魔法科高校の錬金術師   作:藤宮一樹

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第13話 全委員会定例会議・当日

全委員会定例会議当日。

委員会に所属している者は午前の授業だけで、午後の授業はなし。周りの人間は羨ましがっていたが、一樹は苦痛で仕方なかった。

「はぁー」

一樹は思わずため息をついてしまう。

今は昼休み、西園寺と紗香と一緒に食堂に来ていた。

「また、ため息かよ。そんなに会議がいやなのか?」

「午後を学校公認でサボれるんだし、いいじゃない」

と西園寺と紗香は言った。

「サボれること自体は別にいいんだが、会議の内容がね・・・」

そう言ってペーパータイプの端末を西園寺紗香に見せた。

それは昨日貰ったプリントを全部データ化したものが写っていた。

「げっこんなに話すことがあるのかよ・・・」

「しかも小難しそうなことばっかり・・・」

「ああ、しかもまだその会議内容を読み終えてないんだ、大体の流れは分ったけど、まだところどころ分らない単語があって・・・」

会議内容自体は量があっても2,3時間で読み終えることができるが、所々知らない用語が出てきているのだ。一樹は風紀委員になってまだ日が浅く、その上、学校の行事に興味がなく、年間行事すら知らなかったのだから、わからない用語が出てくるのも無理はない。

「まー別に俺が何かを発言することはないからそこまで気負わなくてもいいんだけどな、でもやっぱり参加する限りは真剣にやりたいし」

「はーやっぱり一樹は真面目だよなー

俺だったら寝てるぜ、きっと」

「あんたデリカシーがなさすぎなのよ」

「なんだとう!?」

こうやって三人でワイワイ過ごすのが気楽でいい、一樹はそんな風に感じていた。

こんな気楽な生活が長くは続かないとわかっていたから

 

昼食を終え、三人で話していたらあっという間に昼休みが終わり、西園寺と紗香は通常授業。一樹は会議室へと向かった。

「一樹」

と後ろから声をかけられた。振り向くとそこにはミールが立ていた。

「ミルも会議室に向かうところかい?」

「うん」

とミールは簡潔に返した。

ミールがいれば何とかなるだろう。そう思いながら一樹とミールは会議室へと向かう。

 

「・・・・・・・・」

ミールと一緒なら何とかなるだろうという当ては会議室に入って早々に潰えた。

一樹とミールは一年生だが一樹はあくまで二年生枠で入ったのだ、ゆえに。

「どうしてもここじゃなきゃダメですか?」

「ご、ごめんね?」

星華は申し訳なさそうに答えた。

「いえ、別に星華先輩が悪いわけではないので気にしないでください」

なんか昨日も似たようなやり取りをした気がする。

会議室の席は大きな楕円形の形をしており、それぞれの席にマイクまでついていた。つまり、マイクがなければ届かない程広い会議室なのだ。そして一樹は風紀委員のエリアしかも二年生のど真ん中。両隣共二年生、ミールの姿がすごく遠くに感じる。

「風紀委員からの話は私がするるから、大丈夫だよ

会議の内容をちゃんときいてるだけでいいから」

「はい、それならなんとかなりそうです」

「じゃあね」

そう言い残し、星華は自分と席へと去って行った。

 

「これより第一回全委員会定例会議を行います」

天井にあるスピーカーから生徒会長、九頭見楓の声が響き渡る。

「進行は生徒会長である、九頭見楓が務めさせていただきます

では、その他の生徒会役員と委員会、部活連の代表は起立し、自己紹介をお願いします」

自己紹介?と最初は疑問に思ったが、よく考えてみると生徒会、委員会、部活連が一同に会するのはこれが初めてらしい。生徒会と委員会、生徒会と部活連という組み合わせなどの集会は度々あったみたいだが(ミールから昨日聞いた話)。

各代表の自己紹介も終え、会議の本題へと入る。

「<バトルロワイヤル>は新入部員勧誘週間動揺、校内でのCADの携帯許可が出ています。一応審査はありますが、合ってないようなもの。殺傷ランクA以外のものであればほとんどがパスしてしまいます。故に、毎年校内での魔法の暴発や、不正使用が起きてしまっています。」

