スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION   作:拳を極めし者

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時空管理局って一部だけかも知れないとはいえ、本編に出て来るキャラの年齢が若い若いw
いくら素質が有っても経験すら無い9歳が最前線ってハッキリ言ってどうかしてるぜ!


第四話「集結 -思惑と暗躍-」 A

 第四話「集結 -思惑と暗躍-」

 

【リュウside】

[新暦75年 4月某日 ミッドチルダ 中央区湾岸地区 時空管理局・遺失物対策部隊『機動六課』隊舎 部隊長オフィス前]

「なのは、本当に俺もやらなければいかんのか?」

「これも仕事のうちなの。しっかりお願いね」

「なのはの言うことを聞かないと後が怖いですよ?」

「それもそうだな。恩に着る」

 

 フェイトが耳打ちしてきた。確かにここは素直に受け入れた方がいいな。

 

「リュウさん、何か言った?」

「何でもない。しっかりやるさ」

 

 

 

[同場所 部隊長オフィス]

「はい、どうぞー!」

 

 ブザーを鳴らすと入室許可の声が聞こえてきた。

 

「「失礼します」」

「失礼する」

 

 入室するとそこにははやてとリインが待っていた。

 

「お、二人はお着替え終了やな!」

「お二人ともすっごくお似合いですー!」

「ありがとう、リイン」

「三人でおんなじ制服姿なんて中学校の時以来やね!なんや懐かしいなぁ」

「そうだね!」

「うん!」

 

「それにひきかえリュウさんは…」

「俺の服装は自由でいいと言ったのはお前だろう」

「せやけどいつもの道着のままっちゅうのはなぁ。せめてこういう時くらい…」

「まあまあ。この人はこういう人だから、ね?」

「そうそう。あきらめた方がいいよ、はやてちゃん」

「そやな。あきらめよ」

「本人を目の前にして随分な言い草だな」

 

 

 

「二人共、そろそろ…」

「うん」

「…ああ」

 

 なのはに促されて話を切り上げ、本来の目的その一に移る。

 

「本日只今より高町なのは一等空尉…」

「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官…」

「(俺もやるんだよな…)。高町一等空尉の補佐兼遊撃戦闘員リュウ…」

 

 なのはに合わせて三人で敬礼をした。

 

「以上三名、機動六課へ出向となります!」

「どうぞよろしくお願いします」

「…よろしくお願いします」

 

 俺達三人の挨拶にはやても挨拶で返す。

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 

 

「「「「………」」」」

「??」

 気付くと4人が俺をジッと見ていた。しかも全員が何故か今にも笑い出しそうな顔をしている。俺の顔に何か付いているのか?

「な、何だ急に…」

「「「「あははははは!!」」」」

「なっ!?」

 

「リュウさんの敬礼って似合わんわー!想像してたよりずっと似合わんわー!」

「はやて…わ、笑っちゃ失礼…ぷっ」

「そ、そうだよはやてちゃん…でも…」

「やっぱりおかしいですー!」

「(もう敬礼は二度とやらんぞ…!)」

 

 挨拶だけで嘲笑されたのは初めてだ…!

 

 

 

 

「時間にはまだ早かった筈だが…」

「先客が早過ぎるだけだ」

「何だか遅刻した気分ね」

 

 俺が4人に笑われていると3人組の男女が入ってきた。

 

「お、来たな!3人共こっち来て自己紹介よろしく!」

「お前達は…!」

 

 これが本来の目的その二。俺のいた世界からスカウトしてきたメンバーと顔合わせする事になっていたんだ。

 

「なのは。この人達のこと、知ってる?」

「うん。…っていっても知ってるのは女の人だけだし、()()()にちょっと…ね」

「…そう。分かった」

 

「高町なのはさん…だったわよね。あの時(・・・)以来ね。流石にあの時(・・・)の怪我はすっかり治ってるか。後遺症も無さそうで良かったわ」

「はい、お久しぶりです。あなたもあれ(・・)の影響は無さそうで何よりです」

「はいはーい、おしゃべりはそこまでや!では春麗さんからどうぞ!」

 

「紹介の通り私は春麗(チュンリー)。元の世界でICPO(国際刑事警察機構)…まあこっちの世界で言う時空管理局みたいなものね。そこで刑事をしているわ。よろしくね」

「(やっぱりすごい服…。制服にしては派手だし…私服なのかな)」

 

 なのはの視線が春麗の顔ではなく服装に向いている。まあ、俺達の世界でもこの格好は珍しいから無理もないか。

 

 

 

