スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION   作:拳を極めし者

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お次も出会いからですが、今度はリュウの視点です。
今回出て来る敵キャラですが、特徴だけで分かる人いるかなー?


第一話「邂逅 -格闘家と少女-」B

【リュウside】

[新暦71年4月29日 ミッドチルダ臨海第8空港]

 

「(…ここは…何処だ…。何故俺は…こんな場所に…)」

 

 目を覚ますと俺は炎に包まれた屋内に倒れていた。

 状況を把握すべくぼんやりとした意識の中で記憶を辿る。

 

 

 

[地球 シークレットポイント48106 リュウが目を覚ます十数分前]

「まさか貴様と再びこの地で合間見えようとはな。 『シャドルー』復活の狼煙を上げるにこれ程相応しい場所も相手も無い!貴様の這いつくばる姿を祝杯としようではないか!…とは言ったもののもうキサマには聞こえていないのが残念だ。

 …『三つ』のうち二つは揃った…が、残り一つ…。こればかりは我が力でも容易には手に入らん。こうなれば不本意ではあるが『ドクター』と手を組むしか無い…。

 そしてリュウよ。お前の『(はこ)』は『この世界』で開くのは無理なようだ。恐らく『この世界』が『匣』を封じているのだろう。ならば舞台を変えるまでよ。『三つ』のうちの一つであるこの『サイコドライブ』は我が力を注ぎ込めば次元の壁を越える事が可能だ。

 更には幸いにも『匣』は何度か開きかけた事で以前より開きやすくなっている。そして『あちらの世界』での下準備は既に終わっている。残された時間は多くはないが…これならば確実!

 行ってくるがいいリュウよ!そして『匣』を開けろ!開けてこのベガの器として相応しくなれィ!『匣』を開ける『鍵』となる者もそちらに現れる!貴様の『匣』の底に眠るものは貴様にとっての絶望でありこのベガにとっての希望よ!ムハハハハ!!」

 

 

 

[新暦71年4月29日 ミッドチルダ臨海第8空港]

 そうだ…俺はベガに敗れた。そしてベガの力によって別の場所に飛ばされたのだろう。

立ち上がりながら辺りを見回ると突如違和感を感じたので、心を鎮め肌で違和感の正体を探ってみた。

 

「空気が違うな。そうか…ここは『別の世界』か。これで二度目だな」

 

 以前に出会った…「魔導師」と言ったか、その子供達に聞いた話だ。

 

『あなたのいる世界とは違う世界がこの世には沢山ある』

 

 何とも信じ難い話だと思ったが、幼い少女なのに格闘家と同等の…いや、一部の能力に於いては格闘家を超える力を持つという信じ難い存在が目の前にいる以上否定は出来ない。そしてその話は実際に別の世界に来た事で確信に変わった。

 一度目は「ある事件」を切っ掛けにその子供達の所属する「時空管理局」という組織に短期間所属する事になった時だ。今回はそれ以来二度目となる。

 

 次に浮かんだのはベガの行動の謎。

 

「ベガ…何を企んでいる…」

 

 ベガは俺の肉体を乗っ取ろうとしている。その為には俺の中に眠る『ある力』を目覚めさせる必要があるらしい。ならば何故異世界に送って自分から遠ざけるような事を?…いや、今はそんな事を考える時間は無い。

 

「(右も左も分からないんじゃ脱出どころじゃないな。先ずは人を探すか)」

 

 肌に吹き付ける熱風を物ともせず精神を集中して人の気配を探る。

 

「…いた。近い!」

 

 気配のある方向に向かって全速力で走った。階段を駆け下りた場所で一旦止まり、辺りを見回すと視線の先に少女の姿。再び駆け出そうとしたその瞬間、突然何者かが目の前に現れた。

 

「問題発生…」

 

 ガスマスクを付け、軍用のチョッキを着ている短い金髪の怪しげな男だ。大きく目を見開いて爬虫類のように凝視してくるその様は、とてもまともな精神状態には見えない。

 

