スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION   作:拳を極めし者

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今回はダルシムさんのチートが加速します(笑)



第十二話「格闘大会 -幻影と幻炎-」3

【スバルside】

「ティア!!」

 

「!!」

 

「ヨガ…」

 

 消えたのを確認して直様ティアに振り向くと既にダルシムさんがティアの背後の上空に回り込んでおり、顔を上に向けるという次の行動を推測し難いポーズを取っている。そして……

 

「くっ!」

 

「フレイム!!」

 

 まるで巨大なバーナーのような炎がダルシムさんの口から飛び出した。

 

「ああぁぁぁぁ!!」

 

「ティア!?」

 

「………」

 

☆☆☆☆

『ダ、ダルシム選手…転送技からの火炎攻撃が飛び退いたティアナ選手の左肩に命中!一瞬でバリアジャケットの命中した部分が燃え尽き、肩を焼かれたようです!』

 

『直撃でないとはいえいきなり喰らっちまったな』

 

『ヴァリアブルシュートを撃ったせいでちょっとフラついて反応が遅れてしまったようですね』

 

『さっき言ってたブラックアウトってヤツの一歩手前の症状か。ところで温度の計測は?』

 

『あ、今出すよ。えーと…………は?』

 

『はやて、どうしたの?そんなにすごい温度だったの?』

 

『炎のあった部分…口元から先端部分まで…。最初から最後まで外気温と完全に一緒や…。つまりこれは…』

 

『「炎は存在してねえ」って事だ』

 

『『!!?』』

☆☆☆☆

 

「(痛い痛い痛い痛い痛い……!!)」

 

「ティア!大じょ……」

 

 炎を受けてバリアジャケットの一部が燃えたのは分かる。

 ティアが普通じゃない痛がり方してるって事はバリアジャケットが破られて炎を直に喰らったからだろうって事もまだ分かる。

 

「な、何これ…」

 

 でもこれは分からない。なんで?どうしてティアの肩に火傷が無いの?

 それに炎を浴びた地面を見ると、何故か焦げ跡の一つすら見当たらない。

 

 もしかして幻術?いや、違う。もし幻術ならバリアジャケットが損傷するなんて有り得ない。

 でもそれだと地面が焦げてない理由も肩を焼かれた筈のティアが火傷を負ってない理由も分からない。この人は一体何をしたの?

 

「理解出来ぬであろう」

 

「!?」

 

 いつの間にか地面に降りていたダルシムさんがあたしに話し掛けて来た。

 追撃もせずに話し掛けてくるなんて一体何のつもりだろう。

 

「異世界にも宗教は有れど、御主等の信ずるは目に見ゆるもののみ。故に御主等は神の存在を信じられぬのだろう」

 

「……は?」

 

 この人、いきなり何を言ってるんだろう。今の話とさっきの炎の話に何の関連があるの?

 

「我が炎はその神より授かりし力なり」

 

「か、神の力?」

 

 神ってたしか…見えない・触れられない・聞こえない・観測出来ないけど存在してて、この世の全てを作って管理してて、いい人を救って悪い人には罰を与える絶対的な存在…だったよね…。

 でもそんなのを信じてる人は次元世界の中でも「超」が付く程の少数派。聖王教の人でさえ信じてる人が少ないくらいだ。

 正直言ってあたしも神の存在は信じてない。見えないどころか観測すら出来ないなんて存在してるって言えないよね?

 だからあたしは大多数の人が言ってるように、何も縋るものが無い人が作り出した偶像の類いなんだと思ってた。

 

 でもこの人は神の存在を信じてる。それどころか神の力を借りてるとまで言った。

 この人、正気なの?

 

「その神の名は火神『アグニ』。我が炎はアグニより授かりし幻の炎なり」

 

「神…。幻…」

 

 炎の神?神にも種類があるってこと?…いや、今はそんなのどうでもいい。それよりあの炎の事だ。

 地面は焦げてないしティアの肩も綺麗なまま。って事はやっぱり幻術?でもバリアジャケットは燃えたしティアが実際に凄く痛がってる。

 あんまり考えたくないけど…神の炎だからこそこんな矛盾を簡単に引き起こせるんだろうか。

 

「この炎は幻…。故に現世の『物』は焼けぬ。しかし、それ以外の『力』…。凡ゆる『力』を焼き払うのだ」

 

「…!!」

 

☆☆☆☆

『どういうこっちゃ…。ティアナは外傷は無いみたいやのにとんでもない痛がり方しとるし、間違いなくバリアジャケットは焼失しとる。

 幻術でも催眠の類いでもない…。あの炎はいったい…』

 

