スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION   作:拳を極めし者

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今回はスバルがやらかします。



第八話「出動 -新人と客人-」B-1

【スバルside】

[機動六課隊舎 開発室]

 けたたましく鳴り響く警報。同時に慌ただしく駆け回るスタッフ。あたし達もそれに煽られて出動準備に取り掛かる。災害救助隊に所属してた時もそうだったけど、やっぱり出動となるととても緊張する。

 

 事件の概要を聞くと早速八神部隊長の指示が飛び、あたし達は先に現場に向かって定期検査で別の場所にいるリュウさん達を途中で拾う事になった。

 

「危ない時は私やフェイト隊長、リインに格闘家の皆さんがちゃんとフォローするからおっかなびっくりじゃなくて思いっきりやってみよう!」

 

「「「「はい!」」」」

 

 リュウさん達を拾うまでの間、なのはさんがあたし達の緊張を解こうと発破をかけてくれる。でもティアも久々だからなのかそれでもちょっと表情が固くなってる…けど、もっと固い人がいた。

 

  キャロ…。表情だけじゃなくて身体もガチガチだ…。

 

「大丈夫?」

「!?…ご、ごめんなさい…」

「キュクルー……」

 

 キャロの異変に気付いたエリオが気遣って声を掛けるけど、全く様子が変わらない。フリードも心配そうにキャロを見つめてる。どうしよう…なんとかしてあげたいけどどうすればいいか分かんないよ…。

 

 どうしようかとあたふたしているうちに、いつの間にやらリュウさん達と合流。全員でリイン曹長からの作戦説明が行われた。

 あたしとティア…つまりスターズは先頭の貨物車輌から入って片っ端からガジェットを叩きながら中央に進んでいって、反対側から来るエリオ達ライトニングと競争するような形でレリックを確保するって作戦だ。ちなみにリュウさん達はというと、分隊のサポートっていう形であたし達に同行してもらうらしい。

 

 ちなみになのはさんはフェイト隊長と一緒に先に出て航空路を開く為に空のガジェットを落としに行くんだ。

 だけどその直前になってもキャロはガチガチなまま。あたしはまたオロオロして辺りを見回すとリュウさんが何か言い出しそうに構えてるのを発見。お願いしますリュウさん!…って思ってたらそれに割り込むかのようになのはさんとナッシュさんがキャロを優しく諭して元気を取り戻させてくれた。

 やっぱりこの二人は言葉だけでも人の心を動かす力を持ってるんだね。その様子に一安心しながらも、「こういうのは経験積まないと身に付かないんだろうなぁ」って感心しちゃったよ。

 

 そういうちょっとした問題がありながらもなんとか解決してとうとう現場に到着。いよいよあたし達の出番だ。

 メインハッチが開くとティアと一緒に並び立って飛び降りる準備。緊張感のあまり思わず大きく喉を鳴しちゃったけど、これで心の準備は出来た。

 

「スターズ3、スバル・ナカジマ!」

「スターズ4、ティアナ・ランスター!」

 

「「行きます!!」」

 

 これがあたし達の初陣だ!!

 

 

 

[山岳リニアレール 上部]

 リュウさん・春麗さんと共にリニアレールに降り立つと早速車輌の天井を突き破ってガジェットが出現。リュウさんがAMFと相性の悪いティアを下がらせようとしたら、ティアがヴァリアブルシュートの廉価版みたいな新しい射撃魔法でガジェット3体を瞬殺!流石ティア!ナッシュさんのアドバイスをもう実行したんだ!

  よーし!あたしだって負けないぞー!

 

「(ティアナの魔法を見てからやけにテンションが高いわね。ライバル心に火が付いたのかしら)」

 

 ティアの立案した作戦開始と同時にあたしは張り切って春麗さんより真っ先にガジェットが空けた大穴から飛び降りて、そのまま真下にいたガジェット2体の内の1体を先制攻撃で殴り潰す。

 続いて隣にいたガジェットを倒そうと振りかぶると…

 

「飛燕蹴!」

 

 春麗さんが物凄い勢いで飛び降りながらそのガジェットを踏み潰しちゃった。

 

凍て付く足枷(フリーレンフェッセルン)!!」

 

