スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION 作:拳を極めし者
注目技は何と言ってもヨガストリームっぽい地面に炎が残る設置技!あれはしっかりと調整しなきゃマジでヤバい技にそう。
あとダルシムの癖に連続技が繋がり過ぎな感じです。「ダルシムはそういうキャラじゃないだろ?」と言いたい。
そして地味にザンギエフがヤバいキャラになりそうな気がします。「ケズリK.O.が難しい環境でアーマー+コマンド投げは凶悪過ぎじゃね?」って気がします。
さて、これで残りは5オリジナルキャラ1人となりました。
どんなキャラが出るのか楽しみ!
しかしスト5での各種サービスの大部分が無料だったり、発売後に追加されるキャラも一気に6人と大盤振る舞いですが流石に6人は多過ぎな気がします。
まあ、最初だからサービス良くして食い付いて貰うにはこれくらいは必要なのかなーと思ってみたり。
あ、ちなみに今回は例によって人物紹介の回です。
【スバルside】
あたしは個人の控え室で(特別編成なので)ティアと一緒に待機しながらモニターで試合を見ていた。
なんでかと言うと、ティアが「話し掛けるなオーラ」を出しててとても他の人と一緒にいられる雰囲気じゃなかったからだ。
「あたし達の出番っていつだろうねー」
「………」
「そういえばさ!フェイト隊長を助けたダルシムさん、ちょっと不気味な見た目だったね!なんかドクロの首飾りかけてたし!」
「………」
「あ、あの人ってさ!飛行能力と…多分転送魔法っぽい技持ってるよね!」
「………」
「空を飛べる格闘家ってだけで厄介そうだし…当たったらかなりキツそうだなぁ。どう思う?ティア」
「………」
「…えーと…」
静かにならないようにティアに話を振ってるんだけど、肝心のティアは上の空。
どうしよう…空気が重い……と困ってたらそこへ救いの手が!
『スバル・ナカジマ選手、ティアナ・ランスター選手、一回戦第三試合の出場です。東の門への移動をお願いします』
アナウンスに促されてあたし達は移動を開始。これで気まずくならなくて済む!……って思ったけどよく考えてみたら歩いてる最中もこの状態は変わらないから結局空気が重い……。
☆☆☆☆
『司会&実況の八神はやてです!先ほどの激闘を制したフェイト選手の容体ですが、多少の物理・電気ダメージとブラックアウトだけなので翌日の試合に影響は無いそうです!』
『ブラックアウトってなんだ?』
『魔導師が魔力ダメージとか魔力の大量使用で自分の魔力がスッカラカンになった時に意識を失う現象のことや。あと限界を遥かに超える魔力負荷がかかって肉体にダメージが入るブラックアウトダメージってのもあるよ。今回のフェイトちゃんの場合は前者のパターンやね』
『なるほど、ありがとよ』
『いえいえ。さて、重傷を負ったジミー選手ですが、さすがは格闘家!先刻目を覚ましたかと思うともう元気に動き回り、フェイト選手に会いに行ったそうです!火傷もダメージも回復しきってないのにすごい体力ですね!』
『格闘家は一日に何戦もやらなきゃいけねえ時もあるからな。それくらいは当然だ』
『ダンさんー?そんなこと言ってもさっき通路でソワソワしながら歩き回ってたの知っとるんやでー?』
『う、うるせえな!』
『さあ!ダンさんをおちょくって空気が温まったところで選手にゅーじょー!!』
『たった今からお前は世界一嫌いな女に大決定だ!!!』
☆☆☆☆
『張り切っていきましょう!まずは東の門より……』
「うわー…緊張するなぁ…」
「………」
『特別編成のスバル選手&ティアナ選手の入場だぁ!二人とも表情が硬いぞ!緊張しているのでしょうか!?では続いて西の門!こちらより……』
「神よ…お許し下さい…」
『ダルシム選手の入場です!手を合わせて何かつぶやきながら歩いています!』
「あの、ダルシムさん!」
「何かね?」
「今日は胸をお借りします!よろしくお願いします!」
「……うむ」
「?」
一応礼儀として挨拶したけど…この人なんか反応悪いなぁ。
「スバル、余計なことしゃべるんじゃないわよ」
「う、うん」
挨拶は余計なことじゃないと思うんだけどなぁ。
「……御主」
「な、なんですか?」
ティアに釘を刺されたところでダルシムさんから声を掛けられる。神妙な面持ちでいったい何の用だろう?
