魔法科高校の錬金術師   作:藤宮一樹

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第6話 風紀委員VSラストナンバー

 生徒会室を後にした一樹とミールはギリギリ授業に間に合った。

その授業が終わると西園寺と紗香は一樹の元へ飛んできて

「「どうだった!?」」

と二人同時に同じことを聞いた。

「仲いいなお前ら」

「「どこが!」」

またハモった二人はお互いに睨み合う。

「何やってんだよ

何か用があったんじゃないのか?」

「おおっと!こんなバカ男を相手にしてる場合じゃなかった!

で?どうだった」

なにー!!と言う西園寺の声を聞き流し、目を輝かせて聞いてきた。

「まー待てって

次は実技だ歩きながら話そう」

そう言って移動の準備をする(といっても情報端末を持つだけだが)。

三人は1-Dの教室を後にした。

 

 

 

「ふーんそんなことになったんだ」

「お前も災難だったな」

紗香と西園寺は同情ぎみに言った。

「確かに災難ではあったが、先輩方のせいじゃないよ、自業自得だ」

「いや、そう言えるお前がスゲーよ」

「一樹、性格良すぎ

そもそも少し考えたら分かるでしょ?なんか事情があるって」

「確かにそうかもしれないが、意外と厳しい状況だったんだろう」

今まで懲罰を受けた者がいなかったのに、最近懲罰を受ける者が増えてきたのはかなり問題になっていただろう。

「ってことは今週中に模擬戦をするってことでしょ?

私も見学していい?」

「あ!俺も俺も!」

紗香も西園寺も嬉しそうに聞いてきた。

「ああ、西園寺と紗香ならいいよ」

「よし!やった!」

と紗香は可愛らしくガッツポーズをとった。

よっぽど一樹の実力が気になっていたのだろう。

「俺とこいつならってことは、他のやつらはダメってことか?」

「ああ

生徒会と風紀委員の立ち会いは拒否できなが、他の観戦者は本人の許可が必要のはずただ」

「フーン

でもよ、カメラで録画してるから、意味がねーんじゃねーの?」

「直接見なければ分からないことはあるからな

それに、カメラはなんとかするつもりだ」

「あ?事故に見せかけてぶっ壊すとかか?」

「そんな野蛮なことはしないさ」

「そーよあんたじゃないんだし」

紗香は馬鹿にした目で西園寺を見た。

「なんでお前はいつもそんなに俺に否定的なんだ?」

「あんた馬鹿だし

なんで一樹みたいのがこんなのと一緒にいるか分かんないし」

「どういう意味だよ!?」

「あんたは見るからに弱そうってこと」

クスクスと笑いながらそう答えた。

「じゃあなんだよ

お前は俺より強いっていうのかよ!?」

「当たり前じゃん

実際にランキング的に見ても強いじゃん」

「あんなのは当てになんねー!

今から模擬戦をやったら絶対に俺が勝つね」

「はぁ!?

じゃあ放課後やってみる!?」

「ああいいぜ!やってるよ!」

二人はかなりの殺気を放ちながら喧嘩をしている。

そんなとき

「お前ら放課後既に模擬戦の予約でいっぱいじゃないのか?」

一樹の冷静なツッコミが入る。

「「・・・・・・」」

二人とも黙ってしまった。

「「はぁ~~」」

今度は二人同時にため息をついた。

「強さなんて相対的なものだ

どっちが確実に強いなんてそう簡単には分からないよ

だから今は互角ってことでいいじゃないか」

「そうね、そういうことにしときましょう」

「そうだな

はぁ~放課後のことを考えたら疲れてきちゃった

一樹、悪いが模擬戦観戦しといてくんね?途中に過労で倒れるかも」

「あー私も頼む」

模擬戦中は生徒会か風紀委員の立ち会いがあるため倒れても人手不足にはならないと思うが。

「分かったよ、どっちみちミルを待ってなきゃいけないしね

でも今は少し急ごう実技の授業に遅れるぞ」

「「は~い」」

三人は実技室に駆け足でむかった。

 