『言ったろ?あれは神の炎。この世の何を持ってしても絶対に再現出来ねえ奇跡の力だ』

 

『ヒビキさん、あなたはあの炎の特性をご存知なんですか?』

 

『見た事はねえから大雑把だけど一応な。あの炎は「物質を燃やせない」。だがその代わりに「凡ゆるエネルギーを燃やせる」んだ』

 

『エネルギーを燃やす???』

 

『オレンジの奴が喰らった部分を見てみろ』

 

『…バリアジャケットの肩の部分が燃えたのに本人の肩は無傷…ですね』

 

『だな。で、あの服はなにで作られてんだ?』

 

『ええと、バリアジャケットはみんな上から下まで魔力で………あ!』

 

『そういうこった。そのエネルギーってのは熱や電力なんかは勿論、「気」や魔力なんかも含まれる。

 あの服は魔力…つまりエネルギーから作られている物質だ。だから燃えた。

 だがオレンジの奴の身体は当然ながら生身という天然の物質。だから燃えなかった』

 

『で、でもそれならなんでティアナはダメージを?』

 

『あの炎は「精神」にもダメージを与えられるんだ』

 

『精神……』

 

『「精神は肉体を支配する」ってな。

 精神力が削られれば肉体も疲労していく。あの炎はそれを激痛って形でダメージ与えてるみてえだ。しかもあの炎は肉体の強さに関係無くダメージを与えられる。気弱な奴や根性無しがまともに喰らえば一撃で昏倒する事もあるみてえだ』

 

『なんて…えげつない技や…』

 

『だが攻略法はある』

 

『はあ、そうですか』

 

『軽く流したなオイ』

 

『(格闘家って揃いも揃って化け物ばっかりやないか…。ホンマにそっちの世界はどうなっとるんや…。

 もしかして「あの話」と関係あるんか?)』

☆☆☆☆

 

「御主…」

 

「…っ!」

 

 ダルシムさんがいきなり睨み付けてきた。あたしも負けまいと睨み返す。

 

「まだ続けるか?」

 

「当たり前です!絶対諦めま…」

 

「黙りなさい!!」

 

「「!?」」

 

 あたしが言い返そうとした瞬間にティアの怒号が飛び出し、同時にダルシムさんへオレンジ色の魔力糸が走る。

 

「むうっ!」

 

 この攻撃は予測出来なかったせいか咄嗟に両腕で防御するダルシムさん。

 

「(何だこれは…取れん…!)」

 

 腕にダメージが無いのに驚いているダルシムさんの隙を狙ってティアは…

 

「はああああ!!!!」

 

「!?」

 

 アンカーの魔力糸を引き戻した勢いを利用し、反対側へ全力で投げ飛ばした。

 ダルシムさんは振りほどけずにティアの為すがまま斜め上へ飛んで行き、窓を突き破って中へ落ちていった。

 

☆☆☆☆

『なんと!隙を突いたティアナ選手がアンカーショットをダルシム選手の腕へ撃ち込み、引き寄せながら即座にビルへ向かってぶん投げたぁぁぁぁ!!』

 

『咄嗟にしちゃあいい判断だったな。だがありゃ投げ損ねたっぽいぞ』

 

『え?うまく投げ飛ばしたように見えましたが…』

 

『はやて、ダルシムを追っ掛けた映像は出せるか?』

 

『今出すよ。スローで再生、っと。…あ』

 

『やっぱりな』

 

『よく見るとダルシム選手が投げられる最中にため息のように小さな炎で魔力糸を焼き切り、受身を取りながら窓に飛んで行きました!』

 

『本来なら下に向けて叩き付ける方が何倍も強えのに斜め上にかっ飛んでったから変だと思ってたんだ。まあ、時間は稼げたから結果オーライだけどな』

☆☆☆☆

 

 ダルシムさんがガラスを突き破って奥に飛んで行ってから物音の一つも無く静かになった。その隙にティアは…

 

〈ティ…〉

 

〈あたしに付いて来て!〉

 

 あたしが声を掛ける前にアンカーショットを建物にくっつけて移動開始。あたしもそれに付いて行って建物の陰に退避した。

 

 

 

☆☆☆☆

『スバル&ティアナ選手、再び建物の陰へ!先程負傷した…と思われたティアナ選手の具合を見ながら作戦会議のようです!』

 

『でも変ね。どうしてダルシム選手はこのまま攻め立てないんでしょうか』

 

『……多分、「種を育てる」為だろう』

 

『種を?どういうことですか?』

 

