Fate / Hybrid Stories   作:さんくてるるるく

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ギリギリ投稿です。確認してませんすみません。
後書きは投稿後に書きます。


4話 VSバーサーカー

 赤い外套をまとった弓兵の英霊、アーチャーは凛の隣に立っていた。普段の彼はクールだがまわりを小ばかにしたような性格をしていて、それが時折凛をいらだたせたりしていた。しかし二人の間には確固とした信頼があり、いざというときには背中を任せることのできる間柄であった。

 距離にして35メートル。それがイリヤたちと凛たちの間に横たわる街道の長さだ。

 凛はバーサーカーを見ていた。目を離すはずなど無い、その瞬間死が確定するようなものだ。しかし凛はバーサーカーを見失ってしまった。イリヤの横にいたはずのバーサーカーは一瞬にして消え失せた。訳が分からない、危険を察知した凛は助けを求めるべくアーチャーに振り返った。

「アー...チャー...?」

 おかしい、私の隣にいるはずなのは...。

 凛の真横でバーサーカーが剣を振り上げる。混乱した凛は状況の把握がまったく追いつかない。

 赤く燃え上がるその瞳に凛は本能で恐怖する。

「あ...」

「オ”オ”オ”オ”!!!!!!」

 バーサーカーが雄たけびをあげ剣を振り下ろす。凛の目前まで迫る刃。しかし彼女は何もわからない。情報が脳で処理されるより先に脳天から砕かれることになるだろう。

重力の剣(グラビティ・コア)!!!」

 まるで爆発でもおきたような轟音と同時に吹き荒れる風。凛と、同じく立ち尽くしていた士郎はバーサーカーから20メートルほど吹き飛ばされた。

「それが...オマエの宝具か、バーサーカー」

「グルルルルルル」

 凛を間一髪で救ったのはセイバーであった。凛とバーサーカーの間に入り、バーサーカーの剣を受け止めたのだ。

 第7の剣、重力の剣(グラビティ・コア)。驚異的な強度、攻撃力を持つがその弊害として凄まじい重量がある。

 彼はその剣を盾代わりに使用したのだ。

「そうよ、バーサーカーの宝具『王者の剣』は一振りごとに嵐を起こすの」

「イリヤって言ったか、簡単に宝具おしえちまうなんて余裕だな」

「ええ、だって私のバーサーカーは世界一強いもの。こんなこと大した問題じゃないわ」

「なるほど...な!!」

 全身に力を込めバーサーカーの剣を弾き返す。

 さすがのバーサーカーもこの剣を押しとどめられるほどの力はない。

「アーチャー!後は頼む!」

「了解した」

 アーチャーが吹き飛ばされ転がっていた士郎と凛をわきに抱え即座に場を離れる。

「ちょ、アーチャー!?どこに行ってたのよ!」

「すまないなマスター、一瞬で目の前に踏み込んできたバーサーカーに気おされてしまってな。とっさに防御はしたのだが風までは受け止め切れなかった」

 そして吹き飛ばされたアーチャーは急いで場に戻ってきたというわけだ。

「まったく、セイバーがいたからいいようなものの」

 アーチャーが顔を逸らす。やはり申し訳ないという気持ちはあるのだろうか。より一層足を速めた。

「セイバー一人残すわけにいかない!おろしてくれアーチャー」

「キサマがいったところで足手まといになるだけだぞ、衛宮士郎」

 さっきまでのしおれた表情はどこへ行ったやら、士郎を見下した表情で言い放つ。

「それにセイバーもわかっているはずだ。バーサーカーには勝てん。しばらくしたら離脱するだろう」

「くそっ」

 先ほどと同じ、何もできない自分に士郎はうなだれることしかできなかった。

 

 

「逃がさないわ。追いなさい、バーサーカー」

「グオ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”!!!!!」

「いかせるわけ...ねえだろ!!」

 セイバーが黒く重々しい大剣から姿を変化させ、いびつでまがまがしい長剣へと持ち替える。

 セイバーを飛び越えアーチャーを追いかけるバーサーカーは全ステータスにおいて、全サーヴァント中最高の性能をもつ。アーチャーもおそらく追いつかれるであろう。バーサーカーの視線はその先を走るアーチャーたちのみに向けられていた。

