アイドル研究部に顧問を付けてみた。   作:スパイラル大沼

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オープンキャンパス

 

そんなこんなで、オープンキャンパス当日。今日は、俺の役割は特にない。だから、職員室でえろ本を読んでる時だ。

 

「唐沢先生」

 

理事長の声だ。

 

「なんすか?」

 

「実は、今日のオープンキャンパスで司会をやるはずだった田中先生が風邪で休んでしまったの。だから、代わりをお願い出来ますか?」

 

「やだですよ」

 

「即答ですか」

 

理事長はたじろぐ。

 

「いやほんとに。アイドル研究部共のステージ作りやら衣装作る時の業者さんとの打ち合わせやらで疲れてるんですよ。それ以前に何言えばいいかわかんねーし」

 

「大丈夫です。生徒会もカバーに入りますから」

 

「なおさら嫌ですわ。生徒会って絢瀬とか東條でしたよね?」

 

あれから、μ'sには東條と絢瀬も入り、活動はさらに活発になった。俺はといえば、その間、ずーっと裏方作業。お陰でジャンプを発売日に買えなかったりもした。

 

「うーん……それなら分かりました。別の先生にします」

 

「そーしてください」

 

「臨時ボーナスだそうと思っていたのに……」

 

「是非やりましょう」

 

 

 

 

そんなわけで、俺は体育館でオープンキャンパスの司会をやることになった。

 

「じゃあ先生。そろそろお時間ですのでお願いします」

 

絢瀬に言われた。

 

「わーってるよ」

 

「真面目にやってくださいね」

 

「わーってるよ」

 

「本当に分かってるのかしら……」

 

そんな声が聞こえたが、俺は無視してステージに出た。人数は少なくはないが、やはり他校に比べて多くはなかった。それに、どいつもこいつもケイタイいじってたりで舐め腐っている。ここは一発カマすか。

 

「オイッスッ‼︎」

 

片手を上げて言った。ステージの脇でドテッとコケる音がしたが気にしない。すると、中学生達は、散文的に「お、おいっす……」と返してきた。

 

「はい、声が小せぇな……。もう一発、オイッスッ‼︎」

 

『オイッスゥゥゥッッ‼︎‼︎』

 

「静かにしろ」

 

すると、若干ながら中学生達はこっちに意識し始めた。よしっ、掴みはOK。ステージ脇からゴゴゴゴッと嫌なオーラを感じるが気にしない。

 

「えーっと、今日は廃校寸前の音乃木坂のオープンキャンパスに来てくれてありがとうございまーす。司会を勤めさせていただく、唐沢です。現代文教師で、好きなものはジャンプです。あ、そーだ。お前ら、ジャンプ読んでる?」

 

すると、中学生どもは「読んでる読んでる」みたいに、頷いたり、お調子者は「読んでまーす!」と、大声で答えてくれた。

 

「あれおもしれーよな。特にワールドトリガーとか……あ、あとナルト復活したじゃん?まぁ、短期間らしいけど。あれ俺期待してんだよね。まぁそんな、全国の少年少女の心を掴んでるジャンプなわけだが、俺の授業中は聞かねー奴は減点するけどジャンプ読んでる奴だけは許すから、その辺よろしく」

 

すると、クスクスと笑い声が聞こえてくる。完全に注目したな。ここからだ。

 

「まぁ、そんなことはさておき、今日のオープンキャンパスは基本的に自由に見て回れるから、気に入ったなら入部希望でもなんでもしてくれ。あと、わかんねーことあったらスタッフって書いてある腕章付けてる奴に聞けば教えてくれるから。そんだけ。終わり」

 

拍手が送られた。

 

「っと、最後に一つ。今日グラウンドでμ'sのライブあるらしいから、気になるやつは見にこいよ。じゃ、次は生徒会長の挨拶」

 

言うと、絢瀬が壇上に出てくる。そして、誰にも聞こえないように俺に耳打ちした。

 

「後で覚えていてください」

 

………いいじゃん。みんな興味持ったじゃん。

 

 

 

 

で、グラウンド。ようやくあいつらのライブ。もう5分前というの間あるが、結構な人数が集まっていた。ライブ会場に、俺が徹夜で用意したベンチを30個ほど。我ながらいい会場になったと思うね。そんな事を考えながら、俺はぼんやりと空を眺めていた。

 

「先生!」

 

声をかけられた。

 

「おう。亜里沙。お前も来てたの?」

 

「はい。お姉ちゃんもライブに出るというので」

 

「ふーん……」

 

テキトーに返事しながら俺は欠伸をした。しかし、随分変わったねー絢瀬姉も。

 

「ねぇ、亜里沙ちゃん。この人は?」

 

隣に立っていた茶髪が亜里沙に聞く。

 

「この人だよ。この前言ってたμ'sの顧問さん」

 

「ちょっとあんま言わないでくんない?俺が作ったと思われるから」

 

「あっ!そうなの⁉︎………っと、姉がいつもお世話になっております。高坂穂乃果の妹、雪穂です」

 

ペコリと礼儀正しくお辞儀する雪穂さん。って、妹?

 

「は?お前、高坂の妹?」

 

「は、はい。いつも姉から話を聞いています。いつもジャンプとえろ本ばかり読んでる癖に、やる時はやってくれるヒトだって」

 

「あの野郎……評定1にしてやる……」

 

仄かな憎しみを燃やしてると、また「先生」と亜里沙に呼ばれた。

 

「ありがとうございます」

 

「何が」

 

「お姉ちゃんの事です」

 

「別にお礼言われるようなことじゃねーよ。教師なら当然なんじゃねーの」

 

「そうかもですね。でも、ありがとうございます」

 

すると、ステージに電気が付いた。それに反応して、雪穂と亜里沙もステージを見た。

 

『中学生の皆さん、オイッス!』

 

穂乃果が言うと、中坊どもは「オイッスー!」と、挨拶する。

 

「おい、なんであいつまでアレやってんだよ。この学校の校風だと思われたらどうすんの?」

 

「えっ?先生違ったんですか?」

 

亜里沙が曇りなき眼で聞いてきた。

 

「なわけねーだろ。ここは8時だヨ!全員集合学園かよ」

 

「日本にはそんな学園があるんですか⁉︎」

 

「あるわけねーだろ。例えだよ」

 

………こいつ、やりずれぇーな。さすがは帰国子女。なんて話してる間にも高坂の挨拶は進む。

 

『私達は、音乃木坂学園のスクールアイドル、μ'sです!私達はこの音乃木坂学園が大好きです!この学校だから、このメンバーと出会い、この9人……いえ、10人が揃ったんだと思います!』

 

は?10人?と、思ったら、高坂は真っ直ぐ指を指す。ていうか俺に向かって。つられて、観客はこっちをみた。

 

『残りの1人は、顧問の唐沢先生です!』

 

「……………は?」

 

な、何を言いだすんだこいつ……。俺の反応を無視して、周りの生徒達は「え?さっき間抜けな司会やってた人⁉︎」「あとで話聞きに行かなきゃ!」なんて声が聞こえる。が、俺の気も知らずに高坂は続けた。

 

『唐沢先生、本当にありがとうございます!』

 

その後に続いて、残りの8人が『ありがとうございます!』とこ

 

『この曲は、私達が10人になって初めて出来た曲です!私達のスタートの曲です!』

 

で、高坂は一歩下がって、9人声を揃えて言った。

 

『聞いてください!』

 

そのままライブが始まった。

 

 

 

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