今回はヒトリカクレンボです。
ホラー、都市伝説の王道ですね。
それでは楽しんでいってください。
「…ぬいぐるみ、米、カッター、塩水、あとは…」
…これで、準備はいいはず。始めるとしようかな。
ボクの、最期のゲーム。
~
「ねぇ、あいつまた変な本読んでね?」
「うわっ。また?あいつ、都市伝説とか信じちゃってるイタい子でしょ?あんなん、気持ち悪いだけなのに…」
「ほんと。さっさと消えちゃえばいいのに。」
…誰も理解しない。ボクのこの信念は、ボクだけのものなんだ。
どうせボクは死ぬ。
だったら死んでやる。
この、一人かくれんぼで。
~
米は詰めた。爪も入れた。赤い糸で縫い合わせたら、もう少しで、終わるんだ。
なにもかも、すべて。
ぬいぐるみは小さい頃よく遊んでいたカエルのぬいぐるみ。
縫い合わせた赤い糸はまるで張り巡らされた血管のようで。
暗くなりかけている今。俗に言う夕方の時間に、その赤い糸はきれいに見えた。
始める前の、下準備。
名前は、もう決まってる。
「ね、無楽。」
楽しむことのないボクのことをさした名前。
とてもすてきで、魅力的な名前。
…とにかく、始めよう。
呪われた遊びを。
『最初の鬼はボクだから…最初の鬼はボクだから…』
水を張った風呂に沈めて、台所に戻る。
しばらくたってから、また風呂場へ。
ぬいぐるみを風呂からあげると、水を吸ってベタベタになっていた。当たり前か。
そんなことを考えつつ、用意していたカッターで腕をもぎ取った。
これは、ちょっとしたボクの実験。
有名な一人かくれんぼだと、みんな腹を刺しているからね。違うところを切ったなら、どこを刺されるんだろうっていう、ただの実験。
反応しないか、腹を刺されるか、はたまた予想外の答えか。
『次の鬼は無楽だから…次の鬼は無楽だから…』
そっと置いて二階の物置、隠し部屋にこっそりと入った。ここなら、当分見つからないと思う。
まぁ、楽しまなきゃ。ね?
~
もう、何分か経ったんだろう。
さすがにここだと見つかんなかったかな。
どうしよっかな…
「…!??」
ぞくり、と背筋がふるえた。
冷たい視線を感じる。
ゆっくりと振り向くと、長い黒髪の、リボンのカチューシャをつけた和服の女の子…
「君、ここから出たら死んじゃうよ?」
どこか大人びたその子が言った。
「いいだろ。死ぬためにやってるんだから。ってか、お前誰だよ。」
「…ゆうれい。」
「…そうか。」
「驚かないのね。意外だわ。あといきなりだけど、あなたは間違った方法でかくれんぼをしている。」
「あ、やっぱり?」
「やっぱりって…気づいてたの!?」
ボクはニヤリと笑って言った。
「自殺じゃつまんないし、ぞくぞくしないじゃん。もっと刺激的な死に方がしたくてさ。」
「あなたがそれでいいのならいいのだけれど。それじゃあ失礼するわ。」
「そうか。忠告ありがとさん。」
「…あなたに、最高の死があらんことを。」
そう言って彼女は消えた。
これでまたボクは一人だ。
…一人?さっきまで二人じゃなかったのか?
いや、そもそもあいつは一人にはいるのか?
もしはいっているとしたら、もうゲームは終わっているはずだ。
…確認、しなければ。
ゆっくりと音を立てずに出口に向かう。
ドアをゆっくりと開けると、隙間からのぞきこみ、影がないことを確認した。
「いない、よな。」
そのときだった。
ずるずると、何かを引きずる音。
ひたひたと、なにかが歩いてくる人。
ポタポタと、水の滴る音。
そう。一人かくれんぼは終わってなんかいなかった。
「あぁ、終わった。」
ばれたんだからしょうがない。
もう、ボクは終わるんだ。
にこりと笑ってぬいぐるみを見つめると、ぬいぐるみは一瞬戸惑ったように停止してから猛スピードで腕へとかじりついた。
その手には、あの時使ったカッターが握られていた。
腕に鈍い痛みが走る。
そして、肉が削られていく感覚。
どくどくと、血液が流れ出していく。
悲鳴なんてものをあげてしまうかな、なんて思っていたけれど、そんなことなかった。
ただボクは静かに、ただ肉を削られていった。
目の前がゆがみ、床が近づく。
倒れたときの痛みさえ、感じられない。
目の前に、赤いぬいぐるみが見えた。
振り上げる、真っ赤なカッターナイフ。
ボクは薄くほほえんでいった。
「さようなら。無楽。」
こうして、ボクの意識は消えた。
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次のニュースです。
○○市○○町で事件が発生しました。
被害者は高校生の×× ××君で、廊下で血塗れになって倒れていたそうです。
首から下は…まるで肉塊のようになっていたということです。
××君は学校で孤立しており…
『ボクに、最高の死があらんことを。』