スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION   作:拳を極めし者

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あけましておめでとうございます!
メチャ遅れてしまいましてすみません!
送れた割に内容は短いですが、どうぞご覧下さい!


第十二話「格闘大会 -幻影と幻炎-」4

【スバルside】

………

………

………

 

「フム、距離が近いからと範囲を拡げ過ぎて隙間が大きくなってしまったか」

 

「「………」」

 

「そしてあの道は薄さの割りには魔力の密度が高いな。もう少し火加減を強めるべきだったか」

 

☆☆☆☆

『………』

 

『こいつはド派手だな。流石に長時間溜めただけの事はあるぜ』

 

『………』

 

『唖然としてる所に悪りいが実況頼むぜ』

 

『…ダルシム選手が無数の火球を広範囲に拡散発射する必殺技を披露…。雨霰と化した炎は張り巡らされたウイングロード全てを焼き尽くしつつ地上へ…。

 スバル&ティアナ選手は協力してリボルバーシュートとシュートバレットで迎撃を試みましたが、全てを捌くことはかなわずいくつかの火球をその身に浴びて同時にダウンしました…。両名、身動き一つしません…』

 

『それでも道が大分数を減らしてくれたのと二人の射撃に加えて、二人とも真半身でくっ付いて青いヤツの盾を張ったおかげで被弾数を最小限に抑えられたみてえだな。いい判断だ』

 

『でもあの火球を何発も浴びたら…』

 

『そうだな。こりゃあ流石に立つのは無理そう……』

☆☆☆☆

 

「ま…け…る…か…!」

 

「なめんじゃ…ないわよ…!」

 

「………ほう」

 

☆☆☆☆

『あ……!!』

 

『……ちょっと甘く見過ぎてたみてえだな』

 

『スバル&ティアナ選手が立ち上がりました!神の炎と言えど二人の心を焼き尽くすことはできなかったのです!!』

 

『なんだか…鬼気迫る表情ですね…』

 

『(一発一発が小さいとはいえ、あいつの炎を連続で浴びて立つたぁやるじゃねえか。

 だがあの気迫…。何があいつらをそんなに奮い立たせるんだ?)』

☆☆☆☆

 

「ティア…。大丈夫…?」

 

「当たり前でしょ…。この程度…!」

 

 何とか立ち上がったけどあたしもティアも息を切らし、目は虚ろで、ティアの左半身とあたしの右半身のジャケットはボロボロ。

 ウイングロードが盾になってくれて火球の数がかなり減ったのでダメージも少なめで済んだのもあったけど、立ち上がる事が出来たのは負けたくない一心で自分を奮い立たせたからだ。

 

「火加減を間違えたとは言え、まだ立ち上がるだけの気力は残っていたか」

 

「「!?」」

 

 声に気付いて後ろへ振り返ると、そこにはさっきまで宙に浮いていたダルシムさんの姿。

 いつの間にか転送技で地上へ降りたみたいだ。

 

「しかしそれもここまでだ。御主らは私には勝てぬ。

 それ故、これ以上の闘いは無意味。それでもまだ闘おうというのか?」

 

 するとダルシムさんがまた降参を促してきた。

 確かに今のあたし達じゃ勝ち目は薄いかもしれない。だけどそれは勝負を諦める理由にはならない。あたし達は優勝を目指して必死に戦ってるんだ。

 だけど何よりも……

 

「諦めなきゃ…可能性はある…!」

 

「意味を決めるのは…あんたなんかじゃない…!」

 

「ヨガの真髄はこの程度ではない。それを目にして絶望するやも知れんのだぞ」

 

「そんなの関係ない!」

 

「そんなもの今まで散々味わってきたわ!今更もう一回見たくらいでなんとも思わないわよ!」

 

 この人に腹が立つ!!

 

「…よかろう、ならば刮目するが良い。神に身を捧ぐ者のみが起こせる奇跡の数々を!」

 

「「そんなの知るか!!」」

 

 意地でも負けてやるもんか!!

