のんべんだらり狩猟紀行   作:手巻きおにぎり

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壁|ー ̄)スッ

(・д・ = ・д・)キョロキョロ

(丿 ̄ο ̄)丿 三(13話)シュウ

壁|三 ススッ


やあ、こんにちは

「おやハンターさん、おはようございます」

「おう、おはよう」

 

 

なんとか日の入りまでに貸家を見つけ、準備をバッチリ整えた二日目の朝早く。さっそくクエストを受けてみようとクエストカウンターへ行くと、フリィラが立っていた。

しかしなんだろう、周囲から複数、嫌な視線を感じる。具体的には言い難い、なんとも言えない嫌な視線だ。

もしかしてあれだろうか。『嫉妬』とか、僻みとか、そういうものなんだろうか。俺がこいつと仲『良さげ』にしているからとか。

・・・一応、念のため、あるわけないとは思うけど。食べ物と色恋の怨みってのは恐ろしいし、・・・聞いておくか。

 

 

「な、なぁ。なんかさっきから嫌な視線を背中に感じるんだが、気のせいだよ、な?」

 

 

そう聞いた声は謎の恐怖でうわずったものだった。何をこんなにびびっているんだ俺は?

思い出せ、初めてゴウガルフズの前に武装を剥かれて投げ出されたときの恐怖を。あれに比べたら全然問題ないはずだ・・・!

 

 

「あぁ、その事ですか。そうですねぇ、私ってば人気者ですから・・・。気のせいでは、ないと思いますよ?」

 

 

そうやってフリィラ(悪魔)はニィっと笑って見せてくる。背中に感じる視線が強化された。

俺は心の底から、しかしできる限り小声で叫んだ。

 

 

「は、早くなんか適当なクエスト出してくれ!一秒でも早くここから逃げ去りたい!」

「どうしたんですか?血の気が引いていますね、顔が真っ青ですよ?これでは受付嬢として、ハンターさんにクエストの発注は──」

「いいから!・・・早くだせ!」

 

 

見え見えの焦らしにイラついてカウンターに身を乗り出して怒鳴れば、背中に突き刺さる恐怖が倍増した。

まずいまずい、このままだとなんかまずい。具体的に何かって言われちゃうまく言えないが、とにかくまずい。

 

 

「はぁ。・・・わかりましたよ、ではこれなんてどうでしょう。原生林でゲリョスの狩猟です。あちら(メゼポルタ)こちら(ドンドルマ)の違いを知るにはよい相手でしょう──」

「ゲリョスだなよしわかったそれを受けよう出発口はあっちでいいんだよな!?」

 

 

一息で言い切る。悪寒が更に増したがもう四の五の言ってられない。直ぐにでも、直ぐにでも!

 

 

「え、えぇ。ただですね、そのクエストには──」

「よしわかった行ってくる!!」

 

 

ダッシュで出発口まで向かった。道具がろくにない状態の出発になるが、このままここで悠長に準備していたら命すら危ういかもしれない。

 

出発口についてみれば周りには飛行船しかない。こちらは竜車はないのだろうか?

まあ今はいいかと思考を止め、原生林行きの飛行船に乗り込む。幸い俺以外のハンターはおらず、数分の後に出発した。

 

 

あとから落ち着いてよくよく考えてみると、あそこで急いで出発したのはやはり正解だった。

あの場にいたのは誰も彼もハンターばかり。恐らく十数人はいただろう。

 

もし妬みでそいつら全員が俺に襲いかかってきたとしたら・・・。あっという間に物言わぬ肉塊の出来上がりだ、考えるだに恐ろしい。

 

 

 

 

 

トウマがその場を発って直ぐのことである。

当事者たるフリィラは、今しがた走っていったハンターをクスクスと笑っていた。

 

 

「まったく、そんなに怯えなくてもいいのに。彼らはちゃんと、人を襲わないように躾けてある(・・・・・)のですからね」

 

 

