極黒のブリュンヒルデsidestory   作:apride

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南硫黄島にあるヴィンガルフ隔離施設にて、孵卵したドラシルと対戦することになった渡瀬だった。
イニシャライザーが持つ〔攻撃〕能力の発現を極限状態で強制的に引き出す狙いがあるらしい。
発現して倒すのか、それとも・・・あっさり補食されてしまうのか?

丸腰の渡瀬は雄叫びを上げながら素手で殴りかかっていった!

その瞬間!!!


第2章
第一話 レン


《ブシャャャァァー!!》

 

眩い極太の閃光が走った!

 

《 ボッ! 》

 

《 ベチャベチャベチャ・・・ 》

 

 

粉々に消し飛び、僅かに残った肉片が床に散らばる。

 

 

 

「ふ、間一髪だったな」

平静を装っているが、黒服の男の頬には冷や汗が流れている。

 

 

高エネルギーの凄まじい威力は後方の分厚い壁に深い穿孔を作り出していた・・・外界の明かりが洩れている。

 

「今のは何!?」

美樹は瞬きも出来ず、光が放たれた先の光景を見つめる。

 

「あれは〔ビームキャノン〕と言う光線兵器だ」

 

「ビーム!?あるんじゃない!!彼には『無い!』と!」

怒りの表情で食いかかる!

 

「嘘はついてない。サーベルやライフルは無いと言ったがな?一文字違えば全く別物だ!それに個人が携帯出来るサイズでもないからな。屋外で使用するには艦砲サイズだ!そもそも保険があることが知れたら意味が無い!」

 

「化学式じゃあるまいし・・・それよりも彼は無事なの?」

 

 

「見たところ肉体的には無傷だな?それにしても、ビーム出力上げ過ぎだろ!?耐ビームシールド壁に大穴あけるとは・・・」

 

「室長、そのことでお話したいことが・・」

ビームキャノンのオペレーターがなにやら険しい面立ちでやってきて話し掛けた。

 

「実は・・で、・・です」

 

「・・外れた?」

 

「詳しくはモニターで記録映像を確認してください」

 

「わかった。モニター室へ行こう。美樹!お前は医務室の渡瀬のところに行け!」

 

 

 

────────────

 

──────

 

 

《医務室》

 

「渡瀬さん!渡瀬さん!」

 

外傷は見当たらないが、意識はない。

 

 

暫くして

 

「う、うぅ・・」

 

「渡瀬さん!気がついたの?」

 

「あれ?ここ・・何処?看護婦さん?」

 

海自の白い制服姿の美樹が[看護婦]に見えたようだ。ふざけている訳ではない。今風になら[看護師]と呼ばねば・・・

 

 

「ちょっと!しっかりしなさいよ!ケイスケっ!!」

 

 

「まあまあ!混乱して一時的な記憶障害でしょう」

傍にいたドクターが間に入った。

 

 

そこへ黒服が入ってきた。

 

「渡瀬1佐お疲れ様でした。おかげで有効なデータが得られました。これからもご協力願います」

 

「渡瀬さんは、今は記憶障害を起こしています。暫く休ませてあげてください・・・」

美樹は本気で渡瀬を心配している様子だ。

 

「そうなのか?・・・仕方あるまい。それにしても驚いた!ビームが直撃する寸前にイニシャライザーの破壊能力が発動して粉砕していた。おかげで減衰することなく通過したビームが壁に大穴を開けたよ」

 

「実験は成功したと?」

 

「ああ、一応は成功だ。やはり極限状態に於ける脳内環境が発現のキーだった!あとは意識的に使いこなせば完璧だな!」

 

「俗に云う『火事場の馬鹿力』・・・そうですか、あとは彼をベースにクローン製造・・」

美樹が言いかけたとき・・

 

「いや、次はクローンでなく、交配による彼の子を製造する予定だ。丁度身近に適合する卵子も見つかったしな!」

 

「えッ!・・そ、それって!まさか?渡瀬さんと?・・・どうしよう」

美樹はブツブツ呟きながら顔を真っ赤に染めてうつ向いた。

 

「誰もお前だとは言ってないぞ?なにを早とちりして赤面してるんだ・・・渡瀬に抱かれたいなら好きにしろ。プライベートなことは口は出さんからなぁ~」

 

「な、な、なにを言ってるんですか!・・・私はただ・・」

 

「卵子適合者は本庄蓮奈だ」

 

「えぇぇぇッ!!それは絶対に嫌!!」

 

「やかましい!自然交配するわけじゃなく、人工受精させて培養する予定だ!馬鹿かお前は・・・研究員だろ?」

 

「・・でも・・・なんか嫌っ!」

 

