「で、この後どーすんの?」
俺が聞くと、園田が口を開いた。
「練習です。ラブライブまで時間がないんですから」
「えー。花火がしたいにゃー」
文句を言う凛。
「だめです。昼間あんなに遊んでしまったのですから」
「でも、そんな空気じゃないっていうか……特に、穂乃果ちゃんはもう……」
チラッとソファーを見る南。ソファーでは、高坂が完全にリラックスモードだった。
「雪穂ーお茶まだー?」
「おい、ここはてめーの家じゃねーぞ」
すると、ガタッとシャンクスが立ち上がった。
「じゃ、私は寝るわね」
「えー、真姫ちゃんも一緒にやろうよー花火」
「いえ、練習があります」
「本気……?」
「そうにゃー、今日はみんなで花火やろう?」
「そういうわけにはいきません」
などと、やりとりはしばらく平行線を辿った。すると、凜が聞いてきた。
「先生はどう思う?」
「あーそうだな。野球拳とかどうだ?」
「先生?」
絢瀬が笑顔でフォークを構えた。
「冗談です。すいませんでした……」
「真面目に考えてください。こういうのも顧問の仕事でしょう?」
言われて俺は少し考える。
「あー…じゃあ今日はもう風呂入って寝ろよ。明日ガッツリ練習すればいいだろ」
「し、しかし……」
こういう時にたいてい文句を言うのは園田だ。
「やる気ねぇときにやらせても無駄だろ」
「それは、そうですが……」
「じゃ、洗い物とか俺がやっとくから、全員入ってこい」
「そ、それは申し訳ないです!一人で洗い物させるなんて……」
「そ、そうですよ!先生にやらせるわけには……」
絢瀬も立ち上がって言った。
「バッカお前、ダンス素人の俺に出来ることって言ったらこれくらいだろ。邪魔だからさっさと体のついでに心も洗っとけ」
「いや、先生にだけは言われたくないです」
ジト目で絢瀬に睨まれた時だ。いつの間にか覚醒した高坂と、凜が立ち上がった。
「じゃあ私いっちばーん!」
「ずるーい!凜もー!」
「こ、こら!二人ともー!」
園田が手を伸ばしかけるが、その前に小泉、矢澤、南と続き、東篠がシャンクスを引っ張って続いた。で、園田も「仕方ないですね……」っと、後を追っかけた。残ったのは絢瀬一人。てか何で残ってんのこいつ。
「おめーも行けよ」
「いえ、私は……」
「えっ、なに。もしかして風呂とか入らない人?汚っ」
「もうっ!行ってきます!」
そのまま怒って、風呂に向かった。
*
洗物が終わり、俺は足音を忍ばせた。ここの風呂に露天風呂があるのは調査済みだ。何してんのって?決まってんだろ。覗きだよ。このために洗物なんて面倒な役を引き受けたんだから。ナルト顔負けの動きで気配を消し、俺は割り出してあるピーピングポイントへ向かう。竹と竹の間にジャックナイフをぶっ刺して隙間を作っておいた。後は念のためばれない様に貼っておいたシールを剥がせば俺の勝ちだ。
「……」
到着。シールを剥がしてそこから覗いた。……まだ誰も来てねぇな。仕方ない、ゲームでもやりながら待つか。そう思って後ろに下がった時だ。誰かとぶつかった。
「あ、すいませ」
……絢瀬と東篠が立っていた。
「」
「おかしいと思ったのよ。先生が自分から洗物やるなんて言い出すなんて」
「うちの言った通りやろ?」
「さて、覚悟はできていますね?」
死んだわ。
*
ボッコボコになった体を引きずって俺は自分の部屋に戻った。あいつらは下で雑魚寝、俺は一人で三つのベッドを使う。なにこの優越感。さて、エロ動画でも見るか。
*
下。電気を消し、九人は布団に潜る。
「ねぇ、ことりちゃん」
「ん?どうしたの穂乃果ちゃん」
「なんだか眠れなっくて。えへへ」
「そうやって話してたら、もっと眠れないわよ」
絵里が口を挟んだ。
「うっ、ご、ごめんなさい」
「海未を見なさい。もう眠ってるわ」
すると、起き上がって確認する穂乃果。
「おぉ~……」
「穂乃果ちゃんも、わりとよく眠れるほうだよね?」
「なんだか、もったいなくって。せっかくみんなでお泊りなのに」
「何度も言うけど、遊びに来てるわけじゃないのよ。明日はしっかり練習するんだから、早く寝なさい」
「はーい」
絵里に言われ、おとなしく布団に潜る穂乃果。だが、しばらくしてぼりぼりと音がした。
「ちょっ、何の音?」
「私じゃないです」
「凜でもないよ」
「誰か明かりつけて」
で、パッと明かりがつく。
『あぁーっ‼』
布団の中で穂乃果がお菓子を食べていた。
「なにやってるの?穂乃果ちゃん!」
「え、えーっと、何か食べたら、眠れるかなーって……」
「なにやってんのよ…ぶほっ!」
文句を言おうとしたにこに枕が当たった。
「真姫ちゃーん。なにするのー?」
希がわざとらしく言った。
「はぁ?何言って……」
だが、聞く耳持たずににこは枕を持って起き上がる。
「あんたねぇ~!」
「いくらうるさいからってそんなことしちゃダメ、よっ!」
さらに投げつける希。それが凜の顔面にクリティカル。
「なにする、にゃ!」
凜は穂乃果に投げつけた。
「んぐっ!よぉーっし!」
穂乃果が真姫に投げつけた。
「投げ返さないの?」
挑戦的に聞く希。
「あなたねぇー!」
だが、その真姫に枕が当たる。みれば、得意そうな顔で絵里が笑っていた。
「んもぅ!やってやろうじゃない!」
そのまままくら投げ大会開始!しばらく投げ合う面々、だが、悲劇は起こった。
『あっ』
一人寝ている海未に枕がクリティカルした。一瞬で動きが止まる八人。そんな中、ゆらりと立ち上がる。海未。
「……何事ですか」
その様子を見て恐れる八人。
「あっあっあっ……」
「どういうことですか?明日、早朝から練習すると言いましたよね…?」
その瞬間、ものっそい速さで枕が飛んできた。それがにこに直撃。
「にこちゃん!」
「超音速まくら…」
そして、あっという間に穂乃果と絵里がやられた。そのままゆっくりと凜と花陽に歩を進める海未。
「凜ちゃん……」
「かよちん……」
そして、海未が枕を振りかぶった時だ。ゴウッと海未にソファーが直撃した。
「ギャーギャーうるせーよおめーら」
唐沢はそう言い放つと、自分の部屋に戻っていった。
「生きてる、よね……?」
ソファーの下敷きになってる海未を見ながら、誰かが心配そうに呟いた。