魔法科高校の錬金術師   作:藤宮一樹

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第7話 特殊技能

 「すっごーーーーーーーーい!!」

そう叫んだのは紗香だった。

まるでアクション映画に感動した子供のような反応だった。

「前から凄そうだと思ってたけど、まさかここまでだったとは!」

「兄はもっと凄い」

紗香は嬉しそうに、ミールは自慢に言う。

「気絶しているので医務室に運んだ方がいいと思います」

一樹は勝ったことに誇らしげもなく、淡々と言った。

「ええ、そうね担架で運びましょう」

「自分が運びます

サイ、頼んでもいいか?」

自分を除く唯一の男に声を掛けた。

「おう、いいぜ!」

西園寺は嫌がることなく答えた。

そして、全員で医務室へ向かった。

 

 笹森を医務室に運び、怪我が大したことが無いことを確認したら

「それじゃあ生徒会室で一服しませんか?」

という星華の提案により一同は生徒会室に来た。

楓と星華と一樹はこの前と同じで、ミールは一樹の隣ではなく星華の隣に座り、西園寺と紗香は一樹の隣に座った。

ダイニングサーバーで紅茶を人数分入れ、奇妙な6人でお茶会が始まった。

「それにしてもビックリしたわ」

紅茶を飲みながら楓は言った。

「まさか術式解体(グラムデモリッション)が使えたなんて」

「え!?あれはグラムデモリッションだったの!?」

紗香は驚いて答える。

「なんだ?グラムデモリッションって言うのは?」

「はぁ~あんたって本当無知ね」

なんだと!?と言いたそうな顔だったのだが、場をわきまえ堪えたみたいだった。

「まー使える者も少ないから知らない者も少ないのは当たり前だよ

自分で言っちゃなんだが結構なレアスキルだからな」

一樹は自慢げに言うことなく、西園寺をフォローしに入った。

術式解体(グラム・デモリッション)、圧縮した想子(サイオン)の砲弾を魔法式に叩きつけることによって術式(グラム)を粉々に砕く」

「そう、しかもただの想子の塊だから物理的な障害は一切関係ないし、情報強化、領域干渉の影響も受けない。キャストジャミングの影響すら吹き飛ばす。射程距離が短いということ以外弱点らしい弱点は見当たらない。魔法の防壁を何枚も重ねることでやっと防ぐことができる最強の対抗魔法」

説明終えた一樹の言葉に楓が補足する。

「でもあれはただの術式解体(グラムデモリッション)ではありませんでしたよね?」

星華は疑問に思ったことを口にする。

「ええ、あれはグラムデモリッションの亜種です

拳の中で想子(サイオン)を圧縮し、その拳を叩きつけて術式を破壊すると言うのがさっきの技の正体です

普通の術式解体も使えるのですが、照準補助のないCADを使う場合はこっちの方が早いし、無駄がないためより少ない想子(サイオン)で同じ効果を発揮できます。」

「面白い使い方ね、そもそも拳に想子(サイオン)を圧縮することが一般人には難しいんじゃないかしら?」

星華は古式魔法を使う。

だから、体内での想子(サイオン)操作がどれだけ難しいか知っていた。

「修行は必要ですね

しかし、修得できれば想子(サイオン)保有量が少なくても可能です

そう考えれば、まだ想子(サイオン)量に頼っている自分はまだまだ未熟者です」

「いやいや、あなたはかなりの想子(サイオン)保有量なのだからこれ以上は必要ないんじゃない?」

「いえ、あれは元々術式解体(グラムデモリッション)を使われたことがバレないために開発されたもの、バレてしまっては意味がありませんよ」

ふーんそっかと星華は納得したようだ。

「じゃああれは?

笹森先輩を持ち上げた魔法は?

あれだけの演算速度があったら入学時のランキングが100なんてあり得ないでしょ?」

紗香は興味津々に聞いてくる。

一樹が笹森先輩を蹴りあげた後すぐに自分を持ち上げる術式を編み上げている。普通ならかなりの演算速度だった。

「それの正体はこれ」

ズボンの裾を少し上げると、足首にはCADが装着してあった。

「CAD?」

「ああ、非接触式ループキャスト搭載単一魔法特化型CADです」

「単一と言うことは加重系マイナスのみってことですか?」

楓がさっきの戦闘を元に術式を言い当てる。

「はい、単一に絞ることでより速く魔法を発動し、ループキャストにより、連続して魔法を発動することが可能です」

「え?でも対象物が違ったでしょ?

いくらループキャストでも対象物が明らかに違ったら連続発動は無理じゃない?」

「対象物を変数化すれば問題ありませんよ」

変数。

魔法の起動時間や規模、威力。開始条件や終了条件を好きに決めるために起動式の一部を変数化することにより自由度の高い魔法を行使できるようになる。

その代わり変数が多いほど高度な変数処理が要求される。

「そんなの無理に決まってるじゃない!?

