Fate / Hybrid Stories   作:さんくてるるるく

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タイトルは本編とあまり関係ありません。彼のためのタイトルです。
アニメであんな扱いなんだから、もういいよね!


8話 愛の片鱗

 結局、その夜士郎はライダーには会えなかった。

 もちろんライダーはすでに金髪のサーヴァントによって消されているのだから会えるはずもない。

 桜の唯一の手がかりを失った士郎はうなだれて帰路についた。

 その様子を見てセイバーも気付いたのだろう。士郎に何か尋ねることはなかった。

(桜...)

 期待していたゆえにショックが大きい。やるせない思いのまま、士郎は寝床に入った。

 

 

 朝5時半、士郎は目を覚ました。昨日と同じで料理にもやる気が起きない。

 結局同じように簡単なものとなってしまい、冬樹の虎を不機嫌にさせることになってしまった。

 彼女を送り出し、起床してきたセイバーに顔を合わせる。やはりそのスウェット姿は慣れない。

「今日はどうするんだ?士郎」

 学校に行くのか、それとも桜を探してまた街に出るのか、ということだろう。

「学校に行くよ」

 遠坂も昨日の報告したいだろうし、と付け加えてセイバーに返答する。

「そっか、じゃあ俺は家にいるから」

「ああ」

「気をつけてな」

「...行ってくる」

 呼び出してくれ、とはセイバーは言わなかった。もう確認する必要はないと思ったのだろう。

 セイバーに手を振り、士郎は屋敷を後にした。

(しばらく桜のご飯を食べてないな...)

 学校まで、桜のことが頭から離れることはなかった。

 

 

「おはようございます、先輩」

 士郎は自分の目を疑った。

「どうしたんですか?先輩」

 ずっと探していた少女。

「?」

 彼女が眼の前に立っているのだから。

「さく...ら」

「はい、しばらくぶりです、先輩」

 その優しい笑顔はまさしく桜のものだ。士郎は震える両手で桜の肩をつかんだ。

「桜!どこに行ってたんだ!無事だったのか!!」

「い、痛いです先輩」

「わ、わるい」

 士郎が慌てて手を放す。

 どういうことだ、ライダーはあのとき桜を知っていると言っていた。つまり聖杯戦争に巻き込まれたのは確実だ。それがこんな平然といられるわけがない。

「心配かけてすいませんでした。しばらく家の用事で出かけていたものですから」

「そう、か」

 ライダーの言ったことは嘘だったのか?士郎をおびき出すために、マスターを一人で始末するための演技だったと考えられなくもない。ライダーの必死の表情が思い出されるが、あれも演技だったんだろうか。

(きっと、そうだったんだろうな)

 ではなぜ指定の場所に現れなかったのか、それだけが疑問であるが。

「そろそろ授業が始まりますから、失礼しますね」

「あ、ああ、またな桜」

 ニコッと笑顔を浮かべて教室へ歩き出す桜を、士郎は複雑表情で見送った。

 そういえばここ数日慎二にもあっていない気がする。

(まさかあいつ...)

 ふと不安がよぎるが、士郎はそれを振り払う。桜の件で心配性になってしまっているのだろう、と。

(あいつも桜と同じで出かけてただけだよな)

 

 