「ウィリアム・F・ガイルだ。元の世界で軍人をやっている。階級は少佐。本来はこんな事をしている暇は無…」

「ガイル、感情を抑えろ。これから世話になる部隊の隊長達に失礼だ」

「…失礼した。スカウトされて機動六課に配属される事になった」

「(なんかえらくお固い感じの軍人さんやなぁ。コミュニケーション取りにくそうや)」

 

 相変わらず空気を読もうとしない奴だ。第一印象は良くないな。はやての目がそう言っている。

 

「ガイルが粗相をして済まなかったな。私はチャーリー・ナッシュ。ナッシュと呼んでくれて構わない。ガイルと同じ軍に所属する軍人だ。階級は中尉。同じく一時的にこちらの部隊へ出向く事になった。短い間だがよろしく頼む」

「俺はリュウだ。ガイルから話は聞いているが会うのは初めてだな」

「君の事は噂で聞き及んでいるが…噂通りの印象だな」

「どういう意味だ?」

「見た者を闘いへ駆り立てるような独特の雰囲気を醸し出している」

「そ、そうか。(これは褒められているのか?…そう言えば以前にも誰かに似たような事を言われた覚えが…)」

「(この人、すごく落ち着いた雰囲気だ。ガイル少佐よりは話しやすそう。友達みたいだしガイル少佐と話す時はこの人を通した方がいいかも)」

 

 ガイルから聞いてはいたが、冷静で知的な雰囲気を漂わせている男だな。フェイトもそれを感じて安心しているようだ。

 しかしガイル曰く「普段は冷静沈着だが、時として激情家の一面を見せる事がある」そうだがとてもそうは見えんな。

 

「ところで…。もしや『訳』というのは…」

 

 俺はもしやと思い質問した。

 

「…そういう事だ。察しが良くて助かる」

「まあ、あなたにも無関係じゃないものね。気付いて当たり前といえば当たり前か」

「君は中々頭が回るようだな」

「まさかこっちの世界に…」

「リュウさんストップ!」

「む?」

 

 俺が喋っている最中にはやてが割って入る。

 

「はやてちゃん?」

「はやて、どうしたの?」

「な、何でもないよ!リュウさん、こっち来てや!」

「おいおい、どうしたんだ?」

 

 はやては慌てて部屋の隅へ俺を引っ張った。何だというのだろう。

 

「どうやら事情はある程度知っとるようやね。でも二人にはその事は伏せといてほしいんよ」

「そうか。そのつもりは無かったんだが軽率だったな。済まん」

「別に謝らんでええよ。まさかリュウさんが知ってると思わなかっただけやから」

「まあ、なのは達もお前の事を察して深く追求はしないだろうから心配無いと思うがな」

「……意外やなぁ。リュウさんって人間観察にあんまり興味ないと思っとったけど意外と見てるもんなんやね」

「『意外』は余計だ。しかも二度も…もういいだろう、戻るぞ」

「ふふっ、そうやね」

 

 話が終わって戻ってくると、こちらをじっと見ていたなのはとフェイトが口を開いた。

 

「はやてちゃん…私達に隠し事なんてズルいなぁ」

「どうしても私達に言えないことなの?」

「そ、それは…」

 

 何やら気まずい雰囲気だ…隠し通すのは無理だったか?

 

「…なーんて冗談だよ!」

「言えない事情があるんでしょ?だったらはやてが言えるようになった時に言ってくれればいいよ」

「なのはちゃん、フェイトちゃん…ありがと」

 

 …どうやら思い過ごしのようだ。良かった…。

 

「でも!」

「!?」

 

「絶対に一人で抱え込まないでね。もし一人で無理したりしたら…私達、怒るよ」

「でも今回はリュウさんがいるし協力者が三人もいるから心配はいらないかも」

「もう、楽観的だなーフェイトちゃんは」

「普段から無理してるのを隠してるなのはには言われたくないな」

「な、なんのことかなーフェイトちゃん」

 

「(良かったな、はやて)」

「(おおきに、リュウさん)」

 

 俺はアイコンタクトでなのははやてに語りかける。

 

「俺達がついでのような言い方だな」

「す、すみません…そんなつもりでは…」

 

 ガイルがフェイトに皮肉を言い出した。本当に空気の読めない奴だ。

 

「ハラオウン執務官、気にしないでくれ。ガイルの悪い癖なんだ。悪気は無い…筈だ」

「は、はい」

「一言多いぞナッシュ」

 

 ガイルとナッシュのやり取りがまるで漫才のように見事な流れだ。パターンになってるとしか思えん。

 

「ところで八神部隊長。一つ個人的な質問をしたいんだが、いいかな?」

 

 一段落付いたところでナッシュがはやてに質問してきた。

 

