていないからな。さて、ロストロギア、貰っていくぞ!」

「させません!」

 

 思わず口に出ていた部分があったようだが、ジュエルシードを狙われている。そう判断したユーノは無詠唱でチェーンバインドを使い、襲撃者の腕を掴む。

 

「グッ……子供だと思って油断したか。だが、所詮は――む、わかった。時間切れのようだ。あとはあの女が自分でやるだろう」

「なんの話だ?」

「お前には関係のないことだ……ライドインパルス!」

「なッ!?」

 

 何か叫んだかと思った次の瞬間、女性は力技でバインドを引きちぎり脱出した。装甲に穴が開き、遠くに小型の次元船が見える。

 

「い、一瞬であそこまで移動したっていうのか?」

 

 ユーノは目の前の出来事に驚いていると、自分の乗っている船から爆発音が聞こえてきた。

 

「レイジングハート、なにが起こっているの?」

《どうやら、爆発物を仕掛けられていたようです。急いで脱出をしないと……》

 

 レイジングハートの言うとおりだ。だが、ジュエルシードや他の乗組員たちのことも気になる。

 

「なるべく、ギリギリまでいよう。まずは他の乗組員がどうなったか確認。そしてジュエルシードのところへ向かおう」

《ですが、》

「人命優先!」

《分かりました。私としては、貴方の身を優先して欲しいのですが……》

 

 その後、気がついたのは輸送機の中に人がいなかったことだ。既に脱出したようだが、ロストロギアを運ぶ船だ。武装局員の一人くらいいそうなものだが……

 

《マスター、記録の引き出し終わりました。再生します》

「相変わらず、仕事が早いね……よろしく、レイジングハート」

 

 レイジングハートが引き出した航行記録から分かったことは……正直、見たくはなかったものだった。

 

「まさか、はじめからハメられていたなんて……」

《どこで正規の管理局員とすり替わったのでしょう?》

 

 そう、いつの間にか管理局員ではなく、ジュエルシードを目的とした何者かとすり替わっていたのだ。機内には自分以外敵だらけだったということだ。

 自分でも無事なのが不思議なくらいだ……いや、さっきの爆発の感じからすると、爆発に巻き込んで自分ごと証拠を消すつもりだろう。

 

「とにかく、ジュエルシードを回収するよ」

 

 ◇◇◇

 

 その後見たのは、黒いローブを羽織った何者かがジュエルシードを回収しようとしていた場面であり、その何者かもジュエルシードの魔力に耐え切れずに、ジュエルシードは散らばったこと。

 ジュエルシードの反応を追い、ユーノも転移魔法を連続で使用しこの地に降り立ったというわけである。

 

「ようやく見つけて、一つ目を回収……残り20個、先が思いやられるよ」

《襲撃者の件もあります。無茶はしないでくださいね》

「分かってるよ……でも、そうは言っていられないみたいだね」

《!? 背後に膨大な魔力反応! 暴走状態のジュエルシードです!》

「少しは休ませてよコンチクショウ!!」

 

 ついつい言葉遣いが悪くなる。魔力量的に、肉体強化と封印、多く見積もっても4回の魔法使用が限界。出来れば結界を張りたいところだが……

 

「レイジングハート、結界を張るから防御魔法を前面のみに展開」

《了解しました》

 

 結界のための術式をつむぐユーノ、同時に、右手で封印のための魔法を練り始める。スライム状の暴走体がユーノに飛び掛るが、レイジングハートがそれを防ぐ。

 このユーノは1年かけて魔力量をより増やそうと特訓してきたため、いわゆる原作のユーノよりも魔力量は2倍近くある(それでも当然、なのはやクロノよりも少ない)ため、まだ魔力には多少余裕があった。もっとも、転移で大分消耗していたが。

 

「肉体強化……第一段階から第二段階、チェーンバインド!」

 

 先ほど暴走体を封印した時にかかっていた身体強化を引き上げ、左手で即座にチェーンバインドを発動。相手を絡めとり、自分の方へ引き寄せる。防御魔法で弾かれていた暴走体は反応できずに、されるがままだった。

 

「はぁぁ……シールバインド!!」

 

 右の拳に練っていた魔力を、チェーンバインドで引き寄せた暴走体にぶつける。殴ると同時に暴走体の表面を覆う文字列。細かい文字がユーノの魔力光である翠色に発光し、暴走体を封印する。

 

「ジュエルシード……シリアル、21…………ふう、いん」

 

 肩で息をし、満身創痍のユーノ。魔力も残り後わずか。体に力が入らなくなったのか、その場に倒れてしまう。

 

《マスター!?》

「大丈夫……ちょっと疲れただけだから…………」

《本当に、無茶はやめてください……貴方の体が持ちません》

「……そうだね、すこし眠るよ」

 

 目を閉じ、体を休める。まだ二つしか封印できていない。急がないと……そう思うものの、体は休眠を求めている。

 襲撃者や、ジュエルシードを狙っている人、いや複数の人物が狙っている可能性がある。今後、どうするべきか眠りに落ちながらもユーノは考えているのだった。

 

 ◇◇◇

 

~蛇足、もしくはずれた世界での主人公~

 

 高町なのはは夢を見ていた。金髪の少年と、喋る赤い宝石が黒い泥の塊みたいなスライムと戦っている夢を。

 このとき、レイジングハートがあたりに魔力を持っているものがいないか広域に、薄くだが魔力を発してソナーのように使用したため、まだ覚醒はしていないがなのはが感知し、偶然ユーノが戦っている光景を見てしまったのである。

 偶然とはいえサーチャーのような魔法を使ってしまう辺り、なのはが空間認識能力の強い適性を持っていることをうかがわせる。

 

「……んみゃぁ…………すぴー」

 

 もっとも、このずれた世界において、彼女が魔法と出会うのはもう少し後のことである。

 今はただぐっすりと眠るのみだった。

 




今回の用語
『シールバインド』

ユーノが自作した封印魔法とバインドを合わせた魔法。
射程距離が極端に短いなど、欠点も多い。
だが、少ない魔力で封印が可能な上、封印のための魔力を相手の魔力を吸収し使用するなど利点も多い。
ジュエルシードの魔力は強力なので、現在は結果的に吸収魔力より、魔法の強度を上げるのに使用する魔力の方が上回っているので燃費が悪くなってしまった。
ユーノの技量が上がればもっと使い勝手はよくなる。

ユーノは自分でも気がついていないが、膨大な魔力を持つ相手には使用の際にコツがいる。膨大な魔力を持つものを封印したことがあまりないので気がついていないのも仕方がないが。
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