余談だが二人はすべての模擬戦を終えてもピンピンしていた。

 

 

 生徒会室で模擬戦勝利宣言をしてから3日がたった。

準備は整い、一樹はそろそろ戦う相手を選ぼうとしていた。

 

「で、まだ決まんないの?」

紗香がつまらなそうに話す。

「実際誰でもいいんだけど、あんまり目立ったマネはしたくないからね」

「99位とかじゃ駄目なのか?」

「順位が一つ上がったぐらいじゃ意味がない

あまり目立つことなくかつ、意味のある順位がいいんだ」

「もう、今の状態から目立たずにっていうのは無理だとおもうよ?」

「だから悩んでるんじゃないか」

昼休み、うーんと悩みながら三人は食堂から教室に戻っていた。

D組で食堂を使うのは西園寺と紗香ぐらいだ。

食堂を使うのは上位ランキングの人が多い。

別にランキング低い奴が使ってはいけないと言うルールはないのだが、馬鹿にされた目で見られたくないのかは分からないが、ランキングの低い人は自発的に食堂を使わない。

故にD組の生徒はみんなは買い弁か持参の弁当。

一樹も弁当だが、西園寺と紗香に付き合って食堂にいっている。

その際多くの馬鹿にした目で見られるがちっとも気にしていない。

それと食堂はとクラスが離れているという理由があるかもしれない。

三人はそんな遠い道のりを歩いていると、一樹は何かに気付き、三階の窓から外を見下ろす。

するとそこには小拳銃型の特化型CADを持った生徒が魔法を使おうとしていた。

一樹は窓を開け三階(・ ・)から飛び降りる。

後の二人も続けて飛び降りた。

しかし三人が着陸する前に魔法が行使された。

魔法を受けた生徒は移動系の魔法により吹き飛ばされる。

間に合わなかった!

三人はそう思ったが、まずは自分自身のことに専念する。

紗香は重力減少魔法で衝撃を緩和し、西園寺は着陸時の地面に対して自分にかかる反作用の力のベクトルの方向を変え、衝撃を緩和した。

一樹は体術だけで衝撃を受け流した。

「ひゅーさすが!」

「やっぱり、思った通り只者じゃないわね」

西園寺は感嘆声を漏らし、紗香はやっぱりという顔をした。

「フッよせよ、そういうお前たちも凄いじゃないか

CADなしであの精度。とても高校生には思えない」

「あ?なんだお前ら?」

さっき魔法を行使した生徒がそう言った。

胸には5と書かれた()のプレート。

ネクタイの色とプレートの色から見て二年生なのだろう。

「なんだじゃないでしょ!?

なんでこんなところで魔法を使ってるのよ!?」

相手が先輩だと分かってもタメ口で言う。

「なんでって、こいつが挑戦してきたから戦ってやったんだ」

「おいおい!

挑戦を受けたら演習室でやるきまりだろ!?」

西園寺も同様、先輩に対してタメ口だ。

確かにこんな相手に敬語を使う必要も無さそうだ。

「俺は忙しいんだ

こんな雑魚を相手にしていられない」

紗香も西園寺も絶句する。

「そもそも校内でのCADの携帯は禁止されていると思いますが」

「ハッハッハ!風紀委員はいいんだよ!

ん?一年の100番・・・そうかお前が『不動のラストナンバー』とか呼ばれているのは」

「ちょっと!!それは懲罰対象になっているはずでしょ!?」

「バレるわけねーだろ

俺が風紀委員なんだから」

「『不動のラストナンバー』のことは置いといても、風紀委員の魔法の不正使用は厳罰を下されると思うのですが?」

「うるせーな!!」

二年生の風紀委員は一樹にCADを向けて引き金を引いた。

が魔法は不発に終わった。

「っい」

二年生は苦痛の声を漏らす。

手にCADは無かった。

ガチャっと音おならして二年生の数メートル後ろに特化型CADが落ちた。

「・・・魔法」

恐怖似た感覚を覚えながら二年生は言う。

「CADを持ってないのに、特化型CADより速く魔法が発動するなんて・・・」

今度は紗香の声、信じられないという表情で言った。

「あなた達!!何やってるの!?」

遠くから怒鳴り声が聞こえる。

声の主は風紀委員長、弥生星華、その隣には生徒会長である、九頭見楓。

「どうなってるの!?笹森君!?」

笹森、きっとこの二年生の風紀委員のことだろう。

「はい!この三人が魔法行使したため取り押さえようとしているところです!」

「ちょ!!何言ってんだよ!?」

西園寺が怒鳴り

「そうよ!あんたが先に魔法を使おうとしたんじゃない!!」

紗香も援護した。

「何を言っているんだ?