「(気配を全く感じなかった…。隠形(おんぎょう)の技か!)」

 

「無力化、開始…」

 

 男はそう呟くと両腕を大きく振って腕に忍ばせていた長い刃を突出させ、間髪入れずにその刃を振るってきた。

 

「むっ!」

 

 だが初撃は難なく躱す。

 

「(いきなり襲ってくるとは…何者だ?まさかシャドルーの手下か?…だとすると何故この世界にシャドルーが…)」

 

 男は初撃で懐に飛び込んで来た為そのまま接近戦へ。余計な事を考えている暇は無い。

 

「(斬撃自体は速くない!)」

 

 しかし油断は出来ない。何故ならば戦闘中でも男の気配は消えたままだからだ。

 

「(…だが信じられん。気配を消しながら闘えるとは…。こいつ…隠形に関しては達人の域に達している!)」

 

 その攻撃は相手の動きを予測出来ていない上にあまりにも正確過ぎる為、少し軸をずらせば比較的簡単に躱せる…が、隠形のせいで気配が掴めないので攻撃の出処を見失うと全く反応出来なくなる。

 そしてそれら能力は、この男の生業を如実に表していた。

 

「(…暗殺者か!)」

 

 初撃は距離があったので簡単に躱せたが、予備動作の際に生じる僅かな気配を察知して後の先を取る「見切り」を重視していた俺には、気配の無い近距離の攻撃が本来の速さより数段速く感じていた。距離を取りつつ常に男の全身を視界に捉えなければならない。

 だが炎に囲まれているため動ける範囲が狭いので大きく距離を離せず、波動拳での牽制も出来ない。何よりも動き回り過ぎて少女を巻き込む訳にはいかない。

 しかし距離を離せないのは相手も同じようで、刃以外に何か隠し持っているように感じるがそれを使ってくる様子は無い。

 

 

 

「(よし!次の攻撃に合わせる!)」

 

 反撃の糸口が掴めず防戦一方だったが、しばらく反撃を捨てて回避に徹していると目が慣れてきた。

 

「せいやっ!」

 

動きを読んだ俺は、踏み込んできた男に渾身の上段足刀蹴りを繰り出した。

 

 

 

「!?」

 

 油断。

「読み切ったのは自分だけ」と思い込んでいた。相手もまた俺の反撃の機運を見切っていたのだ。

相手は斜め上に伸び切った蹴り足の下に屈んでいる。

 

「(やられる…!)」

「KI LLブレード…」

 

 そして屈んだ反動で跳び上がりながら俺の身体を斬り付けた。

 

「ぐああ!」

 

 男が斜め上に跳び上がった瞬間に胸が裂け、白い道着が赤く染まる。反射的に僅かに上体を反らして深手は免れたが、その勢いで倒れてしまった。

 

「目標、沈黙…」

 

 男は何故か倒れた俺をじっと見ている。だがいつ止めに来てもおかしくない。

 

「(最早これまでか…)」

 

 そう思ったその時…

 

「ぐっ…」

 

突然胸が苦しくなってきた。 傷の痛みじゃない。俺の中に眠る「力」…「殺意の波動」によるものだ。

 

「作戦成功…。帰還…」

 

 男は去って行った。

 

「さ、作戦…?ま、さか…この、為に…時間稼ぎを…オオオオ!!」

 

 何故こうなると分かっていた?いや、それよりも…。

 

「(何故だ…抑え込んでからは何年も無事だったものが何故今になって突然…)」

 

次第に胸の苦しみが増していく。これは……

 

「(グッ…殺意の波動が『共鳴』している…。他にも誰かが…目覚めようと…?まさか…あの少女が!?…まずい…いし…き…が…)」

 

『《匣》ヲ開ケヨ…。ソシテ征ケ…《鬼ノ道》ヲ…』

 

 頭の中に不気味な声が響くと同時に俺の中で殺意の波動が膨れ上がっていった。

 

「グアアアアアアアア!!!!」

 