「リュウと同じ『死を呼ぶ力』を持っているようだな」
「え……」
「!?」
「リュウより若きにして苦難の道よ…。決して呑まれぬよう、
「ど、どうし…」
「スバル!」
「あっ…」
ティアに言われたばっかりなのに口を滑らせちゃうところだった…。でもなんでこの人はそれを……
「……行くわよスバル」
「待ちなさい。御主…」
…なんて思ってたら今度はティアに話し掛けてきた。今度はなんだろう…。
「…時間がないので失礼しま…」
「御主からは過去の
「…!!」
「過去を忘れろとは言わぬ。だが悔やんだとて過ぎ去りし時間も失われし命も帰っては来ない」
「なっ…」
これってまさか…
「今を生きる者達の為にも過去だけではなく現在を見るのだ。さすれば自ずと未来も見えてくる」
ティアのお兄さんの…
「焦燥や迷いが有れば十の力も五になる。そのまま
「なんですって…!」
やばい…それは今のティアには禁句…!こうなったら!
「も、もう時間だよティア!所定位置に行かなくちゃ!」
「そ、そんなの分かってるわ!引っ張らないでよ!」
「………」
この場を離れようと強引に引っ張ってみたけどなんとか上手く行ったか…。
でもダルシムさんって不思議な人だ。うまく言えないけど…心の中を見透かされてるような…。どこか神秘的なような…。
☆☆☆☆
『それではゲスト解説のご紹介!聖王協会騎士団所属の騎士であり、時空管理局の理事官も勤めていらっしゃるカリム・グラシアさんです!』
『よろしくお願い申し上げます』
『本日はお忙しい中要請に応じてお越しいただきありがとうございます! 』
『私は異世界の僧侶の方を見られる機会がそう多くはないのよね。しかもそれがあの特別管理世界の方な上に、後でお会いさせていただけるというなら断る理由はないわ。こちらこそありがとう、はやて』
『カリム、ここいちおう公共の場なんでお友達感覚はちょっと…』
『あら、ごめんなさい。ついいつものクセで…』
『その公共の場で俺をおちょくった奴がよく言うぜ』
『ダンさんってモテないやろ?女の子のやることにいちいちケチつけたら嫌われるで?』
『お前にならむしろ喜んで嫌われたいね』
『こんなおおらかな女の子に嫌われるようやったら誰にも相手されんよ?』
『俺はシャマル先生がいれば他はどうでもいい!』
『シャマルはウチの家族やけどな』
『妹よ、義兄さんって呼んでもかまわんぜ?』
『あら、現金な方ね』
☆☆☆☆
〈スバル、作戦会議よ〉
〈うん!〉
〈紹介にあったけどあの人はリーチの長い攻撃に強力な炎、それにさっき見た通り転送魔…技と飛行能力も持ってるわ。まさかあたし達の対戦相手になるとは思わなかったけど、戦う前にそれらが分かったのは幸いだったわね〉
〈そうだね。でもそれだけあればすっごい多彩な戦い方ができそうだよね。何を警戒すればいいのか分かんないや〉
〈実際に見ないことには具体策は出せないけど…一番注意すべきは多分転送技よ。正直個人戦で使えるレベルの転送技術なんて信じられないけど…〉
〈下手すれば常に有利な位置を取られ続けて大変だろうしね〉
〈だからその技の特性や癖を優先的に分析するわよ〉
〈了解!〉
〈それとあんたはたしかギンガさんから耐熱性の高い防御魔法を教えてもらってたわよね〉
〈うん。あたしの場合はカートリッジが必要だけどね〉
〈いざとなったらそれで炎の防御頼むわよ〉
〈任せといて!〉
☆☆☆☆
「ではここでスカウトの経緯をご紹介!それは遡ること…」
[地球 インド カルカッタ近郊 アヒチャトラ村]
「あ…暑い…」
「こ、この地域は…この時期の平均気温が…30°C越えらしいですから…」
「こんな環境で…人って生きていけるんだね…」
照り返す太陽が頬を刺し、陽炎が見える程の熱に晒される中、村の入り口前でげっそりとしながら佇むフェイトとシャーリー。怪しまれぬようにと地域に合わせた上着を着ているので余計に暑苦しさが増している。
「早く…交渉しに行こう…」
「そうですね…。長居したら干からびちゃう…」
交渉の成否にかかわらず一刻も早くこの場を離れたい2人であった。
そして逸る気持ちを抑えて村の中へ入ろうとすると…
「待て」