ドタドタと何かが走ってくるような物音。出発口に向いていた顔を戻せば、こちらへ向かってくる数人の男達が。

それぞれの格好には全くと言っていいほど共通点が見当たらない。強いて言うとすれば、それぞれが顔を見せない、所謂フルフェイス型の頭防具で顔を隠していること、それと今にも人を屠殺せんばかりに膨れ上がった殺気か。

 

 

「フ、フリィラ嬢!い、い、い、今の男はだだだ誰なんだ!?も、もし、モシカシテ!?」

「そんなわけない!そんなわけない!そうですよねフリィラ嬢!そうだと言ってくださいよ!」

「男なんてアリエナイ、男なんてアリエナイ。フリィラ嬢に近づくものは始末しなきゃ。フリィラ嬢に近づいていいのは、俺達ダケ!」

 

 

三人が三人、言動がおかしい。このやばそうな人達は、所謂親衛隊(恋する狂人達)。フリィラに対する行き過ぎた愛で結束する、過激派集団である。といってもこの三人だけのこじんまりとしたものなのだが。

しかしその行動は明らかに常識を逸脱している。彼女と会話する全ての男に嫉妬と殺意を向け、一緒に歩いているのを目撃すれば闇討ちすら辞さないほど。現に彼らは一人ハンターを行方不明(事実上の死)に陥れ、ギルドナイトによる捕縛とハンターライセンスの取り消しを受けている。

 

つまり彼らはハンターですらないのだ。

 

 

「すみません存在からして邪魔でしかないので今すぐ目の前から消えてくれませんか」

「「「はうぁ!」」」

 

 

勿論彼女がそんな男達にいい顔をするわけがない。真っ白な視線と罵声を浴びせて撃退をするのだ。

が、真生からの破綻者である彼らは、その罵声すらも恍惚とした表情で受け止めるのだ。誰がどう見てもただの変態である。男とは何故かくも理解しがたい性癖に目覚めるのだろうか。

 

 

「ちなみに、彼は私の友達です。彼に何かあれば、あなた達とは二度と口をきかないので、そのつもりで」

「「「は、はいヨロコンデー!!」」」

 

 

しかし彼らは腐っても殺人犯であり、近頃また行動が大胆になってきている警戒すべき対象だ。それを押し込めるには、誰かが手綱を握らねばならないのもまた事実。だからこうして彼女はかなり嫌々ながらも飴と鞭を与えているのだ。

彼女は常日頃、早く誰か適当な奴に手をだして処刑宣告されないかなぁ、なんて考えていたりもする。

 

ドンドルマの闇は深い。

 

 

さて、そんな馬鹿共(この世の塵)が走り去ってすぐ、フリィラは事務仕事を再開した。仕事はなにもしなくても降ってくる湧いてくる、本来無駄話している暇はないのだ。

 

 

「さてお仕事お仕事・・・何々、原生林の上位区画でセルレギオスの姿あり?そうなんですねぇ、トウマさんは大丈夫でしょうか」

 

 

フリィラは、原生林の上位区画(・・・・)に旅立ったトウマの身を案じた──

 

 

 

「そういえば、私トウマさんに上位クエスト発注したこと話したっけな?」

 

 

ドンドルマの闇は深い。

 

 

 

 

 

 

「支給品が無ぇ!」

 

 

と叫んだのが10分ほど前、

 

 

「モンスターが居ねぇ」

 

 

と怪しんだのが数分前。

 

そして今──

 

 

 

グヂャリ、グチャリ

 

 

俺はそっと草影に身を隠してとあるモンスターの姿を見ていた。

観察対象は食事中、今日の昼飯はゲリョスらしい。

 

そう、ゲリョス。俺は首領対象をむざむざと横取りされたのである。どうしてそうなったかなんて聞かれたら、俺はこう答えるしかない。

 

1、俺ここに来る

2、奴既に食事中

3、俺びびって草影に隠れる

 

 

グヂャ、グヂャ

 

 

