のんべんだらり狩猟紀行   作:手巻きおにぎり

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狩りの街で修行編
おいでませメゼポルタ


馬車なのに引くのはアプトノスとは是如何に。まあいいか。

俺は今、メゼポルタの地に足をつけた。こちらもドンドルマ程ではないにしろ、ある程度高地に造られているらしく目の前に既視感を覚える長い階段が存在する。その頂上に門が見えるので、そこからが狩人達の出発口なのだろう。

軽い荷物と、重い武具をそれぞれ持ってえっちらおっちらと階段を上がる。側から見てるととんでもなく面白おかしい絵面だというのがわかるよな?そんな恥態を晒しながらのぼっていったわけでしてね。まあ通行人があまりいなかったのが幸いか。

登り切ると、そこには沢山のハンターがいた。ざっと見ても数十人、おそらく他の所にも同じくらいはいるだろうしな。ちょいと前に進んだ所が窪んでいて、そこに最も多くハンターがたむろしている。その次は東の出口の近くにある大っきいボードの前。なにが貼ってあるんだろうな、後で空いてたら見に行こう。

そこでキョロキョロと周りを見渡すのだが、どこもかしこも中堅から上級者ばかりで初心者が見当たらない。さて、どうしたもんかな?と思っていると、不意に声をかけられた。

 

「やっほぅ!初心者さんかな?こんな門の前で突っ立ってって、あれぇ?君、どっかであった事ある?なんか記憶に引っかかるんだけど」

 

振り向くと、そこには見慣れぬ装備を着た見知ったハンターがいた。村が襲われた時にやってきたハンターの内の一人、弓を使っていた女性。名前は、確か『ファリナ』とか言ってたっけ?

 

「気のせいじゃないですか?それじゃ、僕用事あるんで、失礼しまーす」

「いやいやいやいや!!せっかくのフリを無視されるのはさすがにお姉さん悲しいなー!君、3年前の12歳君でしょ?本当にこんなとこまで来ちゃったのねー。よく私がここにいるってわかったわね?」

「トウマです、12歳君じゃありません。ドンドルマに来た時に優しい人に会いましてね、一晩の宿とここまでの馬車の乗り方を教えてくれたんですよ。ハンターなら大体メゼポルタに行けばいるよって」

「そっかそっかー!それじゃトウマ君の為にお姉さんこの街のこと色々と教えてあげようかな?まずはハンターの命、武器と防具を作る工房を案内するから、迷わないようにしっかりついてきてね!」

 

そう自分で決めるとさっさと歩いて行ってしまった。はぁ、めんどくさいなぁ。もう帰ってもいいかな、これ・・・。

 

 

 

 

とか言いつつ結局付いてきてしまう俺は一体なんなんだろな。今はファリナさんに連れられて『工房』とやらに来ている。まあ読んで字の如くハンター達の武器防具を作る工房な訳だったんだが。

そこで俺は身長が比較的小柄な俺よりも小さいおっさんが出てきた。なんだ、新手のモンスターか?そいつの身長ほどもあるハンマーを振り回してるし、違う意味で化け物なのかもしれないけど。

 

「やっほぅ工場長!元気にしてるー?」

「ん?おう、おめぇさんもしかしてファリナか!?久しぶりだな、今頃外界の調査でブロ公どもと暴れてるんだとばかりおもってたんだがな。どうした、引退か?」

「そんな訳ないでしょ!全く、今日は知り合いの新人君を案内して回ってるのよ。えっと、トウマ君トウマ君。このちっこいおっさんがここの工房長さん。私も新入りの頃からお世話になってるの。工房長さん、こっちがトウマ君。本人曰く5年近くサバイバルしてたマジもんのハンターさんよ」

「え、えっと。は、初めまして。トウマです・・・」

「おう、よろしくな!俺のことはこいつみたく工房長とでも呼んでくれぃ!にしても、なかなか使い込まれた防具着てるなボウズ。寸法も若干あってねぇし、親からの譲りもんとかか?」

「えっとですね、これは俺の両親の遺品です。ハンターになるのに使えるだろうと思って引っ張りだしてきました」

「・・・お、おう。防具がしっかりしてるならガキでもそれなりのことはできるだろうな。しかし、まぁ。なんつぅかな・・・」

「なかなかクールな子でしょ?」

「なんでお前が誇らしそうな顔してんだよ。まあそれはそれだ。お前、ちょっとその防具貸せ。寸法合わせぐらいはしてやろう」

「え、本当ですか!?折角ですし、お願いしても?」

「おぉい!だれか手ェ空いてる奴いねぇかぁ!?」

 

はーい、と奥から可愛らしい声がした後、トコトコと女の子が走ってきた。歳は俺と同じか、もう少し下だろうか?とにかく、こんな男臭い所にいる人物ではないだろう。意外と男尊女卑の考え方は定着してないのだろうか?