 殺意の波動に飲み込まれるその瞬間、目が眩む程の強烈な光が一帯を覆ったような気がした。

 

 

 

 ………

 ………

 ………

 

「(俺は…俺のままなのか…)」

 

 意識を取り戻すと、不思議な事に俺を苦しめていた殺意の波動が弱まっていた。

 

「はあ…はあ…。一体何が…」

 

 殺意の波動はまだ完全には消えていないがこれなら動ける。あの少女の場所へ急がねば。

 

 立ち上がったその時、突如爆発が起こり…

 

「きゃあああああ!!」

 

 爆風に吹き飛ばされた少女の叫び声が聞こえた。

 

「しまった…!」

 

 出遅れた!だが不幸中の幸いか、少女は意識が有り大きい怪我もなさそうだ。しかしその遅れは更なる危機を招く。

 

「(石像の台座にヒビが…まずい!あの子、気付いていない!)」

 

 「逃げろ!」と声を出そうとしたが既に遅く、台座は一瞬で崩壊した。

 

「(間に合え…!)」

 

 俺は慌てながら開いた両掌を右脇に添え、捻りを加えながら全力で前に突き出す。

 

「爆波動拳!!」

 

 掌から見えない波動拳が飛び出した。

 

 

 

「(な…なんだこれは…)」

 

 それは音も姿形も無く飛んで行き、石像に直撃した…が何故か爆発しなかった。しかも何故か石像に当たった部分を中心に削り取るように破砕していた。

 

「(まずい!残った部分があの子に!)」

 

 だが全てを壊すには至らず、残った下半身部分が少女の上に倒れて行く。

 しかし残った部分は落ちなかった。何故ならば残った部分には見覚えのあるピンク色の輪が掛かっていたからだ。

 

「よかった…。だが…あの技はまさか!」

 

 これならもう安心だ。一安心したところで先程の不可解な点を思い出す。

 

「(それにしても…。おかしい、どういう事だ?)」

 

 爆発しなかった爆波動拳もそうだが、気になる事は他にもあった。爆波動拳を放ったら俺の体に残っていた殺意の波動が完全に消えていた事だ。

 

「(まさか…爆波動拳に殺意の波動が?)」

 

 推測を確かめたいところだが火勢も強くなってきた。早く合流して脱出せねば。

 

 

 

 こうして少女となのはに合流した俺はなのはの協力によって建物を脱出し、なのはに運ばれて救護隊へ少女を引き渡した。少女は疲れていたのか、会話の途中で眠ってしまったようだ。

 

「寝たか…。ところでなのは、気付いたか?」

「うん、その子の事だね?リュウさんの言ってた『殺意の波動』っていう力がこの子に…。直ぐに調べたいところだけど今は…」

「分かっている。早く救助に行こう」

 

 俺は火災現場に戻ってから二手に分かれて救助を行い、要救助者を全員救出すると後発の部隊から帰投を言い渡されたので、俺は指定場所でなのはと合流した。

 

 後日に被害の程度を聞くと、大規模な火災にも関わらず犠牲者は殆ど(・・)出なかったそうだ。だが、その火災が原因で空港は閉鎖せざるを得なくなったらしい。

 

 

 

 

[臨海第8空港近隣 沿岸部]

「お疲れ様、リュウさん。やっぱり凄い力だね。人のいる位置を探るのが早くて大助かりだったよ」

 

 なのはが労いの言葉を掛けてくる。

 

「それよりも…」

 

 だが今は自分の事はどうでもよかったので堪らず口を開く。

 

「驚いたのは俺の方だ。空港内で撃ったあの一撃…。結界にも気を割いているのに砲撃の気は以前より遥かに大きかった。にも関わらず砲撃の太さは以前と然程変わっていない。気の収束と放出の練度が高まっている証拠だ。それであの建物の天井を衝撃も与えずに貫通出来た訳だな。