 

 

 

「うおおおお!!」

 

 今度はナックルダスターを四肢に限定。

 これだと覆ってない部分がとても危険だけど、その分魔力を凝縮させられるから防御力も踏ん張りもさっきより強力だ。

 

〈………。スバル、わかったわね!〉

 

〈うん!〉

 

 あたし達の転送技に対する結論は、「使われないようにする」…。これしか無かった。

 

 この人は転送技をなかなか使わない。その理由が何らかの条件を整えるのが難しいのか、それともあたし達を舐めてるのか…どっちなのかは分からない。だけど、どちらにしてもそれならそれで好都合だ。

 だからあたしはとにかく接近して格闘戦を目指し、ティアは逃げ道を塞ぐようにシュートバレットを撃ち込む。

 攻撃の手を緩めずになるべくチャンスを与えないようにする作戦だ。

 

「フンッ!」

 

 でもそう簡単にはいかない。ダルシムさんは腕に視認出来ない程度に薄い「気」を纏わせてティアの射撃を防御。

 それと同時にあたしへ飛んで来たのはあのキックだ。

 今なら躱そうと思えば躱せるけど、躱したら負けを認めたみたいでやだ。だから受け止めてやる!

 

「はあっ!」

 

「…!」

 

 その結果……

 

「(よし、完璧!)」

 

「…ほう」

 

 ナックルダスターをさっきより強化した甲斐あって吹き飛ばずに防ぎ切れた。

 思わず「見たか!」って心の中で叫びながらダルシムさんを睨み付けると、ダルシムさんは顔色一つ変えず…

 

「又もや思い上がるか、格闘の娘よ」

 

「…!!」

 

 一言言うと右手を引いて、それに一瞬で大量の「気」を集中。

 あたしは当然その右手でキックより強力なパンチが飛んでくると思い、今度は圧縮出来る最大限の魔力をリボルバーナックルに注いで四肢にナックルダスターを展開し、全力で防御体勢に入った。

 ところが……

 

「ヨガッ!!!」

 

「!!?」

 

 その攻撃はパンチじゃなく……

 

「デヤッ!!」

 

 それを喰らったあたしの身体は大きく弧を描いて宙を舞った。

 

☆☆☆☆

『ま…またもや予測不能な攻撃…。開いた口がふさがりません…』

 

『もう…なんでもアリね…あの方…』

 

『(ガキ共が攻略する度、それを上回る攻撃や種類の違う攻撃…。それを何度も繰り返す…。まるで試すかのように…。

 予想はしてたがこれでハッキリしたぜ、ダルシムの狙いが…)」

 ☆☆☆☆

 

「………!!」

 

 50m以上離れたビルの2階の壁に叩き付けられ、全身に受けたその衝撃で声も出せない程に悶絶し、頭を打ってしまって思うように身体が動かせなくなり、受け身を取る事も出来ずに頭から地上へ落下して行く。

 

〈スバル!しっかりして!〉

 

その落下中にティアの声が聞こえてきたんだけど、瞬く間に声が小さくなっていった。

 

あたしの上半身をすっぽり覆えるくらいに巨大化した手に掴まれて、引き戻す勢いを利用して反対側のビルに投げ飛ばされた。

体温を感じ、圧迫感を感じ、「気」を感じた。幻でもなんでもない正真正銘人の手だ。

 

(まぶた)が次第に下がっていき混濁する意識の中で、ふとこれまでのダルシムさんの戦い方を事を思い出す。

 

「(強力な『気」を纏う上に…伸びる手足…。エネルギーを焼く上に…空を覆い尽くすほどの炎…。完璧すぎる…転送技…。巨大化する…手…。

 こんな化け物に…どうやって勝てばいいの…)」

 

 

 

 ………

 ………

 ………

 

「……はっ!」

 

 しまった…。頭の打ち所が悪くてまた気絶してたみたいだ…!

 あたしどれくらい気絶してたの!?試合はどうなってるの!?ティアは無事なの!?

 

「あ、あれは…!」

 

☆☆☆☆

『ああーっと!ようやくスバル選手が目を覚ましました!これは試合がどう転ぶか分からなくなってきたか!?』

 

『射撃型だから相性がいい方だとはいえ、ダルシム相手に遠距離戦でここまでやるたぁ正直思わなかったぜ』

 

『5分くらいとはいえ、持ちこたえましたね』

☆☆☆☆

 

 痛くて悲鳴を上げる身体を起こして見つめた目の前には、ティアが信じられない立ち回りを繰り広げていた。

 

 

 

「(あいつの体格は他の格闘家に比べてだいぶ劣ってるけど、あたしの見立てでは身体能力は遜色ないかそれを上回るくらい高い…)」

 

「…!」

 

 ダルシムさんのパンチをクロスミラージュのグリップで横から叩きながら狙いを逸らす。

 