 

「はいはいはぃ、なんでしょう親方?なにか御用なんですよね?」

「おう、この新顔の防具の寸法調整してやれ。どうせまた誰にもなにもさせてもらえなかったんだろう、ちょうど良いじゃねぇか」

「えぇ!?寸法調整するのは良いですけど、それはあんまりですよぉ!」

「がっはっはっはぁ!!まあそれはどうでも良いじゃねぇか!ま、新入り同士上手くやっとけよー」

 

後ろ手を振りながら工房長さんが歩き去って行った。後に残されたのは、コントを見守っていたファリナさんと、呆然と聞いていた俺と、プリプリ怒っていた女の子だけだ。

まあいいか、と頭をポリポリかいてこちらを向いた少女は、元気な声で話を始めた。

 

「えっと、君がその新人君だよね?初めまして、私はペイファ!えっと、それじゃ早速寸法を測るから。ちょっとお姉さんについてきてねー」

「お、おう。ってか、え?お前、いまお姉さんって言ったよな!?どう見てもお前の方が年少ないだろ!」

「うーん、なかなか言ってくれるねぇ!私これでも16は年食ってるんだけどねー」

 

なん、だと!?こんな俺よりも頭一つ分以上はちっさい、言っちゃなんだがちびっ子が俺よりも年上とか、冗談キツイぜマジで!

でも顔は嘘を言ってるようには見えないし、ここで嘘ついても意味はないだろうし。本当、なんだろうよなぁ。この世界はまだまだ謎が深いな。

 

「ま、うちは種族からして君たち人間とは若干差があるからて。それはおいおい話すとして、ほら、さっさとついておいで!君もハンター初日が工房だけで終わりたくはないでしょ?」

「そ、そうだな。じゃあ、さっさとお願いしようかな」

 

 

それからは大して何があったわけでもなく、つつがなく寸法合わせが終わった。工房長曰く「防具の採寸合わせはちと面倒だから、食い過ぎには気をつけろよ!」とのことだったが、確かに寸法合わせで若干時間を食ってたみたいだな。何分かインナーで待たされた。

あ、インナーってのはな、ようは防具の下に着る下着の事だ。素っ裸で防具を着るのは馬鹿のする事だし、だからと言って普段着を着てたらもこもこして動きづらい。それらの意見と、あとは地肌と防具が擦れて痛いという一部ハンターの意見を取り入れてできたのがこのインナーというものらしい。ファリナさんが言ってた。

それと、これはついでなんだが。俺が倉庫から引っ張ってきた武器防具、これらの名前が分かった。父さんの防具はレックスS、母さんの防具はダマスク、というものだったらしい。

ところがここで問題発生、考えてみれば当たり前なことなんだが、母さんの防具は女物だった!つまり俺は村からドンドルマ経由でのメゼポルタまで、ずっと女物を一部とはいえ着ながらやってきたわけだ。端的に言えば、くっっっそ恥ずかしい!!人目がなければ羞恥で穴でも掘って埋まるとこだった。

 

 

 

 

工房での調整もしっかりと終えると、少しずつ日が傾いていた。夜になる前にここだけは紹介しておこう、とのファリナさんの意向により案内されるらしい所は、街の一角の周りを浅い池で囲まれた半島みたいな場所とのことだ。そんなところに何をしに行くのかと聞けば、どうやらペットのようなものを貰えるらしい。

ペット、といって俺が始めに思い付いたのがアイルー。アイルーとは何かと聞かれたら俺は迷わず『二足歩行の喋る猫』と答える。もうこの一言で粗方説明出来てしまうんだが、あえて付け加えるとすればアイルーの中でも人間に味方する派と敵対する派がいるとかいないとか。どうでもいい話だが、ハンターの間ではアクセントを『ア』に持ってくるか『ル』に持ってくるかでしばしば言い争いになるらしい。因みに俺は『ア』にアクセント派である。

 

