2話くらいに次回は戦闘がありますとか言いましたが、申し訳ありません。まだでした
『艦娘の社会的生活における奉仕活動に関する規定および人権の基本法』
『第1条 艦娘とは各自治体、市町村の保健所またはそれに準ずる国の定めた特定機関で行われる艦娘適性検査において、陽性反応を獲得し、希望した者が、適性訓練課程を修了したすべての女性のことを指す。』
『第2条 艦娘の人権は日本国民と同様のものと定義する。それ故に、艦娘の人権が損なわれることがあってはならない。また、艦娘は艤装と呼ばれる後述の装備を所持するが、悪用することは禁止される。艦娘の実力を用いて諸外国への宣戦布告もあってはならない』
『第3条 艦娘は自身が艦娘であることを示すために、適性を得た軍艦の名に改名しなければならない。原則的に改名を拒否することは不可能であるが、国の定める一定の基準を満たせばこの限りではない。また、艦娘には個人による差はあるがおよその就役年数が確認されている。その期間を終えた場合、姓名を戻すことも可能である』
以下、この法律は14条まで続いている……
ベジータは今、鎮守府の資料室にいる。どうやら艦娘について調べているらしい。
「長いな……ホーリツというのはいったいいくつあるんだ?3行くらいでまとめられんのか?」
文句をたらしつつも、ベジータはかき集めた資料に目を通していく。今まで戦闘ばかりしていた彼には、じっくりと本や文献を読むことはあまりにも酷な作業のようだ。
「いちいち文が長い!しかもなんで3つも別のホーリツがあるんだ!1つにまとめて艦娘法とかにでもしやがれ!!」
「しかもこのジショとかいう本も使いづらい、何より文字が小さくて読みづらい!!わざわざ言葉に対して長ったらしい説明なんぞせんでもいい!」
あろうことか、辞書にまで当たり始めた。自分が悪いのではないと考える悪い癖は、人生をやり直しても治らないようである。あるいは、青年期からこのようであったのだろうか。
ベジータが悶絶していると、資料の隙間から紙の束が滑り落ち、ぱさりと紙が落ちる音がした。
「なんだ、まだ紙が挟まっていやがったか」ヒョイ
若干機嫌が悪くなったものの、ベジータは落ち着きを取り戻して、紙を拾い上げた。表紙には小さく『機密』とだけ書かれている。
「機密?なんだ、見られたら不味いものでも書いてあるのか…?」
押すな、と言われたら押したくなるのと同じように、このようにわざわざ『機密』とまで書かれていたら、見てみたくなるのが人の性。ベジータはつい表紙をめくってしまった。
「『恐るべき娘たち計画成否表』……?」
表紙をめくるとそこにはある一覧で紙が埋め尽くされていた。
「なんだこれは……?不適合としか書かれていないじゃないか…。そうか、たしか前に提督が改造人間がどうこう言っていやがったな…」
彼は特に関心を持っていなかったものの、人造人間というものを知っていたため、恐らくそれに劣らぬ戦闘力を秘めているのではないか、と一応記憶の隅には残っていたようである。
「もしそうだとしたら、ここに載っている奴らは皆海に沈められたってことか……。ん?二人だけ適合と書いてあるな。……読めん。こんな蛇が這ったような字で書きやがって…読める字で書きやがれ!」
ただ単に英語で書いてあるだけだったのだが、ベジータにはまだ英語は読めないようだった。
そうこうしているうちに、資料室のドアが開いた。気を探れるはずだが、周りへの注意がおろそかになっていたため、ベジータはほんの少し焦りを感じた。『機密』とまで書かれている書類を読んでいるのが知られたら、天津風あたりから小言が飛んでくると考えたようだ。
「私よ。どうしたの?こんなところで。いつもなら外で空ばっかり眺めていたのに」
あろうことか、入ってきたのは天津風だった。ベジータはとっさに書類を資料の間に忍び込ませたため、読んでいた物の種類まではばれてはいないようだった。
「な、天津風…」
今朝、学校という所に行ってきたんじゃなかったのか、とは言葉にならなかった。しかし、彼女はすぐにそれを察したようで、
「あ、もしかして私がまだ学校にいると思ってたの?あいにく、今日は早帰りなのよね。午前中で授業はおしまいなの。変なのに絡まれて少し遅くなったけれど」
「そうだったか……。変なのに絡まれた、というのはどうした?大丈夫だったのか」
前の人生ではあるが、ベジータには一人の娘がいた。特に血縁関係があるわけではないが、やはり年頃の女の子が絡まれたとあっては、少しは心配なのだろう。
「まあ、艦娘って私みたいにかわいい子とか、長門さんみたいにきれいな人とか多いから、よくナンパの標的にされるっていうか……それに、長門さんもあんな人だけど、学校だと真面目らしいから、男子から特に人気があるらしいわ。……なによ、心配してくれてるのかしら?」
「ふん、最近のガキは随分ませてやがるな……。まあ、年頃の女が何かあったとなれば心配はするだろうな。それに知り合っている奴ならなおさらだ」
「なっ……そんな正直に言わなくても……!というか、私が自分でかわいいって言ってるところに何か突っ込むとかないの?!」
そのことについて何か言われるだろうと予想していたが、ベジータの今の返事は予想外だったらしく、顔を赤くして声を荒げた。
「今のは突っ込むところだったのか……。だがお前がかわいくないとは思わんぞ。俺は素直に可愛らしいとは思うが」
何の恥ずかしげもなくそう言い張るベジータの言葉は、まだ肉体的にも精神的にも幼い彼女のハートには大ダメージだった。
「か、かっかわっ、かかかかかかわっ」ぷしゅう
頭からやかんのように湯気をだし、壊れた機械のように「か」と「わ」を繰り返す天津風。ベジータはしばらく彼女をじっと見ていたが、いつまでも戻ってくる気配がなかったので、しびれを切らしたベジータは彼女を小突いた。
「戻ってこい、いつまでショートしてやがる。そもそもなんでここまで来たんだ、その様子だと俺を探していたんじゃないのか」
「かわいいなんて面と向かって言われたことないのよもうっ!!恥ずかしいじゃない!!」
「ばかっ!そうじゃなくて!!提督が呼んでるのよ!!あなたを!!」
若干理不尽にベジータに怒りをぶつける天津風。もともと声の高い彼女だが、少し声が上ずっているため、ベジータには少々聞き苦しい声だった。
あまりにも耳障りだったため、ベジータは部屋を出ていこうとしたが、天津風がそれをさせなかった。
「ちょっと!どこ行くつもりよ!?」
そそくさと部屋を出ていこうとするベジータの姿は、きっと彼女の眼には逃げているように見えたのだろう。少しだけ怒気のこもった声で呼び止めた。するとベジータはいら立ちを見せながらも立ち止まった。
「執務室にいるんじゃないのか、とっとと用事を済ませに行くぞ」
「そう言って逃げるつもりじゃないのかしら?言っとくけれど、提督は執務室にはいないわ」
「チッ……それならさっさと場所を教えろ。俺はあまり時間を無駄にはできん」
ベジータにとっては急かしているだけなのだが、なぜか天津風は顔を真っ赤にして俯いていた。どうやら彼の顔が近づいてきているのが恥ずかしいようだ。
「あ、あなたがどこかへ行かないように……」ボソッ
「わ、私が一緒に行ってあげるっ!!」
その後提督に見つかってあらぬ誤解を受けたのであった。
今月の初めにヘルニアにかかっていたことがわかりました。座ってコンピュータを操作するのがつらいです。
次回は戦闘シーン書けたらいいなと思っております。