「答えられる範囲でなら。どうぞ」

「少々失礼な聞き方になってしまうが許してほしい。見たところ君達はかなり若いようだが…時空管理局という組織に年齢制限は無いのか?それとも見た目通りの年齢ではないのか?」

「んー、ウチらは大体見た目通りやけど…時空管理局は基本的に実力主義で年齢は関係無いなぁ。即戦力なら経験が無くても実戦投入される事もあるし、素質ありと見なされれば幼くてもスカウトされる事もある。ちなみにウチは特別捜査官、なのはちゃんは9歳から嘱託魔導師をやっていて今は教導官、スカウトの時に聞いとると思うけどフェイトちゃんは執務官で、みんな19歳。あと機動六課に新しく入ってくるフォワード四人は全員16歳以下や」

 

「19歳…!ま、負けた…」

 

 そういえば春麗は20歳で特別捜査官に任命されていたんだったな。

 

「9歳…。16歳以下のフォワード…だと…」

 

 ナッシュは年齢に絶句しているな。無理もない。俺も初めてなのはに会った時は似たような反応だったからな。

 

「16歳以下…。流石に信じられん…と言いたいところだがハラオウン執務官の実力を見た事がある以上は信じるしかあるまい」

 

 ガイルは意外に冷静だ。しかしいつそれを見る機会があったんだろうか。

 

「もう一つ…質問だ…」

「!?」

 

 野生動物は生きる為に素早く「それ」を察知して行動するという。人間も同じように「それ」を素早く感じられるかどうかは闘いに於いて重要な事だ。

 危機を回避する為・生きる為に最も必要なのは力でも速さでも硬さでもなく「危機を察知する」能力。具体的には気配でそれを察知するのだが、取り分け危機に直結しているといっても過言ではないのが「怒気」と「殺気」だ。

 怒気を放つ者は冷静な判断がしにくく動きが単調になりやすいが能力が爆発的に上昇し、更には怒りで痛覚が鈍って多少のダメージでは止まらなくなる事も多い。

 殺気は文字通り相手を殺す事を念頭に置く者が放つ気配だ。この類はその為なら手段を選ばす、相手の息の根を止めるまで容赦が無い場合が多い。最も警戒すべき気配と言える。

 

 この場でナッシュから感じた「それ」は前者だ。はやてもナッシュの怒気に当てられて萎縮してしまった。危機を感じたのかなのは達も思わず身構えてしまったようだ。

 

「今の話…本当か…」

 

「は、はい。本当です…」

 

「…では最後の質問だ。今の話を信じるとして…君達は自分の意志で闘っているのか?」

 

「…はい。最初は小さい頃に望まない形で大きな力を手にしてしまいました。その力によって否応無しに戦ってしまった事もあります。でも後悔はしてません。

確かに辛い経験でしたが…その経験が今の私達を作っているし、その力で救える人がいるということに多少の誇りも感じてます。何よりもそれでなのはちゃんとフェイトちゃん、ヴォルケンリッターのみんなに会えたからこそ…今、こうして自分の意志でここにいられるんです」

「………」

 

 ナッシュとはやてが真剣な目で見つめ合って黙り込んでいたが、しばし時が経つとナッシュから喋り出した。

 

「フッ…君の目や言葉から嘘偽りは感じられない。素直な意見をありがとう。…大人気無い事をしてしまったな。本当にすまない」

「い、いえ!とんでもない!」

 

 先程と同じように落ち着いた状態に戻ったようだ。ガイルの言う通り信じられん程の豹変振りだったな。

 

「…人の事は言えんな」

「何か言ったか?ガイル」

「フッ…さてな」

 

 ナッシュの気が緩んだ。これでもう大丈夫だな。

 

「君は芯が強く物怖じしない実直な子だな。その実直さをガイルにも見習わせたいくらいだ」

「ナッシュ…一言余計だ」

「あははは…。(あービビったー……。襲われるかと思ったわ。クールに見えるけどガイル少佐より熱くなりやすいとちゃうんかこの人…)」

「(…訂正。二人共話しづらそう)」

「(はやてちゃん…これから大変だね…)」

 

 

 

「そういえばお前達…」

 

俺はふと浮かんだ素朴な疑問を春麗達に質問した。

 

「俺は風来坊だからいいがお前達はあちらの仕事はいいのか?」

「私は『頼りになる上司』がいてね、その人にちょっと頑張ってもらったのよ。表向きは潜入調査って事でね」

「俺はこう見えても米空軍ではそれなりの有名人でな、多少の無理を通せるのさ」

「私はガイルとは逆で全く目立たなくてな。ある理由で左遷されてからは無能を装って監視の目を緩めてからスケープゴートを用意してこちらに来たんだ」

「監視?」

「ああ、それに関しては気にしないでくれ。もう済んだ事だ」

「…そうか」

 