「(でもあの体格差でそんなのは絶対あり得ない。じゃあその矛盾を成立させてる要素は…!)」

 

「ムウッ!」

 

 時々力負けして弾かれる事はあるけど反動ダメージとかよろけとかまではいってない。力負けしてるのを除けばまるでリュウさんの捌き(ブロッキング)を見てるみたいに的確だ。

 

「(『気』による身体能力の補助!)」

 

「ぐっ…」

 

 腕の戻り際にシュートバレットを左のクロスミラージュで身体へ撃ち込む。1秒間に何発撃ってるんだってくらい凄い連射だ。

 ダメージは大きくないけど地味に効いてるみたい…というか、ダメージを狙った攻撃には見えない。威力よりもとにかく攻撃を当てるのが目的のように見える。これってもしかして…

 

「クロスファイアー…!」

 

「むうっ…!」

 

「シューーート!!」

 

 シュートバレットを撃ちながら間髪入れずに右手でコントロールした3発のクロスファイアシュートでダルシムさんの身体を囲むように発射。

 

「(どうだ!)」

 

「むぅっ…!」

 

 今のティアなら3発程度は完璧にコントロール出来てるから、動いてない目標になら目を閉じてても平気そうなくらい難なく当てられるみたいだ…って魔法を二つ同時に使って平気な顔してる!?

 

「(まだ…まだ…!)」

 

「(この娘、やはり…!)」

 

 いくらその二つは難しくなくて消費魔力が少ないとはいえ、二つ同時となると難易度も負担も桁違いに跳ね上がる。それを苦しむ素振りも見せずにやっちゃうなんて…。

 

 …そういえば「気」で防御力が高くなってるから殆ど効いてないけど、ダルシムさんの顔を見やると余裕が消えてるのが見えた。

 どうやらダルシムさんが真剣にならざるを得ない程にティアは強くなってるみたいだ。

 そしてさっきの予想は多分当たってる。「気」を消耗させる為に撃ちまくってるんだ。

 

「ヨガファイッ!」

 

「無駄よ!」

 

 火炎放射は遠過ぎるので使っては来ず、時々撃ってくる火球も冷静に撃ち落としている。

 

「(意識の配分は前後で2:8!)」

 

「ヨガッ!」

 

「(来た!)」

 

「ハッ!」

 

「(なんの!)」

 

 ティアの射撃が途切れた瞬間に転送技で背後に回られてのパンチも、即座に飛び退いて回避。

 ダルシムさんの動きはさっきと変わらず凄いのにティアもそれに負けない動きで渡り合ってる…!

 

 いつものティアとはまるで別人だ。しかも集中力が高まり過ぎてあたしが目を覚ました事にも気付いてないみたい。

 …そういえばこんな事が前にもあったような気がするけど…いつだったっけ…。

 そうだ、Bランクの昇格試験の時だ!あの時は調子が良いおかげでテンションが上がって、とんでもないペースで先へ進んで行ってたんだ。その時の精神状態はとても前向きだったと思う。

 でもあの時とはなんか様子が違う。今回のは…切羽詰まったというか、必死になってるというか…。それになんだか怒りを力に変えてるような「気」の高まりを感じる。それでいてとても冷静だ。

 

 例えるなら炎。とても高温だけど静かに燃える青い炎。

「激情は時として能力を大きく上昇させる事がある」ってリュウさんが言ってたけど、正直ここまで凄いなんて思ってもみなかったよ。

 でも、それでも不利な事に変わりはない。何故ならティアは……

 

☆☆☆☆

『よく頑張っちゃいるが…息が乱れてきたな』

 

『はい、そのせいで反応も遅れ始めてきましたね。あの凄まじい集中力を維持し続けてきた代償でしょう』

 

『集中力・体力の低下した今の状態で直撃を喰らえば致命的なダメージになりかねません!スバル選手の援護が来なければ決定打となってしまう可能性があります!』

☆☆☆☆

 

「(無理して持久戦でダルシムさんの『気』を削ってるんだ…。あんな戦い方してたら何分ももたないよ!)」

 

 そうだ、寝てる場合じゃない。このままじゃナッシュさんとの模擬戦の時の二の舞だ。

もう決めたんだ…ティアの為に絶対勝つって!何が何でも絶対勝つ!

 

待っててティア!!

 

【スバルside…TO BE CONTINUED】

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