「「!?」」
2人の10m程先に全身を布で何重にも包んだ謎の男が、何の音も反応も無く出現した。
「え?え?」
「(転送魔法!?)」
シャーリーは何が起こったのか理解出来ずにフェイトと謎の男で目を往復させながら右往左往していたが、フェイトはシャーリーと同様に驚きながらも言い知れぬ危険を感じて咄嗟に変身し、身構えた。
「それ以上近付くな」
「ま、待ってください!私達は怪しい者じゃ…」
「『気』だけでなく、それとは根源を異にする怪しげな力を持つ者を乱りに招き入れる訳にはいかん。去るがよい」
「「!?」」
「気」や魔力の感知は基本的にはどちらかにチャンネルを合わせる事で可能になり、合わせていない方は感知出来ない。
しかし感知能力が極めて高い者の中には、稀に合わせていない方も感知出来る者が存在する。だがそれは合わせていない方が大きい場合であり、その場合でさえ飽くまでも「違和感」という形で伝わる程度なのでその存在には気付きにくく、差が小さいか低い場合は感知が非常に困難となる。
「(こ、この人…どうして魔力を感じ取れるの!?)」
「今迄に感じた事の無い力…。この世に存在する筈の無い力だ…」
ミッドチルダではリュウの実例により、この世界では魔力という未知のエネルギーを持つ者に強い警戒心を抱く可能性が高いと考えられていた。
その為時空管理局はその可能性を考慮し、平常時の魔力反応ならばほぼゼロに抑えられる装備で魔力反応を抑える事で無用なトラブルを極力避けようと考えていたのだ。
「そのような力を隠して人里を訪れるなど怪しんでくれと言っているようなものだ」
しかしこの男は本来気付き得ない筈の魔力反応に気付いた。
しかもそれだけではない。それが「気」とは異なる根源から成るのものである事さえ看破したのだ。
「…まさか『魔人』の仲間か…!」
「『マジン』?なんのこ……」
「魔人」という言葉を切っ掛けに男の気配が一変し、シャーリーはあまりの威圧感に言葉を詰まらせ金縛りに会ったかのように身体を硬直させた。その直後…
「…!!」
「…去れ」
シャーリーの眼前から男が消え、後方からの声に気付いてシャーリーは振り向いたが時すでに遅し。
目の前は男の姿が見えなくなる程に大きな炎で覆い尽くされ、シャーリーは恐怖のあまり意識を失って膝から崩れ落ち、その場所を炎が包み込んだ。
「……疾いな」
「どうして…こんなことを…!」
「少々甘かったか…」
…が、炎の中に人影は無く、男の背後にはフェイトが気絶したシャーリーを抱えて立っていた。
「……あれ?私…」
「シャーリー、ここでジッとしてて」
「え…」
「あっちはやる気だから…」
「ちょ、ちょっとフェイトさん!」
しかし直様シャーリーは目を覚まし、フェイトはそのままシャーリーを自分の後ろに降ろして身構える。
男はそれに応じて身に付けていた上着を投げ捨て戦闘態勢に入った。
「やめてください!私達は…」
「そう言って我等を謀った事を忘れたか!」
それでもフェイトは何とか闘いを回避しようと説得を試みたが、やはり聞く耳持たずであった。
「去らぬならばこれ以上の手心は加えんぞ!」
「シャーリーを焼き殺そうとしておいて手心だと…!」
男の高圧的且つ一方的な言い分だけならまだ我慢出来た。
でもこの男はどんな理由があろうとシャーリーの命を奪おうとし、その上それを手心と吐かした。
その言動はフェイトのある感情に火を点けるのに充分過ぎるものだった。その感情とは勿論……
「ふざけるなぁぁぁぁーーーー!!」
「来るか!!」
そう、烈火の如き怒りだ。
こうして否応無しにフェイトと謎の男の闘いが始まった……かと思われたが……
「待って!!」
「「!?」」
2人の間にシャーリーが体を張って割り込んだ。
「シャーリー!?」
「…何のつもりだ。無力な者は下がっておれ」
「落ち着いてください!2人とも誤解してます!」
「「??」」
あまりにも唐突に勘違いを指摘され、フェイトと男は呆気に取られて構えを解いた。
「はあぁ~~~~…。助かったぁ……」
「ムチャしないで!もしどっちかが攻撃してたら危なかったじゃない!」
「そんなー!私、勇気を出してがんばったんですよ!?」
