都市伝説とオウマガトキ   作:コハク

1 / 7
さあ、始まります。
今回はヒトリカクレンボです。
ホラー、都市伝説の王道ですね。
それでは楽しんでいってください。


ヒトリカクレンボ

「…ぬいぐるみ、米、カッター、塩水、あとは…」

…これで、準備はいいはず。始めるとしようかな。

ボクの、最期のゲーム。

 

 

 

 

「ねぇ、あいつまた変な本読んでね?」

 

「うわっ。また?あいつ、都市伝説とか信じちゃってるイタい子でしょ?あんなん、気持ち悪いだけなのに…」

 

「ほんと。さっさと消えちゃえばいいのに。」

 

 

…誰も理解しない。ボクのこの信念は、ボクだけのものなんだ。

どうせボクは死ぬ。

だったら死んでやる。

この、一人かくれんぼで。

 

 

 

 

米は詰めた。爪も入れた。赤い糸で縫い合わせたら、もう少しで、終わるんだ。

なにもかも、すべて。

ぬいぐるみは小さい頃よく遊んでいたカエルのぬいぐるみ。

縫い合わせた赤い糸はまるで張り巡らされた血管のようで。

暗くなりかけている今。俗に言う夕方の時間に、その赤い糸はきれいに見えた。

始める前の、下準備。

名前は、もう決まってる。

 

「ね、無楽。」

 

楽しむことのないボクのことをさした名前。

とてもすてきで、魅力的な名前。

…とにかく、始めよう。

呪われた遊びを。

 

『最初の鬼はボクだから…最初の鬼はボクだから…』

 

水を張った風呂に沈めて、台所に戻る。

しばらくたってから、また風呂場へ。

ぬいぐるみを風呂からあげると、水を吸ってベタベタになっていた。当たり前か。

そんなことを考えつつ、用意していたカッターで腕をもぎ取った。

これは、ちょっとしたボクの実験。

有名な一人かくれんぼだと、みんな腹を刺しているからね。違うところを切ったなら、どこを刺されるんだろうっていう、ただの実験。

反応しないか、腹を刺されるか、はたまた予想外の答えか。

 

『次の鬼は無楽だから…次の鬼は無楽だから…』

 

そっと置いて二階の物置、隠し部屋にこっそりと入った。ここなら、当分見つからないと思う。

まぁ、楽しまなきゃ。ね?

 

 

 

 

もう、何分か経ったんだろう。

さすがにここだと見つかんなかったかな。

どうしよっかな…

 

「…!??」

 

ぞくり、と背筋がふるえた。

冷たい視線を感じる。

ゆっくりと振り向くと、長い黒髪の、リボンのカチューシャをつけた和服の女の子…

 

「君、ここから出たら死んじゃうよ?」

 

どこか大人びたその子が言った。

 

「いいだろ。死ぬためにやってるんだから。ってか、お前誰だよ。」

 

「…ゆうれい。」

 

「…そうか。」

 

「驚かないのね。意外だわ。あといきなりだけど、あなたは間違った方法でかくれんぼをしている。」

 

「あ、やっぱり?」

 

「やっぱりって…気づいてたの!?」

 

ボクはニヤリと笑って言った。

 

「自殺じゃつまんないし、ぞくぞくしないじゃん。もっと刺激的な死に方がしたくてさ。」

 

「あなたがそれでいいのならいいのだけれど。それじゃあ失礼するわ。」

 

「そうか。忠告ありがとさん。」

 

「…あなたに、最高の死があらんことを。」

 

そう言って彼女は消えた。

これでまたボクは一人だ。

…一人?さっきまで二人じゃなかったのか?

いや、そもそもあいつは一人にはいるのか?

もしはいっているとしたら、もうゲームは終わっているはずだ。

…確認、しなければ。

 

ゆっくりと音を立てずに出口に向かう。

ドアをゆっくりと開けると、隙間からのぞきこみ、影がないことを確認した。

 

「いない、よな。」

 

そのときだった。

 

ずるずると、何かを引きずる音。

ひたひたと、なにかが歩いてくる人。

ポタポタと、水の滴る音。

そう。一人かくれんぼは終わってなんかいなかった。

 

 

 

 

 

「あぁ、終わった。」

 

ばれたんだからしょうがない。

 

もう、ボクは終わるんだ。

 

にこりと笑ってぬいぐるみを見つめると、ぬいぐるみは一瞬戸惑ったように停止してから猛スピードで腕へとかじりついた。

その手には、あの時使ったカッターが握られていた。

 

腕に鈍い痛みが走る。

そして、肉が削られていく感覚。

どくどくと、血液が流れ出していく。

悲鳴なんてものをあげてしまうかな、なんて思っていたけれど、そんなことなかった。

ただボクは静かに、ただ肉を削られていった。

 

目の前がゆがみ、床が近づく。

倒れたときの痛みさえ、感じられない。

目の前に、赤いぬいぐるみが見えた。

振り上げる、真っ赤なカッターナイフ。

ボクは薄くほほえんでいった。

 

「さようなら。無楽。」

 

 

こうして、ボクの意識は消えた。

 

~~~~

 

次のニュースです。

○○市○○町で事件が発生しました。

被害者は高校生の×× ××君で、廊下で血塗れになって倒れていたそうです。

首から下は…まるで肉塊のようになっていたということです。

××君は学校で孤立しており…

 

 







『ボクに、最高の死があらんことを。』


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。