『よしっ、ベジータは何とかうまくやったみてえだ』
『あっちの地球でオラたちの地球みたいに悪い奴が現れたらみんな死んじまうかんな』
『昔のベジータくらいの奴でもどうにもなんねえからな…』
『さっ!オラも準備しねえとな!』
―――何をするつもりだ―――
―――孫悟空 お前も地球に行こうというのか―――
『いっ?!神龍、いきなり話しかけてくんなよ~!びっくりするじゃねえか!』
『でも、分かってるんならちょうどいいや!オラ今から地球行ってくっからさ、しばらく頼むぞ!』
―――まて 孫悟空 お前が今地球に行っても…!―――
『待ってろよベジータ!今オラも行くぞ!』
―――行ってしまったか―――
―――お前が行っても ドラゴンボールになってしまうのだというのに…―――
龍は呆れたように呟き、そそくさとどこかへと行ってしまった。
――――――――――――――――
『しまったーーーーーーーっ!!!』
『オラ、あそこから出たらドラゴンボールになっちまうんだったーーーっ!!』
この始末である。
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「まだ終わりじゃないですよ、もうちょっとだけ続きます」
「いきなりお前は何をいっているんだ」
「え?!いや、何故かこう言わなければならない気がして…」
提督は時空の歪みを受信しただけである。断じてメタ発言ではない。
「なんだそれは…?しかし、何でこの俺がわざわざ掃除なんかしなければいかんのだ。別にここに世話になるなんて一言も言ってないだろう」
「あなたねえ…ここ以外であなたみたいな不審者を匿ってくれる人なんていないわよ?そんな変な髪形してたら警察に職質受けるに決まってるじゃない」
「ふん、そんな奴ら吹っ飛ばしてやればいいだけだろう」
「そんなことしたら、本当にあなたの住める場所が無くなるじゃない!一体男って何考えてるのかしら!馬鹿じゃないの?!」
「なんだと貴様…そこまで言うからには覚悟はできているんだろうな…!」
「ちょちょちょ、二人ともやめてってば!折角手伝ってくれてるんだから、そういうのやめよ?」
すかさず提督が止めに入る。すでに半泣きであるが、余程険悪な空気が嫌いだったのだろう。
「わかってるわ…(なんで私だけなの?!)」
「ふん…」
そこへ長門がやってきた。前回までとは違って、かなり真面目な面持ちで。
「ちょっといいですか提督」
「長門、もうそっちの掃除は終わったの?」
驚いたように、提督は答えた。
「いえ…まだです。遠征班から連絡がありましたので」
長門の言葉に、提督は眉をひそめる。
「遠征班が?普段なら帰投するまで連絡はないと思うんだけど…もしかして、戦闘があったの?」
「はい、彼女たちによりますと、遠征中に敵戦艦ル級及び随伴艦と交戦、旗艦那珂が大破。工廠、ドックの使用の許可を、とのことです。」
「えっ?!戦艦とって…大丈夫なの?!敵艦隊の詳細は出てる?!」
「ええ、敵艦隊旗艦は恐らくその戦艦ル級、随伴艦に駆逐イ級が3隻とのこと」
「陽炎、那珂が敵旗艦を雷撃、大破。その他3隻も轟沈。ル級は撤退を図ったそうです」
よかった、と安堵の声を漏らす提督。しかしそれも束の間、
「そうだ、すぐに工廠とドックを開けないと!今連絡が来たってことは、もうすぐこちらに帰投するんだよね?!」
「はい、もうす『やっほー!那珂ちゃんだよー!提督、私たち今護衛中の漁船に乗せてもらったから、あと15分くらいで着くよ☆艦隊のアイドルが帰ってくるから、人払いよっろしくぅ!』……ぅ………」
「あはは…那珂ちゃん、長門が泣きそうだから、やめてあげてね…」
「それじゃ、遠征班の皆を迎えに行こっか」
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「旗艦代理、陽炎帰投しました」
「うん、おかえり。皆帰ってきてくれてよかった」
「伊達に陽炎型ネームシップしてないから、当然!」
ぱっと陽炎は笑顔になった。提督がかわいいのは言うまでもないが、陽炎の照れ隠しの笑みも私のストライクゾーンに入っている。ああほんとに二人とも私の嫁にしたい」
「長門…途中から声漏れてるよ…」
はあ、とため息を漏らす。長門がポンコツなのはこの鎮守府では常識のようである。
