スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION 作:拳を極めし者
スト5は発表当初より不安感がガッツリ薄れ、期待感が増してきました!!
とりあえず現時点で望むのは
「もうちょっと火力下げてくれ!!!」
【アナザーside】
試合が始まるや否やシグナムは後ろへゆっくりと浮き上がって数十mまで後退したところで剣を構え、ピタリと動きを止めた。
「(さあ離れてやったぞ。見せてみろ…鋼を切り裂く真空波を…!)」
☆☆☆☆
『おおーっと!開始一番、シグナム選手が空を飛んだー!』
『最初は空中で距離を取って出方を伺う。飛べる奴のセオリーだな』
『ここまであからさまなら普通は手を出さないものだが…ガイルなら…』
☆☆☆☆
「(誘っているのか…面白い。乗ってやるとするか)」
ガイルはシグナムが止まるとニヤリと笑い、両腕を大きくゆっくりと後ろへ引いた。
「(両腕?ソニックブーム…なのか?)」
「ソニックブーム!!」
直後、「ご名答」と言わんばかりに両腕を振り抜いて交差させると、鎌状の真空波がシグナム目掛けて目にも止まらぬ速度で飛んで行き……
「ぐっ!?」
構えに油断したシグナムは反応が一瞬だけ遅れた事により回避出来ずに剣に直撃して火花を散らし、後方へ吹き飛んだ。
☆☆☆☆
『な…なんと!ガイル選手が引いた両腕を振り抜いたと思った次の瞬間、その腕から何かが飛び出してシグナム選手に直撃!吹っ飛びました!ガイル選手の先制攻撃が命中だぁ!』
『いや、しっかりと剣で受けている。
…ガイルは不器用でな、ソニックブームは見ての通り私のものと違って構えの際の隙が大きいが、その分スピードとパワーを上げたんだ。単発なら私のものより強力だよ』
『つーかバカ正直に誘いに乗るのかよ。気持ちいい位真っ直ぐな奴だな』
☆☆☆☆
「このソニックブーム、ナッシュより速い…。そして恐らくは重い…!もし『レヴァンティン』で受けなければ騎士甲冑が無事では済まなかったな…」
「これで分かったか?俺のソニックブームの威力が」
「ああ、言うだけの事はあるな」
シグナムは硬度を下げながらゆっくりとガイルへ接近して行く。
「次はお前の番だ」
「……そうだな。私の手も見せねば不公平というものだ。ならば刮目せよ!」
《Schlangeform.》
レヴァンティンが叫び、カートリッジの魔力を装填した後鞘に収めて引き抜くと刃が細かく分断され、鋼線で繋がれた状態となった。しかもそれは本来のサイズでは有り得ない程に長く伸びていく。
「これぞ変幻自在の連結刃『シュランゲフォルム』!行くぞ!!」
「(鞭状の剣…今まで見た事の無い武器か…。面白い!)」
「はあああああ!!」
「チッ!」
☆☆☆☆
『シグナム選手が剣の形態を変えて突撃!リーチを活かして一方的に斬り付けています!これがシグナム選手の「シュランゲバイセン」だァァァァッ!!』
『へぇ。あの距離じゃガイルは距離を詰めるのも難しいしあの手数ならソニックブームを撃つ隙も無え。立ち回りが上手いじゃねえか』
『それだけじゃない。鞭とは本来大振り過ぎる上に操るのが難しくて武器には向いていない。あの武器は自分の意思で軌道を操作出来るようだが、動いて振り回しながら操作するとなると操作の難易度は桁違いに跳ね上がる。それをあれ程自在に動かすとは…。まるで何十年も磨いたかのような素晴らしい技…。若いのに大したものだ』
『……まあ、これがシグナムの実力っちゅう事や。(…やっぱナッシュさんって鋭いなぁ。これはバレるのも時間の問題かもしれへんな)』
☆☆☆☆
「どうした!反撃しないのか!」
「気が向いたらしてやるさ!」
鞭のようにしなったかと思えば槍のように尖端が伸びてくる。渦を巻き、蛇行し、弧を描く。更にそれが伸縮までしている。
自分の世界では見られない、有り得ない剣の間合いと軌道。口では余裕を見せるもののガイルは生物の如く奔放に動き回る刃に翻弄されて防戦一方となり、シグナムの攻撃も徐々に速度を上げてガイルを捉え始めていった。