 続けざまに春麗さんの肩に乗っていたリイン曹長は肩を離れて氷を生み出す魔法でもう1体を氷漬けに。ちなみにこれは後で聞いた話なんだけどこの魔法は拘束型(ケージタイプ)の魔法らしく、破壊じゃなくて捕獲して調べる為にこの魔法で凍らせてここに置いとくんだってさ。

 

「はっ!」

 

 そして春麗さんは間髪入れずに真横に飛んで飛び蹴りで奥にいた1体を壁に蹴り飛ばして破壊。あたしも負けずに自分で破壊した1体を持って助走を付けながら離れた1体にぶん投げて叩き付けて破壊に成功。

 

 もっと奥にいた1体を春麗さんが狙ってたけどあたしは春麗さんに先んじてそれを倒したくて、射撃魔法で仕留めようと全速力で走った。

 

《Absorb Grip.》

 

 マッハキャリバーが気を利かせてアブソーブグリップを使ってくれたのでスムーズに壁面走行に移り、レーザーを回避しながら発動準備。

 

「リボルバァァァァ…!シューーート!!」

「いっ!?」

 

 発射と同時に風切り音に驚いてあたしの方に振り向いた春麗さんの横を閃光と竜巻状の衝撃波が駆け抜け、見事に先んずる事に成功!……と思ったら思わぬアクシデントが!!

 

「うわぁぁぁぁっ!!」

「きゃっ!」

 

 衝撃波の圧力であたし達のいる車輌の天井が全面吹き飛んであたしも外に投げ出されちゃった!あたし…いつの間にこんなに強くなったんだろ…

 

「…っとっとっと!」

 

 …って考えてる場合じゃない!この猛風の中で空中に投げ出されたから体勢を立て直せない!このままじゃリニアレールから落ちちゃう!…と思ったその時……

 

《Wing Road.》

「え?」

 

 またしてもマッハキャリバーが助けてくれたんだ。ウイングロードで隣の車輌の上に無事帰還したあたしは思わずマッハキャリバーに話し掛けた。

 

「うわぁ…マッハキャリバー、おまえってもしかして…かなり凄い?加速とか、グリップコントロールとか…。それに…ウイングロードまで…」

《私はあなたをより強く、より速く走らせる為に作り出されましたから》

「…うん。でも…マッハキャリバーはAIとはいえ心があるんでしょ?だったらちょっと言い換えよう」

 

 そうだ。この子はただの機械じゃない。これから一緒に戦っていく仲間だ。だから…

 

「おまえはね、あたしと一緒に走るために…生まれて来たんだよ」

《同じ意味に感じます》

「違うんだよ!色々と!」

《………》

 

 やっぱりまだこのニュアンスの違いは分かんないか。まあいいや!これからそういう事を覚えてけばいいよ!…リュウさんが言った通り先は長そうだけど。

 

《考えておきます》

「え?」

 

 ……意外だ。さっきみたいに学習します云々って難しい事を言うのかと思ったよ。もっと頭が固いかと思ってたけど、この子ってもしかして勉強熱心なのかな?でもまあこれなら思ったよりも早く普通のコミュニケーションが取れるようになりそうだ。

 

「うん。よろしくね、相棒」

 

 

 

 一頻り会話が終わると天井の無い車輌へ降りて春麗さんと合流した。

 

「すみません春麗さん!まさかこんな…こと…に…」

 

 謝りながら春麗さんの元へ駆け寄ると思わず言葉が止まってしまった。それはなんでかと言うと…

 

「…スバル。私が何を言いたいか…分かるわよね?」

「えーと…………すいませんでしたぁ!!」

 

 春麗さんの服がボロッボロになってる…。

 全体的に破れてるのは当然として…おだんごの破れた部分からは髪がはみ出て、胸の部分は肌が見えて、前のヒラヒラした部分は殆ど残ってないし、ストッキングは伝線や丸い穴だらけだ。

 春麗さんの話によると、リボルバーシュートの圧力に踏ん張って耐えて衝撃波を受けたせいでこうなったらしい。

 

「春麗さんのおかげでたすかったです…」

 

 リイン曹長は咄嗟に春麗さんの後ろに隠れて無事だったらしい。

 

「張り切るのはいいけどもう少し周りを……」

 

 あたしはグリップコントロールで踏ん張りがすっごく強くなってるにも関わらず吹き飛ばされたのに、踏ん張っただけで堪え切るなんて…。それにさっきガジェットを踏み潰して横に飛んだ時、足が地面に着いてなかった…っていうか空中を蹴って真横に飛んだように見えたんだよね。