この後少し雑談し、全員でホールへ歩いて向かった。その時ナッシュの事で緊張していたなのは達が気まずい空気になったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

[数十分後 同場所 ホール]

 大勢の人間が集まって整列している。これから発足式が始まろうとしているところだ。そこにスバルとティアナもおり、その側には10歳前後と思われる二人の男女の子供もいる。

 

「(さっきはやてが言っていた若いメンバーの残り二人だな)」

 

 俺達も整列して辺りを見回しているうちにはやてが壇上に登場。挨拶が始まった。

 

「機動六課課長…そしてこの本部隊舎の部隊長の八神はやてです」

 

 隊員から拍手が起こった。この時改めて思ったが、この年齢でこれだけの数の人間を纏められる者はそうはいない。

 聞けばはやては以前から特別捜査官として働いており、指揮官としても優秀であり、時空管理局のトップランカーでもあり、今はこうして一部隊の隊長まで務めている。

 19歳でここまで実績を上げているとなると、最早本人の才知であるのは疑い様が無い。

 

 拍手が終わると演説が始まった。

 

「平和と法の守護者…時空管理局として事件に立ち向かい、人々を守っていくことが私達の使命であり成すべきことです」

「(その守備範囲がICPOとは桁違いなのよね。いまいちピンと来ないわ。それを…あんな子供がねぇ…)」

 

「実績と実力に溢れた指揮官陣…」

「(実績と実力、か。若いのに大したものだが…それ自体が油断や慢心に繋がらないといいんだがな)」

 

「若く可能性に溢れたフォワード陣…」

「(オフィスで話を聞いて一度は納得したが…本当に八神部隊長達より幼い子供がいるとはな…。しかもその内二人はどう見ても10歳前後…。そしてフォワードという事はこんな子供達が最前線に出るという事…。本当に大丈夫なのか?)」

 

「それぞれ優れた専門技術の持ち主のメカニックやバックヤードスタッフ…」

「(長いことなのは達と一緒にいるが殆どが知らん顔だな)」

 

「そして特別な理由で協力してもらう事になった格闘家の皆さん…」

「(私の本職は刑事なんだけどな)」

「(俺は軍人なんだが…)」

「「………」」

「?」

 

 春麗とガイルが俺を見つめてきた。何だ?

 

「「(リュウのせいか…)」」

 

「一年間という短い期間ではありますが、全員が一丸となって事件に立ち向かっていけると信じています。…ま、長い挨拶は嫌われるんで…。以上、ここまで!機動六課課長及び部隊長、八神はやてでした!!」

 

 再び大きい拍手が巻き起こる。以上で発足式は終わりのようだ。思ったよりも終わるのが早かったな。

 

 

 

[発足式終了後 同場所 屋上ヘリポート]

 俺達四人は正式な入隊手続きと会議の為に屋上のヘリで本局へ向かう事になり、はやて・フェイト・リインと共に屋上へ向かっていた。

 

「あ、ヴァイス君!もう準備できたんか!?」

「準備万端!いつでも出れますぜ!」

「八神さん、彼は?」 

「彼は『ヴァイス・グランセニック』陸曹。機動六課の専属ヘリパイロットや」

 

威勢のいい返事の主は「ヴァイス・グランセニック」陸曹。ヘリの操縦資格の中でも数少ない最高ランクのA級ライセンスを持っている1人だそうだ。

 かつては武装隊に所属していた魔導師だったが、故あって武装隊から退いて元々好きだったヘリパイロットの道を選んだらしい。

 

「どーも始めまして!あんた達が噂の格闘家の皆さんですか!よろしくお願いします!」

「うわぁ…。このヘリ、結構新型なんじゃない?」

 

 フェイトがヘリを見て驚いた。随分詳しそうだな。

 

「JF-704式!一昨年から武装隊で採用され始めたばかりで生産数も少ない新鋭機です!機動力も積載能力も一級品ッスよー!こんな機体に乗れるってなぁパイロットとしちゃ幸せでしてねぇ!二ヒヒッ♪」

「…グランセニック陸曹。そのヘリについて質問したいんだが…いいだろうか?」

「ヴァイスでイイッスよ!コイツに興味を持ってもらえるなんて嬉しいッス!何なりと!」

 

 どうやらガイルがこのヘリに興味が湧いたらしい。長くならないといいが…。

 

 

 

[10分後]

「…成る程。俺達の世界の科学技術では飛行が不可能な作りになっているんだな。いや、この場合は魔法技術とでもいうべきか…。興味深い」

「いやーーー!なんか自分が褒められてるみたいで悪い気分じゃないッス!」

 

 やっと話が終わったか。付いて行けなくて眠くなっていた所だ。

 