紙一重で回避していたガイルだったが、回避に集中していたせいで足元の注意が疎かになっており、あろう事か転がっていた石に足を取られてしまった。
「ッ!?」
「(隙あり!)」
その瞬間、連結刃の尖端ガイルの脳天目掛けて襲い掛かった……が、その直後に二人の動きがピタリと止まった。
「…フウ」
「…やるな」
☆☆☆☆
『えー…ガイル選手を捉えたと思われたシグナム選手の攻撃が逸れていったようです。よく見えませんでしたがあれは…』
『あれはソニックフィストだな。拳からショートレンジの衝撃波を発生させて連結刃を弾いたんだ。君に見えなかったのは腕の振りを最小限に抑えたからだろう。音速のワンインチパンチという訳だ。(……あんな打ち方は私には不可能だな。流石はガイルだ)』
☆☆☆☆
「お前もな。今のは肝を冷やしたぞ」
「完全に捉えたと思ったんだがな。あの体勢から技を放てるのか…」
「まだ不慣れな技だが…この程度なら、な」
「全く…大した男だ。ならば!」
シグナムは再び間合いを大きく離して着地するとシュランゲフォルムのレヴァンティンを更に伸ばし…
『これは捌けまい!!』
刃の壁を作り出した。
☆☆☆☆
『シグナム選手が剣を更に伸ばした!これがシグナム選手の魔力付与攻撃「シュランゲバイセン・アングリフ」!!一体何十mあるんだァァァァッ!!これは回避出来ないか!?』
『いや、まだ分からねえぜ』
『ああ。「穴」はある』
『穴?どういう事や?』
☆☆☆☆
連結刃がガイルを取り囲み、蛇が獲物を締め上げるかの如く範囲が狭まる。一秒にも満たない時間である。
しかしガイルは狙っていた。瞬きもせず、周囲の音も聞こえず、「二つの『点』を結ぶ『線』」をただひたすらに探していた。
「(何かを狙っている?…そうか!)」
間も無くそれは見つかった。点と点が重なり合う瞬間…『線』となる瞬間が。
「ソニックブーム!!」
「針の穴を通す」という表現がある。狭い空間や定められた位置に正確・精密・迅速に物を収めたり通過させる技術の例えだ。
それは多くの場合、「動かないもの」に対して言われる話だ。何故ならば「目標が動いていなくても難易度が高い」からである。
目標が動いていれば難易度は数倍数十倍となり、単純な長距離狙撃より難しいと言える。
☆☆☆☆
『ガイル選手が連結刃の隙間を縫ってソニックブームをシグナム選手に直撃させたァァァァッ!!』
『いや、あれは…!』
☆☆☆☆
……が、ガイルはそれより遥かに高難度の芸当をやってのけた。正に「針の穴を通す」精度で高速且つ螺旋状に動く連結刃の隙間という『点』突き抜け、数十m離れたシグナムという『点』を結ぶ『線』を捉えるという二段階の難関を同時に熟したのだ。
「!?あれは…!」
しかしソニックブームは命中していなかった。シグナムがいつの間にか左手に持っていた鞘によって防御されていたからだ。その鞘は淡く紫に光っている。
「蛇の一咬みを喰らえ!」
次の瞬間、渦を巻く鋼の蛇腹と頭上に控える鋼の蛇の牙が獲物を喰らわんと同時に襲い掛かった。
「(止むを得ん!)」
覚悟を決めたガイルは身を屈め、『溜め』を作り…
「ダァブル…!」
サマーソルトキックで『牙』を蹴り…
「サマソ!」
着地すると返す刀で二発目のサマーソルトキックを放ち蛇腹を上に蹴り飛ばした…が、二発目のサマーソルトキックの瞬間、ガイルの背後から破砕音と共に粉塵が巻き起こる。
☆☆☆☆
『全方位から刃が迫る中、ガイル選手は身を固めるのではなく果敢にも迎撃を選び!美しい弧を描き生み出された真空の刃で連結刃の尖端と囲まれた刃を連続で蹴り飛ばしたァァァァッ!!』
『あの技は「ダブルサマーソルト」。サマーソルトキックを高速で二連発するという極めて単純な技だ。だが単純故にガイルの持ち前であるパワーとスピードが最大限に活かされるという訳だな。