男は先程まで一触即発だったとは思えないフェイトの緩み具合に溜め息を吐き…
「……話を聞こう」
ようやく落ち着きを取り戻した。
「えー、まずフェイトさんの方から説明します。
この男性は私達を警戒はしてましたけど、私の命を奪おうとは思っていなかった。そうですよね?ダルシムさん」
「…私の事は調査済みか」
「え?………あ!(興奮しすぎて気付かなかった…。そういえば…この人がダルシム…)」
「はい、失礼ながら」
「では何故私にその気が無いと気付いた?」
「あなたは最初に現れた時に村に入らないよう私達に警告しました。ただ追い払うだけなら隠れて先制攻撃するのが定石です。でもあなたは逆だった。だから私はそこに違和感を覚えたんです」
「………」
「次に私の背後に回り込んで炎を撃った時に『去れ』って言いましたよね。消えろでも死ねでもなくです。これって『この村から去れ』って意味だって思ったんですよ。これから暴力を振るうって人が使うには優しすぎる言葉だと感じました」
「………」
「そしてフェイトさんと今まさに戦おうとしてた時の『これ以上の手心は加えんぞ』って言葉です。
その言葉を言う前にあなたはフェイトさんには攻撃していない。…ということはあの言葉は私に撃った炎のことですね。
『これ以上、手心は加えない』…つまりあの炎は手心を加えていた。もっと言えば私が死なないように手加減してくれてたってことになります。正直私は浴びたら死ぬと思ってたんですけどね」
「………」
「そして最後にもう一つ。これは割って入った後ですけど…。
あなたは『無力な者は下がっておれ』って言いました。私達をただの敵として見ているならわざわざ私が下がるのを待つ必要なんてないのに。これは私が戦える力を持ってないってわかって私が危ない目に会わないように心配して言ってくださったんだと確信しました。
だからそれらを踏まえて私は『この人は本来戦いを好まない、弱い人には手を出さない平和的な人なんだ』って結論付ました。でなければ敵と見なした人に対してここまで配慮してくださる理由がないですもの。
でもフェイトさんは私のことで頭に血が上ってそこまで頭が回らなかったみたいですけどね」
「シャーリー…。そんな身もフタもない言い方…」
「………」
ダルシムはシャーリーの説明を黙って聞いていたが、終わると直様口を開く。
「たったそれだけの情報で私の思考を読み、
「いえいえ!あなたの優しさがわからなかったらこんな危ないことしませんよ!」
ダルシムは驚きを隠せなかった。この少女は自分の身を守る力すら持っていないにも関わらず自分達の闘いに割り込んだ。
ダルシムの見立てでは金髪の少女は中々の手練れ。その手練れの少女が警戒する自分の力はこの少女も理解している筈だ。そんな自分達の闘いに巻き込まれれば無事でいられる保証は無い事も理解している筈だ。いくら自分を分析して信用していようと、一瞬の躊躇も無く止めに入るなど並の胆力で出来る行動ではないと。
「では次は私の誤解とやらを聞かせていただこう」
「はい。もう誤解は解けてると思いますけど、一から説明するので落ち着いて聞いてくださいね」
ダルシムは先程より畏まった面持ちでシャーリーに質問した。
「まず始めに…。
私達はあなた方を騙す気は全くありませんでしたが、それが裏目に出てしまったことをお詫びさせていただきます」
「…ああ」
「ではそれを念頭に置いて聞いてください。
私達はあなた方が魔力に対して強い警戒心を抱くことがわかっていたので、無用なトラブルにならないよう魔力反応を隠してここに来ました。でもあなたの感知能力は私達の想像を超えていて、それが誤解を招く原因になってしまいました。
だからあなたは私達をその『マジン』という人物の仲間と誤解して私達に手を出した」
「…その通りだ」
「でもよく考えてみてください。一度騙した相手に対して同じ手で再び騙そうとするのは変じゃないですか?普通なら対策を練られてるって考えて別の手を使うはずです」
「………」
「それに戦うつもりならこんな少人数で来ないし、少人数で来るにしても私みたいな弱い人を連れてくるワケがありません」
