魔法科高校の錬金術師   作:藤宮一樹

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第3話 イレギュラーなクラスメート

 次の日の朝、いつも通り一樹達は学校に到着し、校舎の中で別れる。

理由は二人が違うクラスだからだ。

一樹はD組

ミールはA組

クラス分けは入学時のランキング順で構成されていて、

A組は1~25

B組は26~50

C組は51~75

D組は76~100

となってる。

つまり、クラスはそのままその人の実力を表していると言っても過言ではない。

今は大分ランキングが変動しているからこんなにきれいには並んでいないが、A組とD組の実力差はかなりある。

 

例外を除いて。

 

一樹がD組に着き、席につくと男が声をかけてきた。

「おはようさん、一樹」

「おはよう、サイ」

D組の例外の一人立宮西園寺。

入学時は99位にも関わらず、今では23位の座を勝ち取っている。もちろん色は赤だが。

「相変わらずだな、サイ」

「ん?なにがだ?」

「変な二つ名をつけられてる俺と好き好んで話したがる奴はあまりいないだろ?」

「あ?あの『不動のラストナンバー』ってやつか?

はっ!そんな人の実力も見抜けない奴等が付けたな名前なんてどうでもいいだろ

俺は見ちまったからなー

あの夜のお前は確実に俺より強かった」

「他言無用で頼むよ」

「分かってるよ

でも悔しいよな、事情は分かってるけど模擬戦ができないなんて

お前の方がランキング上だったら、確実に挑戦してたのに」

と西園寺は本当に悔しそうな表情を浮かべた。

「悪いな

代わりと言っちゃなんだが、妹のミルに挑戦してみたらどうだ?」

一樹は意地の悪そうな笑みを浮かべ言った。

「無理無理。瞬殺されるのがオチだって」

「それは俺との方がいい勝負できそうってことか?」

「ちげーよ、相性の問題だ

そもそも妹よりお前の方が強いだろ?」

「どうかな?」

そんな会話をして笑っていると

「朝からなに笑いあってるのよ?キモいよ?」

「おはよう、サヤカ

相変わらず君は口が悪いね」

D組の例外の一人千里紗香。

入学時のランキングは92位にも関わらず、今では19位の座を勝ち取っている。こちらももちろん赤プレート。

「ごめんなさいね、そういう風に育ってしまいまして」

紗香はわざとらしい敬語を使い、隣の席に座る。

紗香も西園寺同様に一樹に話しかける数少ない友人の一人。

紗香の場合は西園寺みたいに事情があって一樹の秘密を知ったのではなく、一目見て一樹の実力を見破ってしまったのだ。

『なんで実力を隠してるの?』

これが紗香が一樹にかけた第一声。

一樹は自分の実力を見破った要注意人物として接してきたが、気さくな態度とその謎に対する追及をしてこなかったため、今では大分警戒心が溶けている(完全ではないが)。

「で何の話をしてたのよ」

鞄を机に横にかけ、尋ねてくる。

一樹と西園寺が笑っていた話題が気になるようだ。

「一樹と妹はどっちが強いかって話だよ」

「え?一樹とミルちゃん?

う~ん、一樹がどんな魔法を使うか知らないけど、やっぱり兄である一樹の方が強いんじゃない?

まーあの速すぎる演算速度をどうにかできる技術があればの話だけど」

「実際どうにかできるんじゃねーの?あの魔法だったら」

「サイ」

一樹は余計な一言を漏らした友人の名前を呼ぶ。

「おっといけねー!悪いな」

「別にその程度なら気にしないよ」

「え!?なになに?」

事情を知らない紗香は気になってしょうがないようだ。

「私だけ知らないのはズルい!

ねー!見せてよー!」

ねー!見せてよー!と言われて簡単に見せられる技術ではないのだが

「そんな心配しなくてもいいよ

サヤカには近い内に見せることになるかも知れないしね」

「え?それって私に挑戦するってこと?」

「いや、なんとなくそう思っただけだよ」

紗香はフーンと言ってそれ以上は何も聞いてこない。

そういうところが気に入った一樹は紗香を数少ない友人というカテゴリーに加えているのだ。

───これだけ仲がよくなってたら共闘することがあるかもしれないしな、しかも・・・

それ以上は考えるのを止めた。

心を読まれると思った訳ではない。

一樹はどんなポーカーフェイスをとっても心が外に漏れることを知っている。

知られてはいけないことは考えないに限るのだ

「そもそもなんでこんな話になったのよ?」

「俺がサイにミルと模擬戦をしてみたらどうか勧めたんだ」

「え!?勝てるわけないじゃない!