 その日の放課後、士郎は凛と屋上に集まった。昨日の報告と一般人の失踪について話すためだ。

 桜の件は桜本人の言っていた通りであろうと片が付いた。

「本当によかったわ...」

 凛がまるで家族のことのように安心した顔を見せたのが士郎には印象的だった。

「ところで衛宮くん、今朝似非神父から連絡があったのだけれど、ライダーとランサーが脱落したらしいわ」

 桜ほどではないが、この事実もそれなりに士郎を驚かせた。

 自分をたばかっていたかもしれないとはいえ、あの幼い少年が殺されてしまった。そのことが士郎には少しこたえた。

 ランサーにしても同じだ。自分を殺そうとした彼女だったが、その死にも士郎は憤りを感じた。

「...それで、ふたりを倒したサーヴァントは誰なんだ?」

「それがわからないのよ。セイバーとアーチャーはないとしたらキャスターかアサシンということになるんだけど、まだまったく情報がないから」

「その、神父さんから何か聞いてないのか?」

「『それは私の知るところではないな、凛よ』なんて言って何も答えないのよ、全く使えないんだから!!」

 綺礼の声真似をした後、頭を抱えて地団太を踏みだした。

「そ、それで遠坂。昨日は何か収穫はあったのか?」

「はぁ...はぁ...昨日?ああ、ないこともないわ」

 昨日というより今朝だけど、と付け加える。

「学校に来る途中魔力の痕跡を見つけたのよ。弱弱しいけどたしかにあれは魔術師のものだったわ」

「もしかしてキャスターの...?」

「ここからは推測だけど、昨日の夜にキャスター、ランサー、ライダーで戦闘が行われて、その末にキャスターが勝利した。でもキャスターも無事ではなくて、痕跡を残したまま逃げ帰った」

 ここで凛の顔は自信に満ちたものとなる。

「柳洞寺に」

「柳洞寺だって!?そこがキャスターの隠れ家なのか!!」

「おそらく、だけどね。でもキャスターがそこに向かったのはは間違いないわ。痕跡が残っていたもの」

 ヘンゼルとグレーテルのように、魔力は足跡を残していたのだ。

「今日はもう少し街を調査してみて、明日の夜にでも乗り込みましょう」

「大丈夫なのか?キャスターは自分の陣地で最強なんだろ?」

「問題ないわ、だってこっちはセイバーとアーチャーの騎士二人がついてるのよ?」

「ランサーとライダーがやられたんだろ?」

「三つ巴の戦いだったと思うし、キャスターも傷を負ってるわ。それに柳洞寺が陣地として優れてるっていうならわざわざ街中で戦ったりなんてしないわよ」

 ごもっともである。

 

 

 というわけどで士郎たちは街に繰り出すことにした。

 夕日の浮かぶ街道を凛と並んで歩く。

 そこで士郎はあることに気付く...。

(これは...まるで....)

「どうしたの?衛宮くん」

(デート!?)

「?」

 凛が士郎の顔を覗き込む。青い瞳が士郎の顔を映しこむ。

「いや、遠坂、なんでもないんだ!ははっははは」

 笑顔がひきつる。

「衛宮くん?...!」

 凛も気付いたのだろう。ニヤッと笑い士郎に身を寄せる。

「あ!これじゃあまるでデートね~衛宮くんっ」

 そして両腕を士郎の右腕に絡ませた。

「と、と、と、とおさか!?」

 顔を真っ赤にしてうろたえる士郎を見て凛が噴き出す。

「ぷっアハハハハハ!衛宮くん本当にからかいがいがあるわ」

「やめてくれよ遠坂...」

 腹をかかえて笑う凛をみてどんよりと項垂れる士郎。

「はぁ、誰かに見られたらどうするんだよ」

「ん~?衛宮くんいやなの?」

「いやって、言うか、遠坂が困るだろ?」

「私は別に?」

 なおもからかい続ける凛に士郎がおろおろしながら対応する。

 T字路を右折しする。柳洞寺あたりを歩いていたのだから当然と言えば当然だろうか。仲睦まじくデートをする二人の前に一成が現れた。一成が現れてしまった...。

「えみ...や?」

「一成じゃないか、どうしたんだこんなとこ...」

「衛宮ああああああああ」

「な、なんだいっせ...」

「なぜこの女とそんなに仲睦まじく歩いているのだああああああああああああ」

「い、一成、落ち着いてくれ。これには深いわけが...」

「女狐めぇ、衛宮をぉ、衛宮に取り入って...いったい何を企ん...」

「柳洞くん、あなたの家に突然来た人とかいないかしら?」

 さすが凛、嫉妬に燃える柳洞一成ですらものともしていないようだ。

「妙な質問ではあるが、そうだな、ふむ」

 何事もなかったかのようにふるまう一成もさすがである。

「そういえば...葛木先生が来られたのはいつだったか」

「葛木って柳洞寺に住んでるのか!?」

「そうだ、少し前から居候しておられる」

「それね、決まったわ衛宮くん。今日のところは帰りましょ」

「遠坂?」

 凛が士郎の手を引く。

「ありがとう柳洞くん。助かったわ」

「ふむ、礼を言われるのは悪い気はせんが...」

 一成の眼光が鋭く光る。

「衛宮をどこに連れていく気だ」

「さあ?」

 二人の間で視線が火花を散らす。しかし状況的に凛が有利だ。士郎を促し、その場を後にする。

「またね、柳洞くん」

「キッサマッッッ!!!!」

 何もできない。衛宮は『すまん』と小さく謝罪をし、凛に引きずられるようについていった。

 