クエストリタイアするべきなんだろうが、実はそういうわけにもいかない理由がある。

自慢ではないが、今の俺には金がない。それもそうだ、有り金をほぼ全てメゼポルタの方で使ってしまったのだから。そしてこれがこちらでの初狩猟である、てかそういえば受注金払ってない気がするどうしよう。

 

 

グヂャ──

 

 

そんなわけで金がないわけだが、クエストリタイアには『入手したアイテム類の徴収』と『違約金』という罰が付随する。約束を違えたからってのはわかるし死ぬよりはマシだろうけど、今はその制度が俺の逃げ道を塞ぐ。

 

違約金が払えない。

 

 

──・・・

 

 

現状から逃れる手段はただひとつ、多少事実を誤魔化してでもクエストクリアをするということだけなんだが──っ!?

 

 

・・・

 

 

「うっ・・・、そだろ。おぃ・・・!?」

 

 

今の今までゲリョスをかっ食らっていたはずの奴がこちらを睨んでいた。

 

小さい頭、頭のサイズを全く考慮していない巨大な図体。

がっしりとした脚、血管浮き立つ皮膚には無数の古傷が。

真っ赤に染まった目に、気持ち悪い紫色の涎を垂らして。

 

 

ヴゥォォォォォォ!!!

 

 

ストレスだろうか。偏頭痛を感じながら、すぐ後ろにあった崖に身を投げ出した。あんな明らかにヤバそうな奴に構ってられるかってんだ。

 

崖を落ちたら、浅い川にあたる。そこを下って脇道にそれればベースキャンプだ。大丈夫、あいつは翼が無かったから飛べないだろうし、直ぐにここにやって来ることはないだろう。

 

少し経ち、川が細くなり周りに木が増えてきた頃に、後ろからものすごい音が聞こえた。ちらと後ろを覗き見れば、こちらをしかと睨む巨体が。

 

おいおい、冗談だろ・・・

 

 

ゴォォァァァァァ!!!

 

 

急いで走る。皮肉なことに、ベラペラの紙装備が軽いお陰で走りやすい。あいつ自体の足も速いわけではないから、このままだったら追い付かれる前にベースキャンプに行けるだろう。

多分。ティがレックスよりは遅いだろうし。

 

 

 

 

 

「なんだ、ありゃ・・・」

 

 

そんな鬼ごっこのはるか上空、彼を見守る人間がいた。

 

古龍や凶暴なモンスターの動向の調査のエキスパート、『古龍観測隊』の面々である。

 

彼らは近頃頻繁に現れる狂竜化モンスターと、ウィルスをばらまく新犯人を見つけるべく日夜目を光らせている。

のだが、今日はいつもには見られない珍しい、寧ろ恐ろしい光景を目撃したのだった。

 

つい先月に隊に加わった新人が、第一発見者であった。

 

 

「おう、どうした新入り。リオスの夫婦喧嘩を見たような顔しやがって」

「あ、隊長。あれ、あれ見てくださいよ」

 

 

観測隊の隊長は新入りの隣により、言われた通りに双眼鏡で覗いてみる。

ほぅ、と舌を巻いた。よほど珍妙な光景が見られたのであろう。

 

どうでもいいことだが。リオスの夫婦喧嘩とは、『まず起こらないこと。あり得ないこと』という意味の例え。実際は、わりとそうでもないらしいのだが。

 

 

「すげぇなあのハンター。イビルジョーと追っかけっこしてやがる」

「しかもそのうえしっかりと逃げれてるんですよ。見た目新人(・・)ハンターなのに、すごいですよねぇ」

「まあ人は見掛けにゃよらんわな。恐らくよそから来た奴なんだろうよ、どういうわけで上位区画に居るのかは知らんが」

 

 

ほえぇ、とよくわからない感心の仕方をする新入り。

よそ見した目を戻してみれば、ハンターの逃走劇は佳境を迎えていた。

 

 

そして、暗雲を呼び寄せる黄色の影が一つ。

 

 

 

 

 

「っ!っはぁ!ぁあ、クソ!どーして俺ばっかこんな目にぃ!?」

 