それに風紀委員の証言はそのまま証拠になるんだ」

嫌みったらしい笑みを浮かべて笹森はそう言った。

 

『あ?なんだお前ら?』

『なんだじゃないでしょ!?

なんでこんなところで魔法を使ってるのよ!?』

『なんでって、こいつが挑戦してきたから戦ってやったんだ』

『おいおい!

挑戦を受けたら演習室でやるきまりだろ!?』

『俺は忙しいんだ

こんな雑魚を相手にしていられない』

『そもそも校内でのCADの携帯は禁止されていると思いますが』

『ハッハッハ!風紀委員はいいんだよ!

ん?一年の100番・・・そうかお前が『不動のラストナンバー』とか呼ばれているのは』

『ちょっと!!それは懲罰対象になっているはずでしょ!?』

『バレるわけねーだろ

俺が風紀委員なんだから』

『『不動のラストナンバー』のことは置いといても、風紀委員の魔法の不正使用は厳罰を下されると思うのですが?』

『うるせーな!!』

 

ピッという機械音によって締め括られた。

 

「星華先輩、これには証拠能力は無いでしょうか?」

と言って情報端末を渡す。

星華はすぐにその音源のプロパティを見て、日付を確認する。

「ええ、改竄された形跡もありませんし、証拠に採用します

よく、録音してましたね」

「前にミルから風紀委員の証言はそのまま証拠に採用後されると聞いていたので、念のために」

「そうですか

さて、笹森君弁解はありますか?」

「・・・」

笹森は下を向いて悔しそうな顔をしている。

「風紀委員によるCADの不正使用、風紀委員の証拠の虚言、禁止ワードの使用、ここまできたら退学を免れませんよ?」

「くそ!!」

そう言って笹森は地面を蹴り飛ばす。

「退学ですか

なら、笹森先輩俺にその座譲っていただけませんか?」

「はぁ?」

「簡単に言うと模擬戦をしませんか?

自分が負けたら先輩の証言を認めて構いませんよ?」

「ちょ、何を言ってるのよ?」

楓が慌てぎみに言う。

「・・・・・・後悔するなよ?」

「大丈夫ですよ。勝つのは俺ですから」

一樹はわざと生意気な態度をとる

「調子に乗るなよ!雑魚!!」

「雑魚かどうかはやってから決めてください」

「わかったわ」

「ちょっと!!星華!?」

星華はこの場を収集するかのように言う。

「楓、頼む」

「もう、どうなっても知らないわよ

生徒会の権限により30分後に第一演習場にて模擬戦を行います!

立会人は生徒会長、九頭見楓と風紀委員長、弥生星華

あなた達二人は観戦を特別に許可します!

通常授業は特別な課外授業参加として出席しなくても構いません!」

 

一樹、西園寺、紗香はその場を後にし、一樹のCADを取りに事務室に向かう。

「これじゃあ余計に目立たない?」

「そうだな、でもどっちみち目立ってしまうんなら思いっきり目立とうかなと思って」

一樹は笑って答える。

「うわー、俺には無理だわ」

三人は笑いながら歩く。

 

 

「はぁ~なんでこんなことに」

「面白そうじゃない、私は楽しみよ?」

ため息をつく楓とは逆に星華は楽しそうな顔をしている。

見た目と違って星華は意外と好戦的な性格のようだ。

「あなたってやっぱり変わってるわよ」

「そう?