「ペットですか、じゃあ貰えるのはアイルーなんですか?」

「んー、アイルーもオトモに出来なくはないけど、メゼポルタではマイナーかな。今ここで最も熱いオトモといえば、ズバリ『ホルク』ね!!」

 

ホルク、聞いたことない名前だな。なんだろ、アイルーが猫ならホルクは犬とか?はは、んなわけないか。

真面目な話、ホルクとはワイバーン型飛竜を小さくしたような調教されたモンスターらしい。ワイバーン型飛竜ってのはリオス種やブロス種といった代表的な飛竜に多い骨格の通称で、大きな翼を一対と二本の足を持つ奴らのことだ、これ豆知識な。

 

「ほうほう、それでそのモンスターを狩場に連れてハンターをアシストさせる、と?」

「そゆこと!それでね、そのホルクの生態がまた面白いのよー!!」

 

ホルクは雑食、つかむしろ悪食らしい。奴らの主食はモンスターの素材部位、つまり鱗やら甲殻やらをぼりぼり食うわけだ。それだけでも異常極まりないのに、さらにトチ狂った性質を持っているらしい。それは、餌とした素材の元の持ち主の属性に自分の体を変異させてしまうというものである。いまいち説明しづらいな。つまりはこういうことだ。

1、火属性を使うモンスターを狩る

2、そのモンスターの素材をホルクにあげる

3、ホルクが火属性を帯びる

こういうことだな。うん、分かりやすい!

 

「まあ学者の人が言うには環境に適応がどうのこうのって話なんだけど、私たちにとっちゃ利用できるなら何でもいいけれどね」

「いや、まあそりゃそうでしょうけど・・・」

 

そんなんでいいのかねー。原理をしっかり知っとかんと後で大変なことになる気がするけど。まあ分からんものはしゃーないわな。

 

 

 

 

なんてことを話ながらだとあっという間に時が過ぎていく。それなりに距離はあったはずだが、直ぐに着いてしまった。うん、確かに鳥っぽい奴等が空をひゅーひゅー飛んでやがる。というのもこの辺にはホルク育成区域みたいなものになっているらしく、数多の数のホルクが育てられているんだとか。というと、ファリナさんのホルクもこの中にいたりするんだろうか?

 

「いや、ホルクが貰えるようになったのわりと最近だからねー。師匠とシャルドと三人で相談しても、別に必要性はないかなーって話になって貰ってないのよ」

「貰わないこともできるんですね・・・」

「そりゃ勿論でしょ。でも、貰えるものは貰っておきなさいよ?今じゃホルク育成の為にハンターしてるような愛好家まで出来てるほどなんだから」

「いやー、そんなのには成りたくないですねぇ」

「そうねぇ。まあ、世の中には変わった人もいるのよ。覚えておきなさい」

 

 

この後は少し割愛をして、纏めて説明しようと思う。と言っても俺のホルクを決めて名前をつけただけなんだけどもな。それでも気づけば日もすっかり落ちていた。

 

「いやー、すっかり夜になっちゃったわねー。それじゃ夕飯でも食べに行きましょうか?」

「夕飯ですか。ちょっと手持ちが寂しんで安めのところをお願いしますね」

「いやいや、トウマ君の夕飯一食分ぐらいは出させてよ。これから先のハンター生活の前祝いよ、パーっとやりましょ!!」

「いやいやいや、そんな、悪いですよ。夕飯までお世話になるわけにもいきませんって」

「いやいやいやいや、遠慮しないでちょーだい!!ささ、やっぱり騒ぐなら大衆酒場よね!ほら、行きましょ!」

 

それから先は怒涛の展開だった。ファリナさんに半ば引きずられて酒場へ行き、前祝いだとお酒を飲まされた。その後はよく覚えていない。なんかくどくどと独り暮らしについて語った気がするし、ファリナさんの愚痴もくどくどと聞かされた気がする。けど起きたのが酒場だったことから、俺はそのまま宿も取らずに寝落ちしたってのは確かみたいだな。

あー、頭がガンガンする。こっちで初めての二日酔い、向こうでも経験したことはあったのかな?自分の荷物を持って、ファリナさんは置いてっても大丈夫だろ。さてと、宿をとったら早速、いややっぱ今日は1日休んどこうかな。二日酔いで死にましたーとか、洒落にもならんし。全く、初日からこんなんで大丈夫なのかねー。

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