こいつには逆立ちしたって無理よ!」

本当に呆れたように紗香は言った。

「それは違うよサヤカ」

そうだそうだと言う西園寺の声をバックに一樹はそう言った。

紗香はえ?っという顔をしている。

「逆立ちしては余計に勝てない」

さっきの意外そうな顔にうって変わって紗香の顔は人を小馬鹿にするような顔で西園寺を見て言った。

「だってさー」

完全に馬鹿にしている。

「俺の味方をしてくれたと思ったのに!

第一お前は勝てるのかよ!?」

「え?私?

う~んどうだろうね

とにかくあの速さをなんとかしないとね

どんな策を用意しても、あれだけ速かったら意味がないし」

紗香が言っている速さとは魔法の発動スピードのこと。

ただの演算速度のことではない、起動式の展開から魔法式の構築経て魔法が発現するまでの速さことだ。

「初弾をなんとかできたら、どうにかしようがあると思う

でも、あの魔法を避けることや中断させることは私には無理

ねー、一樹何か弱点とかないの?」

紗香は色々考えたようだが結局何も思いつかなかったみたいだ。

「ないだろそんなもん」

「あんたには聞いてないわよ」

「そもそも、そんな簡単に妹の弱点なんて言うわけないだろ」

だよね~と紗香はため息をつく。

一樹はしばらく考え口を開いた。

「アドバイスならやろうか?」

「ホント!?」

「マジかよ!」

二人は目を輝かせて一樹の顔をみる。

「確かにミルの魔法速度は驚異的だが、少し慎重過ぎるのがネックだな。

相手がこうしたらこうする。とか考えすぎて魔法の構築多少遅くなってる」

「あれで遅くなってるのかよ」

二人は少し青ざめた顔をする。

「まー待て、雑念なんてそう簡単に捨てられる物じゃない、悟りの境地に達しないかぎりな。

そう考えれば皆同じ状況なんだ、ただミルの場合雑念が人よりも多いだけ。

魔法構築を速くするために取り払おうと思って取り払える物じゃない」

二人はほっとしたような顔をして一樹の話の続きを待つ。

「人より雑念が多くても十分速い、そこがミルの弱点だ」

「弱点教えちゃってるじゃねーかよ」

西園寺が呆れ顔で言う。

「馬鹿ね、そこを弱点にする技術が難しいんでしょ」

と紗香も呆れた顔を西園寺に向けて言う。

「は?どういうことだよ?」

「じゃあ、あんたは『人より雑念が多くても速いのが弱点だ』って言われてどうすればいいか分かる?」

「あーーわかんね」

「はぁ~馬鹿だ」

「なっ!じゃあお前には分かるのかよ!?」

「分かるわよ、出来るかは別だけど

結果的に言えば不意を突く、でしょ?」

笑みを浮かべて一樹に顔をむける。

「その通りだ」

その笑みに笑みを返しながら一樹は答えた。

「あ?不意討ちってことか?」

「ホント馬鹿ねあんた

模擬戦で不意討ちなんてできるわけないでしょ?」

「あ!そっか」

「ミルちゃんが相手の行動を予測して魔法を構築してるとしたら、その予想外のことをすればいいのよ

そうすれば魔法構築の一時停止。うまくいけば魔法構築の中断させることができる」

「大正解だなサヤカ。さすがだ」

まあ~ね~っと自慢げな顔をする。

「でもそれって難しいんじゃないか?少なくとも俺には出来そうもないぜ」

「そうね、私も五分五分ってところかしら

もっと実用性のある弱点はないの?」

「実用性のある弱点って・・・

あると言えばあるがそれはミルとの戦闘で見つけ出してくれ

ミルのためにもなるからな」

「今回もミルちゃんのためってことか

じゃあ、おねーさんが人肌脱いであげようかな!?」

同級生を子供扱いしているところにツッコミたいところはあるが、そう思わせてしまう幼さをミルが持っているのも事実であった。

「てかそんな時間があるのかよ」

西園寺の一言で紗香の体が固まる。

「俺なんて放課後五戦連続で模擬戦の予約が入ってるんだけど」

「私は六戦連続で入ってる。さすがにそのあとにミルちゃんとやり合える自信が全くない」

はぁ~と二人揃ってため息をつく

二人ははっきり言って23位と19位の器ではない。

本来ならもっと上を目指せるのだが、次から次へとやってくる挑戦者を相手にしなければならず、自分達より上の人に挑戦できない状態になっている。

「俺からしてみたら贅沢な悩みだな

今はD組のランキング上位者だから挑戦されてるだけで、そろそろ誰も敵わないことわかってくるんじゃないか?」

「一樹がそう言い始めて二週間近く経つんですけど?」

「この前なんて、前に叩きのめした奴が『運が悪かったんだ』とか言われてもう一度挑戦してきた奴もいるし」

はぁ~とまた二人揃ってため息をついた。

そして、授業の開始のチャイムが鳴る。

 

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