「それで……さっきから部屋の隅にいるあのM字の人って誰なのかしら?」
「誰がM字ハゲだ!!貴様、ぶっ飛ばしてやろうか?!」
ベジータの怒りは少々被害妄想気味であるが、流石に初対面の人物にM字だの言われたら、腹を立てずには居られないだろう。
「陽炎、世の中には言ってはいけないことがあるんだ。特に男性の髪形についてはな。どうだ?今夜私の部屋でそのことについて語りおぶっ!!」
ベジータの拳が長門の顔面に吸い込まれていった。ただそれだけの出来事に1秒と時間はかからなかった。
「その前にお前はその碌でもない性癖を直しやがれ。それとそこのチビ、こいつみたいになりたくなければ、二度とMハゲ野郎などと呼ぶんじゃないぞ!」
「え、ええ…(ハゲとまでは言ってないじゃない…?)」
「長門…もう、懲りないな…。ねえ陽炎、悪いけど長門を医務室まで運んでおいてくれないかな?別にこのままでもいいんだけど、流石にかわいそうだから・・・。それに、お昼になったらまたこっちにもどってきてくれればいいから」
「わかったわ。それじゃ、お昼になったら那珂ちゃんたちにも行くように伝えておくわね(で、あの人いったい誰なのかしら?)」
陽炎が部屋から退出し、作戦司令室にはベジータ、提督、天津風が残された。
「それじゃ、ベジータさん」
先ほどとは打って変わった真剣な表情で彼はベジータを見る。
「やっとか…。随分と待たせてくれやがって…」
「俺はこの地球について知らないことが多すぎる。どうにもこのままじゃあ上手くやっていけそうにもない……。色々と説明してもらうぞ」
「そうだね、何から話せばいいかな…?」
うーん、と頭をひねらせる提督。先ほどの真剣な表情はどこへいったのか、若干困った様子で思案している。
「えっと……」
そこで、見かねた天津風が、
「私たちの敵についてでいいんじゃない?地球を救いに来たとか言ってるなら、奴らのことを教えておくのが一番いいと思うのよね。こんな傲慢な人が、本当に味方してくれるのか知らないけど」
「流石にそれは言い過ぎだよ。ベジータさんはずっと前に私のことを助けてくれたんだよ?」
「えへへ…かっこよかったなぁ……。はっ?!今はそんなこと言ってる場合じゃない!」
「どうでもいいから早くしろ。この建物がどうなっても知らんぞっ」
「そうよ提督、あなたがしっかりしてくれないと、私たちが安心して戦えないのよ?(今この人、少し照れたわね)」
「えへへ、ごめんね」
「気を取り直していきましょう。ではベジータさん、早速ですが、私たち人類には、敵が存在します」
「深海棲艦と呼ばれる奴らだろう。今朝も少し聞いたぞ」
「そう、奴らは海の底からやってきた……」
恐らくこのネタを知っている人は少ないであろう。提督はほんの少し得意げに話を進めた。
「見た目は人型から、金属の塊のような形をしたものまで様々です。一部には、人語を話す奴らも発見されています」
「ある時から奴らは人間を襲うようになり、その様子は人間を憎んでいるようにも見えました。また、船舶に対しても異常な敵対心を持っているようでした」
「ここ数年で襲われ、沈んでいった船の数は400を超えています。そのため、航海を行うときには艦娘や、海上自衛隊の護衛、または船舶の武装化が求められています。」
「さて、ここまでは奴ら『深海棲艦』の一般認識についてですが…」
「ほう…」
提督は急に悲しみを湛えたように、俯いて言葉を繋いだ。まるでこれから話すことが忌み嫌われていることのように。
「ここからは、日本政府が隠す、隣国の中国はおろか、アメリカ国防省すら知らない真実です」
「奴ら…いえ、『彼女たち』は、政府によって非人道的扱いを受け、改造を施されました」
「しかし、その計画で完成した改造人間は0人、みんな気が狂ってしまい、失敗作の烙印を押されてしまいました」
「彼女たちはその後昏睡状態にさせられ、海の底へと沈められたのです…」
「今の人間は随分と命を粗末にするようだな」
「ベジータさん、多分、今の話から分かっていただけるとは思いますが……」
―――奴らは、もとは私たちと同じ、人間だったんです―――
「あり?オラの出番、最初しかねえんか?」
少し遅くなってしまいました。申し訳ないです。
次回は恐らく初戦闘になるんじゃないかなと思っております。