それから楓は例年に起きた事件や事故などを取り上げ、このような事態がないように対策と注意を呼びかけた。一樹は心の中でいつもみたいに許可を得てから受付で貰えばいいと考えてが、すぐに無理だと分かった。CADを受け取る受付は一つ。それなのに校内の全生徒が模擬戦のたびに受け取りに行ってたら、混雑して仕方ないのだろう。しかも今回は野戦もあり校外に出ての戦闘。いちいち取りに行くのがめんどくさいのだろう。

「続いては警備と立会人です。

普段の模擬戦は生徒会の立会人役(生徒会の業務もするが、主に模擬戦の立会人をやる役職)と風紀委員に立ち会ってもらってますが、<バトルロワイヤル>ではとても数が足りません。ですから、その他の委員会や部活連にも手伝っていただきます。立会人は二人、生徒会、風紀委員、部活連から一人、その他の委員会から一人のペアで立ち会っていただきます。」

やはり、生徒会、風紀委員、部活連の人間は少し特別なのだろう。もし、模擬戦で誰かが暴れた場合、圧倒的な魔法力を持つ人間でなければ取り押さえるのが難しいからだ。他の委員会が弱いわけではないと思うが、やはりあの三つは格が違うらしい。

「次に警備です。模擬戦のが許可されている場所は演習室以外にも、森林、湖、沼地、草原、旧市街、山、岩肌の七つです。どこも校外で結構離れています。各エリアごとに魔法師の資格を持った教師がいますがすべてをカバーすることはできません。ですので、私たちの中から何人か警備に当たらせ、何か不祥事が起きた場合、先生と連携をとり、対応します」

それからもまた、例年起きた模擬戦中の事件や事故などを取り上げ、説明していた。中には重症の人間が何人も出た事故もあった。

それからは細かい警備の配置や立会人のペア、シフトなどを決め、それに準ずる対応や対策の説明を受けた。

 

そんなことをしているうちに五時間目の授業のチャイムが鳴り響いた。少し休憩を入れることになり、10分間の休憩に入った。

「ふぅ~」

少し気を抜いてもいいのだろうが、一樹の性格上あまり気を抜くことができていない。特に今回は。

何かが起こる気がしてならないのだ。最近、度々感じる自分を監視する視線。気づいているが、気づかないふりをしている。あまり自分が厄介な相手だと思われないために。だが、今回はその監視の視線が一切感じられない。それはいいことなのかもしれないが、悪い予兆でもありそうで怖かったのだ。そして、それだけではなく自分を取り巻くオーラ。『霊子放射過敏症』によってわかる微かな人の感情。しかし、その感情の発生源が分らない。しかし、この感じは一人や二人ではない。何人のも人間が同じことを考えている。『霊子放射過敏症』よって見えるのは|霊子≪プシオン≫のみ、さすがに何を考えているかはわからない。しかし、誰かが何かを企んでいるのかはわかった。それがこの会議の事なのか、それ以外の事なのかそれとも

―――|理想郷≪エデン≫か・・・

最近活発に動き出した、宗教じみた|理想郷≪エデン≫の末端組織が動こうとしているのか。今この段階では何も分らない。とにかく注意が必要だ。一樹は少し緩めた緊張の糸を再び張り、全神経を会議室とその外へと向る。すると、トントンと肩を軽くたたかれた。後ろにはコップを二つ持ったミールが立っていた。

「水を持ってきてくれたのか?」

コクンと小さく頷き、水の入ったコップを差出し、

「ありがとう」

と言って一樹は受け取った紙コップに口をつける。

「なんだか疲れてるみたいだね」

そう声を掛けてきたのは楓だった。

「ええ、少し。こういう場は慣れていないもので」

と答える。実は嘘だ。疲れている要因も、そして慣れていないという言葉も。

「そうね、私も初めて出たときは緊張したわ。何もしてなくてもね」

と楓は笑って見せた。

「しかし、いやにセキュリティが厳重ですね?」

これだけ大きい会議室なのにドアは三つのみ。しかもそれぞれがオートロック。特定のパス(委員会のパスなど)を持っていないと入ることもできない。それに、その三つのドアには分厚いシャッターが下りるようになっているし、壁も分厚い。これならミサイルを撃たれたとしても多少揺れるだけで、穴は開きそうにない。