「やれやれ・・・我々は早急にイニシャライザー製造を確立せねばならん。如何せん彼では歳を取りすぎているし、万が一死亡されてはお仕舞いだ。クローン製造も並行して行う。現状の渡瀬からサンプル採取を行うから手伝え!」

 

「わかりました。しかし、サンプル採取って・・手伝うことありましたっけ?」

 

美樹はクローン製造に必要なサンプル採取など・・何を今更?と感じていた。

 

「人工受精を行うと言っただろ!お前の手伝いが必要なのは渡瀬の[精液]の採取だ!鈍い奴だなぁ?」

 

人工だろうと自然だろうと、受精には精子と卵子が必要な訳です。

 

「えぇぇぇッ!!そんないやらしいことは出来ません!!嫌っ!絶対に嫌ですッ!」

 

自分の知識の範囲で[精液採取]のシーンを想像して狼狽えまくる美樹だった・・・

 

「馬鹿か・・・お前の想像が手に取る様にわかるぞ。人間相手だと全くの素人みたいな奴だな?」

 

美樹のリアクションに呆れ顔の黒服室長

 

「・・あっ! すみません! でも、動物と違って・・・人間の男性のアレを・・・はぁぁ」

 

流石に身体に触れずには採取出来ないので、医療用のゴム手袋を装用の上で男性器に触れることになる。採取方法は指で前立腺を圧迫するのだが、これは専門知識があっても経験上のコツがいる。

美樹が手伝うのは、出てきた精液を採取する方であろう?いずれにせよ・・間近で[イチモツ]を拝見することになる(笑)

 

 

 

「やれやれ・・・次は俺の子種か」

 

「渡瀬さん!」

「気付いたのか・・」

 

「話は聞かせて貰った。俺は構わんよ?本庄も了承してるんだろ?」

 

俺は二度死んだ身だ。今更何も迷いは無い・・・人は臨死体験をすると様々な心情的変化があると聞いたが、まさに吹っ切れた感じだな。好きにしろってな!

 

 

 

 

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────

 

{1年後}

 

「随分と育ったんだな・・・俺の子」

 

「私の子です!」

 

背後から話し掛けてきたのは本庄蓮奈だった。

 

「二人の子でしょ!どっちにしても種と卵の提供しかしてないんだし、剥きになんないでよ」

美樹が割って入ってきた。

 

「私の子よ。もう名前もつけたしね!ねぇ~レンちゃん」

 

「「レン⁉」」

 

「私の名前から一文字とってレン!漢字だと本庄蓮かな」

 

「目鼻立ちは俺に似てると思うな」

「あら、色白な肌は私似よ」

「そうそう、夫婦仲良くしなさい」

「「夫婦じゃない!」」

 

 

「三人でなにを騒いでる」

九所長が入ってきた。やや溜息まじりに・・・

「こいつも駄目かもな。魂が宿る気配がない」

 

見た目には普通の赤子なのだが・・・・

 

 

「クローン体と代わり映えしないな。培養カプセルに移動して観察するが、恐らく失敗だ。ただ、脳にシグナルを送るとイニシャル反応があるから・・・遣いようによっては・・・」

 

九はそう言って渡瀬をチラリと見た。

 

「?・・・・次ぎはなにを企んでる?」

 

「この子供に足りないのは『信号』を発することだ。制御信号を出せる脳に入れ換えれば完成するはずだ」

 

 

「私の脳ミソはやらんぞ・・・流石にそれは御免だ」

 

 

「クックックッ!・・・やはり、其れしかないか?!否、初めからそうすべきだったのだ!やれやれ、とんだ遠廻りをしたものだ」

 

九は自嘲気味に右手で顔面を押えながら笑う。

 

 

「・・・・・九?どういう意味だ?」

 

 

 

 

 

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時は流れて

 

《九が所有する別荘地下》

 

 

『カン カン カン カン』

黒い修道服の集団が走る

 

「急いで!!」

 

振り向きながら美樹が叫ぶ

 

 

「ちょっと待て!!私の身体は子供なんだ・・・!!

少しは加減してくれ・・・!!」

 

「鳴き声言うな!!『啓介』!!」

 

 

「おいっ!!間違えるな!!私は『レン』だ!!」

 

 

 




本庄蓮奈(ほんじょうれな)
作中で渡瀬の専属秘書の事務職員です。
原作には存在しないオリジナルキャラです。

精液採取は人伝に聞いた不妊治療で産婦人科医のやり方を参考にしました。間違ってたらスミマセン!エロいことを期待してる方は残念ながら、逆に痛いらしいです!鮭の人工受精映像を見たことある方は想像してください・・・無理矢理搾り出すんです(想像すると下腹部が痛くなりますね)
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