かなりアレンジを加えてあります……。
原作?そんなの知らない。
ということで、少しばかり内容が違うと思います。
まぁ、今回もよろしくお願いします。
「ふわぁ……ぁぁぁ。」
ほとんど誰もいない終電に乗る私は、久野大通りのビルで働いているOLです。
残業で終電ぎりぎりになったという……なんと悲しきこと。
まぁ、私の降りる駅は終点なので、寝ることにします。おやすみなさい。
~
「う……ん?」
目が覚めると電車が止まってました。
周りを見渡しても、乗っている人たちはみんな寝ていました。
すこし……いや、だいぶ不気味です。
窓から駅をみると、よくある駅の看板は埃でほとんどなにも見えなかったけど、ここの駅名だけ、かろうじて確認しました。
「キサラギ駅……」
聞いたことのない駅名です。少なくとも、私がいつも使っている電車にはこんな駅名はありません。
一体、なにがどうなったらこんなことになるんでしょう。
ここは偉大なるスマホさんで調べましょう。
とも思ったのですが……
「電波が届いてない……」
電波が届いてないので、調べることができません。それに先ほどから電車は走り出すことなく、ずっと停車したままなのです。
何となく立ち上がって扉の近くまでいってみることにしました。
扉から少し頭をのぞかせて周りを見渡すと、本来駅にあるはずのものがなにもありません。
ベンチやお知らせの看板など。あるのは一定の間で取り付けてある、埃まみれの駅名の看板だけ。
駅の端を見ようともう少し体を乗り出したときでした。
誰かに押されたような、そんな感じがして。
気がつけば私はホームに降り立っていたのです。
急いで電車の中へと戻ろうと思いました。でも、振り返るとそこには音もなく閉まっていく扉がありました。
「あっ……!?」
そのまま扉は静かに閉まり、何事もないかのように走り去っていった。
これでもう、帰る方法はない。
どうしたものかと周りを見渡してみてもただ真っ暗な空間が広がっているだけ。
そんな暗闇の中、私は一人で立っていました。
私はどうしたものかと悩んだあと、人を捜すことにしました。
駅なんだから、誰かいるに違いない。
そう思って、私は歩き出しました。
~
……さっきから、ずっと歩いてます。
でも人どころか、駅の端さえも見えません。
この駅は一体どこまで続いているんでしょう?
それに少し前からずっと、どんどんと太鼓の音が鳴り響いています。
駅の外で、お祭りでもやっているんでしょうか?
そんなことを考えてたときでした。
少し先の方に、淡くて白い光が見えてきました。ちょっとした希望です。
私は少し足早になりながら改札の前まできました。でも、そこにあったのは……
闇。
星もない。街中の騒々しさもない。ネオンの光もない。
ただ、真っ暗な空間が広がり、白くて大きな謎のもやもやが歩いているだけ。
その光景を見て、私は察しました。
私は、帰れなくなったんだ。と。
~
ここに来てから、一体何時間たったんでしょう?
いや、もしかしたら何時間もたってないかもしれません。
ここに来てから、時間の感覚がおかしくなっています。
私は先ほどからあまりよくない頭をフル回転させて帰る方法を考えていました。
そしてしばらくして、一つの考えにたどり着いたのです。
『線路をたどって、きたみちをもどる。』
何とも単純な考え。でも今はこれに賭けるしかないのです。
私はハイヒールを脱ぎ、線路の上に飛び降りるとゆっくり、電車が来た方向へと歩いていきました。
~
歩き始めて、だいぶたちました。
未だに前の駅は見えてきません。
「はぁ……長いなぁ……」
駅と駅の間はこんなにもながいものなんでしょうか?
歩いてもあるいても、さっきからずっと同じ景色が続いています。
少し立ち止まって、後ろを振り返ったときでした。
そこには2つの白く光る何かがありました。
『進んで、いいんだよ。』
小さい方の何かがいいました。
大きい方の何かはずっと、進んではだめ。進んではだめ。と繰り返しています。
よくよく見ると、大きい方の何かは老婆で、小さい方の何かは子供のようでした。
子供の何かは老婆の方をちらりと見てから私に向き合い、大きな声で言った。
『おばあちゃんはね、嘘つきなんだよ。』
「じゃあ、進めば帰れるの?」
『それはわかんないよ。でも、進めば何かが起こるんだよ。』
『ダメじゃ。進んではならん!!』
2人が同時に私に言います。どうしようもなくなった私は、上からなにやら視線を感じました。
上を見ると、高校生ぐらいの半透明の少年がふよふよと浮いていました。
『あ、気づいた?ちわーっす。』
軽い挨拶をした少年はニヤニヤしながら私を見てくる。
『あんたさ、子供と老婆のどっちの言うことを聞こうか迷ってんだろ。』
「うん。あなたは、どっちがいいと思う?」
『うーん……子供の方が正直なんじゃね?』
「じゃあ、進めば帰れるんだね!?」
『さぁ?決めるのはあんただよ。』
私は子供の言葉を信じて、進み出した。
~
それからも、私は歩き続けました。
子供の言ったことを信じて、前を向いてまっすぐ。
あのときアドバイスしてくれた少年(半透明)は私の後ろをだまってついてきています。
耳が痛くなるような沈黙が続く中、それを覆したのは小さな空気の乱れと、前に見えるふたつの光です。
出口かと期待しましたが……違いました。
目の前に迫るソレは、
運転手のいない、暴走電車でした。
「帰れるんじゃ、なかったの……!?」
『あの子供は何かが起こるとは言ってたけど、帰れるとは言ってないよ。何かが起こるの意味をあんたが勝手に帰れると思っただけだろ?』
「そんな……」
私の中が絶望で埋まっていくようです。
こんな会話をしている間にも、暴走電車は私の方へと向かってきます。
半透明の少年はニヤリ、と意地悪く笑って私に言いました。
『あんたに、最高の死があらんことを。』
その言葉が少年の口から紡がれたとき、私は体が浮くのを感じたのです。
そして体がレールに打ちつけられたとき、私の意識は闇へと消えていきました。
~
……ニュースです。
本日、○時○○分ごろ、○○市の地下鉄にて事故が発生し、一名が亡くなりました。
亡くなったのは付近にすんでいる×× ××さんで、死亡する前夜、会社で残業していたとのことです。
見つかったのは次の日の朝で……
『私に、最高の死があらんことを。』