「………」
「そういうワケで私達はあなた方を騙すつもりも襲うつもりもない!…ってことです。
でもごめんなさい。私達の準備と知識が足りないせいで、あなたを誤解させた上に望まない戦いまでさせてしまいました。
本当に…ごめんなさい…」
「………」
シャーリーが申し訳なさそうに話を締め括ると、ダルシムは穏やかな表情で口を開いた。
「こちらこそ…すまなかった」
「…はい?」
「得体の知れぬ力を持っているとはいえ、御主達のような清き心の少女を襲ってしまった。許して頂きたい」
「い、いえいえとんでもない!ダルシムさんは謝るほど悪いことなんてしてませんよ!結局私達も無事だったんですし!」
謝られるとは思っていなかったシャーリーは、まさかの謝罪に慌てふためいてしまった。
「…そうか。では非礼の詫びも含めて私の家へ招待しよう」
「…だそうですけどどうします?フェイトさん」
「そうだね、お言葉に甘えようか」
こうしてダルシムと和解した2人はダルシムの家へ招かれた。
[アヒチャトラ村 村内 ダルシムの家]
「サリー、客人だ」
「あら、いらっしゃい」
「「おじゃまします」」
家へ入って中へ案内されると年齢20歳前後と思われる美しい女性が挨拶して来た。どうやらダルシムの娘で、サリーと呼ぶようだ。
「異国の方なのね。遠路はるばるご苦労様です」
「お気遣いありがとうございます」
「ただいま客間の準備をいたしますのでしばしお待ちください」
「あ、はい…」
あまりにも懇切丁寧な応対。それを目にした2人は奥へ駆けて行くサリーを見ながら「教育がしっかりしてるなぁ」と感心した。
「お待たせいたしました、こちらへどうぞ」
サリーに案内されて居間へ入ると、そこにはテーブルが一つ置いてあって他には特に飾り気の無い殺風景な部屋だった。そのテーブルの上には3人分の日本風カレーが置いてある。
「異国の方の知るカレーは存じております。お口に合えばよろしいのですが…」
「い、いえ!気持ちだけで充分です!ありがとうございます!」
「サリー、お前はダッタを連れて外へ出ていなさい」
「はい、わかりました。ではお客様、ごゆっくりどうぞ…」
ダルシムに退室を促されたサリーは「ダッタ」と呼ばれた子供を連れて外へ出掛けて行った。
酷暑の中でのスパイスの効いたカレーを食べるという苦行に四苦八苦するフェイトとシャーリーは、舌休めを兼ねてダルシムの娘と思しき女性の話題を切り出した。本当は早く本題に入りたかったが、やはり食事中にすべき話ではないと判断したからだ。
「家事だけでなく、歳の離れた弟さんのお世話までしてるなんてよくできた娘さんですね」
「娘さんがこんなに美人でいい人なら奥さんもさぞ素敵な方なんでしょうねー」
フェイトとシャーリーはサリーの事を素直な気持ちで褒めちぎった。しかしダルシムは……
「…サリーを見た者は皆、口々にそう言う」
憂いか、又は落胆か。顔を曇らせながらそう言った。
「え…あ…」
「わ、私達…もしかして失礼なことを…?」
「失礼という程のものでもない。気になさるな」
「そういうわけにはいきません。失礼があったなら二度としないように心掛けます。だから教えてください」
「………」
フェイトが食い下がるとダルシムは表情を緩め…
「御主もなかなかに『よくできた子』だな」
同じ言葉でフェイトを褒め称えた。フェイトも笑顔で返すとダルシムは再び口を開く。
「サリーは確かに若いが私の子ではない」
「ダルシムさんの子じゃない?サリーさんはお手伝いさんかなにかなんですか?」
「違う」
「じゃあ親戚ですか?」
「そうではない」
「それならご友人のお子さんを預かっているとか?」
「それも違う」
「あ、わかった!近所のお知り合いが遊びに来てたとか!」
「不正解だ」
「「???」」
これ以外に当てはまりそうな関係が思い浮かばない…。悩みに悩んだ末に二人は言葉が出なくなってしまった。
「やはり分からんか…」
「す、すみません…。ではサリーさんとはどんな関係なんですか?」
「夫婦だ」
「そうですか。夫婦…」
「へぇ、夫婦………」
ダルシムの答えを聞いた二人は納得して頷こうとしたが……
「「………」」
「………」
