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窓から見える景色は、次第に海から平原へと姿を変え、飛空艇もゆっくりと降下していった。
『お忘れ物の内容にお気を付けください。』とアナウンスが流れ、各々が荷物を持ち、
飛空艇から出て行く中で、私はは待ちぼうけを喰らうはめになっていた。
「ごめんタイリ!」
やっと来たかと思いきや、両手一杯に持っていたのは飴だった。
「何してんの?」
この状況。この狭苦しい機内から開放されると思いきや、
アナウンスが流れると同時に駆け出したコウヤ。
そして帰ってくると両手一杯の飴。
「いやぁ、飛空艇には何回か乗ってるんだけど、ここの飴美味しいんだよねぇ~。あ、
タイリにも分けてあげるよ。ほら。」
「要らん!!」
等のやり取りを終えた私達は、気が付けば機内から降りる最後の乗客だった。
客室乗務員さん達の迷惑にならない様、
必死に雨をバッグに閉まっているコウヤを引きずりながら、機内を後にした。
去り際に時計を確認すると、一時に出たはずが、七時になっていた。
機内から出ると、そこはアルトマーレとは打って変わり、一面に広がる平原と、
生い茂る木々に満たされた、穏やかな景色があった。
アルトマーレも十二分に美しい町並みなのだが、自然のありのままが残っている、
美しいと思える景色だった。ただ…
「さむい!!」
「いや、だって半袖半ズボンじゃん。自分の誕生日憶えてる?12月24。真冬だよ。」
「ゴメン、正直侮ってた。」
これは、早急に冬用の服を買わなければ…
「どう?初めて来るマサラタウンは、良い所でしょ?」
「うん、私が思ってたよりずっと田舎だね。私マサラタウンって大都会だと思ってた。
それと寒い。」
いや、都会だと「シティ」になるのか。
まぁどうでもいいっか。
「都会ならマサラシティになるんじゃない?」
「今まさに自己解決した所なんだけど。それと寒い。」
「ん?何が?」
そんな事言われたって分かる訳無いか。
それより私は早くPocketphoneが欲しい。というか建物の中に入りたい。
「早くオーキド博士の所行かない?それから寒い。」
「そうだね。」
上手く乗せられた。
後はPocketphneとポケモンを貰って適当にその辺ほっつき歩いていればいい。
私の「寒い」に関しては全スルーですかい。そうかそうかお前はそういう奴なんだな。
「うわデカ…。」
周りの町並みと違いすぎる。異質すぎるだろ、コレ。
「ここが、オーキド研究所。最近改装と拡張工事したんだよ。」
「すごく…大きいです…。」
ここまで来ると内装も凝ってるんだろうなぁ。
期待が高まる。
がしかし次の瞬間その思いはブロークンハートした。
「ナニコレ。」
とかいう珍○景にも登録出来そうだ。
優美な外観に比べ、内装は、壁が配線等で隠れ、
天井からは無数のモニターがぶら下がっている。
何やらよく分からない機械からデータが算出されているようだ。
「おぉ!コウヤ君、それにタイリ君。」
物でごった返している研究所の奥の機械の後ろから、オーキド博士が顔を覗かせた。
「だから私女ですって。大体察しがついてますが、
今日はもう帰ったほうがいい、ですよね?」
だってもう夜だし。こんな時間に来られてもいい迷惑だ。
コウヤが無理にでも誘わなければ、ココニハコナカッタ。
「おお!勘が鋭いのぉ!今日はもう夜遅い。
今日は儂の研究所にでも泊まって行けばいいじゃろう。」
確かに、Pocketphoneを貰うには、丁度いいし、ポケモンの観察も出来て一石二鳥だろう。
だが、
「あ、僕のお母さんが家に泊めたいって!」
そうなると思ってた。久しぶりに会う息子の幼馴染だし、そうなるのが自然だろう。
「確かに、久しぶりなので、今日は、コウヤのお母さんに甘えさせてもらいます。」
そうなってくると、手厚い歓迎を受けるのだろう。
気が休まる時間が無いな。
予想を裏切らずにドアを開けた瞬間クラッカーとちり紙を浴びせられ、
あれよあれよと部屋の中に引きずり込まれ、気がついたら席に座っていた。
「久しぶりね!タイリちゃん!元気だった?」
「お母さん達は、元気にしてるかい?」
「アルトマーレの生活はどう?」
「勉強の方は?」
…怒涛の質問攻め。
何から返せばいいんだろう。
そうなる気持ちも分かるんだけど、さすがにこれは…
泣きたくなる。相手の良心だから怒れないし、
「だ、誰か助けてぇ…。」
そんな声は、コウヤ家の喧騒にかき消されていた。