『「種」は蒔いた。『水』もやった。後は育つのを待つだけ、ってな』

 

『………(ずいぶん詩的な例えね。よくわからないわ)』

 

『(それにしても分からねえな。ダルシムはなんであんな生温いやり方しやがるんだ?こんなの慈悲深いどころか長く苦しめるだけの無慈悲なやり方だ。一体何の意図が…)」

☆☆☆☆

 

「ティア!肩大丈夫!?」

 

「こ、これくらい……なんともないわ!」

 

 ティアはそう言いながら勢い良く立ち上がった。さっきは尋常じゃない痛がり方をしてたけど、どうやらもう大丈夫みたいだ。

 

「直接受けて…よくわかったわ。あの炎はあいつの言うとおり魔力を燃やせる」

 

「ま、魔力を!?意味わかんないんだけど!?」

 

「例えようがないのよ。バリアジャケットは燃え尽きたのに、地面は焦げてない上に肉体にはノーダメージ。だけど本物の炎みたいに熱くて痛かった。こんなの他に説明のしようが無いわ」

 

「………」

 

 ティアがそんな非科学的な事をあっさり認めるなんて…。じゃあ……

 

「しかもそれだけじゃなくて精神的なダメージを与えられるみたい。肩にかすっただけなのに疲労感がすごいのは多分そのせいよ」

 

「精神!?じゃあなんで今平気な顔してるの!?」

 

「多分だけど…ダメージを精神力が上回ったからよ」

 

「…もうちょっとわかりやすくお願いします」

 

「……ガマンしたのよ」

 

「へ?」

 

「…あんた、あたしにつねられた後はどうしてる?」

 

「えーと…痛みは長続きしないから痛みが引くまで………あ!」

 

「そういうこと。あの炎も同じように痛いけど、一瞬だけならなんとかガマンできるってことよ」

 

「そっかぁ、最悪くらってもなんとかなる可能性があるんだね。でも魔力を燃やすってことは防御だけじゃなくて射砲撃も無意味なんじゃ…」

 

「そんなことはないわ。大きい魔力を燃やすにはそれなりに時間がかかるはず。魔力の塊であるシールド系や展開面を限定したバリア系防御魔法なら一瞬で燃え尽きるってことはないはずよ」

 

「そっか。じゃあプロテクションは無意味じゃないんだね」

 

「それに射砲撃も弾速や魔力量次第では貫けると思うわ」

 

「要するに魔力が燃え尽きる前に炎を通過するか、燃やされる量を上回ればいいんだね」

 

「そういうこと」

 

「大魔力の射砲撃となるとあたしの場合はディバインバスター…」

 

「あたしの場合はファントムブレイザーね。でもあの転送技がある限りそんな大技を狙うチャンスはほぼ無いと思った方がいいわ」

 

 そうだ。すっかり忘れてたけどそっちも…ううん、多分そっちの方が重要な事だ。

 

「転送技…。ティアは見えた?」

 

「……ええ」

 

「跳び上がりながら足を組んで、両手を下向きに広げたと思ったら一瞬で光に包まれて消えたよね」

 

「格闘家が使う技だから発動も転送後も隙が少ないとは思ってたけど…」

 

「発動には1秒かかったかどうかって程度だし、転送後も即座に動けてたね」

 

「それだけじゃない。魔法陣みたいなマーカーを必要としないから発動を防ぐのも転送位置を割り出すのも難しいわ」

 

「…あのさ、なんか攻略法は…思いついた?」

 

「…今のところは…まだ…」

 

「…そっか。じゃあがんばって見つけなきゃだね」

 

「…そうね」

 

「(でも…隙がなさ過ぎて…)」

 

「(攻略なんてできるの…?)」

 

 長いリーチとあの炎は集中すればなんとかなりそうなんだ。でもあの転送技は多分歴代の転送技術の中でもトップクラスの性能だろう。

 もしあれが悪人に使われたらと思うとゾッとするくらいだ。

 

 一体どんな特訓をすればあんな反則技を使えるようになるんだろうか。

 格闘家の中にはあんな反則技を破れた人はいるんだろうか。

 もしかしてダルシムさんは最強の格闘家なんじゃないだろうか。

 あたしなんかダルシムさんと比べたら赤ん坊と大人くらいの差があるんじゃないだろうか。

 考えれば考える程こんな弱気な事しか浮かんでこない。

 

「(ダメだ…さっぱり浮かばない…。ティアでも思いつかないのにあたしなんかが…)」

 

 …そういえば…もしかしてティアもこんな事考えてるんじゃ?