 

「そもそもたった1体を倒すのにあんなに魔力を…」

 

 こんな事考えるのは失礼だけど…格闘家ってホントに人間なのかなって改めて思う。あたし達…というか他の次元世界の人間と比べても身体能力が圧倒的に高過ぎるんだよね。一体どういうことなんだろ。

 

「…スバル、聞いてるの?」

「え?あ、はい、聞いてます!」

「……とにかく車輌内でもうあの魔法は禁止!いいわね!?」

「はい!」

 

 それからあたしはリボルバーシュートどころか一切の魔法を使わなかった。なんでだと思う?そんなの簡単だ。「そう決めた」からだよ。

 

「やっ!」

「………」

 

「はっ!」

「(き…)」

 

「えいっ!」

「(きれい…)」

 

 次の車輌のガジェットは軽く10体以上はいた。でもそれは春麗さんの足技によって次々とスクラップと化していき、しかもその間に春麗さんは一度も床に足を着いてない。

 踏み潰した勢いで屈んで飛び上がりながら上の敵を蹴り砕き、横にいる敵へは何も無い空中を蹴って真横に飛び、時には壁を蹴って敵を翻弄する。まるで足場を作って蹴り出してるみたいだ。

 

 今更な事だけど、これは紛れもなく命懸けの戦いだ。本来は微塵の油断も許されない戦場にあたしは立ってるんだ。だけどあたしはそんな事すら忘れてしまうくらいに春麗さんの姿に見とれてしまった。

 

「あ、しまった!」

「!?」

 

 戦うどころか走る事さえ忘れてボーッとしているあたしの耳に突然飛び込んできた春麗さんの慌て声。何事かと思ってどうしたのか聞くと…

 

「私は飽くまであなたのサポートなのに先行して全部倒しちゃった…」

「な、なんだ…そんなことか…」

 

 そんな事でおどかさないで下さいよ春麗さん!…なんて思ってたら…

 

「…うん、やっぱりそうしましょう」

「?」

「スバル、次の車輌からはあなた一人で戦いなさい。魔法の使用も禁止ね」

「え!?」

 

 この人いきなり何言い出すの!?この数をあたし一人で倒せるわけないじゃん!しかも魔法禁止って!

 

「ムリですよそんなの!っていうかなんでそんなムチャクチャ…」

「あなたの中にある殺意の波動…忘れた訳じゃないわよね?」

「もちろんそうですけどそれとなんの関係が…」

「あなたはリュウから何を学んできたの?」

「あっ…」

 

 あたしは春麗さんに言われてリュウさんの言葉を思い出した。

 

☆☆☆☆

「君は『気』を操る素質はあっても経験が圧倒的に足りないので急ぎそれを補う必要がある。任務を挟みながらの修行は辛いものになるかもしれない。だが君はやらなくてはならない。分かってくれるか?」

☆☆☆☆

 

 そうだ。あたしは足踏みしてる暇なんて無い。早く「気」を自在に操れるようになる為に…延いては殺意の波動をしっかり制御できるようになる為に、修行で足りないなら実戦で補うしかないって事だよね。

 今まで「気」だけで戦った事は無いけど、この程度の敵なんて「気」だけで倒せるようにならなくちゃいけないんだよね。春麗さんはそれを分かってて言ってくれたんだ。

 

「…分かりました。やってみます!」

「分かってくれたようね」

「まあ…ちょっと不安はありますけど…」

「あなたなら大丈夫よ。自信を持ちなさい。(それに本当に危なくなったら助けてあげるつもりだしね)」

「…!」

「じゃあ行くわよ!」

「はい!」

「(さて、どこまでやれるかしら)」

 

 

 

「おおおお!!」

 

 次の車輌の扉をぶち破って中に突入すると、今度はさっきより更に多くのガジェットが待ち構えていた。

 

  今は魔力を纏ってないせいで攻撃力だけじゃなくて防御力もいつもより低いからこのままじゃ一撃でも喰らったら結構やばそうだ。

 

「(ここは焦らずに気功の基礎を思い出せ…!)」

 

 心臓を起点として血管を流れる血液のように気脈を流れる「気」を、自分の意思で操り掌握する。

 

「(なんだろう…この感じ…)」

 

