都市伝説とオウマガトキ   作:コハク

5 / 7
さて、最新作でございます。
今回もまぁまぁ有名なサルの手ですね。
ですが……そろそろ都市伝説ネタがつきそうです。
何かいい都市伝説はないでしょうか……?
怖い話でもいいんですが。
教えてください。お願いします。
それでは今回も、どうぞ。


サルの手

 

"サルの手は、願いを5つ、叶えてくれる。"

 

"0から1は生み出されない。1から1へとかわるもの。"

 

そこまで書いた僕の手は止まった。

物語が進まなくなったんじゃない。

主人公がもし僕だったら……。

猿の手が見つかるのは、本の上。

そこから慎重に三つ目まで願いを叶える。

残り2つは予期せぬところで……

うん。これがいい。

僕の手はノートの上に文字を書き連ねていた。

 

"これは、小説好きの男の子の、不思議なお話。"

 

と。

 

 

 

 

あの小説を書いてから数日後。

 

僕はベッドの上で本を読んでいた。

何となく視線を感じ、周りを見渡すと、不意にゴトッっと音がした。

音の正体は、机の上にたたずむソイツだった。

 

"サルの手は、小さなミイラの手。"

 

ボロボロのやつれた小さな手がおいてあった。

テレビで見たミイラの手の縮小版のようだ。

 

"そのサルの手の指はひとつ、握られていた。"

 

それの親指は、願いを叶えた後のように折れ曲がっていた。

 

"僕はそれを見て一言、"

 

僕はそれを見て察した。そして、

 

"「そういうことか。」と呟いた。"

 

「そういうことか。」と僕は言った。

 

"『まるで、あの小説のようだ。』"

 

 

 

 

僕は早速、二つ目の願いを言った。

 

「僕の目の前で、あいつらが死ねばいいのに。」

 

"僕は願いに目がくらみ、こう言っていた。

「いじめっ子が、死ねばいいのに。」"

 

パキッと、僕の手の中から小さな音が聞こえた。

 

"パキッと、手の中のサルの手がまた、指を折っていた。"

 

手の中の小さなサルの手。

人差し指が、折れていた。

 

"次の日の学校。いじめっ子たちは全員、学校には来なかった。クラスの担任が悲しそうに、「亡くなりました。」というのを聞いて、僕はにやけが止まらなかった。"

 

次の日。いじめっ子たちが全員、飛び降り自殺をした。

窓側に座る僕が外を見たタイミングで、全員が笑いながら上から下へと流れていった。

 

"その日、僕の家族が死んだ。僕は、1人になった。"

 

その日、病院から連絡があった。

入院していた父の病状が悪化し、死んだらしい。

まぁ、僕には関係ないことだけど。

 

"僕は、1人になった。寂しさを埋めるために願った。

僕の好きな小説が、たくさん。たくさんほしいと。"

 

僕は大きな願いを言った。

一生かなうことがないと思っていた夢。

大好きな本を、壁一面に敷き詰めてほしい、と。

 

"僕の部屋に、本が敷き詰められた。

たくさんの、僕の大好きな本たちが。"

 

僕の目の前に本が現れた。

本が積みあがっていく音でかすかにしか聞こえなかったが、僕の手の中でまた1つ、指が折られていた。

 

"「わぁ……!!」

僕は目を輝かせながらあたりを見渡した。

たくさんの本が、僕の部屋に集まっていた。握ったままだったサルの手は、小さく、だが確かにまた1つ、指を折っていた。"

 

その日のニュースを、本を読みながら見ていた。

ここの近くの本屋で、ごっそり本がなくなったそうな。

サルの手の原理を知っている僕はそのニュースを見て、薄く笑いながらテレビの前で本を読み続けていた。

 

"僕は本を読みあさっていた。

学校にも行かず、テレビもつけず。

ただひたすら、本を読み続けた。

そのころ外では、消えた本の事件が発生しているとはつゆ知らず。"

 

今日は、何日目なんだろうか。

 

"もう、何日が過ぎたんだろう。"

 

今は、いつなんだろうか。

 

"今は、いつなのかな。"

 

……あの親は、なにを思って死んだんだろう。

 

"僕の家族は、幽霊になったのかな。"

 

もし、もしも幽霊がいるのなら。

 

"もしも、幽霊がいるとしたら。"

 

"「会ってみたいな。」

気づいたら、そんなことを思っていた。"

 

「幽霊に、会ってみたいな。」

気づけば、そんな言葉をつぶやいていた。

 

"『呼んだのは、君?』"

 

『こんにちは。ニート君。』

 

"僕の目の前に、半透明の女の人が現れた。"

 

僕の目の前に、女の人が現れた。

 

"にこりと笑顔を見せてそれは言った。

『家族に、会いたくない?』"

 

その人は薄く笑って言った。

『この世界に、飽き飽きしてない?』

 

"僕は驚いてその人に聞いた。

「みんなに、会うことができるの?」"

 

僕はその言葉を聞いて少しだけニヤリとした。

「あぁ。飽き飽きしてるよ。」

 

"それはまた、僕の質問に答える。

『できないことはない。けど、それなりの覚悟はいるよ。』"

 

『ならさ、もう一度やり直さない?とっても簡単で、とっても難しいことだけど。君がそれを望むなら、私は助けるよ?』

 

"僕は、その覚悟を聞いた。それは、とても簡単で難しいものだった。でも僕にとっては、とっても簡単なことだった。"

 

僕はニヤニヤと笑みを浮かべたまま、小さく、あのとき書いた小説の一言を言った。

今の僕と、同じ状況にたたされた彼の言葉を。

 

"僕は、ニヤリと笑うと一言だけ、小さくつぶやいた。"

 

 

 

『……僕が、死ねばいいんだ。』

 

 

 

それは、そうなってほしいという望み。

 

"それは、ただの願いにしかすぎない。"

 

いつか描いた物語のように。

 

"いつか読んだ物語のように。"

 

ホンモノとニセモノが入れ混じる。

 

"本物は、どちらにあるのか。"

 

こっち?

 

"それとも、あっち?"

 

願って死んだ者の代償は、

 

 

 

『いったい、なにが帰ってくるんだろうね?』

 

 

 

目の前に立つ、幽霊が言った。

 

『キミに、最高の死があらんことを。』

 

その言葉で、僕達の最後の願いは始まった。

 

 

 

 

 

パキッと、いつもの音が聞こえた。

それとともに襲ってくる違和感。

息を吸うことができない、窒息感。

かすれる視界にうつったのは、あのミイラの手だった。

幽霊は僕の前を漂い、言葉を発することのできない僕を見て黒い笑みを浮かべた。

僕の視界は暗転し、頬に冷たい床の感触が伝わってきた。

うっすらと目を開けると、小さなミイラの手が僕の首を絞めていた。

僕の意識は、闇に消えた。

 

 

 

 

続いてのニュースです。

○○市○○区のマンションの一室で○○高校に通っていた×× ××君が亡くなっているのが発見されました。

死因は窒息死で、××君はこのところ、学校には行っていなかったようです。

警察は他殺と自殺、両方の線で調べています。

次のニュースです…

 







『僕らに、最高の死があらんことを。』



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。