「ちなみに操縦は相棒の『ストームレイダー』がサポートしてくれたり、緊急時には代わりに操縦してくれたりしてくれるんスよ!」

「ほう、話に聞いた意志を持つデバイスか。ストームレイダーはヘリのデバイスなのか?乗り物型のデバイスがあるとは聞いていないが…」

「(…まだ続くのか…)」

「…本当はライフル銃型なんですけど…俺が個人的に申請してヘリに組み込んでもらったんスよ」

「どうやら触れられたくない事に触れてしまったようだな、すまん」

「い、いえ!俺の方こそ急にトーンダウンしちまってすんません!んじゃ、内装の説明と相棒の紹介もしたいんでコックピットへどうぞ!」

「ああ、参考になる」

 

「んむーーー!ガイル少佐!ヴァイス陸曹!」

「「ん?」」

 

 リインの声にガイルとヴァイスが同時に反応した。早くも気が合う仲になったか…。

 

「ガイル少佐は仕事中のヴァイス陸曹にヘリの話はしないでください!仕事そっちのけになっちゃうんですからー!」

「…失礼した」

「それにヴァイス陸曹も!みんなの命を乗せる乗り物のパイロットなんですからー!ちゃーんとしてないとダメですよー!」

「へいへい。分かってまさぁね、リイン曹長。んじゃ皆さん、ヘリの中へどうぞ!」

 

 今度こそ本当に終わりだ。疲れた…。だがガイルの意外な一面を見たな。ミリタリーマニアというやつか?現役の軍人にもそれが当て嵌まるかは分からんが。

 

 

 

[ヘリ内部]

「八神隊長!フェイトさん!行き先はどちらに!?」

「首都クラナガン…」

「中央管理局まで」

「了解!…行くぜ、ストームレイダー」

《OK.Take off.Standby.》

 

 さあ、目的地へ出発だ。

 

 

 

[数十分後 首都クラナガン 時空管理局地上本部 中央議事センター]

 手続きが終わってから直ぐに議事会場へ向かった。

 当初は三人がはやて・フェイトと共に会議に行って俺だけここで機動六課の隊舎に戻る予定だったが、オフィスで顔合わせした後ではやてが「リュウさんにも参加してほしい」と頼んできたので俺も…というか春麗達も参加する事になったんだ。

 

 そして程無くして会場へ着き、会議ははやての説明から始まった。

 

「捜索指定遺失物…『ロストロギア』については皆さんもよくご存知の通りですが、外部協力者の方の為に説明させていただきます。

 ロストロギアとは様々な世界で生じたオーバーテクノロジーのうち、消滅した世界や古代文明を歴史に持つ世界において発見される危険度の高い古代遺産の事です。大規模な災害や事件を巻き起こす可能性のあるロストロギアは特に正しい管理を行わなければなりませんが、残念ながら盗掘や密輸による流通ルートが存在しています」

「ロストロギア、か。資料によると俺達の世界で見つかった『ジュエルシード』とかいう宝石もそのロストロギアだったそうだな」

「私はそれで酷い目に会ったわ」

「はい。ではここでロストロギアの危険性の再認識の為、そして格闘家の方々に協力していただく事になった経緯を簡潔に説明いたします」

 

 次の説明はフェイトにバトンタッチだ。

 

 

 

「『プレシア・テスタロッサ事件』はご存知の方も多いと思われますが、事件はプレシア・テスタロッサが実験事故で亡くした一人娘を生き返らせる為に、存在しているかすら不明な伝説の次元世界『アルハザード』を目指した事に端を発します。そのアルハザードを目指すのに必要だったのがジュエルシードが引き出す莫大なエネルギーです。

 全部で21個あったジュエルシードのうち9個はプレシア・テスタロッサが使用した事で失われ、残り12個の内8個は事件解決後に時空管理局によって封印に成功しました。

 最後の4個は姿を消してしまい行方が知れませんでしたが、ある時突如協力者の方々のいた未開の世界…後の『特別管理世界』にその1個が姿を現し、その場に偶然居合わせた格闘家数名がジュエルシードによって暴走してしまったのです。その現場には当時嘱託魔導師だった高町なのはとヴィータ職員が出向しました。両名が到着すると現場は既に破壊の限りを尽くされており、一般人の生存者がいる可能性は絶望的と思われましたが、暴れていた数名の中に紛れてジュエルシードの影響を受けずに理性を保ったまま一般人を護りながら戦っていた人物がいました。それがこちらにいらっしゃるリュウ氏です」

 

 フェイトが俺を紹介すると視線が一瞬で俺に集まり、一気に会場内がざわつき始めた。

 

