極黒のブリュンヒルデsidestory   作:apride

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第八話 イニシャライザー

早いもので、ヴィンガルフに駐在して1ヶ月が経った。

最初の頃は驚きの連続で息つく暇もない感じだったが、今では…慣れとは恐ろしい。

淡々と日課をこなす毎日が続く……

日課は魔女との接触試験。イニシャライザーとしての効力が全ての魔力に対応可能かを調査しているのだ。

 

正直、退屈だ。

 

相手は危険性の低いタイプばかりで、サオリのような攻撃タイプとの接触は今のところない。

 

接触と言っても、触れあったりはしない。会話すらないのだ!ただ、指示されたとおりに互いが向き合うだけのこともある…ま、相手は子供ばかりだから触りたいとは思わないがな…(ロリ趣味はない!)

 

 

あれから美樹・ノイマイアーとは毎日のように会っている。イニシャライザーに関する研究チームが設立当初から存在していて、そこの主任研究員が彼女なのだ!

不思議なことに、このチームはドイツ人が多く所属しており、使用言語もドイツ語メインだ!

 

 

「う~ん。渡瀬1佐はもう少し独語を理解できると思ったんだけどなぁ…」

目の前にいる美樹ちゃんがボヤいてる。

最近は愛着を込めて「美樹ちゃん」と呼んでいる。本人は表面上お気に召してないが、内心は満更でもないらしい(丸メガネ情報)

 

「いやぁ、独語は必要性が低いからな…。英語は必須科目だから大丈夫!」

「英語が必須科目なのは当たり前!研究・医療の分野では独語も大事なんですよ‼大学で語学は複数選択じゃなかったの?」

「大学というか、防衛大学校は特殊だからな。英語が必須で、第二選択外国語として(露・中・仏・独のほかに朝鮮・ポルトガル・アラビア)があるんだ」

 

「…で、あんたはどれなのよ?」

おい!全く期待しない聞き方だな(苦笑)

 

「仏語…だ」

 

「…はぁ?使えねー!」

こいつ公式の場以外くだけ過ぎて少々下品だ…

 

「はいはい、使えません…1年しか受けてないしな!」

 

 

 

俺は独語が得意ではない。防大での選択も仏語だったからな…

防大の学生が学習する外国語は、まずは必須の英語である。これは日米同盟だけでなく、世界的に第一の公用語だからだ。次に選択外国語を1年時に学習するのだが、俺が学生時代はロシア語と中国語を選択する学生が比較的多く、俺のようなその他を選択するのは少数派だったかな?何れにせよ、独語を選択してたのは陸自でも少数派で、海自や空自ではほぼいない。三自衛隊のどこでもロシア語と中国語を選択するのには理由がある。どちらも事実上の【仮想敵国】なのだ!

 

…ま、最近は国連関連での任務も増えてるので選択はバラけてきてるみたいだ。

 

 

「まぁ、今日のところはこんなものでしょ…」

美樹は軽くため息を吐く。

 

今日は、今後研究開発予定の「イニシャライザー」に関しての打ち合わせ程度なのだ!

どうやら、俺の脳細胞から培養してのクローンを造りだそうって話だ‼

クローン技術自体は今更ながら、人間のクローン製造には倫理的問題が大きいからと【禁忌】と…一般論であるが、実は最大の問題は…本能のみの生物が出来上がるのだそうだ。

早い話、魂が宿らない人間が製造される。

宇宙人のオーバーテクノロジーなら可能なのだろうと思ったが、魂の部分は正に【神の領域】で、ヴィンガルフに於いても解明度合は高くないそうだ。

 

しかしながら、魂の器である(素体)の製造は確立されている。実際に自分自身のクローンを見た時は目眩がする思いだった。

…目の前で、幼い子供の自分が培養カプセル入っていたよ。

 

 

 

 

「仕事は終わったしぃ…約束どおり!行きましょう‼」

 

美樹はご機嫌だな。

無理もない、普段は研究所から外出などありえないのだ。一般の職員は特別な理由がない限り、研究所外へは出る許可が下りることはない。

 

防衛省への随行員として外出許可が下りたのだ!