 最初はゆっくり。次第に速く、漏れ無く、淀み無く、滑らかに。

 

「(身体が…熱い…)」

 

 訓練の時には感じた事の無かった不思議な熱。普通の人とは違うあたしの身体の一部も含めた隅々まで隙間なく熱が伝わっていくみたいだ。初めて実戦でやって興奮してるんだろうか。

 

「危な…」

「!!」

 

 その熱に浮かされたのか、それとも修行の賜物なのか、身体が何かに操られたように死角からの敵のレーザーに反応して回避。

 

「(あれ?あたしなんで今…)」

「(間違いなく視界の外からの攻撃だったのに反応が早い。『気』で肉体を活性化したことによる副作用で五感が鋭敏になったのかしら)」

 

 自分でも信じられない位に動きのキレがいい。こういうのを「エンジンが暖まった」って言うんだっけ?

 

「(身体が軽い!)」

 

あたしは自分に起こった変化をもっと試したくて、そのまま止まる事無く獲物を求めるかのように敵へ向かって行った。

 

 

 

「でやっ!」

 

 なんでだろう…

 

「はあっ!」

 

 止まらない…

 

「おりゃあ!」

 

 止められない!

 

「(五感だけじゃない…。動きも技の威力も段違いだ…。多分『気』の放出を上手く使ってるのね。でもやけに高揚してる。この子、こんなに感情に揺さぶられる子だったの?)」

 

 夢中で闘ってたらいつの間にかその車輌のガジェットは全滅。

 

「足りない…」

「あ、待ちなさい!」

 

 物足りなさを感じたあたしは止まる事無くそのまま次の車輌へ向かった。

 

 

 

☆☆☆☆

 次の車輌へ向かう最中の事…。

 

「春麗さん、大事なお話があるです」

 

 リインフォース2が若干申し訳無さそうに春麗へ話し掛ける。

 

「手短にお願いね」

「はい。今ティアナから連絡があったんですけど、制御室を占拠していたガジェットを破壊してもコントロールが戻らなかったのでリインがこれから向かって対処してくるです」

 

 それを聞いた春麗は一瞬動揺した表情になったが…

 

「…それは緊急ね。こっちは任せて行ってきて」

「はいです。じゃあスバルのこと、おねがいします」

「…ええ」

 

  この場は春麗に任せ、リインフォース2は制御室へ戻って行った。

 

「(さて、こっちはちょっとキツくなっちゃったわね)」

☆☆☆☆

 

「もっと…もっと…!」

「(あれは…!)」

 

 次の車輌の扉も前と同じ様にぶち破ると、今度は規則正しく2段に整列したガジェットの群れが正面に待ち構えていた。

 

「来るわ!避け…」

 

 春麗さんが何か叫んだけど、言い終わる前にレーザーの一斉射撃があたしに向かって避ける隙間も無く迫って来た。だけどあたしは……

 

「はあっ!!」

「スバル!」

 

 ぼんやりと昇格試験の時を思い出しながら「気」を放出した。

 

 

 

「(やればできるじゃん、あたし…)」

 

 煙が立ち込めている隙に一気に距離を詰め、次の射撃が来る前に懐へ飛び込んでガジェットをまとめて蹴散らした。

 

「(う…嘘でしょ…。『気』の全身放出でレーザーを掻き消して無傷で耐え切った…!でもあれじゃあ…)」

「よっしゃあ!!」

 

 更にテンションが上がってまたこのまま先へ行こうとしたら……

 

「スバル!」

「…なんですか?」

「もういいわ。次からは私が前に出るからあなたは少し身体を休めなさい。でないと…」

「なんだ、そんなことか」

「え?」

「余計な心配しないで黙って見ててください!」

「待ちなさい!」

「待たないよ!」

 

 あたしは春麗さんの話を打ち切って先を急いだ。せっかく調子が上がってきたのに邪魔しないでよ春麗さん。

 

 

 

 熱い、楽しい、気持ちいい!魔力しか使ってなかった時にはこんな気分になった事は無かったのに…。あたしって魔力使うよりこっちの方が合ってるのかも。

 リュウさんは「ある程度身体能力を高められる」って言ってたけど、ある程度どころか浮いてるんじゃないかって錯覚するくらいに軽くて速く動ける。しかもちょっと踏み切っただけで一瞬にして何mも跳べたり拳を軽く振り下ろしたら敵が紙の箱みたいにあっさりと潰れたりする程だ。もしかしたらさっきの春麗さんもそんな感じだったのかもね。

 今なら誰にも負ける気がしない!