 しかし三歩も走らないうちにバーサーカーに異変が起こる。狙っていたはずの獲物が視界から消える。地面が見える。バーサーカーは盛大に街道に倒れこんだ。

「毒を以て毒を制す...てことかしら」

 セイバーの剣はバーサーカーの足をとらえていた。通常であれば間に合わないはずの距離、彼はしっかりと切り込んでいた。

 第9の剣、羅刹の剣(サクリファー) 。剣の使用者を狂気に堕とし、その対価として異常なステータス向上を可能にする。

 復活し立ち上がったバーサーカーと向き合うセイバー。血で血を洗う死闘が始まった。

「でもそれじゃ私のバーサーカーには勝てないよ?殺して、バーサーカー!」

「オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”!!!!!!!!!!!!」

 バーサーカーの振り切った剣の切っ先がセイバーの右耳から入る。それを体を逸らすことでかわし、セイバーが心臓部に剣を突き出す。振り切った剣はすぐには戻せない、バーサーカーは盾でセイバーの突きをはじき、剣を振り上げて一刀両断の動作をとる。セイバーははじかれた剣にかまわず左手で殴り掛かる、バーサーカーの顔面にめり込ませ、体勢のもどった剣で追い打ちをかける。

 一筋、また一筋と両者ともに傷が増えていく。 しかしバーサーカーの武器の特性上セイバーは不利であった。バーサーカーは攻撃を躱されようが躱されまいが風刃によりセイバーを切りつけていく。このままではセイバーが敗れるのも時間の問題であろう。

 イリヤが余裕の表情を見せ、勝利を確信する。

 とそのとき、夜の空に無数の星が上がった。それは流星が如く輝き、一直線にバーサーカーに降り注いだ。バーサーカーの全身に突き刺さったそれは計7本、アーチャーによる矢の投射であった。魔力のこもったそれは爆発し、あたりに黒煙をまき散らした。

音速の剣(シルファリオン)

 黒い煙が消えるころにはセイバーの姿は跡形もなく消えていた。

「...いいわ。今日のところは帰りましょ、バーサーカー」

 イリヤはバーサーカーに囁きかけ、バーサーカーはそれに応じて全身から放たれる殺気を和らげた。

「あんなのいつでも勝てるもの。楽しみは後にとっておかなくちゃ」

 そうして二人も暗い夜のなかに消えていった。

 

 

