Fate / Hybrid Stories   作:さんくてるるるく

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遅れました。

デスノートがっかりしましたけど、割と面白いですね笑


10話 決戦

 山門をくぐり、セイバーは十戒(テン・コマンドメンツ)を構えた。

封印の剣(ルーンセイブ)

 第四の剣『封印の剣(ルーンセイブ)』魔術や心など形のないものを一時的に封印する。

「セイバー、キャスターの気配は?」

「ああ、キャスターなら...」

「ここさ!!」

 突如空の闇から現れ、士郎に長いものを振り下ろす。

「士郎!!」

 咄嗟にセイバーが剣でそれをふせぐ。

「なんだそら」

 しかしそれはあえなく弾かれ。

「アタシのことなめてんのか?」

 士郎は右肩から斜めに斬られた。

「ぐぁぁああああッ!!!」

 そしてその剣に圧され、士郎は後方に倒れこんだ。

「そんな剣でアタシに勝てると思ってんの?」

 封印の剣(ルーンセイブ)はあくまで実態のないものに対する剣。物理戦闘に関しては銅の剣にすら劣るのだ。

「なんで...」

 

 そしてセイバーには思い違いをしていることが二つあった。

 一つは彼女の攻撃が魔術ではなく物理によるものであったこと。

「そんな甘くないっての。なんたってアタシは...」

 

 

 まるで嵐のような剣撃。両者とも目にもとまらぬ早さで己が刃を振るっている。弓を得意とするアーチャーと暗殺を得意とするアサシン、そのようなセオリーは無視している。しいて言うならアサシンの格好がそれらしいということぐらいであろうか。白と黒の上下に黒い手拭いを巻いたその姿はたしかに暗闇であれば闇討ちもできよう。

 アーチャーが26本目の短剣を破壊されたとき、両者は後方に飛び退き、距離をとった。

「君は本当にアサシンか?ここまで剣術の達者なハサンがいたとはな」

「テメェもな、アーチャー。弓を使わずにひたすら剣を使う弓兵なんて聞いたことがねえ。」

 闘いが愉しいのだろうか、クックッと笑いつつアーチャーを睨み付ける。

「それと俺はハサンじゃねえ」

「なんですって!?」

 驚きの声をあげたのは凛だ。さっきまではサーヴァント同士の戦闘を前に観戦者に身を置いていたが、聞き流せないその発言についに口を挟んだ。

「アサシンはハサン・サッバーハが呼ばれるはず、それがちがう英霊が呼ばれるなんて...」

「事実だ。まぁ俺のマスターがイレギュラーだったせいだとは思うけどな」

「イレギュラー?」

「ああ、俺のマスターはサーヴァント。この柳洞寺の主だ」

「なに?」

「なんですって!?」

 さすがにこれにはアーチャーですら驚きが隠せないようだ。サーヴァントによるサーヴァントの召喚など聞いたことがない。

「でも...キャスターなら出来るのかしら、一応魔術師ではあるわけだし」

「?ああ?なにいってやがる俺のマスターは...」

 

 

「三騎士が一人、ランサーなんだからさ」

 

 

「キャスターじゃなくてランサーだぜ」

 

 

 二つ目は、柳洞寺で待ち構えていたのはキャスターではなくランサーであったことだ。

 

 

「魔術師でもないランサーがサーヴァントを呼び出すだと?ふん、ありえんな」

 アーチャーが苦笑する。

「さあな、俺にも詳しいことわからねえ。けど俺のマスターであることは間違いねえ」

「なら簡単だ。ランサーに直接聞けばいいはなしだ」

「そうだな、けど」

 そう言ってアサシンが抜刀の態勢をとる。辺りがシンと静まりかえり、アサシンがまるで闇に溶けていくかのように思えてくる。

「不可能だ。俺がテメェを斬るからな...」

「ッ!!」

 襲いくる殺気にアーチャーは額に汗が伝うのを感じる。回避?間に合わない。攻撃による防御だ。短剣を両手に携え、アーチャーはアサシンに駆け出した。

「一刀流...居合...」

 アサシンからすれば、アーチャーがなにをしようとも同じことだったのだろう。

獅子...歌歌(ししそんそん)

 ヒュッと音がしたかと思うと、すでに勝敗は決していた。向かい合う形で立っていたはずの両者は、今背を向けあっている。中心で刃を交え駆け抜けたのだ。

 夜の空が赤く彩られる。吹き出した鮮血の雨が降る。そしてアーチャーはその場に倒れ込んだ。

 

 