尖端を蹴り飛ばして軌道を逸らしたのまでは見えたが粉塵のせいで二発目のサマーソルトキックがどうなったかまでは見えなかったな』
『それにしてもあの尖端の突き…地面に接触した瞬間に接触部分が砕けて爆発したみてえに砕けた…。サマーソルトキックで勢いが弱まってる筈なのになんて破壊力だ…!』
『刃と鉱線全体がいっぱい魔力帯びとるから多少の攻撃じゃ止まらんで!』
☆☆☆☆
シグナムは粉塵の中から連結刃を引き抜くと柄の部分に刃と鋼線が映像の早戻しのように収まって消え、シュベルトフォルムに戻った。
剣を構えながら粉塵の中を凝視するシグナム。粉塵が引いていき、うっすらと現れる人影。その人影に向かって確信に満ちた一言を述べる。
「手応え有り…だ」
視界が開けるとそこには鋸で切られたかのように複雑に裂けた背中の傷から血を流すガイルが立っていた。
「油断…したか…」
☆☆☆☆
『あーっと!ガイル選手が背中から出血しています!クリーンヒットを与えたのはシグナム選手だぁ!!…とは言ったものの一体いつ斬られたのでしょうか?』
『少なくとも尖端を蹴り飛ばした時には斬られていなかった。恐らくはシグナム選手が刃を引き戻した時だろう。あの砂埃では警戒していても回避は困難だからな』
『その視界でガイルの身体を捉えたってのが信じられねえな。それにしてもあの鞘…』
☆☆☆☆
「俺の反撃は読んでいたのか。しかもその鞘は自由に出し入れ出来る上に剣と同等の剛性も持ち合わせているようだな」
「自分の技の欠点は自分が最も理解している。当然だろう?」
「確かに。剣の操作に集中する為に動けなくなっていると踏んだが…。その欠点を逆に陽動に使うとはな」
「そして我が鞘は剣を収めるだけの物に非ず。時に盾、時に魔力圧縮機となるのだ」
「……わざわざ使っていない機能まで説明したのは余裕の表れか?」
「だったらどうする?」
「その余裕を打ち砕く!!」
「丁度いい!ならば
シグナムの挑発を合図に2人は弾かれた様に正面へ飛び出した。
「オオオオ!!」
「はあぁぁぁぁっ!!」
☆☆☆☆
『気合いの雄叫びを合図に2人が猛然とダッシュ!
クロスレンジに入った瞬間、鋼の牙と真空の牙が互いを喰らわんと大激突だぁぁぁぁっ!!』
『(はやて君のテンションが高いな)』
『(なんかノリノリで実況してるなこいつ)』
☆☆☆☆
レヴァンティンとソニックフィストが瞬く間に幾度と無く交差し、ぶつかり合う度に火花を散らす。喰らえばそのまま勝負の流れを決めてしまうであろう一撃を無数に繰り出しているのだ。
「心踊るなガイル!やはり一騎討ちは打ち合いに限る!!」
「お前はとんだ
「賛辞と受け取っておこう!」
☆☆☆☆
『わ…笑っている!2人とも笑っています!理解不能!理解不能です!』
『分かんねえかなぁ。「強い奴」と闘えりゃあ誰だってこんな顔になるだろ』
『ダンは言葉が足りないが私も概ね同意だな。詳しく言えば「自分の全力を受け止められる強さを持つ相手」と闘えたからこその顔、だ』
『はあ、そうですか…。(格闘家のその考え方ってよく分からへんなぁ。シグナムはもともと戦闘狂やったけど…やっぱり格闘家寄りの性格だったってことやな)』
☆☆☆☆
「(音速のパンチは確かに驚異的な速度だ…が、この程度の手数なら捌き切れる!)」
「(攻撃速度は俺の方が速い…。だがこの反応速度…!もっと回転を上げたいところだが背中の傷のせいで思うように動けん!)」
剣一本で闘う者の攻撃は当然ながら剣が主だ。
だが決して他の攻撃が無い訳ではない。これも当然だ。
しかし、剣技が余りにも際立ち過ぎると他の攻撃を失念してしまいがちだ。
「(まだだ…まだ…!)」
シグナムは純粋に打ち合いを望んではいたが、同時に打ち合い自体を布石としていた。
「はっ!!」
「(大振り…ここだ!)」
ガイルがシグナムの大振りな横薙ぎを回避して拳を打ち込もうとした……その時だった。
「ゴハッ!」
側頭部に鈍器で殴られたような衝撃が走った。
視界が光に包まれたかのように白くなり、音も聞こえない。どうやら謎の衝撃により一瞬だけ意識が飛んでしまったらしい。
