織斑家の穀潰し   作:AGITΩ(仮)

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ちょっと気分転換に書きました。文才はないんですが、感想やアドバイス、誤字報告など何でも送ってくれるとありがたいです。


プロローグ

 

 

 

「…んじゃ、俺らは行くよ。……お前も、気が向いたらでいいから……学校来いよ…」

 

朝七時半。

織斑一夏は、立ち入り禁止と書かれた黄色いテープが張り巡らせてある部屋の前で呟く。その部屋からの返答はなく、その部屋からは、まるで誰もいない雰囲気を醸し出している。

 

「……」

 

一夏はその部屋で立ち止まること数秒、鞄を背負い直し、幼馴染みが待つ玄関へと重たげに足を進める。

 

「どうだった?春助は?」

 

「……ごめん、鈴」

 

そっか、と悲しげに顔を沈め、ゆっくりと鈴は歩き出す。一夏もまた、鈴に続きゆっくりと歩き出す。

このような事は珍しい事ではない。最早、日課、習慣だ。毎朝返答のない部屋に声をかけ、そして沈んだ気持ちを引きずりながら中学校へと通う日々。一体、いつになったらアイツは学校へ来てくれるのか、溜息を吐きながら考える。ーーーーもう2年だ。2年間もの間、こんな日々を送っている。

アイツが引きこもってから、千冬姉も頭を悩ませながら第二回モンドクロッソのための訓練に行っているし、幼馴染みの鈴も笑顔を見せることが少なくなった。

 

(……辛いのは分かるが、早く出てきてくれよ、春助……)

 

一夏は、重たげな足取りで自分の教室へと向かって行った。

 

 

 

 

 

♢ ♢ ♢ ♢

 

 

 

 

「……やっと行ったか」

 

俺は毛布に包まりながら、学校へと歩き出す一夏と鈴ちゃんを閉ざされたカーテンの隙間から確認する。

 

毛布を退け、ゆっくりと起き上がる。朝特有か分からないが、とにかく小鳥のさえずりが喧しい。あちこちに跳ねた頭を掻きながら部屋の内鍵を開け、一階のリビングへと向かう。

 

 

大分遅れたが、自己紹介をしよう。

俺の名前は織斑春助《おりむら しゅんすけ》。転生者だ。転生者と言えば、持ち前の原作知識を活かしリア充ライフを送るのだろうが、どうやら俺は失敗したらしい。否、らしいじゃなくて、実際そうなんだ。

このインフィニット・ストラトス、通称ISの世界。他の二次小説の主人公は、皆優れた力を貰い受け、それぞれの思い通りに物語を進めて行くのだが、俺にはできなかった。なにせ、特典らしい特典も貰えず、気がついたらこの世界で赤ん坊としての意識があったからだ。この世界の主人公、織斑一夏の双子の弟として生まれ育ち、今現在は中学2年だ。とは言っても、俺は学校には通ってないんだが。

 

俺が学校に通ってないのは理由がある。まあ、理由もなしに引きこもる訳ではないしね。

最初は俺も、他の転生者と同じように、この世界での生活を順風満帆に送ろうとしたんだ。幼稚園や小学校までは、前世の経験を活かし言われてきた事全てを要求以上にこなしてきた。そのお陰もあってか、『神童』、近所の人や、先生からそう呼ばれていた。しかし、中学生となると周りの子供も成長し、俺との差も段々と薄くなっていった。男子は足が速い奴から、力が強いだとかイケメンがモテるようになり、女子は、……思い出したくもない。

とにかく、前世からの経験も役に立たなくなり、至って平凡な人間へと堕ちて行った俺は、周囲の人の憐れみの目が怖くなって、段々と外に出るのを控えるようになった。

それも、きっかけに過ぎない。今まで神童により、目立てなかった奴らがコレを機に一斉に俺を虐め始めた。しかも、世の中女尊男卑の風潮により、ストレスの溜まった男子や男を見下す女の捌け口にもなった。一夏や鈴ちゃんは反抗してくれていたのだが、それも2人の居ない所ではなんの役にも立たず、俺は流されるままに、ボコボコにされていった。

結果、極度の人見知りと軽度の女性恐怖症を患い、俺は学校へ行く事を拒絶した。千冬姉は、間接的にだが、自らが起こしてしまった女尊男卑に責任を感じたのか、俺の登校拒否を渋々許してくれた。自分でも意外だったさ。いつもの根性論ではなく、哀しげな顔で頷きながら俺の話を聞く姿は、流石にクルものがあった。

 

まあ、そんなこんなで今では立派にニートの仲間入りという訳だ。いや〜、惨め惨め。惨め過ぎて2度と外に出たくない。

しかし、ニートと言っても、流石に家事はこなしている。千冬姉曰く、『家でゆっくりするのも構わんが、せめて家事くらいは手伝え。でないと、いくらお前でも追い出す』。

その言葉は仕方ない。買い物や朝食は一夏に任せているが、それ以外は全部俺の仕事だ。お陰で、非常に有意義な日々を過ごしている。が、俺は家事が終わるとすぐに二階の部屋に引きこもる。一夏や千冬姉に負い目を感じたりするが、それ以上に、ウキウキで一日を過ごす俺を見られたりでもしたら折角の引きこもり生活が強制終了だ。故に、必要最低の食事の際しか顔を合わせず、合わせた際も心に傷負ってますアピールをこれでもかとする。

 

今日も家事をこなし、あらかじめ用意されている材料で夕飯を作る。恋愛?ハーレム?どうでもいい。例え美少女が沢山の世界であろうとも、この生活には代えられない。

 

あんな怖い外には2度と出ない。そう心の中で誓いながら、俺は朝の教育番組にチャンネルを合わせた。

 

 






前書きにも書いたんですが、この作品は息抜きです。そして、どんどん感想や誤字報告など送ってくれるとありがたいです。

あと、私がメインで書いてる作品もよろしくお願いします!
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