「この男が噂の…」

「素手で砲撃魔法を跳ね返すという噂は本当なのか?」

「私は広域型魔法と互角と聞いたぞ?」

「エース・オブ・エースを打ち倒したという話も聞いたな」

「神秘の力…『気』だったな。実に興味深い」

「隣の三人も格闘家と聞いているがリュウ氏と互角なのか?」

「是非ともその力を拝見したいものだ」

 

本当は目立ちたくないんだが場所が場所だけに逃げ場が無い…。

 

「お静かに願います」

 

 騒がしくなりそうなところにはやてが止めに入り、そのままフェイトと交代した。

 

「資料にある通りこの方が我々が最初にコンタクトを取った格闘家で、暴走した格闘家と交戦していたリュウ氏のそのあまりの戦闘力の高さからリュウ氏もジュエルシードの力を受けていると勘違いした高町・ヴィータ両名が全員まとめて動きを止めるべく攻撃を仕掛けたのがコンタクトのきっかけです。そして誤解を解いてからはリュウ氏と共にジュエルシードを破壊する事に成功しました。…しかしその代償に高町嘱託魔導師が一時は再起不能とまで言われた程の重傷を負ってしまったのです。

 その後リュウ氏はその事件がきっかけでその日から半年間だけ時空管理局に在籍する事となり、時空管理局は格闘家という存在を認識すると共に、諸事情からその世界を『特別管理世界』に認定する事となります。

同時にその世界の事件当事者から提供していただいた情報から、事件の首謀者と目される人物及びその人物の統括する犯罪組織も判明しました。今は機密保持の為に詳細は伏せさせて頂きますが、この組織は多数の格闘家を擁しており、質量兵器を含めた様々な兵器の製造技術も持っている大変危険な組織です」

「(私となのはにも教えてくれなかった情報も幾つかあったけど…結局詳しい事は言わないで終わった、か。その組織の危険性は分かったけど…多分、まだ何か大事な事を隠してるって顔してる。なのはの言う通りちょっと楽観視し過ぎてたかも…)」

 

 

 

「協力者の方々には戦闘能力を測る被験体としてのデータ採取やその組織の情報や特別管理世界の情報を提供していただく代わりに、こちらはジュエルシードを始めとするロストロギアの情報提供及び特別管理世界以外の世界に潜伏している可能性の高いその組織の共同捜査を条件に協力していただく事になった訳です。

 ではここからは我々機動六課が設立された理由をご説明致します。 その理由とは第一種捜索指定ロストロギア、通称『レリック』です」

 

 説明役が再びフェイトに変わった。

 

 

 

「このレリック…。外観はただの宝石ですが、古代文明時代に何らかの目的で作成された超高エネルギー結晶体である事が判明しています。

 レリックは過去に四度発見され、その内三度は周囲を巻き込む大規模な災害を巻き起こしています。そして…後者二件では極めて高度な魔力エネルギー研究施設が発見されています。発見されたのはいずれも未開の世界。こういった施設の建造が許可されていない地区で、災害発生直後にまるで足跡を消すように破棄されています。

 悪意ある…少なくとも法や人々の平穏を守る気の無い何者かがレリックを収集し、運用しようとしている『広域次元犯罪』の可能性が高いのです。

 その活動領域は極めて広く、複数の組織が手を組まなければその規模で動くのは不可能と推測されます。近日に判明した情報によると、その組織の一つが協力者方々の追い掛けている組織である可能性が高くなったとの事です。

 そして、その組織を含む何者かが使用していると思われる魔導機械がこちら。通称『ガジェットドローン』。レリックを始め特定のロストロギアの反応を捜索し、それを回収しようとする自立行動型の自動機械です」

 

「我々機動六課はこの何者かの企みを阻止する事を第一の目的とし、他の犯罪や災害にも迅速且つ確実に対処していく所存です」

 

 はやてが会議を締め括ると形式的な軽い拍手が起こった。出席者の雰囲気や表情から察するにはやてや機動六課の事を快く思っていない者が少なからずいるようだ。やはり若者が大きく前に出るのが気に入らないのだろうか。

 

「………」

 

 その中でも一際険しい表情の人物が一人。名を「レジアス・ゲイズ」と言い、中将にして時空管理局地上本部の総司令官だ。

 

「犯罪者が…!」

 

 はやてを見ながら呟くレジアス中将の呟きが聞こえた。聞き間違いでなければ「犯罪者」と言っていたが…はやてが犯罪者?そんな事は有り得ない。何かの間違いに決まっている。

 

 

 

[会議終了後 移動中 ヘリ内部]

 思いの外疲れてしまった。やはり会議のような堅苦しい場は苦手だ。

 

「………」

 

 機動六課での発足式の直後からナッシュの様子がおかしい。会議も上の空で難しい顔をしながら考え込んでいて一言も喋っていない。まだ何が気掛かりでもあるのか?

