アイドルのかけら解   作:オヤシロノツカイ

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SS初心者のオヤシロノツカイです。いきなりプロローグから長文ですのでご注意してください



奇跡の魔女

 プロローグ

 

 元の世界に戻って来てから早一週間以上が経過しようとしていた。

 この世界の高木と黒井が撮影を終え雛見沢を去ってからというものの、梨花はあの世界の事をよく思い出すようになっていた。

 

「あの世界では本当に楽しかったわね」

 

 とぽつりと独り言を呟くと、何処からともなく羽入が現れこう返す。

 

「梨花はあの世界にまた行きたいのですか?」

 

 という問いに対し梨花は、

 

「あの時確かにあの世界に別れを告げたけど、未練が無かった訳ではないのよ」

「なら、あの時残ることを選べばよかったのでは?」

「そうもいかないのよ、こちらの世界の事も気になっていたし。なりよりも『私』はこちらの世界の古手梨花だからよ」

 

 そう返した梨花は、立ちあがると玄関のほうへ歩いて行く。

 

「少し散歩して来るわ」

 

 と羽入に告げるとサンダルを履き、村の方に歩いて行った。

 村の方はいつもと変わらずのどかで、セミが木々に留まって鳴いており。梨花はその鳴き声を聞きながら村の中を歩いていきやがて、店などがある場所に差し掛かると何処からか声を掛けられる。

 

「あれ、梨花ちゃんどうしたの?」

 

 声の方を向くとそこにはレナと魅音がいた。

 

「梨花ちゃん、丁度捜してたんだよ」

「みぃ、ボクに御用ですか?」

「そうだよ、今夜部活メンバーで天体観測をしようと、メンバーの皆を捜していたんだ」

 

 そう言い魅音は肩に担いでいた天体望遠鏡を軽く揺らすとこう告げた。

 

「場所は村の展望台だけど、梨花ちゃんは今夜大丈夫?」

「大丈夫なのです」

「よかった、それじゃ沙都子にも今夜来れないか伝えといて」

 

 魅音は梨花に伝言を頼むとレナと共に展望台の方向に歩いて行った。

 

「天体観測か、そういえば貴音も観測が趣味だと言っていたわね」

 

 空を見ながら梨花は独り言を言った後家に戻り。買い物から帰った沙都子に部活の事を話し、その夜展望台で観測が始まった。

 

「凄いな、こんなに綺麗なんだな」

「ちょっと私にも見せて下さいまし」

「圭一くん、沙都子ちゃん喧嘩しないで」

 

 と部活メンバー同士で会話をしたりレナがつくってきたクッキーを食べたりして部活の時間は過ぎていき、観測が終わった後みんなで帰路を歩いている時、何処からか声みたいなのが聞こえてきた。

 

(・・・花、・・・梨花)

「みぃ?今誰か呼びませんでしたか」

「ん?いや誰も呼んで無いはずだぞ」

 

 そう圭一に言われ空耳かと思った時、

 

(古手梨花、祠に来なさい・・・貴女がかつていた『世界』でまた災厄が起ころうとしているわよ)

 

 今度は空耳では無かった。突如誰なのか判らず梨花は困惑する。

 

「誰なのです、ボクに話しかけているのは!?」

 

 と声を上げると。

 

「梨花ちゃん、突然どうしたの!?」

 

 突然声を上げた事に部活メンバーは驚いているのを見て梨花は他のメンバーには聞こえていないことを直感的に感じ取った。

 

(私が誰なのかは時期にわかるわ、それより今私が言った事を信じられるなら。早く祠の前に来なさい)

 

 無茶苦茶だった、いきなり頭の中に誰かが話しかけてきたかと思うと、突如祠に来いと常識的に考えれば幻聴と思うが、梨花にはその言葉を聞いた瞬間一抹の不安を感じとった。

 春香や美希、皆がいる世界でまた何かが起ころうとしているのではないかと考え始めた梨花の足は徐々に速くなりそして梨花は一目散に走り出した。

 

「梨花ちゃん!」

 

 突然走り出した梨花にまた驚いたメンバーは後を追った。

 祠の場所なんていきなり言われれば何処だか判らないがとにかく走っていると梨花の頭に祠とそこに続くと思われる道の光景が突如頭の中にはっきりと浮かんできた。

 

「この場所は?」

 

 と言いながら梨花は祠までの道程を頭の中に浮かんだ光景を頼りに走っていきその後、山道に入り手製の階段を登っていくと古ぼけた祠に辿り着いた。

 その直後、梨花の後を追って走ってきた部活メンバーも何とか祠の前に着き、沙都子は息を切らしながら聞く。

 

「梨花、急に走り出して・・・どうしたの、ですの?」

 

 梨花は沙都子の問いに答えず、息を整えつつ辺りを視まわして祠を調べ始め、祠を前後左右に視たり中に手を入れたりしたが、何も見つからず。気を落としながら後ろで息を整えている仲間に走り出した理由を話そうと戻ろうとしたその時、祠が輝きだした。

 

「な、なんだ!?」

 

 部活メンバーは突然起きたことに驚いていると、次の瞬間梨花の体が祠の方へ引っ張られ始めた。

 

「みぃ!?」

「梨花ちゃん!?」

 

 驚いた圭一達は梨花の腕や体を摑まえ引き戻そうとしたが、梨花を曳き込もうとする力はどんどん強くなっていき、圭一達が踏ん張っていると祠が目も開けていられない位輝きだし次の瞬間声を上げる間もなくその場に居た全員が祠の前から消えていた。

 

 ???

