極黒のブリュンヒルデsidestory   作:apride

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「サオリ」と呼ばれた少女は魔力を発現させていた。
それも極めて攻撃的な魔法だった。
人体どころか、堅牢な造りの合金製ドアを切断して逃亡を図ったらしい。


第六話 黒い服の男

黒服を着た男は、警備員にサオリを拘束させている。

そして振り返り

「ご同行願えますか?」

 

「構わんが、これはどうする?」

 

俺が目配せた先には…

 

辺り一面《血の海》

床は当然、壁や天井まで血飛沫が張り付いている。

床に転がっているのは…

様々な身体部と流れでた体液や内臓が散らばっている。

(ホラー映画などでは鮮血が使われることがよくあるが、これだけバラバラだとドス黒い血溜まりだな)

 

しかし、よくもまぁ…能力があっても、躊躇いなく人間を殺すとはな。

 

 

「ここの後始末は処理班を呼んである。それより、あなたに同行いただけないと我々もバラバラにされますからな…」

男は首を手で切るジェスチャーをしながら言った。

 

「…うぷっ、、お、おぇぅ、、げぇぇぅ」

振り向くと……本庄が吐いていた。

緊張が解けて、今度は視覚と嗅覚に経験したことのない過大なプレッシャーにやられたのだ。

出来立てのバラバラ死体の山からは蒸せかえるような血の匂いがたちこめている。

(温もりが残ってる血の匂いは半端なくエグいからな…)

 

「彼女を誰かに頼めないか?この場に置いてきぼりは可哀想だ」

 

「一応、医療班も来るから心配ない」

黒服は答えた。若いのに場慣れしてるな?

 

「じゃ、彼らもだな?」

警備員達の半数が釣られたように吐いたり、腰が抜けて動けない…

 

ここの警備員は慣れてないようだな?

 

「彼らは警察関係か?」

 

「あぁ、機動隊を中心に人選されている。一部SAT経験者もいる」

黒服もやや困り顔になる。

 

「血や臓物を生で見る経験はそうないから無理もない。君は大丈夫そうだ。医療関係か?」

 

「何故そう思う?」

黒服は一瞬動揺の顔色で聞き返してくる。

 

「こういう場に慣れてるのは、私のような軍・警察関係か医療関係くらいだ。あとは殺人マニアかな?」

 

「確かに、血や内臓を見て倒れる外科医では笑えない。ご想像に任せますよ…行きましょう」

 

 

 

 

 

サオリを拘束しながら別室へ移動した。

 

 

「ところで、イニシャライザーとはなんだ?」

さっきそう呼んでいたので聞いてみる。

 

「イニシャライザーとは、魔女と対になるもの…詳しくは後で話そう!今は6001番の発現魔力の見極めが最優先だ!」

 

 

「その番号は?」

 

「サオリのことだ。ここでは全員番号で呼んでいる」

 

そうこうしてる間に部屋に着いた。

 

中はかなり広く、天井も高いな?

テニスコート一面くらいで、天井までは10mくらいか?

真ん中には拘束椅子が取り付けてあり、そこへサオリこと6001番を拘束した。

 

「では始めよう。6001番!言われた通りにしろよ!」

かなり高圧的な言い方だ。年端もいかない少女に対する言葉とは思えない…気分が悪い

 

「渡瀬1佐は指示に従って下さい」

離れた場所から、指示に従って徐々に験体に近寄り、その後は離れろとのことだ。

 

「ふむ、イニシャライザーの効力はこの広さなら全てカバーできるな…」

俺の効力はテニスコート一面くらいは難なくカバーするみたいだ。

 

一旦、退室させられた。

隣の部屋から中の様子を窺う…窓ガラスには特殊素材が使用されており、魔力を遮断できるそうだ。

 

 

「測定開始する!」

 

次の瞬間!サオリに向けて球が発射された!

 

《ダン!》

 

《ザシュッ‼》

 

球はサオリに直撃する寸前で切り裂かれバラバラになって床に散らばった‼

 

 

また球が発射される!

切り裂かれ落ちる!

 

 

《ダン!》

 

《ビシッ‼》

 

「ギャッ!」

球はサオリの顔面を直撃して跳ね返った‼

顔には痕がくっきり残り、鼻血を流し唇も切れたようだ。

 

「ふむ、6mか…6001番!もう一度いくぞ!本気をだせ!」

 

《ダン!》

 

《ビシッ‼》

 

「グギャッ‼」

また直撃した。痛々しい…

 

 

俺が退室した後も測定は続いている。

 

 

何度か繰返したが、結果は変わらず。

 

「やはり6mが限界か…イニシャライザーの効力が及ぶと全く魔力は使用不可となるか…よし!ここまでだな」

 

漸く終わったらしい。

 

 

サオリは何度も繰り返し球の直撃を受けており、身体中痣だらけで血塗れだ。実験と言う名の(虐待)を見せられたよ……胸糞悪いぞ‼

 

 

「おい!終わったようだが、あの子はどうするんだ?」

 

傍にいた研究員の女を睨み付けて聞いた!

 

「ヒッ!…あ、たぶん……」

 

色白で茶髪の女は怯えた様子だ…ちょっと怒りを態度に出してしまったな。女の目には薄っすらと光る涙が……

あれ?瞳の色が…顔立ちは日本人っぽいが、ハーフかな?

 

 

「お前なにをしてる?」

黒服が入口から入ってきて、研究員の女に言った。

 

「あっ!し、室長!す、すみません!こちらの方が…」

オドオドしながら何か言いかけて

 

「ノイマイアー‼お前はさっさと自分の仕事をしろ!言っておいた(治癒系)魔女はどうした?」

睨まれながら言われて

 

「す、すぐ連れてきます!」

そう言って部屋から飛び出して言った…

 

「まったく、使えん奴だな…」

黒服は頭を掻きながらボヤいた。

 

「治癒能力を持つ魔女にサオリの手当てをさせるのか?」

 

「ん、あぁそうだ。身体の傷を治す魔法だ。便利なものでね、中には心まで治す能力を持つ個体も存在する」

黒服はさっきとは違い、表情が柔らかいな?

根は優しい男なのかもな…

 

「さっきの彼女…悪いことしたな」

興奮してキツく当たってしまったことを反省する。

 

「なにかあったのか?」

 

「ここから様子を窺っていて、つい興奮してしまった。少々キツい言い方をしてしまった。後で謝りたいのだが…」

 

「気にすることはない。ま、どうしてもと言うなら…夕食の時間に食堂に行けばいるだろう」

 

「彼女の名前は…ノイマイアーさん?」

 

「美樹・ノイマイアーだ。ドイツ人とのハーフだそうだ」

 

なるほどね…ドイツ系か

 

 

夕食は一般所員のフロアで食べるとしよう!

そうだ、本庄は大丈夫かな?

 




単行本13巻に「気まぐれキャラ紹介」が出てたので、これ幸いと美樹・ノイマイアーさん登場させました。
彼女のヴィンガルフ時代の話題は今のところ原作で語られてないのですが、次話で入れてみる予定です。
原作の進行次第では後々手直しも可能性があります。
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