時が止まったように硬直し……
「「夫婦!?」」
「………」
5秒後に口を揃えて素っ頓狂な声を上げた。
「き、聞き間違いでなければ…夫婦って聞こえたんですが…」
「聞き間違いではない。
「「………」」
再び硬直。次は先程より早い3秒後に硬直解除だ。
「し、失礼ですがお二人の年齢は…」
「私が45歳、サリーが25歳だ」
「に、20歳差…!」
「じゃあさっきのお子さんは…」
「私とサリーの息子だ。サリーが17歳の頃に生まれたので現在は8歳になる」
「「………」」
流石に慣れてきたので今度は1秒後。開口した二人は…
「じゅ、10代で…出産ですか…」
「あ、愛があれば歳の差なんてってやつですね!」
「うむ、2人は私の愛する家族だ」
「「(愛する家族…))」
自分達より若い年齢で出産する女性に驚き、またフェイトとシャーリーにとっては本来「愛する」という言葉は歯が浮くものであったが、この時2人にはダルシムの目が全てを慈しむ神仏のような神々しさを放っているように見え、ダルシムの言葉に感動さえ覚えたという。
「ところで御主ら…」
「「はい」」
話が一区切りつき、食事も終わったところでダルシムが本題に入った。
「私に用があったのではないか?」
「あ、そうでした!…ってなんでわかったんですか?」
「事前に私の事を調べていたようだからな」
「あ…そ、そうでしたね」
本来の目的を忘れていたシャーリーは恥ずかしがりながら思い出した。
「ダルシムさん、あなたにお願いがあって伺わせていただきました」
続いてフェイトが話を切り出す…が、ダルシムは…
「おおそうだ、大事な事を忘れていた」
「?」
何かを思い出したようだ。
「御主らは何者だ?
明らかにこの世のものではない力を宿しておる以上、只者ではない事は分かっておるが…」
「…そうですね。先にその説明が必要でしたね」
フェイトはそう言うと立ち上がり…
「この辺に人気が無くて周りが壊れても大丈夫な場所はありますか?」
自分の力を見せる事を決意した。
[アヒチャトラ村付近 無人地帯]
「ここなら人も動物も居らぬし壊れて困る物も無い」
「ありがとうございます」
ここは人や動物の通った形跡もなければ植物すら殆ど無く、辺り一面砂と石だらけの荒地。ここなら誰かに見られる心配は無さそうだ。
「フェイトさん、わざわざ戦わなくても…」
「この人はただの僧侶じゃなくて格闘家でもあるんだ。だったら説明するより切り結ぶほうが早いよ」
「ええ~~…」
シャーリーは思った。
これは建前だ、と。なんだかんだ言っても戦うのは嫌いじゃないんだ、と。
やっぱりこの人もシグナムさんに負けない戦闘狂だ、と。
シャーリーが若干呆れながら物思いに耽っていると、2人が戦闘準備に入る。
「…先程も見たが、それが御主本来の姿と力か」
フェイトは既にバリアジャケット姿に変身し、
「これが魔力というものです。そしてその魔力を操り、別の在り方に変えて発動させるのが魔法です。この姿は魔法で作られた服を着てるんですよ」
「魔力…。その在り方を変えるのが魔法…。成る程、『気』と似通った部分があるな。それにしても御主、見た目に反して中々の気勢よ」
「あ…あなたも身構えた途端、気配が変わりましたね…」
「ほう、中々鋭いな」
ダルシムは開いた両手を前に出し、全身と連動するようにゆっくりと揺らしている。
フェイトは構えたダルシムの眼光に射抜かれ、肌が粟立って行く。
「(そう、この少女…。20にも届かぬであろう
「(なんだか…私の心を見透かすような目…)」
「(だというのにこのような穢れ無き心に育つとは…。余程に良き出会いがあったのだろうな)」
「「………」」
2人は互いを見つめ合ったまま動かない…が、またしても大事な事を聞き忘れていたダルシムは先に口を開く。
「……まだ御主の名を聞いていなかったな」
「…フェイト。フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです」
「うむ。…眼鏡の御主、名は?」
「え、私!?シャ、シャリオ・フィニーノです!気軽にシャーリーって呼んでください!」