 なんとか衛宮邸に生還できた四人は、座敷で少し休息をとることにした。

「はぁ...はあ...」

「大丈夫か!セイバー」

「なんとかな」

 そう言ったセイバーは全身に傷を負っていた。いくらそれらが浅いものだといっても、こう数が多いと痛々しい。

「それよりアーチャー、ありがとな。オマエのおかげで助かったぜ」

「礼を言うのは私のほうだセイバー。君がいなかったなら凛は今頃バーサーカーに粉々にされていたことだろう」

 それを聞いてニカッと笑顔をみせるセイバー。このお人好しさが英雄たるゆえんなのだろう。

 すでに傷のほとんどがふさがったようだ。これもセイバーの特性によるものだった。

「やっぱりすごいわね、その特性」

「ああ、まぁ英霊になってからのオプションなんだけどな」

 英霊は過去の逸話から生前に持っていなかった特性を得ることもある。セイバーのはその一例だ。

 凛も少し安心した表情になった。

「セイバー、私からもお礼を言わせてもらうわ。正直アーチャーの言う通りアナタがいなかったら私は死んでた。本当にありがとう」

「礼なんていいって!仲間だもんな!」

 それを聞いて凛が複雑な表情をみせる。アーチャーに目配せをし、アーチャーが口を開く。

「勘違いをするな、セイバー。我々はあくまで同盟であって仲間などではない。あまりにお人好しすぎるのも考えものだな、いずれ身を滅ぼすことになるぞ」

 冷たくいい放つアーチャーにセイバーは笑顔を崩さず返答する。

「そうだな...でも俺は凛を信じてる。だから俺は凛を仲間だと思ってるし絶対に守り抜く」

「セイバー...」

「俺も、魔術のこととかまだいまいちわかってないけど遠坂を信じたい。セイバーと同じだ」

「衛宮くん...」

 しかしそんな甘いことが認められるわけがない。アーチャーはもちろんのこと、凛もそこは割りきっていたつもりだった。

「それはそうと遠坂、バーサーカーの真名はロトって言ってたけど他にわかってるサーヴァントっているのか?」

 少し思案したあと、凛が応える。

「そうね、隠してるのはフェアじゃないわね。一人いるわ、衛宮くんも会ったことがあるはずよ」

 それも鮮烈にね、と言ってクスッと笑う。

「ランサーよ。彼女は西洋の魔女なんだけど、世界各地で逸話を残してるから日本名のほうがしっくりくるかもね」

 ランサーが魔女、少し混乱している士郎を無視して話を続ける。

「佐倉杏子。勝手に日本人がつけた名前なんだけどね。どうも名前がわからないのは伝承として残す上で具合が悪かったみたい。ちゃんと本当の名前もあるんだけどね」

「なあ、なんで魔女なのにランサーなんだ?たしかキャスターってクラスがあったはずじゃないか」

「それはね、衛宮くん。彼女の戦い方に由来してるの。赤い髪を束ねて、赤い衣装に身を包んだ彼女は一振りの槍と一緒に描かれいることが多いわ。彼女は槍を主な武器として、それに魔法の力を合わせた戦闘スタイルだったの。だからキャスターはもちろんのこと、ランサーとしての適性もあったわけよ」

「てことは魔術も使えるってことか?」

「その通りよ衛宮くん、もちろんランサーで召喚された時点で彼女の魔力は相当減退してると思うけど」

 セイバーと士郎がうんうんと頷きながら話を聞いていると、今度は凛が質問をした。

「逆に衛宮くんたちは敵サーヴァントの情報なにか持ってないの?」

「わるい、凛。まだ俺も今日召喚されたばかりなんだ」

「そうよね、わかったわ。これからわかったことがあったときにまた情報交換しましょ」

「わるいな、遠坂」

「気にしないで。ふぁ~あ、眠くなってきたわね。衛宮くん、今日は泊めてもらうわね」

「え、えぇ!?ちょ、遠坂!?」

「奥の部屋が空いてたわよね。先に寝させてもらうわ、おやすみ衛宮くん、セイバー」

 突然すぎて混乱している士郎をスルーして遠坂が奥の部屋に歩き出す。

「なんていうか...よかったじゃねーか(?)士郎」

「...藤ねえに殺される」

 少年が期待と不安に揺れながら、今日も夜は更けていく。

 

 

「ああ?ライダーだと?」

「そうだ、間桐家当主たってのたのみとあっては断れまい。もちろん今すぐにではない。セイバーとの一戦で負った傷もまだ癒えてはいないだろう。二三日休むといい」

「けっ、どうだかな。テメェなんか下心でもあるんだろ」

 不敵に顔を歪ませるのみで返答する様子はない。

「わーったよ、やればいいんだろ」

 そう言って屋敷の奥に姿を消した。

「カカカ、あやつにライダーが討てるのか?」

「問題はないだろう」

 

 




クラス:ランサー
マスター:不明
真名:佐倉杏子(日本名)
宝具:不明
補足:世の中に蔓延る使い魔を狩ってまわっていた魔女。ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテットという5人組の魔女集団の一人である。世界各地で活動していたため、彼女たちの逸話や名前は諸説あるが安定しない。日本名はありえないだろうというわけで凛は真名が別にあると言っている。教会の出身で、神に仕える身でもある。


セイバーまとめ
第1の剣「アイゼンメテオール」:ただの鉄の大剣。
第2の剣「シルファリオン」:敏捷性が大幅上昇。しかし威力は大幅ダウン。
第5の剣「ブルー=クリムゾン」:炎と氷の双剣。セイバーは使いこなせていないようす。
第7の剣「グラビティ・コア」:驚異的な威力と強度をもつ。しかし敏捷性が大幅ダウン。
第9の剣「サクリファー」:狂気に落ちるかわりに全ステータスの大幅上昇。3分くらいまでなら正気に戻れる(ほかの剣に変換できる)。
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