 

 

 

[数十分後 機動六課隊舎]

 隊舎に到着するとヴァイスは用事で足早に帰って行った。俺達も解散してそれぞれの部屋へ向かおうとしたその時…

 

「…やはり解せん」

「何が解せないんだ?」

 

突然ナッシュがよく分からない事を呟いたので俺はナッシュに質問した。

 

「年齢層だ。八神部隊長達は仕方ないとしよう。私達の世界でもティーンエイジャーで軍人になる者は確かにいる。だがあの10歳前後の子供達…。あんな幼子まで戦場…しかも最前線に駆り出すとは時空管理局という組織は何を考えている…!!」

 

 ナッシュははやて達の時は一応の納得をしていたようだが、いざその子供を目の当たりにして考えが戻ってしまったようだ。

 

「ナッシュ中尉…」

「ですがあの子た…」

「はやて、フェイト、それは俺から言おう。聞いてくれナッシュ」

「…聞くだけは聞こう」

「俺はフォワード陣の年上の2人と闘った事がある。模擬戦のようなものだがな」

「………」

 

「…その時の彼女達の目は年相応のそれではなく真剣で直向きなものだった。思いが強過ぎて多少のトラブルが起こってしまった程だ。それに仲間の為に自分の身を投げ出す覚悟もあった。彼女達は遊び半分や強制ではなく自らの意志で信念を貫く為にその道を選んだんだ。

 そしてその子達を部隊へ引き抜こうと決めたのはなのはだが見つけてきたのははやてだ。はやての人材を見る目は正しかったという事だと思う。他の二人もフェイトが選んできたんだが、きっとその子達も同じように自らの意志で闘いの道を選んだんだろう。

俺ははやてもフェイトも…そしてなのはの事も信頼している。だから三人の選択を信じたい。あの子達をもう少し長い目で見てやって欲しいんだ」

「「「(リュウさん…)」」」

「フッ…。『孤高の求道者』とも呼ばれていた事がある君にそこまで言わせるとは大したものだ。だがこればかりはこの目で確かめなければ信じる事は出来ん。そこまで言うなら腕試しをさせて貰いたいものだ。八神部隊長、如何だろうか?」

 

 はやては目を閉じてしばし考え込んだ。そして目を開けてナッシュに返答を述べる。

 

「…信頼していただくためにも必要なようですね。分かりました、模擬戦を行いましょう」

「急な申し入れを受け入れて頂いて感謝する」

 

 何とか上手く纏まりそうだな。良かった。

 

「いえ、あの子達にもいい経験になるでしょうから。期日は一週間後で宜しいですか?」

「ああ、構わない。チームプレーを特訓する時間は必要だからな」

「ありがとうございます。では人数はどうしますか?あなた方の実力は理解しているつもりです。ですからこちらとしてはチーム単位で動く事が前提なのでフォワード2人対そちら1人かフォワード4人対そちら2人を考えているんですが…」

「私を甘く見ているのか?こちらは私一人でいい。君達のチームは全員で掛かって来るんだ」

 

 

 

「え?」

「ナ、ナッシュ!」

「ちょっとあなた…」

「(始まったか…)」

「ナッシュ中尉!あなたにも『ボディリミッター』は付いてるんですよ!?」

 

 ボディリミッターとは身体能力を制限する特殊なリミッターの事だ。

この世界では部隊毎に保有出来るランクの総計が決まっており、その総計を超えてはならない。その為機動六課に配属されたはやてを含む達隊長・副隊長はデバイスの機能を制限するリミッターと本人の魔力の出力を制限する『能力限定』という出力リミッターでランクを下げられているが、魔力の無い俺達は代わりに身体能力を制限されている。

俺達格闘家は現在のところ明確な数値化や評価が難しい為、暫定的に全員が陸戦Sランク扱いとなっているので同じようにランクを落とす必要があったからだ。

 そのリミッターにより身体能力は70%まで落ちる。肉体そのものが武器となっている俺達は身体が自由に動かせなくなるのが大き過ぎるハンデになっており、出力が制限されるだけで使える魔法やその操作性能等が制限される訳ではない魔導師のリミッターより遥かに厳しい措置だ。

 しかも身体能力の低下をある程度「気」の力で補える俺や春麗と違ってほぼ肉体のみで闘うガイルとナッシュは特にその影響が大きい。

 

「いくらなんでもそんな状態で四人相手なんて…!!」

「聞こえなかったか?1対4だ。力が抑えられているなら手加減の必要が無くて余程やりやすい」

 