瞬きするような刹那の隙。並の者であれば皆無に等しい時間。
「(勝機!)」
だがシグナムはその隙を見逃さなかった。
刹那で意識を取り戻したガイルだったが時既に遅し。
「グウッ!」
レヴァンティンの切っ先がガイルの胸を横一文字に斬り裂いた。
「はああああああッ!!」
切れたのは皮膚の数mm下程度で済んだが、シグナムの剣は止まらない。頭部へのダメージで動きの鈍ったガイルは躱し切れずにその刃によって無数の傷が刻まれ、至る箇所から出血していく。
「……!」
「止めだ!!」
ダメージと出血の為か、膝を崩してよろめくガイル。それを見るや否やシグナムは即座にカートリッジを一個消費。
「はあっ!!!」
同時にレヴァンティンの刀身が炎を噴き出し、間髪入れずに燃え盛る炎刃をガイル目掛けて渾身の力で横に振り抜いた。
「(な…に…)」
……が、レヴァンティンを振り抜いたシグナムの目には信じ難いものが映っていた。
自身の渾身の一撃が直撃した。腹部から胸に掛けて斜めに切り裂かれ、傷口からは火が出ている。
なのにガイルは倒れるどころか身動き一つせず、腕を振り被って反撃の構えを取っていたのだ。
シグナムが呆気に取られていたのも束の間、遂にガイルの逆襲が始まる。
「オープニング…!」
《Panzergeist.》
我に帰ったシグナムが咄嗟に全身を強固な膜で覆うフィールド型防御魔法「パンツァーガイスト」を展開した瞬間…
「ギャンビット!!!」
超音速の連撃がシグナムの顔面目掛けて襲い掛かっていった。
「オオオオオオオオ!!」
拳がバリアに激突すると紫色の光が弾け、拳が空気の壁を貫く音がマシンガンのように響き渡る。
ガイルの反撃開始から間も無く突如亀裂が発生。
「このままでは破られる」と本能で判断したのかシグナムはほぼ同時に他の場所に回していた魔力を使って被弾箇所である顔面部分の防御力を最大限に強化。これにより防御が完璧となったと確信したシグナムはレヴァンティンを構え、止めの斬撃を打ち込んだ。その瞬間…
「アアアアアアアア!!!」
「(なん…)」
バリアが砕け散り、シグナムの顔面へ無数の拳が叩き込まれ……
「ハアッ!!」
追撃の側転式サマーソルトキックで上空へ吹き飛ばされ、サマーソルトキックの勢いで二回・三回と回転し、顔から地面に激突した。
「ハアッ…ハアッ…」
ガイルは着地すると左膝と左腕を突き、激しく呼吸を乱しながら倒れたシグナムを見つめる。
☆☆☆☆
『シ…シグナム!医療班早く!!』
『落ち着きな、はやての嬢ちゃん。死んじゃいねえからよ』
『せやかて決着したなら2人とも早く治療せんと…!』
『ダンの言う通り落ち着くんだ。勝敗はまだ決していない』
『え?ま…だ…?』
☆☆☆☆
「ドン」と地面を叩く音。それと同時に砂や石が零れ落ちる音。続いて地面に何かを突き立てる音。
それらの音の主はガイルではない。
「(まだ…終われん…!)」
正体は立ち上がったシグナムだった。シグナムは地面を叩いて気付けし、レヴァンティンを杖として突き立てながら立ち上がろうとしている。
シグナムの顔は痛々しいものだった。あちこちに痣・腫れ・出血があり、鼻と口から血が流れている。
「魔導師の割に…中々生身が…丈夫だな…」
悪態を吐くガイルを余所にレヴァンティンで身体を支えながら朦朧とした意識の中で、意識が途切れる前の事を思い出す。
「(あの一瞬で…何発…発喰らった…。それに…何故ガイルは…倒れていない…)」
☆☆☆☆
『な?』
『で…でも…』
『二人ともこの程度は覚悟の上の筈。なのに我々が横槍を入れるのは無粋というものだ』
『………』
『…解説を続けよう。先程の攻防、気になる点はあるか?』
『……はい。ではナッシュさん、ダンさん。二人の打ち合いからダウンまでの流れ…早過ぎて殆どわからなかったのでその解説をお願いします』
