スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION 作:拳を極めし者
【side スバル】
あたし達が帰還の為にヘリで移動しているその帰り道の最中……
「ティアナが助けてくれなければ…死んでいたかも知れん」
「!?」
リュウさんがとても申し訳なさそうにそう言った。
「本来ならばお前達を守ってやらねばならん立場だというのに逆に守られるという恥を…!」
そうか。この人は責任感が強過ぎるんだ。だから仲間に助けて貰う事さえいけない事だって思ってるんだ。でも全然そんなことないよ。
春麗さんだって言ってたんだ。仲間なら助け合うのは当然だって。大きな目標に向かって行くにはみんなの力を合わせなくちゃならないんだって教えてくれたんだ。リュウさんにもそれを伝えなくちゃ!と決意したところ…
「俺は…お前達の役には立たないのかも知れんな…。本当に…済まなかった……」
リュウさんが自分を責め始めてしまった。このままじゃいけない、早くあたしがなんとかしなくちゃ…と思ったその時、隣からとんでもない大声が響いてきた。
「それは違います!!」
「…ティアナ…」
ティアが怒ってる…。ティアがこんなに怒るのを見たのはいつぶりだろう…。
「……リュウさんが隙を作らなかったらあたしは敵の動きを止めることができなかったし、もし止められたとしてもリュウさんでなければ敵を倒せませんでした!だから……っ」
ティア…もしかして…
「自分が…役立たずなんて言わないで…!」
やっぱりそうだ。ティアはリュウさんにお兄さんのことを重ねてるんだ。
そうだよね。大切な仲間が辛い目に会った最愛の家族と同じ目に会う姿なんて黙って見てられないよね。
「…あたしも、そう思います」
「スバル…」
「あたし達は一人で戦ってるんじゃない。チームで…機動六課みんなで協力しあって戦ってるんです」
確かにいつまでも守られて助けられてばかりじゃいられない。だけどそれは決して独りで戦えって意味じゃないんだ。春麗さんはそれをあたしに教えてくれたんだ。
「………だからあたしからもお願いです。そういうあなたを見て悲しむ人もいるんです。そんなに自分を責めないでください」
「…!!」
リュウさんは今、悩んでいる。だからその悩みを解決出来るように少しでも力になりたい。これがその為に出来るあたしの精一杯だ。お願い…リュウさんに伝わって!
「スバル、俺は驕っていたようだ」
「え!?そんなこと全然無…」
「いや、いいんだ」
するとリュウさんは驚いたように目を見開いた後、目を閉じて話し始めた。
「……変わったと言えば『仲間は俺が守らねばならない』という間違った責任感が生まれた程度だった」
「(リュウ…。あなたはそんな責任感を一人で抱えて…)」
またそんな事言って!…って思ったけど今度はさっきとは目付きが違うので言葉を飲み込んで話を聞き続ける事にする。
「……改めて言おう。お前達には今まで迷惑を掛けてしまい、申し訳なく思っている。
だがこんな俺でもまだお前達の役に立てるなら、仲間だと思ってくれるなら、また力添えさせてくれ。頼む」
そんなの当たり前ですよ。お願いされるまでもなくリュウさんは仲間ですよ。だからそんなに頭を下げないでください……って言おうと思ったら……
「…あなた、昔から変わらないわねぇ。そういう頭の固いところなんか特にね」
「ちゅ、春麗さん!こんな時に何を…」
「誰もそんな事気にしてないわよ。ティアナだってあなたのおかげで助かったって言ってるじゃない。それにみんなの顔を見なさいよ。あなたを拒否してるように見える?」
さすが春麗さん!そうだよ!リュウさんを拒否する人なんてこの中にいる訳がない!もちろんあたしだって大歓迎だよ!
