間も無く硫黄島基地のヘリが迎えに飛来した!
白い機体に〔海上自衛隊〕の文字が見てとれる。
ふと疑問だが、もし自衛隊が国軍になったら〔海軍〕の二文字は変だな?では〔日本海軍〕はどうだかな?
なぜか『自衛隊』と言う響きが心地良いんだな?
硫黄島基地から飛来した海自ヘリ[SH-60J]が着艦した。
エンジンを停止することなく即座に搭乗すると、そのまま発艦する。別れを惜しむ暇もなく[きりしま]を後にする。
向かう先は・・
「硫黄島基地に向かうのか?」
左の操縦席に座る機長に質問する。
「・・南硫黄島へ向かいます」
「南硫黄島にも基地があるのか?」
「・・ありませんね?私が受けた命令は、きりしまから貴殿方を南硫黄島まで送り届けろとだけでしてね?」
どうやらパイロットも島までの飛行しか命令を受けてないようだな?
「あの島にはヘリポートすら無いはずですが、どこへ着陸すれば良いのやら・・よくわからん話ですよ」
機長もやれやれといった顔だ!
「ラペリング降下しろとでもいうのかね?私は構わんが、連れは無理だ!スカートだしな(笑)」
「最悪、なるべく平坦な場所へ降りますよ。しかし、ラペリング降下とは!陸自の空挺やレンジャーですな(笑)」
いかん!冗談半分に聞いてくれたが、今は海自だった!
そうこうして軽口叩いてる間に南硫黄島上空にきた!
地上の管制から無線が入り、機長が交信している。
「Request landing information」
「All copied!」
「地上の管制から着陸許可がでました。これより着陸します」
管制との会話が終わると、機長がこちらをチラリと見て言った。
ヘリが降下して行く先には[仮設?]らしきヘリポートが立木に囲まれた中に見える。
「こりゃ、海上からは全く見えないな・・・」
上空からも、接近しないと非常にわかりにくい!
地上に降り立つ!後方ではヘリが即座に離陸して飛び去る!
目の前には数人の職員が出迎え・・見慣れた黒服姿も混じってる!!
「待ってたよ、お二人さん!」
「室長!?いつこちらに?・・当然、飛行機ですよねっ!!」
美樹には・・[やってきた手段]が関心事みたいだ・・・
「ふん、長旅でお疲れのところすまないが・・すぐに支度してもらう!」
「そんなことだろうと思ったよ!やれやれ・・」
案内され、施設地下へ入ってゆく。
無機質なコンクリートの廊下を歩く、かなり堅牢な造りだな・・地下防空壕みたいだ。
「ここには廃棄処分予定の出来損ない魔女を集めてある。そいつらを使って実験を行う・・が、かなり強引な方法でな・・・命を落とす可能性が高い!覚悟してもらいたい」
「嫌だと言っても無駄なんだろ?」
半ば呆れ顔で聞いてみる。
「そりゃ、もちろん・・」
ニヤリと口許が動いた
「ふん、ならばとっとと始めよう!」
「まあ、慌てるな。着いたぞ!」
地下にあるわりに広い空間だ!壁や天井・床は分厚いコンクリートで、通用口の扉もかなりゴツイ!
やはり・・怪獣とか化け物の類いが出てくるんだな?
「ここで怪獣と対決するんだろ?で、私の得物は?」
「怪獣とはちょっと違うが、ま・・良いか。得物?武器か?・・丸腰だよ」
「おいっ!化け物相手に[丸腰]はないだろ!宇宙兵器があるだろ?早く出せ!!ビームサーベルとかビームライフルとか!?」
「そんな都合の良いものはない!!死にたくなければ戦って勝て!入れろ!」
そう言って、黒服野郎は背にしていた扉からサッと退室した!
と、同時に別の扉が開き!室内に小さな生き物が転がり込んできた!!!
咄嗟に身構える!!
トットト・・ベチャッ
「痛いっ!・・い、痛い」
見ると・・・・素っ裸の少女だ!
室内に突き飛ばされて入ってきたようだ?
よろけながら・・派手に顔面から床に倒れた!