『2人は互角に打ち合っていたが、背中の傷によって動きが鈍くなっているガイルが不利だった。圧され気味だったガイルは焦っていたのだろう。シグナム選手の大振りの横薙ぎを回避して反撃しようとした訳だが…それは見え見えの誘いだったんだ。
ガイルは反撃に転じようとした一瞬の隙を突かれて斬撃と同時に放たれていた回し蹴りを喰らってしまった』
『回し蹴り自体は大した威力じゃあなかったが、意識外からの攻撃ってのは防御も回避もできねーからかなり「効く」んだよな。
あの姉ちゃんは格闘術はあんまり得意じゃなさそうだが戦闘勘は抜群だな』
『そうだ。その絶妙な一撃により生まれた一瞬の隙を彼女は見逃さずに捉え、一気に攻め立てた。
この展開は私でさえもガイルの敗北は必至だと思ってしまったが…ガイルは私の予測を超えていた』
『このままじゃ一方的に体力を削られて終わっちまうって考えたんだろうな。そうなる前にガイルはよろめいた「振り」をして姉ちゃんの止めを誘ったんだ。あれだけダメージ喰らった奴がよろめいたら誰だって騙されるわな。しかもガイルはその攻撃を躱し切れないと悟って胸を使って全力で受け止めたんだ』
『余程予想外だったのだろう。彼女は一瞬だが完全に動きが止まってしまった。ガイルはそれを逃さず拳を叩き込んだんだ』
『でも姉ちゃんも大したもんだ。あんな一瞬で防御魔法を張れるんだからな。しかもご丁寧に防御力を一点に集めてな』
『だがそれが失敗だった。その行為がガイルの闘志に火を付けてしまったんだ。ガイルは自分のダメージも忘れて意地でその防御を突き破り、そのまま彼女を吹き飛ばしたという訳だ』
『これは殺し合いやない…。ただの試合やのに…なんであんなになってまで勝とうと…』
『強い奴と闘える。格闘家にとってこの上無く楽しい事だ。そんでもって強い奴には敬意を払って全力で挑む。そうでなきゃ相手に失礼ってもんだからさ』
『今のガイルの闘い方は後の事を全く考えていない無謀極まりない闘い方だが…それ程の力を尽くさねば勝てない相手だったという事だ。
そう……目の前の勝利に喰らい付く気概が無ければ勝利の女神は微笑まない。これは格闘家のあるべき姿の一つと言える』
『(これが…格闘家…)』
☆☆☆☆
「お前の剣の腕も然る事ながら…レヴァンティンと言ったか…。黙して自分からは語らず…主に従い主に力を与える…。お前は…素晴らしい従者だな…」
《Danke.》
「フッ…。レヴァンティンの主として…誇らしくはあるが…。世辞を述べても…勝利は譲らんぞ…!」
「最初に言ったろう…。『勝つのは俺だ』と…!」
「言ってくれる…。とはいえ正直なところ…私は限界に近い…」
「俺も…倒れないでいるのが精一杯といったところだ…」
「ならば…」
「…ああ、そうだな。それがいい…」
2人は相槌を打つと静かに立ち上がる。
《Nachladen.》
シグナムはカートリッジを一個装填すると大上段にレヴァンティンを構える。ガイルは両腕を大きく後ろへ引いて「溜め」を作った。
☆☆☆☆
『次で決まるぜ』
『ああ、互いに力を使い果たす気だな。次は無い。これで完全決着だ』
『(シグナム…どうかひどいケガだけはせんといてや…!)』
☆☆☆☆
「レヴァンティン…。行くぞ!!」
《Jawohl!!》
シグナムがレヴァンティンと相槌を打つと、刀身に炎が宿る。
「ソニック…!」
ガイルははち切れんばかりに膨張した腕の筋肉を震わせる。
「紫電…!」
二人は同時に目を見開く。その瞬間……
「ハリケーン!!!!」
「一閃!!!!」
音速を超えた二つの刃が戦場を駆け抜けた。
「………」
「………」
技の余波で二人の後方の巨岩が二つに切り裂かれ、それが地面に転がると辺りは静寂に包まれる。
☆☆☆☆
『…両選手、動きません…。まさか互いに気絶…』
『それは違うぞ、はやて君』
『ああ、見ろ』
☆☆☆☆
「グアッ……」
「………」
☆☆☆☆
『ガ、ガイル選手…両腕を力無くダラリとぶら下げ、両膝を突いてダウン!そしてその腕が…技によって交差させていた両腕と胸から夥しい量の出血が…!