統幕へ赴き、渉外部トップの小暮陸将へ経過報告を行う。そして、防衛省所属の俺の細胞を使ってのクローン製造に関しての説明を行うために主任研究員の美樹が随行員に指命されたのだ。

 

 

そんな訳もあり、本庄はお留守番する羽目になって…

彼女はご機嫌斜めです。

 

 

 

中央道を東京へ向け走る白いレクサスGS

 

「あんたって、マジで厚待遇よね?こんな高級車与えられて…おまけに助手席には美女ときたら言うことなしよね~ほほほ」

 

「…」

 

「なんか反応しなさいよ!」

言った本人が恥ずかしさに赤くなってる。

 

 

「ん、運転に集中してますから(笑)」

 

 

そして到着した防衛省

新宿区市谷である。…陸自市ヶ谷駐屯地と空自基地がありパトリオットミサイルが配備さたりもする有名な場所である。

行き先の統合幕僚監部はA棟に入っている。どの棟も年代の流行りだったのか、ビル上部はグリーンに塗装されているのが特長だな。個人的には好きでない!国防を担う機関のビルという威厳が感じられん!

 

しかし、旧陸軍時代には参謀本部が置かれていた場所であり、三島由紀夫が総監室で割腹自決した場でもある。

他にも歴史的な事件の舞台となった場であり、怨霊が夜な夜な敷地内をさ迷い歩くと噂が……

 

 

「なんだか、ぞくぞくと寒気が…」

美樹ちゃん?もしかして霊感あるん?

「曰く付きの場所だからな。怨霊のひとつやふたついるかもな?」

「お、脅かさないでよ‼」

マジで霊感あるかもな?

東京なんて心霊スポットだらけだからな!人が集まる場所には霊魂も集まる…

 

 

統幕が入るA棟の片隅にある内局のひとつ【渉外部】とプレートが掛けられた部屋に着いた。

 

「渡瀬1佐入ります!」

姿勢を糺して敬礼する。

後に続いて入室した美樹が横に並び敬礼…おい!(汗)

しかも、何処のかわからない敬礼スタイルだし(笑)

海自っぽい!

因みに敬礼は、陸自と空自は肘を肩の高さまで上げる。海自は肘を上げずにコンパクトな敬礼をする。

海自だけが違うスタイルなのは、艦艇勤務が主体であるためである。客船と違い軍艦は狭いのだ!

 

「久しぶりだな、渡瀬1佐!と…あなたは敬礼しなくて良いですよ(笑)渉外部長の小暮です」

小暮陸将はやや笑いを抑えながら迎えてくれた。

見た目は白髪混じりの整えた髪にスラリと…ちょいとロマンスグレーのおじ様タイプだ!

 

「ご無沙汰しておりました。こちらはV機関のノイマイアー主任研究員です」

「美樹・ノイマイアーです」

緊張からか、赤ら顔ですな…

 

「二人とも掛けたまえ。コーヒーで良いかな?それと、赤坂Neuesのケーキもあるぞ。旨いんだよ、ここのケーキは」

そう言って、奥からいそいそとケーキの箱を持ってきてテーブルに置いた。絶妙なタイミングでコーヒーも運ばれてきた!

「コーヒーをお持ちしました。それとフォークとお皿です」

若い女性3尉が運んでくれた。

 

 

本題に入らぬまま、3人はケーキをパクつく。

 

そして、話はなかなか始まらまま次回へと続くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




魔女がなかなか登場しないです。なにせ数年前の物語ですので、寧子達はまだ幼いことと、ヴィンガルフ自体の研究の進行度合いが違います。
原作のレギュラーキャラが登場するのはかなり後の予定です。(登場しないまま終わる可能性も…)
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