 

 

 

 梨花は白い色の世界に立っていた。どれだけと言えばその空間には白以外の色が最初から存在しないのでは無いのかと思える位真っ白な場所だった。

 

「・・・ここは雛見沢に戻るときに一瞬見えた世界?」

 

 そう言うと梨花は圭一達もさっき祠に一緒に吸い込まれた事を思い出し、速足で歩きながら圭一達の名前を呼んだ。

 

「圭一、レナ、沙都子、魅音!!何処ですか!」

 

 その最中突如、誰かが声をかけてきた。

 

「やっと来たわね、古手梨花」

 

 その声に梨花は誰か居るのかと見回したその瞬間、目を疑った。

 さっきまでいた白い世界は黒や紫、赤色などがぐちゃぐちゃに混ざった禍々しい世界に変わっていた。

 

「なに?この世界は」

 

 状況が理解できずにいると背後から誰かが話しかけてきた。

 

「久しぶりね、いえこの場合は初めましてかしら」

 

 反射的に振り返るとそこには、自分と顔や背丈が同じ、違うのは目に光がなく深い青を模したドレスを着ている人が立っていた。

 

「だれなの?」

 

 と梨花は平然を装いながら目の前の人物に聞く。

 

「私の名は奇跡の魔女、ベルンカステル」

 

 ベルンカステルと名乗った女性は梨花の顔を見ながらそう答えた。

 

「あなたが私に話しかけてきた声の正体なの?」

「ええそうよ」

「なぜ、私をここに?」

「貴女をここに呼んだ理由は今説明するから、先ずこれを見なさい」

 

 そう言いベルンカステルは指を鳴らすと、突如頭が割れるような激しい頭痛が起きる。

 

「ぐぅ!!」

 

 あまりの痛みに思わず倒れこんでしまったのと同時に頭の中に何かの映像が流れ込んできた。

 

「こ、これは」

 

 その映像は一目見た瞬間信じられないような光景だった

 なぜならそこには頭から血を流して死んでいる真が映っていた。

 それだけでは無く、テレビのチャンネルを変えるように違う映像に切り替わったかと思うと今度は、首に紐状の痣が出来た雪歩が目を見開いたまま、うつ伏せに死んでいる光景だった。

 

「何なのこれは?」

 

 映像はあと四度場面が変わり、一度目は雨が降っている山道の崖下に大破した車が煙を吐いており中には一見すると生死は解らないが手足があらぬ方向に曲がっていたり頭や体から血を流してぐったりしている竜宮小町のメンバーの光景。

 そして次の映像は梨花の精神にまるでナイフを突き立てられたかのような衝撃を与えた。映像の内容は先ず圭一が胸に鋭利な刃物を衝き立てられ仰向けに絶命していて、次にレナは高所から転落し体から血が出血した姿、髪を下していて魅音か詩音か判らなかったが大量の水が入った貯水タンクの中で溺死している姿などの映像が、連続してフラッシュバックで梨花の頭の中に再生される。

 

「やめて!!」

 

 梨花は無我夢中でベルンカステルに言う。

 その言葉を聞いたのか聞かなかったのかまた指を鳴らすと、同時に頭痛が納まった。

 

「何なの、今のは?」

「今のは貴女がこれから行く世界で、この先起こる『可能性』よ」

「可能性?」

「そう、今見たのは貴女が雛見沢に戻った後の世界。貴女の仲間に悲劇が『起きた』世界のカケラよ」

 

 梨花は言葉を失った。降りかかって来た悲劇をすべて回避しもう一人の『私』に運命は変えられると証明した世界で前よりも酷い惨劇が起こると動揺していると、

 

「古手梨花、一つ質問するは。この悲劇が起きる可能性があるとして、起きようとした時貴女は回避する事が出来る?」

 

 梨花は突如そう訊かれ一瞬戸惑いながらも平静を取り戻し、こう返した。

 

「さっきの光景はあくまで『可能性』の域なのよね、もしかしたら起こらないかもしれない出来事と言う事なのね」

 

 そういうとまた少し考え、ベルンカステルに聞いた聴く。

 

「このまままっすぐ進んで行くとあの世界にもう一度行くことはできるの?」

「ええ、貴女が望めば今回は特別に送ってあげるわ。でも私が力を貸すのは今回が最初で最後よ」

「どういう意味なの?」

「今回私がこうやって貴女に、このことを知らせて連れてきたのは、あのカケラが私のお気に入りのカケラの一つである事とあの世界の物語は私の『退屈』を殺せる数少ない話だからよ」

 

 ベルンカステルはそう冷め切った口調で答えた。

 

「話が長くなったわね、そろそろ貴女を送るとするわ。それと貴女と一緒に吸い込まれた仲間の精神は、先に向こうのもう一人の自分達の深層心理に送っておいたわ。後貴女の傍に常にいる子の能力はこれから始まる物語では使えないように私が預からせてもらうわ」

 

 その言葉聞いた時梨花は、羽入の姿が見えないことに今しがたになって気付いた。てっきり姿が見えないようにしているのかと思い気にかけなかったが、この状況になっても出てこない羽入にまさかと思い聴く。

 

「羽入は?、羽入をどこにやったの!?」

「そう騒がなくても、あの子も一足先に向こうへ送ったわ。最後に能力を預かる理由はあの力を何度も使われたら物語がつまらなくなるからよ」

 

 そう説明し終わると同時に梨花の体が再び見えない何かに強く引っ張られ始める。

 

「では、行きなさい物語の世界へ。私の気が向いたらまた会いましょう」

 

 ベルンカステルが言い終わるか否か梨花の意識はどんどん遠くなっていきそして失った。

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