リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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アクアサイドの事件の始まり。
まずは初戦ですね。

主人公の戦闘能力は……ものすごくピーキーとだけ言っておきましょう。
正直、書きにくいよ。ボス戦とかだと扱いやすいんだろうけど。

これから、用語に加えてジュエルシードの所持者リストや番号などもあとがきで書いていきます。


リリカル・A・スタート

 アクアはダッシュで逃げていた。それもそのはず、彼を巨大な虎が追いかけているのだ。

 いや、虎と言うには無理があった。背中には翼があり、体のあちこちからトゲが生えている。

 

「なんでこうなっているんだよ!?」

 

 ◇◇◇

 

 遡ること数時間前、突如膨大な魔力を関知したアクアだったが、ジュエルシードはみつからず、一応協力関係になったリンネは、数日前にローウェルに引きずられて何処かへいってしまったために一人での捜索だった。

 どうも、前々から約束していた事がありしばらくは海外にいかないといけないらしい。

 悪いことしたかなと思いつつ、結局一人でジュエルシードを探すことになったアクア。

 覚えているところだと、神社のあたりだっただろうかと、向かってみると……なんか、どこかで見たことのある銀髪がいた。

 

「ふっふっふ、これで我はオリ主への階段を……」

 

 いけない、死亡フラグを建てているよあの子。そう思って、目の前で見捨てるのも嫌だしなー、そんなことを呟きながらもアクアは山本君をとりあえず止めようとするが、天は彼に一体どんな試練を与えようとしたのだろうか……

 

「ニャァー!」

 

 突如飛び出してきた灰色のトラ猫。さあ、おわかりだろう。

 

「あ、こら飛びつくな……ジュエルシードを咥えるなぁぁぁ!?」

 

 まあ、見た限りロクに戦闘能力もないような奴なのでとりあえず助けようと、プレトを装着する。いきなりポンドゥス辺りを使うのもいいのだが、使用後の回復にどうしても時間が必要になるので、出来る限り温存したいという考えだった。

 

 見る見るうちに姿が変わる猫。四肢は伸び、翼が生え……体のあちこちからトゲが飛び出してくる。

 凶暴なうなり声を上げ、山本君を見下ろしている。

 腰を抜かしたのか、動けなくなってしまう山本君。その体に、ジュエルシードにより発生したシードモンスターの爪が襲いかかろうとしていた次の瞬間、左手を突き出したアクアが飛び込んだ。

 

「グガァアアァ!!」

「グッ……プロテクトシェードでも防ぐのがやっとかよ」

 

 反射能力を持った防御技、『プロテクトシェード』を持ってしてもあいての攻撃を抑えるのがやっとだった。恐ろしきはジュエルシードの出力ということか。

 

「そこの銀髪! 早く逃げろ」

「ひ、ひ……」

「チッ……オイコラ化け猫、カツオ節やるからついてきな!」

 

 非常食にと持ち歩いていたカツオ節を取り出し、シードモンスターの前で左右に振る。シードモンスターの目がカツオ節に釘付けになり、よし、とちいさく呟く。

 脚力に身体強化を集中し、一気に森のほうへ駆けていく。シードモンスターは匂いに釣られて追いかけていく。その目にはすでに目の前の獲物である山本君は映っていなかった。

 

 ◇◇◇

 

 で、その後数時間……攻撃は通らず、防御も限界ギリギリ。というか封印魔法を使えないのではないかと今頃気がつくなど、かなりうっかりしていた。

 

「ブロウクンッ……マグナーム!!」

 

 右手に装着した甲殻を回転させ、威力を高めた後、標的に向けて発射するロケットパンチの一種、『ブロウクンマグナム』

 シードモンスターにも多少はダメージを与えられているようだが、まだまだ相手は元気な様子だ。

 

「対抗できそうなのっていうと……ネブラで破壊するか、新マニュアルにあった実をためすか……」

 

 実とは、アクアが変身に使う薬を便宜上そう言っているものである。ただ、負担は少ない方ではあるが、魔力の消耗が激しいので滅多なことでは使いたくないのだ。

 だがネブラもジュエルシードを破壊して変な影響が出たら困る。それに、動けなくなるのは今後のことを考えると痛い。

 

「しかたがない……『ラティオ』でいくぞ!」

 

 ラティオ。ガオガイガーに出ていたあるキャラの名前で、作品においては重要なキーワードの一つ。何故、自分の変身する姿にそんな名前がついているかというと……アクアとしては、どうせ『エージェントX』辺りがつけたんだろうと推測している。というか、発動する能力の元ネタが明らかに『ラティオ』の能力だったからである。

 

「ぱくっ……グオ!?」

 

 新マニュアルにはプレトと合体していても発動可能な実がいくつか追加されており、これはその一つ。

 魔力光が黒に近い紫から緑色へと変わる。背中からは光り輝く翼がいくつも飛び出た。

 

「まずは、相手の動きを止める!」

 

 シードモンスターに飛び掛り、蹴りを入れる。右足を上方向から相手の頭を狙い下ろす。

 

『ガァ!?』

「まだまだ! ドリルニー!」

 

 次に、下げていた左足の膝に魔力刃を展開。高速回転させることでドリルを作り出し、シードモンスターの顎めがけて突き上げる。

 たまらず、シードモンスターは後ろへ吹き飛んででしまった。

 

「いまだ! ヘル・アンド・ヘヴン!」

 