しかしシグナム選手は全く動かないとはいえ剣を握ったまま立ち続けています!これは文句無しにシグナム選手の勝……』
『いや、よく見ろはやて』
☆☆☆☆
「…ガイル…」
「……なんだ……」
シグナムはガイルへ視線を向け、話し掛ける。
「剣を超えし…人の刃……。
「皮肉か…。俺がこの有様で…」
「いや…そうでもない…」
「…なに?」
「レヴァンティン…よくぞ…耐えてくれた…。もう…休め…」
《Ja…Jawohl…》
シグナムがレヴァンティンに労いの言葉をかけた直後、レヴァンティンは「パキン」と音を立てて二つに折れてしまった。
『(ウソやろ!?アームドデバイスの中でも武器としての機能だけならトップクラスのレヴァンティンを…!!)』
「シグナム……」
「み…見事……」
シグナムは気力を振り絞った賛辞を述べると二の腕から胸にかけて一直線に走った傷から血が滴り落ち、握っていたレヴァンティンを離して前のめりに沈んでいった。
〔K.O.!! GUILE WIN!!〕
「Easy Operation…とはいかなかったな……」
☆☆☆☆
『し…試合終了!!ガイル選手のK.O.勝利です!!医療班、急いで二人を!!』
『二人ともえげつねえ技使いやがるなぁ。互いに威力を削いでなけりゃ下手すると二人とも死んでたんじゃねえか?』
『二人の力が拮抗していたが故に死力を尽くした闘いになったのは確かだ。
そして断言は出来ないが、逆にそれが二人の命を救った形になったのかもしれんな』
☆☆☆☆
一方、試合の一部始終を見ていたスバルとティアナは……
「い、いきなりとんでもないもの見ちゃったね…ティア…」
「………」
「……ティア?」
「(なんなのよ…なんなのよあれ!あんな化け物に……勝てるわけ……)」
「(覚悟、決めなきゃダメだね。ティアのためにも…)」
第七話「格闘大会 -剣刃と拳刃-」
ーENDー
【次回予告】
リュウ「出番が待ち遠しいな。早く闘いたいものだ」
エリオ「一回戦第二試合は目にも止まらない…いや、目にも見えないスピード対決。そして目が眩むような膨大な量の電撃対決。僕も同じような資質を持ってるけど、僕なんかが割り込める世界じゃない…!」
キャロ「おたがいに特徴が似てるけど決定的にちがうものが一つ…。それが明暗をわけるとしたらどっちが勝つのかな?」
次回 スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION
第十一話「格闘大会 -理性と野生-」
TAKE OFF!!
ガイルは実際に公式設定でも音速の拳で殴ってますが、他の格闘家はそれを躱したり防いだり喰らっても平気な顔してたりするからやっぱり化け物ですよね。
ちなみにこのシグナムの剣は音速とまではいかなくても音速近い速度が出ていて、ソニックフィストより一撃が重いです。
あとシグナムの方が重いのにガイルが互角に打ち合えていたのは、ガイルの方が速い分だけシグナムが遅れて剣速が充分に出せずにぶつかり合うからです。