 ナッシュの目は本気だ。だが何故…。

 

「…ナッシュ中尉。本気なんですね?」

「くどいな。ハンディキャップを付けてやると言っている。お望みなら君も加わってもいいが?子供だらけなら結果は変わらんと思うがな」

 

 ナッシュは眼鏡を指で直しながら冷ややかな目ではやてを見つめて言い放った。

 

「っ!…では準備はこちらで進めておきます……!」

「…これで失礼する」

 

 ナッシュは足早にその場を去った。しかし流石にはやても怒りを隠し切れないようで、人目を憚らず歯噛みしている。端から見ている俺でさえも目に余る挑発だ。無理もない。

 

「(だがナッシュの目…複雑な感情が見え隠れしている…。恐らくは単に子供達の事を心配しているだけではない。あそこまで言ったのも何か理由が…)」

「なんなんやあの人!あの子達をバカにして!」

「私も正直…言い過ぎだと思うな…」

「リインもあの人キライですー」

 

 三人ともかなり苛立っている。話し掛けるのも難しい状態だ。しかしこの空気の中でガイルが二人に話し掛けた。

 

「八神部隊長、ハラオウン執務官。ナッシュの事で聞いて欲しい話がある」

 

 ナッシュの名前を出した途端、二人が静かになる。

 

「…何ですか?」

「…手短にお願いします」

「ナッシュは普段は冷静だが…見ての通り一度感情に火が付くと俺でも止められなくなる。だが本来のあいつは穏やかで優しいんだ。特に…子供には…。軍人でいられるのが不思議な程にな。ナッシュがいてくれたからこそ俺はただの殺人機械にならずにいられたんだ」

「だったらどうしてあんなことを!」

「子供でも自分の意志で決めて立派に戦えるという事ははやてが説明してあの人も納得したじゃないですか!」

 

「…そういう問題ではないんだ。あいつは…いや、これ以上は俺の口からは言えん…」

「…ではこれ以上の問答は無意味ですね」

「…私達は失礼させてもらいます」

「待つんだ!…一つだけ覚えておいてくれ。あいつは決して無意味に人を侮辱する男ではない。この腕試しにも必ず意味があるんだ」

「…覚えておきます」

「…ありがとうございました」

「リインも帰るです」

 

 三人はガイルの顔を見ずに部屋へ帰って行った。

 

「(私は…ナッシュ中尉の気持ち、分かるような気がする。あの人はきっと…)」

 

 三人の後ろ姿をなのはは寂しそうな目で静かに見つめている。

 

「ガイル、ナッシュは心に傷を負っているんだな?」

「!?…見抜いていたのか」

「意外ね。彼は感情を理性で抑え込めるタイプだと思ってたわ」

「理由は…本人から聞くしか無いようだな」

「すまんな。こればかりは俺の口から言う訳にはいかないんだ。だが…」

「だが?」

「当日になればその理由が分かる。あいつは腕試しを通して子供達に何かを伝えようと…もしくは試そうとしている筈だからな」

「…全てはその時に、か」

「やれやれ。ガイルも頑固だと思ってたけどあなたよりナッシュの方が何倍も頭が固いわね」

 

「…ああいう性格だからこそ()()の息の掛かった上層部に昇進の道を閉ざされて左遷されたのさ。本来ならナッシュは下で燻るような器ではない。

俺が少佐になったのはあいつが少しでも動きやすいように階級を上げて守ってやる為だったんだ。まあ、あいつは逆に左遷を利用して極秘に私設軍隊を作って動き出したんだがな」

「ナッシュにどんな思惑があるのか知らないけど…あんな言い方したら簡単に聞き入れて貰えないんじゃないかしら」

「俺達があれこれ言ってもどうにかなる訳じゃない。この話はここまでにしよう」

「ま、それもそうね。じゃあ私達も部屋に戻りましょう」

「……。(ナッシュ…。やはり『あれ』を引き摺ったままだったか…)」

 

俺達がその場を去ってもなのはは一人立ち尽くし、最後まで何かを思い悩んでいた。

 

「(ナッシュ中尉…。あなたのやり方はあまりにも…)」

 

 

 

 俺はナッシュの言動に動揺を隠せなかった。ナッシュの心の傷とは何なのか、子供達に何を伝えようとしているのか、そればかりが頭の中を巡っていた。

 だが俺がいくら考えても分かる訳も無く、ガイルの言葉を信じてその日を待つしかなかった。

 

 そして時は流れ、一週間後の当日を迎える。

 

 

 

【リュウside…END】




地球の軍人さんが時空管理局の年齢層を知ったら間違い無く人権問題に発展すると断言出来ます。
今回のナッシュはその代弁という事で…。
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