「おい、大丈夫か?」
そう言いながら近づく・・!
「嫌っ!来ないでぇ!」
鼻血を流しながら必死で胸を両腕で隠している。
年の頃は12~3歳くらいか?殆ど膨らみが無い胸元を隠してるのが痛々しい・・
「痛っ!・・いぃぃ、痛いっ!ひぁ、ぎぃぃ!」
頭を抱えて苦しみだしたぞ?
様子がおかしい・・!まっ、まさか!
次の瞬間!!
《ドクン!》
少女の意識が無くなり、首のハーネスト部からどす黒い[何か]が溢れ出て広がる!!
『デロデロッ~ビュルルュュ~ビュルル』
『キィィー!』
広がった[それ]は形を成して行き、異様に光る目のような部分と異形過ぎる巨大な捕食口に三角の牙が並んでいる・・・・[化け物]
「くっ!!」
咄嗟に躱す!が、しかし!
「は、速いっ!?」
奴は身体の一部を腕の如く伸ばし襲い掛かってきた!
想像以上に素早い動きだ!
初撃を躱せたのが奇跡的だった!
直ぐに奴との距離を取るべく転がり跳び走る!
しかし、直ぐそこはコンクリートの壁!
奴がこちらへ向き直る!
左脇からSIG-P226を抜き、素早く?スライドを引きチャンバーに弾丸をセットした!
『パンッ!パンッ!パンッ!』
目らしき部分へ撃ち込む!
3連射するのは無意識に近い!至近距離で3発撃ち込むのは、確実に[仕止める]つもりだから・・相手がヒトならば・・・
『ギィ!・・』
手応え有り!
すかさず横へ移動しながら撃ち続ける!
『パンッ!パンッ!パンッ!』
『パンッ!パンッ!パンッ!』
『ギィ!ギッ!』
『パンッ!パンッ!パンッ!』
『パンッ!パンッ!パンッ!ガシャッ!』
執拗に奴の目を狙い9ミリパラベラム弾を撃ち込み続ける!咄嗟に判断できた[急所]はそこだけだ!
しかし、無情にも15発全弾撃ちつくして愛銃はただの鉄塊と化す・・・
『ブンッ!・・ベチャッ!』
投げつけてやった!
豆鉄砲じゃあな・・・いや、機関銃でもどうだかな?
『グルルッ!』
奴の目が俺を見据える・・・
「来るっ!!」
『グァアアォォッ!』
咆哮と同時に突進してきた!!!
「おおおぉぉっ!!!」
俺は気が狂ったように雄叫びをあげて拳を奴めがけて振り上げていた!!
一瞬・・・数秒?いや、1秒あるか?
脳裏を様々な[想い]が駆け巡る。
幼少期・母に手を取られ歩く夏の砂浜の風景。小学生・テストで満点取って帰ったら、父が随分喜んだ。運動会・障害走はいつも1着だった。中学生・バレンタインデーでチョコがカバンに入り切らなかった。後で知ったが、大半が義理でない[本命チョコ]ってやつだった。高校生・所謂[硬派]だった、剣道部と山岳部を掛け持ちした。三年の夏に登った北アルプス劔岳山頂から遠く富士山が見えた。防衛大に入り初めて詰襟制服を着たら、妙に緊張して気が引き締まる思いした。陸上自衛隊入隊・古参の陸曹にイビられると脅されたが、実際には頼りになる兄貴達だった。初めての海外派遣先はイラクだった。警備のレンジャー小隊を率いて、撤収間際の実戦。挟撃を受け・・後頭部に衝撃!気が付くと帰国して入院していた。リハビリに苦しみ復帰・・今度はヴィンガルフとかいう怪しい組織へ派遣された。本庄・美樹・九・黒服君・・
人には恵まれたよな・・・
みんな・・
ありがとう・・・
走馬灯?
これが死ぬってことか!
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「おおおぉぉ!!」
『ギッギィィィー』
《ブシャャャァァー!!》
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暗い・・・な?
《ポゥッ・・・》
ん・・?
明るい?
向こうはなんだ?
ここはどこだ?
僕は・・・・?
思い出せない