スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION   作:拳を極めし者

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今回はベガの原点の話です。
原作とは全く違う完全なオリジナル設定なので悪しからず…。


第四話「集結 -思惑と暗躍-」C

【エネミーside】

 彼は何処にでもいる人間だった。裕福とは言えないながらも極端に不自由する事も無い家庭に生まれ、同年代の中では若干老け顔で体格に恵まれていたという事以外に目立った特徴も無かった。

しかし彼は他の人間と違っていた部分があった。

 

「世界制服」という野望。子供なら一度は考えたであろう文字通りの子供染みた野望。大人がこんな野望を口に出せば本気であろうがなかろうが誰もが一笑に付す馬鹿げたものだ。

 だが彼は本気だった。幼い頃からその為のありとあらゆる準備を進めてきた。

 

 だがある日彼は気付く。

 

「足りない」

 

 身体を極限まで鍛えても師事して技を磨いても巨万の富を築いても手足となる組織を作ってもまだ足りない。

 

「『力』…。全てを平伏させ支配する…圧倒的・絶対的な力!!」

 

 世界制服を成す為には筋力でも財力でも権力でもない…「人智を超えた力」が必要だと気付いた彼はその力を探し求めた。

 

 力を求めてから数十年後、顔には深い皺が刻まれ筋肉は空気の抜けた風船のように萎んだ。老齢である。

 座して死を待つのみとなった彼は絶望する。

 

「このままでは野望が潰える。何者にも成れずに終わってしまう」

 

 それでも彼は諦め切れなかった。だから彼は祈った。

 

「何を引き換えにしてもいい…力を…力を!!」

 

 魂の慟哭に何処からとも無く聞こえてくる謎の声が応えた。

 

『求める者よ。野望の為に人の身を…人としての生を捨てる覚悟はあるか?』

 

 脳が都合良く創り出した幻聴か?見兼ねた誰かの芝居か?いや…そんな事はどうでもいい。どの道彼は間も無くこの世を去るのだから。

 

 死を目前にした彼に迷いは無く、一も二も無く答えは決まっていた。

 

「このまま何も成せず…何者にも成れず…朽ち果てるのを待つのが人としての我が運命ならば!人の生など要らぬ!!」

『ならば受け取れ、比類無き野望の男よ。その野望がこの「力」と重なり合った時、そなたに無尽にして絶対なる「力」を宿らせるであろう』

 

 その瞬間、人間としての彼の生は終わりを告げた。

 

「『力』だ…。『力』が漲る!」

 

『魔人』の誕生である。

 

「我が名は『ベガ』!人より生まれし地獄の魔人!この『サイコパワー』にて我が覇道を突き進み、我が野望を成就せん!!」

 

 

 

[四月某日 とある別世界 秘密基地]

「……夢か。久しいな」

 

 ベガは玉座にて夢を見ていた。それはかつて自分が人間であった頃の記憶。忌まわしい過去だ。

 

「(人の生を捨ててから今まで見る事の無かった夢…。それも思い出すのも忌々しい人間だった頃の記憶だが…『時』は近いという事か?)」

 

 ベガがしばし物思いに耽っていると、部下がコールを入れてきた。

 

「御寛ぎのところを失礼致します、ベガ様。『ドクター』からの通信です」

「繋げろ」

 

 モニターには紫色の長髪で白衣姿の若い男が映し出された。

 

「お久しぶりですねぇ総帥殿。この度は…」

「挨拶はいい。要件を言え」

「おおっと、これは失礼。『例の計画』の進行状況の確認をと思いましてね。こちらの準備は整いました。そちらはいかがですか?」

「白々しい奴め…。サンプルデータがあれば直ぐにでも完成するわ。そのデータを収集する役目を買って出たのは貴様であろう。その件はどうなっている?」

「これは失礼!うっかりしていました!」

「ふざけおって…。早く答えろ!」

 

「ええ、勿論抜かりはありませんよ。総帥殿のお陰で準備は完璧です。『彼』の協力がありますから時間はかかりませんよ。それに彼は格闘家に大変興味を持っていらっしゃるので実に煽りやすかったですからね。その彼から近々『格闘大会』が開催されるとの連絡がありました」

「……ほう、他の世界でも行われる事があるとは初耳だ」

「私も時空管理局の戦技披露会以外でこのような催しは記憶にありませんが…格闘家はミッドチルダ中の注目の的ですから多数の格闘家を抱える『機動六課』は自然と注目されます。恐らくは彼の思惑と機動六課の思惑が偶然にも重なった、といった所でしょう。嬉しい誤算ですよ。これは面白いデータが取れそうですね」

「格闘家と魔導師の闘い…今度はじっくりと楽しめそうだな。よし、試合の様子をリアルタイムで送れ」

「総帥殿の御力とシャドルーの技術提供のお陰でこちらの研究も『娘達』の調整も捗りましたからね。その程度はお安いご用です。…ところで総帥殿、近々御一緒に食事でも如何でしょうか?」

「断る。馴れ合いに興味は無い」

「フフフ…連れない御方だ。ではこれにて失礼致します、総帥殿」

 

「待て、ドクター」

「…まだ何か御用ですか?」

「くれぐれもこのベガを裏切ってくれるなよ?」

「信用無いですねぇ。総帥殿の信用を得る為にこちらの技術や情報を提供したというのに。私は裏切ったりしませんよ。(そう、『裏切る』なんて事は有り得ない。何故なら私は……)」

「…もういい、通信終了だ」

「では御機嫌よう、総帥殿」

 

 通信を終了してからベガが呟く。

 

「ドクター『ジェイル・スカリエッティ』…。フン、腹に一物抱えているのは間違いないが…相変わらず考えの読めぬ男よ。だが今はあの男の頭脳と力が必要だ。時が来るまでせいぜいこのベガの手足として働くが良いわ」

 

 

 

 敵は動き出した。敵は水面下で静かに、そして着実に計画を進めている。

 ベガは野望成就の為の全ての駒が整いつつある事を直感していた。

 

 ここよりある者にとっては長く、ある者にとっては短い一年間の闘いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

【エネミーside…END】

 

 第四話「集結 -思惑と暗躍-」…END

 

 

 

【次回予告】

リュウ「消してしまった若い命…。二度と取り戻せない尊い未来…。

 彼は闘う。悪と…そして自分と。『守る為の拳』を『守るべき者達』へ向けながら…」

 

なのは「『戦場』・『正義』・『覚悟』…。小さな一歩を歩み始めたばかりの少女達に突き付けられる現実…。互いに譲れない信念が招く辛い戦いと共に…。

 だけど思いは必ず伝わる。その思いが本物なら…」

 

 次回 スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION

 

第五話「正義 -贖罪と信念-」

 

TAKE OFF.




今更ですが、ナッシュがちょっと嫌味なキャラになってしまいましたかね?でも好きなキャラなので頑張って株を上げたいところです。

ちなみにベガの見た目はZEROシリーズのマッチョタイプをイメージしてます。
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