「ああ、それはここは避難用シェルターも兼用しているからよ

魔法科高校は性質上テログループに狙われやすいし、まだ魔法師の卵の生徒達に戦えっていても無理でしょ?だから生徒が避難できる場所が必要なの。ここには地下もあって全校生徒が全員避難できるのよ。ほら、一高でもテロリストが侵入してきたって話があったじゃない?その時は避難用シェルターを使わなかったみたいだけど」

「セキュリティのレベルはどの程度何ですか?」

「当時の軍用の最新システムとかで、かなりいいはずよ。ソフト面は時々更新してるみたいだし。それに壁には古式魔法の結界術式が施されてるみたいで、壁を通る魔法を妨害しているみたいよ?」

―――なるほど、そういうことか

一樹は先程から会議室の外を警戒している。それはただ、気配を感じているだけではなく、魔法の兆候やエイドスの変化、一樹特有のある能力など魔法的要素を含んだ能力を発動している。それゆえに一樹に入ってくる情報が制限され、違和感を抱いていたのだ。

「なら、ここが一番安全なところなんですね」

「そういうこと、だからそんなに緊張しなくてもいいのよ♪

じゃあ、そろそろ席にもどらないと」

「はい、わざわざありがとうございました」

楓が席に戻ってゆくとそれにつられて、自分の席に戻る者も多くなった。

「ミル、水ありがとう。そろそろ自分の席に戻りなさい」

「うん」

「あと、気を付けてろ、何かが変だ」

一樹は小さな声で言った。するとミールも小さく頷いた。

 

六時間目の開始のチャイムが鳴った。それは会議の再開の合図でもあった。

「それでは第一回全委員会定例会議を再開いたしま・・・あれ?優君は?」

楓の隣に座っていた。副会長である明智の姿がなかった。一樹は休憩に入ってすぐに会議室を出ていったのを見ていた。

「休憩に入ってすぐにトイレに行くと言ったっきり帰ってきてないんです」

反対側に座っていた恵がそういった。

一樹はついでなのである能力で学校の敷地の隅から隅まで探してみた。

―――・・・いない?

何かがおかしい。一樹がそう思った時、一樹の能力がある前兆をとらえた。

―――これは!?

急いで何とかしないと。今にもこの会議室を飛び出そうとしたが、自分だけが出ていっても意味がない。何とかしようとすると、一樹にまとわりついてた不穏なオーラがより一層濃くなった。

―――くそ、何が起きるんだ

一樹は考えを巡らす。

さっき楓から聞いたセキュリティ

シェルターの使い道

不穏なオーラ

それは少し考えれば分ることだった。

一樹は目の前にある発言用のマイクのスイッチを入れ

「会長早くここから――――」

一樹の言葉が言い終える前にブザーがなった。それに続いてモーターの駆動音。

ドアにつけられたシェルターがありえない勢いで降り、ドンッドンッドンッと連続で響く音。

しばらくみんな何が起きたかわからないみたいだったが。一樹はすぐにわかっていた。

―――遅かったか

もう少し早く気づいていればと後悔したが、今はそんなことしている暇もない。今この状況を何とかしないと。そんなことを考えていると次第に周りがざわめき始めた。自分がどんな状況に置かれたか理解し始めたのだろう。風紀委員の中にはCADを構えて魔法を発動しようとしている者までいた。

「やめなさい!!それとみなさん静かにして!!」

ハウリングでも起こしそうなぐらい大きな声で楓が叫んだ。

「むやみに動いたり、魔法を行使したりするのは危険です。まずは状況を整理しましょう。一樹君、あなたは分ってたみたいですね?説明をお願いできるかしら?」

楓の一言でここにいる生徒全員が静かになった。さすがは生徒会長統率力がある。

「分りました。しかし、混乱を招きたくありません。生徒会長、星華先輩、恵先輩、佐々木先輩、ミルの5人だけにお話しします。あとの情報の選別は任せます」

「・・・分りました。ではこちらに」

そう言うと楓は近くの壁に手を当てた。すると、隠し扉でもあったかのようにドアが開き、下り階段が現れた。

「みなさんはここで待機していてください

会頭あとは頼めるかしら?」

「ああ、大丈夫だ」

6人は階段を下りて行った。

 

 

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