あ!きたわよ!」

一樹を中心に三人が演習場に入ってきた。

「遅れてすみませんでした」

「いえいえ、まだ開始まで5分ありますから」

と星華はニコニコしながらいう。

「楽しそうですね?」

「ええ、とっても♪

でもまさか一樹君がこんな性格だったなんてね」

「まずかったですか?」

「うんん、逆に大歓迎よ」

それもどうかと思うが、今は他のことが気になった。

「ところで何故ミルがここにいるんですか?」

隣では紗香とミールが遊んでいた(厳密にはミールが紗香に遊ばれている)。

何故か知らないが、人見知りの激しいミールだが紗香とは出会ったその日に仲良くなった。

「模擬戦見に来た」

「一樹君が模擬戦をすると言ったら見たいって言うから呼んだのよ

これで余計に負けられないわね」

「負けるつもりなんて元々ありませんよ」

チラッと笹森の方を見る。

笹森はその前から一樹を見ていたらしい。

短い間だが、お互いににらみ合う。

「では、ルールを説明します」

楓がその間に入って言う。

「直接、間接攻撃を問わず相手を死に至らしめる術式は禁止。

回復不能な障害を与える術式も禁止。

相手の肉体を直接損壊する術式も禁止にします。

捻挫以上の怪我を負わせないのであれば直接攻撃をしても構いません。

ただし、武器の使用は禁止。体術のみです。

蹴り技を使いたいのであれば前もって靴をこのソフトシューズに履き替えてください。

勝敗はどちらかが敗けを認めるか、審判が続行不能と判断した場合に決まります。

お互い、所定の位置につき、合図があるまでCADを起動しないこと。

ルール違反はその時点で負けとなります。

それでも強行する場合は風紀委員と生徒会の人間が取り押さえます。気をつけてくださいね

質問はありませんか?」

笹森はコクンと頷き。

「はい

ではソフトシューズに履き替えてもいいでしょうか?」

一樹はソフトシューズの履き替えを要求する。

「はい、どうぞ」

楓からソフトシューズを受け取り、履き替える。

 

そしてお互い五メートル離れた位置につき、開始の合図を待つ。

「開始!!」

星華の声と同時に笹森はCAD を起動し一樹に向ける。

その動きには淀みがなく、何百、何千回と練習しなければこうはできない。

あっという間に起動式から魔法式を構築し放つ。

その魔法は笹森が学校裏で挑戦者に放った移動系単一魔法。

対象物体(この場合は対象者だが)が後ろに大きく吹っ飛び、壁に激突し、気絶させる。

模擬戦において、魔法を速く発動させることを得意とする生徒がよく使う手法だ。

故に確実で確かな手法だった。

だが、その魔法は発動しなかった。

何故なら、一樹の握られた右の拳によって魔法式が粉々に破壊されたのだ。

「な!?」

笹森が驚きの声をあげる。

当然だ、ただ殴っただけでは魔法式は粉々にはならない。

笹森が驚いている間、一樹は五メートルの間合いを一瞬で詰め、腰を落とし、下から抉るように蹴りあげる。

笹森はとっさに身体硬化の術式を編み上げる。

この対応能力の高さが二年生第5位の座まで引き上げたのだろう。

しかし、身体は硬化できても、体が持ち上がるのは避けられない。

しかもその体の上昇は異常だった。

約三メートル以上も体が中に浮かぶ。

一樹もそれを追いかけるためにジャンプし笹森の体の上まで飛ぶ。

「ふっ」

と肺の中の空気を一瞬で吐き出し、笹森のみぞおち目掛けて掌底を打ち込む。

笹森は新たな魔法を使わなかった。

理由は今発動している硬化魔法で防げると思ったからだ。

しかし、その考えは甘かった。

掌底は笹森のみぞおちに当たらず寸土め。

にも関わらず、笹森の体は勢いよく地面に叩きつけられてた。

「かはっ!」

肺に入っていた空気が強制的に吐き出される。

そのまま笹森は動かなくなった。

一樹は魔法も使わずに地面に着地した。

 

「勝者、藤宮一樹!!」

星華の声によって模擬戦は終了した。

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