 

愚痴を言っても仕方ないのだが、もういい加減言わずにはいられなかった。

 

もう疲れたぜ、あんまりだ。

 

現在、気だるい体を叱咤して、ようやく森を抜け平地へとたどり着いた。

後少し走ればベースキャンプなんだが、そうは問屋が卸さないとばかりに奴さん──黒瓜が追っかけてくる。

 

生肉とかでも持ってれば、もしかすればあいつの気を惹けるかもしれんのだが。生憎持ち合わせがない。

 

 

と、ここで目についたのは緑色の草食竜。俺や黒瓜を見てひどく警戒しているが、なぜかこの場を離れようとはしていない。馬鹿である。

 

・・・別に、新鮮な肉ならいちいち剥ぎ取らんでも良いのではないか?

 

そう思って、腰にさした片手剣を抜く。そういえばこいつの名前も決めないといけなかったな。

そして走る勢いのまま草食竜に突撃しようとすると、ふいに空が暗くなった。

 

 

 

空を仰げば、何も見えず。

 

 

 

地に戻せば、何も見えず。

 

 

 

後ろを振り返ると、そこには求めた全てが揃っていた。

 

 

 

力なく息絶えた草食竜

 

腹に穴を開けられ怒り狂う黒瓜

 

目にもとまらぬ速さで翔けまわる影

 

 

もう、訳がわからん。だけど恐らく、これはチャンスだろう。あいつらがぶつかり合ってるうちに、逃げるとするか。

それにしても、こちらにはあんなやつらがいるのか。俺はあそこまでたどり着けるのだろうか。

 

高揚感そのままに、安息の地へと着いた。

 

 

「まあ・・・取り敢えず今はいいや。疲れたし、寝よう」

 

 

休息は大事である。

 

 

 

 

 

この日『我らの団』ハンターは、原生林にセルレギオスの姿ありとの報せをうけ、これを討伐せんと原生林にやって来ていた。

 

しかし一口に原生林といえども、範囲は広大。相手が飛竜であることも加味すると、到底一人が一日で討伐できるとは考えられない。

 

そういうとき、ハンターはベースキャンプを拠点として周辺を探しまわる。我らの団ハンターもその例に違わず、飛行船から降り立ちまずはベースキャンプへと向かった。

 

 

ベースキャンプの前は何故だか凄惨な有り様であったが、そんなことは今更気にすることではないと無視して、我らの団ハンターはベースキャンプ入りを果たした。

 

腹が減ったと肉を催促する筆頭オトモに押し負けて、先ずは腹ごしらえをすることに決まった。肉焼きセットの設置はまあいいとして、肉の調達が面倒である。

周囲にズワロポスの影は見当たらなかった。

 

 

ふと、ガザリと音が聞こえた。この音は、忘れるわけがない。ずっと屋外に出されていたせいでゴワゴワガサガサになった、ベースキャンプのベットが奏でる音である。

ということは、すぐそこ、数歩奥に設置されてあるベットで誰かが休んでいるということになる。

 

少し不安になった。最近はハンターがハンターを狩ったりと、かなり物騒である。まさか、あの奥でこちらを狙っているのでは?

 

・・・まぁ、それこそまさかであろう。そう結論付け、しかし顔ぐらいは見ておこうかとそれの元へ向かった。

 

 

しかし、そんな彼女はなかを見て仰天した。

 

 

 

テントの中で横になっていたのは、

 

 

 

ベットでグースカと眠りこけているのは、

 

 

 

今はまだメゼポルタにいるはずの()

 

 

 

彼女が恋した男であった。

 

 

 

 

 

「・・・トウマん?」

 

 

 

 

漏れでた呟きを聴いた者は、

 

 

はてさて、居たのだろうか。




ええ、というわけで。
どうも、手巻きおにぎりレモン味です。

冒頭のあれは、まあ、ただのネタです。
もしなんでしたら、すぐ消しますんで・・・

ではではっ
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