「うむ、承知した。…フェイトよ、そろそろ良いか?」
「はい、私はいつでも」
「ではシャーリーよ、審判と合図を頼む」
「はい!」
ダルシムに頼まれたシャーリーは2人から離れ…
「それではフェイト選手VSダルシム選手!READY…」
右手を高々と空に掲げ…
「FIGHT!!」
「いざ!」
「行きます!」
その右手を勢い良く振り下ろした。
☆☆☆☆
『……そして戦いが終わって納得したところで話し合った結果、お詫びの一環としてこの大会への参加を決めていただいたそうです!』
『納得っつーかただ食後の運動してスッキリしただけにしか見えねーな』
『ツッコミ鋭いなぁ』
『それにしてもフェイトの嬢ちゃんって意外と好戦的だな。こっちの世界ではそういう奴が多いのか?』
『時空管理局の腕利きって身体を動かすのが好きな人がけっこう多いんですよね。聖王教会騎士団は文字通りなので好きというか義務ですけど』
『身体を動かすっつーか殴り合いだろ』
『そうとも言うなぁ。あっはっは!』
『強え奴の考える事はどこの世界でも同じって訳か』
『んー、そうみたいやな』
『うちのシャッハも自分からお願いすることはほとんどないですけど、シグナムさんと模擬戦をしている時はとても生き生きしていますね』
『あの姉ちゃんと闘って生き生きするって事はシャッハって奴も中々の手練れだな』
『はい、シャッハは騎士団のエースですから』
『ではそろそろ時間も押してきましたので進行しましょう!
今回のステージは……「市街地」!ビルが建ち並び、その隙間を道路が網のように伸びるステージです!
それではダンさん、両選手の特徴と試合の見所をお願いします!』
『そうだな、先ずはガキ共からだ。
互いに格闘型と射撃型にハッキリと分かれてるから得手不得手も分かり易いが、その分しっかり噛み合ってる感じだな。
資料や映像をパッと見た感じ青いヤツはかなりパワーがあって格闘術もなかなか様になってるし、道を作る魔法…えーと、あれがあるから空中戦にも充分対応出来るってところがポイント高いな』
『道を作るのはウイングロードやね。
たしかに陸戦魔導師でありながら空を飛ぶ相手にも五分に立ち回れるウイングロードはこの試合においても重要な意味を持ちます』
『後は…ある程度「気」を使えるみたいだがそっちはまだまだだな。小周天は出来るみてえだから無理に「気」を使わねえ方が効率がいいだろう。あの若さで小周天なんてちょっと驚いたけどな』
『しょうしゅうてん?』
『スッゲー簡単に言うと体内の「気」を巡らせて肉体を強化する奥義の事だ。あいつの場合は一般的な小周天とはちょっと違うみてえだけどな』
『奥義!?でもスバルはリュウさんにちょっと習ってからは普段から当たり前にやっとったで!?』
『マジかよ!……そういや見た目といい、バトルスタイルといい、そして才能といい、さくらを思い出させる奴だな…』
『さくらって誰や?』
『いや、独り言だ。気にすんな』
『気になるなぁ。後で教えてな!』
『気が向いたらな。次はオレンジのヤツか。こいつも射撃型にしちゃあまあまあパワーがある方だ。
で、あの武k…デバイスは弾撃つだけじゃなく面白え機能が付いてたな』
『弾以外?えーと…アンカー飛ばして壁とかにくっつけて巻き取るアンカーショットのことやろか?』
『それだ。あの機能は工夫次第で色々応用が効くからな』
『ウチはあんまり思いつかんなぁ。ゲスト解説のカリムさん、いかがでしょうか?』
『そうね、基本的な使い道は移動でしょうけど…。
腕力がある前提ならアンカーを固定した物は振り回せば即席の打撃武器にできたり、引き寄せられたりしますね。予め設置すれば相手の移動を制限したり、難しいですけど何かに巻き付けて引き戻せば締め付けられたりとか…。それが2丁ともなれば応用の幅はもっと広がると思います』
『なるほど~。そう聞くとたしかに色々できそうですね~』
『後は射撃の腕と数種類の弾の使い分けがレベル高えな。俺達の世界のでもあれ程の使い手はそうそういねえ。あの歳で大したもんだ』
『なんか子供だけえらい褒めまくっとるなぁ。もしかしてそっちに目覚めたとか?』
『泣くまで耳元で悪口囁いてやんぞコラ』