 

「はははは!」

「スバル!そんなに闇雲に『気』を使い過ぎたら…」

「もっと速く…もっと強く…もっと熱く…!」

「(駄目だ…言葉だけじゃ止まらない…。それに今の状態じゃ力尽くで止めようとしても抵抗するに違いない!こうなったら気絶させるしか…)」

 

 この車輌も短時間で全滅させてそのまま先へ進んだ。

 

 

 

 次でやっと6輌目。そこを全滅させれば遂にレリックのある重要貨物室だ。テンションも最高潮に達して意気揚々と6輌目に突入した…けどそこには……

 

「な…何これ…」

「こ、これは…」

 

 これまでで一番敵の数が多かった()()()()()6輌目。辺りを見回せば()()()()()()がそこらに落ちている。

 

「ガジェットが…全滅してる…」

「(私達とガジェット以外の第三者がいるって事?)」

 

 落ちていたのはガジェットの成れの果て。辺りには残骸が散らばっている。しかもその残骸を見てみると、綺麗な切り口でバラバラに切り裂かれていた。

 

「(第三者が他の車輌のガジェットと交戦せずにここまで来た上にこれだけの数を不必要な程に切り刻んで全滅させた。だとしたらそれをやった第三者は何処に?)」

 

「あーあ、冷めちゃっ………あ」

 

 相手がいなくなって落胆したあたしは「気」の掌握を解いて平静を取り戻すと、自分が春麗さんにとんでもない失礼をしてしまった事を思い出す。

 

「ちゅ、春麗…さん…」

 

「(私達が闘っている間に車輌を繋ぐ扉が開いたところは見なかった。だとすると前の方からではなく外から直接6輌目に入って来たということ…)」

 

「あ、あたし…なんて失礼なことを…」

「(もし天井か壁を破って入って来たなら対空迎撃の為に上に残ってるリュウとナッシュかガイルが気付けないとは思えない。という事は恐らく下から侵入したのね)」

 

「あの時は何故か自分でも信じられないくらい興奮しちゃって…」

「(そして重要貨物室の扉には無数の切り傷と凹み…。これは力尽くで扉を開けようとした証拠。外から直接重要貨物室に入らなかったのは『入れなかった』から。第三者の狙いもレリックだったのは間違いない!)」

 

「自分があんな自分勝手な性格だったなんて今まで知らなくて…」

「(という事は自分の力じゃ入れないから諦めて帰った?……いえ、自分が駄目でも他の誰かが開けられれば自分もそこから入れる。つまり第三者は…!)」

 

 春麗さんはずっと黙って目を閉じたままだ。多分、声を出せないくらい怒ってるんだろう。当然だよね。あたしの事を気遣って言ってくれたのにあんな態度を取っちゃって…。

 でも今この場であたしに出来る事は謝る事だけだ。罵られても殴られても仕方ない。それを覚悟して誠心誠意謝ろう。

 

「本当に…すみま…」

「はっ!」

 

 謝り始めたその時、目にも止まらない速さで「何か」があたしの右頬を掠めていった。

 

「…あ…」

 

「何か」の正体に気付いて冷や汗をかき、腰が抜けてその場にへたり込む。その正体とは逞しくもしなやかで美しい脚線美を誇る春麗さんの脚だった。とうとうあたしにキレておどかされたのかと思いきや……

 

「やっ!たあっ!」

 

 あたしの頭の上を通ってまだ掛け声と蹴りが続いている。不思議に思って落ち着いてみると春麗さんの蹴りが繰り出される度に鈍い衝撃音が響いているのが分かった。

 

「邪魔よ!」

「!!」

 

 春麗さんの怒鳴り声にびっくりして反射的に左へ飛び出し、改めて春麗さんのいる方向へ振り向くと……

 

「な、何あれ…」

 

  いつの間にか春麗さんは「謎の敵」と闘っていた。

 

【スバルside…TO BE CONTINUED】




…という訳でスバル大暴走でした。
これは殺意の波動のせいでスバルの精神に少しばかり異変が起こったせいです。
あんまり明るい話ではありませんが、これも成長物語の一端だと思って生暖かく見守ってやって下さいm(_ _)m
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