魔法科高校の錬金術師   作:藤宮一樹

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第4話 波乱の生徒会室

 授業は滞りなく終わり、時間通りに昼休みを迎える。

昨日約束した通り弁当を持ち、ミールと共に生徒会室へと向かう。

いつもなら西園寺と紗香と共に昼食をとるのだが、二人の誘いを断って来た。

もちろん理由を聞かれたし、隠す理由も無いので答えた。

紗香は『私も行きたい!』とか言っていたが、アポ無しでは無理だろから今回行ったら聞いてくるという約束で許してもらった(何を?とは思わないようにした)。

生徒会室の前に着、一樹はインターフォンを押す。

『いらっしゃーい』

まだ何も言っていないのに星華の声が聞こえる。どこかにカメラでもついているのだろう。

微かなドアのロックの解除音が聞こえたので一樹はドアを開ける。

「生徒会室へようこそ」

ドアを開けて一番最初に目に入る上座の席に座っている人物にそう言われた。

そこの席に座っているのは九頭見 楓。

この学校の生徒会長だ。

 

 

 星華に案内され席につく。

一樹は自分がミールより上座の席に座らされ、多少戸惑った。

双子であろうと一樹が兄なのだから当たり前かも知れないが、自分の学校的な立場を考えると少し意外感を覚えた。

皆が席に座り、まず第一声を発したのが九頭見楓であった。

「まずは自己紹介からしましょうか?

もう知っているとは思うけど私の隣に座ているのが風紀委員長の弥生星華」

「よろしくね♪」

「その隣に座っているのが三年生会計の山中 恵。メグメグって呼んであげてね」

「呼ばないでください!!」

とメグメグと呼ばれた少女が急に立ち上がり顔を真っ赤にして会長の方を見る。

「あ!ごめんなさい!普通に恵って呼んでくださいね?よろしくお願いします」

突然我に返り、一樹を見て言う。

一樹は心の中で忙しそうな人だなと思いながら一礼をする。

「そのまた隣が二年生書記佐々木 志帆。しほっちって呼んであげてね」

「志帆でお願いします。一樹君」

さっきの恵の対応を比較するとどっちが上級生かわからないなと思いながら一礼をする。

「では、一樹君自己紹介をお願いします。」

さすがに先輩達を相手に座って自己紹介するわけにもいかないので、席を立ち、

「1ーD藤宮 一樹です。よろしくお願いします。」

言い終えると軽く一礼し席につく。

「はい、ありがとうございました♪

では、昼食にしましょうか」

一樹と楓の目が合う。

「どうしたの?」

「あ、いえ、会長の名声数々を耳にしていましたが、直接自己紹介をしていただきたく思いまして」

「あ!!ごめんなさい、てっきり忘れちゃってたわ!

3ーA九頭見 楓。魔法科第四高校の生徒会長を勤めさせていただいています。」

最後は可愛らしい笑顔で締め括られた。

九頭見楓と弥生星華どちらも申し分ない美少女であり、清楚でかなりいいところのお嬢様という雰囲気を醸し出している。

楓と星華を比べると若干楓の方が幼そうに見えるが、芯は楓の方が強そうだというのが一樹の第一印象だった。

「ありがとうございます。

わざわざすみませんでした」

「いえいえ、気にしないで

ところで名声ってどんな事を聞いているの?」

「入学してすぐに二年生ランキングに食い込み、二年生なったら三年生の上位に食い込む。そして今では学年一位の座についている無敵の姫君と呼ばれているなどの話です」

「へ~私ってそんな風に言われてたんだ」

「あれ?会長知らなかったんですか?」

恵が不思議そうに問いかける。

「あんまりそういうことに興味ないから」

楓は苦笑いしながら答える。

「そういうところが人気になる理由なのかも知れませんね」

と志帆が淡々と述べた。

「さっ、冷めないうちに食べましょう」

一樹とミールは弁当なので関係ないのだが、他の先輩方はダイニングサーバーなので温かい

「まさかダイニングサーバーがあるなんて思いませんでした」

「あれ?ミールちゃんから聞いてなかったの?」

と楓は不思議そうに首を傾げる。

「はい、ミルはあまり委員会の話をしないので」

「へー意外だわ」

「意外、ですか?」

一樹は何が意外なのか全く分からず、思わず尋ねてしまう。

しかし、答えは星華から返ってきた。

「そうですね、ミールちゃんはお兄ちゃん子だと思ってましたから」

丁寧な言葉を使っているが、要はブラコンと言いたいのだろう。

「ミルとはそんなに話をしませんよ?元々ミルは無口な方ですし」

「そうなんですか、でもミールちゃんは生徒会室では結構おしゃべりですよ?」

楓は何が面白いのか分からないが、笑顔で言った。

「え?そうなんですか?」

一樹は本当に驚いた。

人見知りの激しいミールがおしゃべりと言われていることに。

「確かによく話しますよ

特に私とは同じ委員会なので一緒にいることが多いので余計にそう感じることがあります」

「どんな話しをするんですか?」

「あなたのことですね」

と楓は笑顔で答える。

「そうね、一樹君のことばかり話してるわ」

星華も続けてそう言った。

「俺のことですか?」

「ええ、掃除が得意だとか」

「洗濯が得意とか」

「料理が得意ともいってました」

「勉強を教えてくれるとか」

楓、星華、恵、志帆の順で答えていく。

一樹は途中から恥ずかしくなってきた。それに、

───そんなんで俺の印象は大丈夫なのか!?

