魔法少女リリカルなのはstrikers 蒼炎の剣士   作:京勇樹

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進捗状況

「また世話になるな、アースラ……よろしくな」

 

はやてはそう言いながら、艦長席を優しく撫でた

退役が決まるまでの間、偉大なる先達達

クライド・ハラオウン

リンディ・ハラオウン

クロノ・ハラオウン

ハラオウン家が運用してきた、思い出のある艦

それが、アースラだ

その艦長席に座るというのは、はやてからしたら畏れ多いことだ

しかし、今は躊躇っている時ではない

今時空管理局は、有史以来の危機に瀕している

地上本部は、その機能の大半が機能停止状態

戦力も、過半数が負傷し動けない

しかも、何人かの将官は姿を消した

状況からして、逃げたのだろう

管理局とは言っても、一枚岩ではない

勢力争いが起き、それに負けた者は失墜する

いくら良い人でも、負けたらそこまで

ある意味、明久がそれだろう

過去に明久は、なのはを助けた

だがそれは、幾人かの将官達によって書き換えられてしまった

明久が命令違反をしたと

そして将官の中には、就職難から慢性的人材不足だった管理局に就き、ずる賢く生き残り、邪魔になる者達を始末して将官になった者達も多数居た

逃げたのは、まさしくその将官達だった

その者達は、後で始末を付けるとして、今は目の前に起きかけている事態への対処だ

スカリエッティ一味により、管理局は危機に瀕している

それに立ち向かえるのは、極僅か

 

「私達が、やるしかないんや……!」

 

六課の隊員達は、動けるようになった者達から続々と合流してきている

まだ戻ってきていないのは、戦闘機人としての調整とデバイスの修理が残っているスバル

そして、未だに意識が戻っていないヴァイス

ヴァイスは六課が襲撃された折に、内部に侵入してきたガジェットの迎撃に出ていた

だがその途中で、一人の少女

ルーテシアと遭遇

そのルーテシアからの魔力弾の直撃と、瓦礫に押し潰されて重傷を負ったのだ

今は、念のためにザフィーラが着いている

 

「さて、合流した各員の調子はどうやろうか」

 

はやてはそう言って、通信ウインドウを開いた

下部格納庫では、ヴァイスの意思を引き継ぐように、アルト・クラエッタがヘリの整備をしていた

実は彼女は機械の整備が得意で、日頃からヴァイスのヘリの整備を手伝っていた

だから、ヘリの整備や修理方法は熟知している

その彼女だが、実はヘリパイロットの資格も取得している

だから、意識が戻っていないヴァイスの替わりに、六課フォワード陣を送り届けると意気込んでいる

それを見たはやては、声を掛けることもなく通信ウインドウを別の場所に開いた

次に映ったのは、医務室だった

医務室では、シャマルが筆頭となって、一度撤去された医療機器の再セッティングをしている

やはり、曾て乗っていただけあり、かなり順調そうだった

 

「後は、なのはちゃんやけど……」

 

通信ウインドウを閉じながら、はやてはそう呟いた

なのはだが、ヴィヴィオの誘拐と明久の行方不明が重なり、かなり精神的に来ていた様子だった

だが、大丈夫だと信じている

 

「正確には、信じるしかない……んやけどな」

 

はやてはそう言いながら、艦橋から去ったのだった


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