「ありがとう…。これからもよろしく頼む…」
リュウさんはみんなの反応を見てまた深々と頭を下げた。そこまでかしこまらなくてもいいのに。
「(フフッ、師弟揃って同じような事で悩んじゃって…。しかも同じように立ち直っちゃうなんて不思議なものね)」
「?」
すると春麗さんがリュウさんのその様子を見た後にあたしをチラ見してクスッと笑った。あたし、なんか笑われるような事したかなぁ…。
そんな騒ぎも有りながらあたし達は無事レリックを届けて初任務を完遂した。
[夜 機動六課隊舎 ホール]
任務成功の喜びも冷めやらぬ内にはやて部隊長が初任務成功祝いとしてささやかなパーティを開いてくれた。
夕食兼用のそれなりに豪華な料理が並び、あたし達子供にはジュース、大人の皆さんにはお酒が振舞われたんだ。この手際の良さははやて隊長が任務中に予め準備を進めていたかららしい。
「ぷはー!仕事の後の一杯は格別だねぇ!」
「スバル、中年くさいわよ」
「あ、やっぱり?父さんのマネしてみたんだ♪一度やってみたかったんだよねー♪ティアもやらない?」
「やらないわよバカスバル!」
そんな中で意外な事実が発覚。なんとリュウさんはお酒が苦手だそうだ。しかもそれを知ったガイル少佐は何故か執拗にリュウさんにお酒を勧めて無理矢理飲ませようと迫っていってるんだよね。なんか食べ物関係でリュウさんに恨みでもあるんだろうか…。
そこから何故か二人の飲み比べ勝負が始まっちゃったんだけど、大方の予想通りガイル少佐の余裕勝ちだった。
「うぷっ…」
「うわー…キツそうだなぁ…」
「あれはそうとうキテるわね」
ティアと二人で心配しながら相当具合を悪くして青ざめてるリュウさんを見ていると、なのはさんが部屋まで送る為にホールを一緒に出て行ったんだ。でもなのはさんも顔が真っ赤になってたなぁ。そんな状態で大丈夫かな…。
「なのはさんもかなり酔ってるみたいだしやっぱりあたしが…」
「待てぃ!」
「へ?」
気を利かせてあたしがリュウさんを送ろうとしたらティアがあたしの肩を掴んだ。何なのかと思って振り向いたら鬼のような凄まじい形相で睨み付けてくる。
「いいからなのはさんに任せときなさい!」
「でもさ、2人共かなり酔ってるみたいだし…」
「なのはさんの足取りは全然フラついてなかったでしょ!だからほっときなさい!」
「でもいつフラつくかわかん…」
「空気を読まんかー!」
「い、いひゃいいひゃい!なんれひっはるのー!?」
二人を心配して再び様子を見に行こうとしたらティアがあたしの両方のほっぺたを思いっきりひっぱってきた!なんで!?あたしなんか悪い事した!?
「ふんっ!」
「ううー…ひどいよティア…」
「うっさい!とにかくリュウさんはなのはさんに任せなさい!様子を見に行くのも禁止!いいわね!?」
「はい……」
よく分かんないけどとりあえず返事。あたしはただ気を利かせただけなのに…。
でもその後は普通にパーティを楽しみ、ちょっとした騒ぎは会ったものの大盛況のうちにパーティは終了した。
[翌日 午後 機動六課隊舎]
今日は一度もリュウさんを見ていない。どうしたのかと思ってたまたま近くを通りかかった春麗さんに聞いてみると…
「二日酔いで動けないから部屋で寝てるわよ」
…だそうだ。よく考えたらお酒に弱いのにあんな事したらそうなるのは当たり前だよねー。
[夜 機動六課隊舎 浴場]
「ねーティア」
「なによ」
「午後からなのはさんがどこ行ってたか知ってる?」
そう。午後からは
ちなみに今あたし達はお風呂でのんびりくつろいでるところ。
「……知らないわ。そんなこといちいち気にするんじゃないわよ」
「……ティア」
「な、なによ今度は…」
「ウソついてない?」
「!?」
「やっぱりそうだ。知ってるなら教えてよー!減るもんじゃないしー!」
「減るわ!」
「いいじゃんケチー!」
「うっさい!またつねるわよ!」
「うわー!そ、それはカンベン!」
なのはさんの行方は気になるけどティアのお仕置きはキツくてやだ!逃げなきゃ!
「あ、スバルさん!ティアさん!湯船ではしっちゃダメですよ!」
「「すいません……」」
まあ、別に分かんなくてもいいか。明日も早いしもう上がってさっさと寝よう!
[翌々日 機動六課 部隊長オフィス]
この日、全開したリュウさんを含めた格闘家の皆さんとフォワード隊全員がはやて部隊長に呼び出された。よく見たらヴォルケンリッターの皆さんまでいるよ。
何か特別な任務でも言い渡されるのかと思っていたら、それはとても信じられない任務(?)の報せだった。
【スバルside…END】
…という訳でスバルsideは終わりましたが第八話はまだ続きます。
今更ですが第八話になるまで随分戦闘描写が少ないなーと本当に今更気付きました。ストリートファイターらしくねえ……。