いくら変数処理が高くても無理よ!対象物の設定は起動式の根幹よ!そこを変数に処理しても人の頭じゃ処理しきれないわ!」

楓のいう通り、普通なら処理はできない。

照準補助を使うことにより変数に処理できるのだ。

これは汎用型にループキャストを組み込めない理由になっている。

理論的には組み込める。特に対象物を取らない座標指定の魔法なら今でも可能だ。

しかし対象物をとる魔法は変数を処理しきれず、魔法は発動されない。

「ええ、その通りです

できる人はいると思いますが、少なくとも今の自分には不可能です」

「だったら・・・」

「これは特化型ですよ?照準補助はつけられます」

「え!?これ照準補助ついてんのか!?」

今まで黙って西園寺が口を開いた。よっぽどビックリしたのだろう。

それも当然だ。

一樹が足首に巻いているCADは一見汎用型だ。言われなければ特化型だとはわからない。

それは、特化型特徴とも言える照準補助がついていないからだ。

「足が地面に接触しているときは自分を、それ以外はその接触している物体を対象にとることで変数処理を可能にしています」

楓は興味深そうにCAD を覗きこむ。

「すごく特殊な照準補助ね

聞いたことないわよ?

一般に発売をしてないわよね?」

「はい、需要が無さそうですしね

これは特注品ですよ」

「FLTの特注よね?

しかも、トラース・シルバーシリーズ。

コネでも持ってないと無理じゃないかしら?」

「FLTの重役に知り合いがいまして、少しわがままを聞いてもらってます」

「・・・もしかしてトラース・シルバーの正体とか知ってるの?」

紗香はまさかという顔で聞いてくる。

「いえ、それだけは教えてくれなかった、よほど機密度が高いそうだな」

え~知りたかったな~と言いながら紗香はそれ以上聞いて来なかった。

はやり、紗香はよほど()がいいらしい。完全に使いこなしている。

今の嘘も見破ったようだった。

「じゃあ、あの掌底ついて教えるのは無理ですよね?」

星華は無理だと思いながら聞いてきた。

よっぽどあの技仕組みを知りたいらしい。

「ちょっと!!あんまり他人術式を詮索するのは失礼よ!」

楓が叱咤を飛ばす。

「楓もさっきから聞いてたじゃないか」

「そ、それは・・・」

「別にいいですよ

そんなに大した術式でもありませんし

あの掌底は発勁ですよ」

みんなよくわからないという顔をしている。

一人を除いては。

「発勁・・・

確か、大亜連合にある前の中国の武術。力を発するための技術だったはず。

簡単に言えばいかに効率よく人を突き飛ばすかってことだね」

「正解。よく知ってたね。さすがだ紗香」

えへへと言いながら可愛く照れている。

「勁を発生させ、接触面まで導き、作用させる。

この三工程を同時に行うことで、発勁を発動することができます」

「工程って、なんか魔法みたいね」

楓は思ったことを口にした。

「ええ、その通りです。これは一種の体術メインの魔法です

勁とは気を爆発させて作り出す力のことで、中国拳法の気というのは想子(サイオン)のことですから

今回の技はさらに魔法的要素を取り込んだ技です」

「魔法的要素?」

紗香は武術に魔法を取り込むことに興味を惹かれるようだった。

想子(サイオン)自体に発生させた力とダメージの情報を書き込み、そして、さっき言った接触面の定義を改変し、体内に定義します。

すると想子(サイオン)が定義された体内で活性化し力とダメージを与えます。それと同時に最初にかけた加重系マイナスの魔法も解除し、重力に引っ張られ地面に叩きつけられます。」

「活性化と言うのは情報の複写ということでしょうか?」

すかさず、星華は疑問を投げ掛ける。

「ええ、情報強化の応用ですね。すぐに復元力で戻されてしまいますが、一瞬でも痛みを感じれば十分ですから」

「では、何故掌底を寸土めにしたんですか?」

星華はかなり好奇心旺盛のようだ。

次から次へと疑問を投げ掛けてくる。

「えーとそれは・・・」

一樹が言いずらそうにしていると

「死んじゃうから」

「え?」

「ミル余計なことは言わなくてもいいんだよ」

「一樹が手加減してたことを知ってもらわないと」

「たく、しょうがないな

その通りです。あのまま当てていたら、内臓破裂で死んでいたでしょうね」

みんなの顔から血の気が引くのがわかった。

「内部に突然生まれた力と外部から加えられた力は合わさるのではなく累乗されます。

するとあまりにも大きい力は逃げ場を失い、爆発します。

体内でそんなことが起きれば内部破裂により死に至らしめます。

だから今回は内部の力だけで、外部からの力は加えませんでした」

「そんなに危険な技を・・・」

楓からそんな声が漏れる。

「一樹は悪くないでしょ?

そんな紙一重の技を使うってことは、それ以外の技はさらに殺傷能力が高いということ。模擬戦の約束は先輩方が差し向けたようなものですしね」

紗香がそう抗議すると楓は申し訳なさそうな顔をする。

「紗香、そうじゃないよ

今回の模擬戦は俺の意思だ。先輩方非はない」

一樹はそう言って紗香をなだめる。

はーいと言って紗香は大人しくなった。

星華は場を収集するためそれぞれのフォローに入る。

「そもそも、どんな魔法でも危険になり得ます。

たとえ危険な技だとしいても、威力を抑えているのですから、ルール違反にはなりません

そうそう、一樹君、受け取って」

星華の手には緑プレートの5番。

「・・・ありがとうございます」

最初は戸惑ったが、素直に受けとることにした。

「やったな!!一樹!!」

「大出世だよ!?」

西園寺と紗香はまるで自分のことのように喜んでくれた。

一樹はミールの方を見た。

ミールの表情は相変わらず無表情だったが、一樹にはすごく喜んでるのが分かった。




魔法理論なのどの矛盾点がありましたら、どんどん聞かせてください。

普通に感想でも構いません

よろしくお願いします!!\(^^)/
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