 

 士郎が屋敷に帰ると、そこには大河と桜と...セイバーが談笑しながらお茶と煎餅をつまんでいた。

「おう!おかえり士郎!」

 異様な光景だ。

「士郎、シバくんて面白いわね~」

「いろんな冒険の話をしてくださるんですよ」

 その団らんに士郎も腰を下ろす。

「そうだ!まだ聞いてなかったけど、士郎とはどういう関係なの?」

「聞きたいです!」

「あ、え~っと」

「切嗣さんの親せきっす」

(え?)

「え!?切嗣さんの!?」

「はい」

 しばらくしてこの会はお開きになった。桜と大河が『もう遅いから』と言って帰ったのが幕引きだ。

 そして士郎はセイバーと二人で反省会を始めた。

「さてと、セイバー、『シバ』ってなんなのさ」

「偽名だよ。セイバーって言うわけにもいかないだろ?かといって真名言うわけにもいかないし」

「はぁ、まあそれはいいや」

 それより、と士郎が真剣な顔つきになる。

「なんで爺さん、切嗣のこと知ってるんだ?」

「...」

 少しの沈黙の後セイバーが語りだす。

「俺は...前回の聖杯戦争で切嗣のサーヴァントだったんだ」

 今日一日で何回驚けばいいのだろうか。士郎は言葉が出なかった。

「戦いの末に聖杯の目の前までたどり着いた。でも切嗣はほかの陣営と裏で手を組んでいて、俺を令呪で自害させたんだ」

「そんな...」

「世界を救いたいっていう切嗣の夢に、俺は協力しているつもりだった。でも、あいつは俺を裏切ったんだ」

 セイバーがぎゅっとこぶしを握り締める。

「まあ、もともとそりは合わなかったからな!仕方なかったのかもしれない」

 少し余裕がなさそうではあったが、セイバーは表情を和らげて言った。

「士郎はあいつの息子だけど、そんなの関係ない。俺は士郎を信じてるから」

「セイバー...」

 そのあと、凛と話したことをセイバーに伝え、そこで話は終わった。

 そして二人はそれぞれ風呂に入るなどして就寝の支度を整えた。

「おやすみ、セイバー」

「おやすみ、士郎」

 キャスターとの戦いは明日である。

 

 

 PM18:00柳洞寺

 すでに人払いは済ませてある。

「行くわよ!」

 柳洞寺は山の上のある寺だ。四人は本殿へと通じる石階段を駆け上がっていく。

 そして門にたどり着くというところで一行は妨害にあった。

 駆け抜ける一刃の風。

「むっ」

 それをアーチャーが二本の短剣で切り裂く。

「てめぇ、俺の斬撃を切ったな」

 階段の一番上に男が立っていた。

 男は白いと黒の服に、頭には黒いバンダナのようなものをまいている。そして右手には一本の白い刀。

 アーチャーが無表情のまま男をにらみつける。

「なるほど、凛。君の予想は少し甘かったようだな」

「アナタ、何者よ!」

「名を訪ねるときは自分から名乗るもんだぜ?」

 男が嘲るように笑う。

「私は遠坂凛、こっちはアーチャーよ」

「おれは衛宮士郎」

「俺はセイバーだ」

 アーチャーとセイバーが各々剣を構える。

「俺はアサシンだ」

 アサシンも刀を構える。

「アサシン、ロロノア・ゾロ」

 ざわざわと揺れる木々。三人の剣士による命の取り合いが始まろうとしていた。

 




最後の部分は予告編的なノリです。次話は柳洞寺に行く前の朝から書きますよ。


海賊狩りです。アサシンゆえに出番は少ないと思いますが、頑張って動かします。
もちょっと情報が出そろってからにしようと思います。
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