極黒のブリュンヒルデsidestory   作:apride

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原作から遡ること数年…
ヴィンガルフは活動の範囲を広めつつある。
表向きは国家行政組織を装い、一部の関係者は「V機関」と呼んでいた。



第九話 国家機密

「では、そろそろ本題に入ろうか」

一息ついたところで小暮部長が口を開いた。

 

「まず、私がV機関に関する情報を得たのは…一昨日なのだ。内容は君らの方が詳しいから、話す必要はないな?」

こちらを見て確認してくる…探りを入れるような感じもあるか?

 

「部長が得ている情報がどの程度かはわかりませんが…」

とりあえず応える。

 

お互い、内容が内容だけに…口が重くなる。

 

 

「驚くというより、困惑したよ…宇宙人の遺跡から、人体実験やら。その為に幼児誘拐まで行っている…私を含めた全員が動揺を隠せなかった…」

 

「部長以外にも話があったのですか?」

小暮部長が口にした(全員)というところが気になって聞いてみた。

 

「私の他には陸海空の幕僚長がいた。当然だが統幕長もだ。他に警察庁と海上保安庁の長官もいたし、関係省庁から担当者が集まっていたぞ。担当者と言っても次官級だ」

なんと!?小暮部長の話からすると、今回初めて国家行政の表舞台にヴィンガルフの存在が公開されたらしい。最高機密であるため、情報は各省庁のトップ・次席クラス程度までだろう。

 

「以後、V機関とのやり取りは私が担当する。自衛隊は全面的にバックアップせよとの通達があったのだ。自衛隊と警察…日本国内の武装組織が全て関わることが決定した。これが意味することは…解るな?渡瀬1佐」

 

「逆らうことは…出来ない」

 

自衛隊と警察を敵にして、どうにか出来る個人などいるはずもない。そして、あそこに居る少女達が解放される見込みは断たれた…少女?さっき確か(幼児誘拐)と言ってたな?幼児なら男児も含めるが、男児は一人も見ていない!?どういうことだ?

 

「部長!さっき確か(幼児誘拐)と言ってましたよね?」

 

「ん?あぁそうだ。3年程前から頻発していたらしい。警察庁の話だが…そういえば!おかしなことを最後に言ってたな…直後から急に男女の比率が変化して、女児の失踪事件が9割を占めているそうだ。その時は性的目的なら女児を誘拐するのは当然と思ったがな…」

 

 

どういうことだ?

 

 

「その理由についてお応え致します」

それまで無言で話の外にいた美樹が口を開いた。

 

「研究の過程に於いて、男児は適合しないことが判明したからです。以後、女児のみを実験体として確保しております」

 

それでか!研究所には少女ばかりがいた。…まて、では誘拐してきた男児はどうなった?

 

「男児はどこへ消えたんだ?」

嫌な予感が…

 

 

「処分しました…恐らくころ…」

「言うな‼」

美樹が言いかけているところを遮った!

 

「もういい…」

俺は今、どんな顔だろう…

「はい…」

美樹も察したらしい。

 

 

「君たちにはご苦労だが、直前にノイマイアーさんの上司の…名前は聞かなかったな?明朝までは自由行動だから羽根を伸ばしてこいと…だそうだ」

 

「え、用事が済んだら直ぐ帰れ!と…良いんですかね‼」

美樹が俺を見る…目か輝いてますよ。

「いい上司じゃないか!東京の夜を楽しめば良いだろう!」

 

「あ~うほん!…話はまだ続きがあってな。先に言っただろ(君たちにはご苦労だが)と……」

小暮部長が言い難そうにしている。

 

「「なにをやらせるんですか?」」

2人で悲壮感漂わせながら聞いた!

 

 

小暮部長がデスクの引き出しから1枚A4サイズの紙を取り出して読み上げた!

 

 

「命令!渡瀬1佐・ノイマイアー主任研究員の両名は明日0800横須賀基地出港の(DDG174護衛艦きりしま)へ乗艦。硫黄島基地へ向かわれたし!以上!」

 

「硫黄島?しかも護衛艦で?普通は定期便の輸送機ですよね?」

おかしな命令を受け、聞き返した!

硫黄島は火山島で現在でも年間数㎝~20数㎝隆起し続けており、その為に港建設が出来ないので航空機により上陸するのが一般的である。艦船の場合は沖合いに停泊し、内火艇やヘリで上陸する。

 

 

「詳細は私もしらん!しかしだな、君の身柄保護を考慮するなら当然の措置ではないか?」

 

なるほど…

航空機だと、墜落する危険性がある。また、そうなった場合は助かる可能性が低い。艦船なら沈没が最悪の事態だが、救命措置もある程度の効果が期待できる。しかもイージス艦なら攻撃に対しても最強の移動手段だな!

 

大切な素材をまだ失いたくないのだろう…

 

 

「多分…硫黄島じゃなく、南硫黄島に行くことになるわ」

美樹が呟く…何か心当たりがありそうだな?しかさ、南硫黄島なんて初めて聞いたな。

「南硫黄島?」

確か硫黄島は絶海の孤島じゃなかったけ?

 

「まさか…知らないの?硫黄島の北と南の2島を含めて(火山列島)と呼び……マジで知らないんだ!あんた自衛隊員でしょ‼使えないオッサンだわぁ~‼」

言葉が汚ない…

 

「陸自に硫黄島はあまり関係がないのでね!で、その北か南か知らんが、何故その島に行くと?」

 

「南硫黄島にはヴィンガルフの隔離施設があるそうよ。私も室長から聞いた程度にしか知らないけど、島の周囲は100m以上の断崖で常に波が荒くて船の接岸は困難。それに周辺には陸地は無し…最高に隔離性が高いってね!」

隔離施設か…しかし、何を隔離する目的だ?

少女達を隔離するには大袈裟過ぎだ。恐竜とか…まさかな、ハリウッド映画じゃあるまいし…まさかな

 

「うほん!あー、ノイマイアーさん?私の存在を忘れていませんか?」

小暮部長がやや呆れ気味に美樹へ声を掛けた!

「あっ!し、失礼しました……」

本当に部長が居ること忘れてたな…顔が真っ赤だ!

 

「とにかく…突然でご苦労だが話は以上だ!下がって宜しい」

「はっ!失礼します!」

スッと起立し敬礼する。(この場合は挙手敬礼ではなくお辞儀スタイル)

慌てて美樹が起立しお辞儀する。

 

 

 

 

結局、美樹が随行した理由はなんだっんだろ?

ふと…硫黄島行きは最初から予定に入ってたんじゃ?

 

 

 

「なんなのよ!小笠原の果てまで行くのに舟って‼」

部屋から出て、美樹が突然キレてる…

話を聴いてなかったんかい!

 

「まあ、いいわ。それより、渡瀬さんはこのあと予定ありますか?」

「あるわけないだろ…」

 

いきなり太平洋の孤島へ行けとはな…

 

「ちょっと寄り道したいんだけど、付き合ってもらえる?」

「構わないが、何処へ?」

「浅草。暫く振りに実家へ立ち寄りたいの」

 

ヴィンガルフの職員は外出どころか、外部との連絡すら制限されるからな…

 

「そうか、なら急いで向かおう」

時刻は午後4時になろうとしていた。

 

 

 

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