とか思ってたり。

「一樹君はHARは使わないんですか?」

「最近は使うことが多いですね。元々実家にはHARはありませんでしたし」

「HARを導入してないなんて珍しいですね?」

「母が機械任せにするのが嫌いでしたので

自分もそれを手伝っていたら、いつの間にかそつなくこなすようになってしまいまして」

「すごくいいことだと思いますよ。ミールちゃんが自慢したくなるのも分かる気がします。」

楓は笑顔でそう言った。

話している間ずっと笑顔いる。

無理に笑っていて疲れないのだろうか?

一樹はそう思った。

なぜ無理に笑っていると思うのか?

理由は簡単。

楓は自分に対して嫌悪感を抱いている。

それは生徒会室に入ってすぐに分かった。

直感ではなく視覚(・ ・)で理解した。

「あと、料理の中でも茶碗蒸しが好物だって言ってましたね」

恵は何故か目を輝かせながらそう言った。

「作るの難しいんでしょ?茶碗蒸しって

前に作ったことがあるけど、失敗しちゃって」

「弥生先輩も料理をなさるんですか?」

「星華でいいわよ、趣味程度なら少しね

一樹君の茶碗蒸し一度食べてみたいわね」

「そんな大した物ではありませんが、機会がありましたら」

「ええ、楽しみにしているわ」

「その時は私も同席させてもらってもいいですか?」

一樹は完全に社交辞令のつもりだったのだが、恵は本気にしているみたいだった。

「恵ちゃんは茶碗蒸し大好物だもんね?」

「ち、違いますよ!」

「あれ?嫌いなの?」

「そ、それは好きですけど・・・」

ふふふふと星華は笑いながら恵を見ていた。

案外意地の悪い面を持っているのかもしれない。

気を付けよう。と思った一樹なのであった。

「あ!そうそう!」

楓がわざとらしく、思い出したように言った。

「一樹君は本当はミールちゃんより強いとも言ってましたね」

一樹は一瞬だが、ビクッと体を震わせた気配を感じる。

意地悪そうに笑っていた星華は真剣な顔付きになり、恵と志帆は自分達が口を出すべきではないと思い、黙って昼食を食べている。

楓はその言葉を言い終えると一樹の目を見る。

「では、そろそろ本題に入りましょうか」

予想していた通り、一樹に話があったようだ。

「単刀直入に聞きます。

何故あなたは実力を隠しているのですか?」

紗香と同じようなセリフ。

しかし、今回は適当にはぐらかすことは難しそうだ。

「・・・・・・」

一樹はなんて答えようか迷い、つい黙ってしまった。

「私達はある事を問題視しています

それはあなた、一樹君につけられた蔑称『不動のラストナンバー』

『ラストナンバー』という言葉は前から存在していました

実際、風紀委員会ではその言葉を禁止ワードと定め、言った者は懲罰対象にされています。

しかし、過去それで懲罰を受けた者がいません

なぜなら、一人の人間がずっと100位に甘んじている事が少なく、一人に対して『ラストナンバー』と言われ続ける事がないからです

ですが今回はそんな事態が起き、懲罰を受けた者が多発しています

そんな中、当の本人が実力を隠していると知れば、嫌悪感を抱かざるおえません」

西園寺同様理由を言わなければならないらしい、しかももっと深くまで話さないと納得してもらえないだろう。

「わかりました。実は」

と一樹が理由を言おうとしたとき、さっきまで隣で大人しく座っていたミールがガラッと大きな音をたてて立ち上がった。

「一樹・・・」

「どうしたんだい?ミル」

「ごめんなさい」

「・・・いいんだよミル

お前がそう簡単に言いふらすとも思ってないから」

チラッと一樹は楓の顔を見る。

楓はそれがどういうことか分かったみたいで

「ええ、そうよ

ここにはいない生徒会メンバーの一人、一年生の来栖澪ちゃんがあなたの悪口を言ったらミールちゃんが怒って口走ちゃったのよ

『兄は私より強い。あなたよりずっと強い』ってね

別にそれを鵜呑みにしたわけではなくて、あなたが一度も挑戦をしたことがないところから見て、実力を隠してるんじゃないかって思ったの」

「そういうことでしたか」

「ごめんなさい」

ミールが再び謝る。

「もういいよミル

気にすることはない」

無表情なミールには珍しく、今にも泣きそうな顔をしている。

そんな顔を見た一樹はミールの頭を撫でる。

「ありがとうな、ミル」

鳴き声を漏らしながら、とうとうミールは涙を流した。

「分かりました。九頭見会長

すべて説明します」

 

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