 ランサーとセイバーは技術においてほぼ拮抗していた。しかし、セイバーのもつ10の剣の能力によって少し勝っているように見える。瞬間瞬間で剣を換え戦うセイバーの剣戟はやはり対処しづらいだろう。三節棍のような得物を必死に振るうランサーであったが、その顔に余裕は見られない。

爆発の剣(エクスプロージョン)!!」

 爆発とともにランサーが吹き飛ばされ、そのまま地面に叩きつけられた。

「く...そっ」

 第2の剣『爆発の剣(エクスプロージョン)』切るというより打撃でダメージを与える剣、その名の通り爆発を起こすことができ、高い攻撃力をもつ。しかしその分使用者の負担も大きくなる。

「強い...」

 万全の体制で戦闘に挑むセイバーはこれほどまでに強いのか、士郎はただ驚くのみであった。

「街の人達に手を出したお前を許すわけにはいかない。ランサー、覚悟しろ」

「ハッやってみろよ、レイヴマスター!!」

 ランサーの体から強い魔力が放たれる。

「ロッソ・ファンタズマ!!!」

 辺りに立ち込める霧、そのなかから一人、また一人と姿を現す。総勢30人。そのすべてがランサーであり、オリジナルと同じ戦闘力をもった複製であった。

「アタシも、負けられねえんだ」

 一斉に駆け出し、セイバーに迫る。

「これは、まずいな」

「セイバーの武器でなんとかならないのか?」

「俺の宝具は『対人宝具』、この人数相手にはあまり意味がないんだ」

 セイバーの顔に焦りが見える。

「まぁ、やるしかねーけど」

 剣を構えて迫り来る30本の刃を見据える。刃の海のようだ。前方を埋め尽くす槍兵の軍に士郎はそんなことを思った。

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)

 『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』七枚の花弁状の障壁を展開する。一枚一枚が古の城壁と同等の防御力を持つ。伝承により7枚目は他の花弁より強固になっている。

 ランサー達の攻撃を全て防いでいる。その盾を召喚したのはアーチャーだ。いつのまに現れたのか、血まみれになりながらアイアスを支えている。

「アーチャー!?」

「なんでここにいるんだ」

「説明してる暇はないわ!今すぐここを離脱するわよ!」

「遠坂!離脱ったってどうやって」

「令呪を使え、衛宮士郎」

「士郎を連れての離脱を命じなさい。そうすればこの場から逃げられるはずよ」

「遠坂たちはどうするんだ!?」

「私たちもあとから行くから、早くなさい!」

「凛、君はセイバーとともに行け、二人までならセイバーもつれていけるだろう」

 セイバーが無言で頷く。

「そんな、アンタはどーするのよ!」

「これ以上令呪を消費するわけにはいかないだろう、私のことは心配ない。フッ昔から悪運だけは強くてな、今回もぼろ切れのようになろうと生還できるだろうさ」

「アーチャー...」

「早くしろ、この盾もいつまでももたん」

「絶対帰ってきなさいよ!約束よ!戻ってこなかったらゆるさないから!!」

「ああ、約束しよう」

「士郎」

「令呪をもって命ずる。俺達を連れて安全な場所へ離脱しろ!」

 セイバーが二人を抱え、山門に駆け出す。それと同時にアイアスの最後の一枚がくだけ散った。

 

 

 山門にはアサシンが座っていたが、こちらを一瞥したのみで戦う気はないようだ。

 階段を下っていく。少しずつ、破壊の音が薄れていく。アーチャーが遠ざかっていく。

「あいつ...」

「やめて、衛宮くん。アーチャーは絶対に帰ってくるわ」

 気丈な言葉とは裏腹に顔は歪んでいるが、涙はその頬を伝わない。

「絶対に...!」

 

 

 屋敷についた。夜の静けさを感じる。耳に残る破壊の音もすでに薄れ、今日の戦いがなかったことのように感じる。しかし足りない一人がその事実を突きつけてくる。

「... 今回の作戦の失敗は...私のせいよ」

 うつむいたままの凛が声をこぼす。

「...共闘するサーヴァントがいないなんて決めつけた私のミス。敵がキャスターだと決めつけた私の...ミス」

「遠坂だけじゃない、そこに気づけなかった全員のミスだ」

「そうだな」

 なおもうつむいたままの凛は縁側に腰かけた。

「私はここでアーチャーを待つわ」

「遠坂...」

「わかった、凛、帰ってきたら言ってくれ。俺たちは部屋いるから」

「けど、セイバー」

「行くぞ」

 セイバーが士郎を連れて部屋に引き上げる。

「ありがとう...」

 

 

 時刻は午前3時。

 セイバーと士郎は部屋で眠りについた。

 凛も縁側で寝落ちしていた。

 まだしばらく夜は明けない。この日、アーチャーが帰ってくることはなかった。




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