 ガオガイガーの必殺技、『ヘル・アンド・ヘヴン』

 理論は攻撃エネルギーと防御エネルギーを反発させ、それにより得た莫大なエネルギーで相手に突撃するというものである。当然、負担はでかい。だが、それを差し引いてもこの技を再現するだけの利点があるのだ。

 アクアは両手を呪文と共に組み始める。

 

『ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ』

 

 技の完成のための呪文が同じな辺り、この技に到達することを『エージェントX』が見越していて、彼の手のひらで踊らされている気もするが、今はそんなことを考えている場合じゃない。

 集中が途切れてしまえば、反発させているエネルギーのコントロールを失い自爆する可能性もあるのだ。

 アクアは組んだ両手をシードモンスターにむけ、エネルギーの一部を放射する。

 

『グォオオ?!』

 

 エネルギーフィールドに囚われ、シードモンスターは動けなくなる。

 

「ハァアアアアアア!!!」

 

 背中から一部のエネルギーを解放し、突撃する。同時に、感知力を全開。ジュエルシードと取り付かれた猫を確認。

 両手をシードモンスターに突き入れ、腹の中から猫とジュエルシードを取り出す。

 既に、核となっていたモノと分離してしまった虎は、轟音と共に爆発するだけだった。

 

「ぐ、がああああ!?」

 

 しまった……爆発のこと考えていなかった…………

 『ヘル・アンド・ヘヴン』のエネルギーも一部爆発することを頭の隅に追いやった自分のミスと、頭を抱えたい気分だったが、まずはやることがある。

 

「……クーラティオー・セネリタース・セクティオー・サルース・コクトゥーラ…………」

 

 複雑な魔法はラテン語詠唱だとある程度効果があることが判明し、同じくガオガイガーに出ていた浄解という力、詠唱がラテン語だったのでもしかしたらと前に試したことがあり、ラティオの姿だと効果が跳ね上がることも判明。

 つくづく誰かの手のひらで踊らされている気がするが、それについては放っておくことにしよう。そう思い、ジュエルシードの様子を確認する。

 今の呪文は本来、治療や浄化といった意味があるのだが、暴走状態だったジュエルシードの正常化にも効果があったようだ。

 

「……ふぅ、ナンバーは……16か」

「にゃーご?」

「まったく、だめだよ危ないことしちゃ。ほら、帰りな」

 

 猫を帰すと、一気に疲れが体に出たのかアクアはドテッと座り込んでしまった。

 

「一回だけでこんなに疲れるなんて……あークソッ」

 

 先は長い。というか思いやられる。というか主人公である高町なのはが覚醒した様子がない。ということは、どういうことだ?

 

「もしかして……なんかおかしなことになっている?」

 

 決め付けるには早いのだろうが……嫌な予感がする。

 アクアは空を見上げながらそう思うのだった。

 

「…………う、動けない」

 

 いまいちしまらないが。

 

 

~おまけ、もしくは彼女の今頃~

 

 母から言われた言葉。「ジュエルシードを集めてきなさい」

 私にはそれしかないから。

 

「フェイト~あの鬼婆の言うことばかり聞くんじゃなくてさ、たまには自分からも何か言ったほうがいいんじゃないかい?」

「アルフ、でも……ジュエルシードを集めてくればまた、昔の母さんに戻ってくれるよ」

「そうは思えないんだけどねぇ……」

 

 目の前で光が奔る。ジュエルシードが発動した。どうやら、スライム状の下級モンスターのようだ。あたりの悪意か、残留思念あたりを吸収したのだろうか?

 

「どっちにしても、やることは変わらない。いくよバルディッシュ」

 

 電撃を纏った閃光が翔ける。少女は瞬く間にジュエルシードを封印した。

 

「シリアル17、封印完了……近くにはもうないみたいだね」

「出来れば昼間に来たかったねぇ……少しぐらい泳いでも」

「だめだよアルフ。早く帰ろう」

 

 ここはプール、本来であれば高町なのはが封印するはずのジュエルシードがあった場所。

 ずれた世界においてはフェイトとその使い魔、アルフが封印した。

 

 

 

 そして、そんな彼女らを見ているものがいた。

 

「くっくっく、いよいよ前作の始まりか……楽しみだな」

 

 その顔は現在時空管理局に指名手配された男、数年前、ユーノを殺そうとした男だった。

 

「ベストなタイミングでオレが出て行けば……まずは様子を見て…………」

 

 悪意あるものは確実にすぐそこにいる。もっとも、彼も知らないのだろう。数年前の自分の行動が、自分にどのような形でかえってくるかなど。

 




今回の用語
『ヘル・アンド・ヘヴン』
右手の攻撃エネルギーと左手の防御エネルギーを反発させ、増大したエネルギーを利用する技。
ガオガイガーの必殺技だが、アクアはそれを魔法で再現。

右手に刻んだ攻撃用ルーンと左手の防御用ルーンに魔力を通し、起動。
それを合わせると共に呪文を唱え制御。
エネルギーの一部を放出し、相手を捕らえ、再び一部を解放して推進エネルギーにする。
そして、組んだ両手を相手に突き入れ、核となる物体などを取り出す。

使用後は無防備なのでリスクもでかいが、今回の話のようにジュエルシードと取り付かれた生物をそのまま取り出すことも可能。

かなりハイリスク、ハイリターンな技。

○○○
現在のジュエルシード所持数

アクア
一つ(16番)

ユーノ
二つ(13番、21番)

フェイト
一つ(17番)

残り17個、所在不明
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