 更には結界と砲撃、二つの技…じゃなくて魔法だな。それを同時に、そして完璧にやってのける集中力…。これは俺でも出来るか分からん。

 大きくなっただけじゃない。強く…本当に強くなったな、なのは」

 

 俺はなのはの想像以上の成長ぶりに驚き、感想を素直に述べた。

 

「………」

 

 するとなのはは体を震わせ、瞳が潤んできた。

 

「あはは…ごめんなさい…。唐突に言われたから…心の準備が出来てなくて…」

 

 なのはは溢れた涙を拭う。 だが拭っても拭っても涙は止まらない。

 

 なのはが涙を拭う間、俺達の間にしばしの沈黙が訪れる。こういう時は落ち着くまで黙っていた方がいいと相場が決まっている。

 

「はあ…やっと落ち着いた。ありがとうリュウさん。褒めてくれて嬉しいよ。まあ、あれから私もすっごく頑張ったからね!

 でも本当は戦闘訓…組手で見せて驚かせたかったんだけどなぁ。 しかも一回見ただけで看破されるとは思わなかったよ」

 

 笑顔が戻ってきたな。 これで一安心だ。

 

「はっはっは。やはりお前は涙より明るい笑顔が似合うな。やはり子供はそうでなくては」

「こ、子供扱いしないでよ!これでも教え子を指導してる身なんですからね!」

 

 なのはは顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。何かまずい事でも言ってしまったのだろうか?

 

「す、すまん。気を悪くしたなら許してくれ。悪気は無いんだ」

 

 俺は慌てて謝った。

 

「はぁーーーー……。リュウさんって相変わらず鈍感だね…。まあ、それも含めてリュウさんらしさなんだけどね…」

 

 今度は深い溜息を吐いてどんよりしながら何か呟いた。またまずい事を言ってしまったのか俺は…。

 それにしても相変わらず喜怒哀楽の激しい子だ。まあ、感情を素直に表に出すのがこの子のいい所でもあるが。

 

「む?ところで今なんて言ったんだ?すまんがもう一度頼む」

「ーーーーッ!聞かなくて結構です!」

 

 完全に怒らせてしまった。きちんと許してくれるまで謝りたいところだが、今は聞く耳を持っていないようなのでもう俺から話しかけるのはやめておこう。

 

「本局に戻ってあなたの事を説明しますからね!ついでに保護も申請してあげるから付いてきて!!」

「はい」

 

 なのはの迫力に負けて思わず敬語になってしまった…。闘いでもないのに気圧されるとは不覚……!

 

 しかしこうして再会の日は無事幕を閉じた。

 

 欲を言えばこの世界には自分の力だけで来たかったが、不本意ながらも来てしまったものは仕方無い。 本来なら自分の道は自分で進みたいが、未知の世界ではそうもいかん。なのはもああ言っているし今はその言葉に甘えるか。

 それにここは魔法の世界。まだ会った事の無い強敵(とも)がいることだろう。それこそは正に俺の望むところ!しばらくはこの世界で修行しよう!

 

 聞こえる…聞こえるぞ!呼んでいる…。まだ見ぬ強敵が…。

 

 

 

『俺より強い奴が呼んでいる』

 

 

 

【リュウside…END】

 

 

 

 第一話「邂逅 ー格闘家と少女ー」…END

 

 

 

【次回予告】

リュウ「運命が交わったあの日、全てはそこから始まった…」

 

スバル「憧れと理想そのままの女性。理由は分からないけど気になって頭から離れない男性。二人に出会った瞬間、あたしの運命は決まった。『弱い自分と決別する』と…『誰かを、何かを守れるくらい強くなる』と決めた」

 

リュウ「時は過ぎ、俺達は再び出会う。しかし…再会の喜びは苦い思い出として心に残る事となる…」

 

 次回 スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION

 

 第二話「試験 ー再会と覚醒ー」

 

 TAKE OFF.




連戦連敗のリュウさん(笑)
負け戦は多くなりそうですが、それを糧にリュウはどんどん成長していきます。何せリュウは「永遠の挑戦者」ですからね。
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