 あたしなんかよりずっと頭のいいティアが答えを出せないんだ。もしかしたらあたしより思い悩んでるかもしれない。

 

「(あたしがこんな弱気でどうする…!)」

 

 そうだ、ティアの為にも絶対負けられない。あたしの取り柄は真っ直ぐ走る事!今はとにかく転送技を見切るのに集中だ!

 

「(『種』は育っているようだが育ちが遅いな。ならばもう少し『水』をやるか)」

 

 

 

「じゃあ行くわよ!」

 

「うん!」

 

「フェイクシルエット…!」

 

 あたしとティアが動き出すと、それに呼応するかのようにダルシムさんがビルを飛び出して来た。

 しかも今度はさっきの転送技の時みたいなポーズで飛行している。どうやら次は空中から攻めるらしい。

 

〈スバル!〉

 

〈任せて!〉

 

 だったらこっちがやる事は一つ。

 

「ウイング…!」

 

 こっちも空中戦だ!!

 

「ローーーーード!!!」

 

☆☆☆☆

『やはり空中戦となればこれしかない!スバル選手のウイングロードだァ!!』

 

『数本くらい燃やされてもなんとかなるようにたくさん作ってますね。なかなか器用な子だわ』

 

『しかもある程度複雑に交差させつつダルシムを囲むように張り巡らせてるな。あれならどれがどう繋がってるか分かりにくいし飛行じゃ抜け辛い。

 だが道を歩く以上、動きがバレバレだ。それに幻がダルシムに通用するか分からねえ。どうなるかね』

☆☆☆☆

 

〈ティア!先に行くよ!〉

 

〈無理して突っ込むんじゃないわよ!〉

 

〈わかってるって!〉

 

《Wing Road.》

 

 あたしはまた先行して囮役兼牽制役になる。

 ティアと距離を空けるのは危険だけどせっかく作ったウイングロードが全部燃やされたら困るし、ティアとくっついてたら攻め手が減ってジリ貧になるからあたしはどうしても接近する必要がある。

 しかもその上で転送技で死角に回られても互いにフォロー出来るギリギリの距離を保たなきゃならないから、距離の僅かな調整ミスが命取りになり兼ねない。

 

☆☆☆☆

『おおっとスバル選手!自分で作ったウイングロードの先端に乗り、道を伸ばしながら走り出しました!シルエットも本人の動きを鏡合わせにトレースしています!まるで本当に飛行魔法で飛んでいるようです!』

 

『なるほどな。先端で道を作りながら走れば行き先はバレにくいし、回避しながら道を作り続ける事も出来るし、いざとなれば周りの道に飛び移りやすい。

 これは思い付かなかったぜ。創意工夫がすげえな、あの青い奴』

 

『ランスター選手もあの分かりにくい道をアンカーショットを使ってショートカットしながらかなりの速度で追いかけてますね。あれなら互いにフォローしやすそうだわ』

☆☆☆☆

 

「(道を一本一本落とすのは手間だな。では…)」

 

「(あの構えは…!)」

 

 ダルシムさんがさっきの大きい炎を吹いた時と同じ構えを取った。しかもシルエットの方は一瞥した後、完全に無視して本物のあたしの方を向いている。

 

「(本物を勘で!?)」

 

「ヨガファイッ!」

 

「(射撃!?)」

 

 今度は火球を口から飛ばして来た。

 さっきの炎と違って一発でウイングロードを燃やせる程大きくないけど、顔くらいの大きさがあって射程距離は圧倒的に長いし、弾速も結構速い。

 でも躱せない程じゃないのでスウェイでギリギリ回避してそのまま直進だ!…と思ったら…

 

「いっ!?」

 

 突然あたしの乗ってたウイングロードが消滅。

 

「(うそ!?なんで!?)」

 

 いきなり足場を失って逆さに落下した事で完全に無防備な姿を晒してしまったあたしに対して、ダルシムさんは既に2発目の火球を撃ち込んでいた。

 これじゃあプロテクションを張る時間もウイングロードを作る時間もナックルダスターを使う時間も無い。

 

 ティアはあの炎がちょっと肩を掠めただけであんなに苦しんでたんだ。直撃したら想像もしたくないくらいの痛みを受けるに違いない。

 もしそうなれば一撃で戦闘不能になってもおかしくない。だから絶対喰らっちゃいけない。でも防御も回避も実行するだけの時間が無い。

 

「(そんなの…やだ…!)」

 

 こんな終わり方なんて認めたくない。だけどもうどうしようもない。

 油断が招いた自分の最後に涙を滲ませて前が見えなくなりそうだった。そんな時だった。

 