『そんなことより解説解説!』
『…まあいいや。で、幻術魔法だが…………』
『??』
『ダンさん、口籠もっていかがなさいました?』
『いや…ハッキリ言うのもアレかなって思ってな…』
『この声は選手には聞こえてないんでハッキリ言ってもええんやで?』
『そうか、それならいいか。
まあアレだ、要するにだ。格闘家に幻の類いはあんまり効かねえ……っつーか悪いが多分、ダルシムにゃあ一切通用しねえと思うんだ』
『一切?こりゃまたズバッといったなあ』
『どうしてそこまでハッキリと言えるんですか?』
『あいつは俺達の世界でも殆どいない「心眼」の使い手だからだ』
『しんがん?』
『物事の本質を見抜く力の事だ。
あいつはただでさえ感知能力が高えから、それと感知能力を組み合わせりゃ見抜けねえモンなんざこの世に存在しねえってこった。
オレンジのヤツがいくら高度な幻術魔法を使ってもダルシムには本物しか目に入らねえだろうぜ』
『『………』』
『………だから言いたくなかったんだけどな』
『い、いやあ~ダルシム選手ってすごいですね!』
『……神へ身を捧げるとそのような目覚めもあるんですね。興味深いです』
『次はダルシムだな。
あいつはヨガっていう荒行によって身に付けた技を使って闘うんだが…ハッキリ言って化け物だ』
『化け物?あの方はそれ程までに強いのですか?』
『それだと半分正解半分ハズレだ、カリムの嬢ちゃん』
『??』
『強いのはもちろんだが…闘い方が、な』
『どういうことや?』
『よくわかりませんが…戦い方が怖いということでしょうか?』
『ちょっと語弊はあるが…極端に言えばそうだな』
『気になる言い方ですね』
『まあ、お楽しみは試合が始まってからってことやな!』
『じゃあ最後に試合の見所だな。
あのコンビは互いのスキルがガッチリ噛み合っててコンビネーションはかなりのもんだ。これはけっこう崩しにくいだろう。
ウィングロードがあるからもし飛ばれても対処はしやすいだろうが、問題はあの移動技…こっちでは転送っていったけか。あれはキツいだろうな』
『…となると彼女達の勝負の鍵はそれを見切れるかどうかというところですね』
『そうだ。それさえどうにかなりゃ炎も長いリーチも対処出来ない事はねえ』
『(でも逆に言えば、それがどうにもならないと苦戦は免れないってことやな)』
『後は障害物を上手く使って回避と接近が出来れば文句無しだ』
『市街地ならマッハキャリバーのアブソーブグリップやクロスミラージュのアンカーショットを活かしやすいですしね』
『さて、あのコンビは試合中に見切れるかねぇ』
『そういうのはティアナの得意分野や。期待してもええと思うで』
『そうかい。それじゃあそろそろいい時間だ』
『そうですね。双方、所定位置に到着!中央の幾つかのビルを挟んで向かい合っています!間も無く試合開始です!』
〈スバル、作戦通りに行くわよ〉
〈うん!任せて!〉
「(……試してみるか)」
『それでは一回戦第三試合!スバル&ティアナ選手VSダルシム選手!』
「(さっきは弱音吐いちゃったけど…それでも勝ちたい。兄さんのために…!)」
『READY………』
「(ティアはきっと勝つためにムチャするに違いない。そうならないようにするためにあたしもがんばるぞ!)」
『FIGHT!!!』
「「(絶対勝つ)!!」」
「始めるか…」
こうしてとうとう機動六課以外の格闘家と闘う時が来た。
試合開始だ!!!
【スバルside…TO BE CONTINUED】
…という訳でダルシムさんの登場です。まさか人物紹介だけでこんなに長くなるとは自分でも思いませんでした(汗)
ぶっちゃけこのダルシムは強キャラとして登場させたので、割りとチートっぷりを発揮します。
心眼の設定は「ストリートファイター×鉄拳」のVSレイヴンの勝利台詞から発想を得ました。
あと心を読めるのは公式設定です。しかも相手の思考もハッキリと読み取れるスゲー性能です。
……てゆーかダルシムってリートファイターシリーズだけでなく他のゲームや各種メディアの設定も組み合わせると、凄まじいチートキャラと化してしまうので何処まで盛り込もうかと悩み中なのです(ー ー;)