「スバル!!!」

 

「!!?」

 

 最も頼れる人の声が後ろから聞こえて来た。

 

 

 

「起きなさい!」

 

「え?…あ!」

 

 動く事も忘れて落下してたあたしを気付けする声。意志を取り戻したあたしは体勢を立て直してウイングロードに着地した。

 

〈足を止めない!〉

 

〈は、はい!〉

 

 気付いたらすぐ近くまで来てくれていたティア。どうやらあの火球からあたしを助けてくれたのはティアみたいだ。

 着地してから直ぐにティアとくっついて動き出すとダルシムさんが火球を連続で撃ち込んで来た。

 あたしはさっきの事を思い出してどうしようかと慌てると、ティアは火球に向かってクロスミラージュを構えた。

 

「(え?並の射撃じゃ簡単に燃え尽き…)」

 

「シューーート!」

 

「え!?」

 

 火球の一個にシュートバレットが当たるとその火球がいきなり弾け、更に数発撃ち込むと煙のように消え去り、他の火球も同じように跡形も無く消滅した。

 

 …あれ?シュートバレットってただ魔力を弾丸状に形成して撃ち出すだけの魔法だよね?なのになんで火球を飛び散らせたの?

 まさかシュートバレットに爆裂効果を付与したの?

 でも効果付与ってキャロのアルケミックチェーンみたいに纏めてやるなら複数でも比較的簡単だけど、射撃魔法の場合は発射台が無いと弾体の一個毎に付与しないといけないからすっごく大変なんだ。

 正直言って今のティアには…てゆーかなのはさんでもかなり難しい筈なんだけど…。

 

〈ティア!今のってどうやったの!?〉

 

〈あの火球は着弾すると大きく広がる性質があるのよ!あんたの乗ってたウイングロードが消えたのはそのせいだったってことよ!〉

 

〈!!〉

 

 ウイングロードはあたしが触れて魔力を送り続けない限り、接地面から伸びた部分から完全に切り離された部分は消えてしまう。逆に言えば一部でも繋がって入れば消えないって事だ。

 だからさっきの火球じゃウイングロードの道幅には全然足りない筈だったんだ。

 でもこれで合点がいった。そして何かぶつければ簡単に打ち消せるって弱点も見つかった。

 やっぱりティアは頼りになるなぁ。これで火球対策は万全だ!

 

「(でもさっき、シルエットを無視して本物のスバルに攻撃した…。偶然?それとも本物を見分けられるの?)」

「(ティア…)」

 

でも今度は一転して難しい顔になった。やっぱりシルエットを無視したのが気になってるみたいだ。

 

「…これしきを防いだ程度で思い上がるか、未熟者共が」

 

「え?」

 

「ヨガッ!」

 

 ダルシムさんが変な一言を残してまた消えた。あたし達は背後を警戒したけど、そこにダルシムさんが現れる事は無かった。

 

捉えたぞ(・・・・)

 

 声が聞こえた方に振り向くと、ウイングロードの真上で空中に停滞している。

 

「ヨォォォォガ…!」

 

「…!!!」

 

 ダルシムさんはまた同じように炎を吹く構えを取った…けど今までより「溜め」が遥かに長く、今までとは比べ物にならないくらい巨大な「気」が口に収束しているのを感知。

 

「ティア!」

 

「え?ちょっ!?」

 

 あたしはそれに言い知れぬ恐怖を感じ、念話を使うのも忘れて強引にティアを引っ張って下に向かってウイングロードを蹴り、高速で飛び降りる。

 

「インフェルノ!!!!」

 

 直後、空を見上げるあたし達の視界を災厄のような緋色の雨が遮った。

 

【スバルside…TO BE CONTINUED】




ヨガフレイム・ヨガファイア・ヨガインフェルノのイメージは全部MVCシリーズのものです。
性能は
ヨガフレイム→一定時間吹き付ける火炎放射。炎は燃え広がらず射程は数mと短いが、炎の伸びる速度は速く、継続して炎を浴びせられ、尚且つ頭を回せば方向を自由に変えられる。
ヨガファイア→ダルシムの顔ほどの大きさの火球。火力はヨガフレイムに劣るが射程は遥かに長く、着弾すると炎が広がり、2・3秒ほど燃え続ける。
ヨガインフェルノ→ヨガファイアを放射状に拡散発射する必殺技。
こんな感じです。

画面を覆うヨガインフェルノは初見で衝撃を受けたなぁ。
しかもストリートファイター勢ではトップクラスに強い!……代わりにテクニカル過ぎて上級者向けのキャラでした。
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