文化祭当日。朝のHR。
「はい、文化祭当日になったわけだが、俺たちは何もしてないわけで。だからこれを飾ることにした」
俺は教卓にカチャッと何かを置いた。
HG1/144ズゴック
「去年と同じじゃないですか‼︎」
*
外は諸に雨が降っていた。こりゃライブ中止かなと思いながら部室に向かうと、すでに全員が集まっていた。
「おーうお前ら」
「あ、先生」
俺の右手にはたこ焼き、左手にはクレープ、そしてポケットからはパンフレットが入っていた。
「いや楽しそうですねあんたは!」
「ままま、そう怒るなよ園田。あ、たこ焼き食べる?」
「いえ、結構です!」
「あ、凛は食べるにゃー!」
「ん」
そんなことをしながらとりあえず座った。
「………高坂はどうした?」
「さぁ……まだ来てないんですよね」
答える園田。
「ふーん。まぁなんでもいいか。って、そろそろメタドラじゃん」
「なんか緊張感もへったくれもありませんね……」
呆れる小泉。
「いいんだよ。俺は関係ないしな。ていうか、ステージ作るのとか衣装の打ち合わせとか業者との打ち合わせで疲れた。少し寝かせろ」
「な、何かみんなに声掛けるとかないんですか?」
「頑張れ」
「それだけ⁉︎」
「うちは野球部じゃねぇんだよ。アドバイスが欲しければ他の部活の子になりなさい」
「他の部活の子⁉︎どういう意味ですか⁉︎」
「っと、その前にラーメン買ってくるわ」
「まだ食べるんですか⁉︎」
そのまま俺は教室を出た。
*
ライブの時間。俺は傘をさしながらぼんやりとステージを見ていた。
「先生!」
どっかで見たことある2人が寄ってきた。
「おお、亜里沙と、雪穂だったか?」
「はい。こんにちは」
「おう」
「クマがすごいですね。大丈夫ですか?」
雪穂に言われた。
「ああ。あのステージと衣装作るのに寝不足だ」
「ええっ⁉︎先生が作ってたんですか⁉︎」
「ちげーよ。業者と打ち合わせして、業者と力を合わせて、業者と作ったんだ。もうこれ俺と業者の間に絆があると見ても間違いないね」
「そうだったんですか……。お疲れ様です。あ、でもお姉ちゃんもそうなんですよ」
「あ?」
「最近は毎日夜遅くに走り込みに行っちゃって」
「………ふぅーん。昨日もか?」
「はい。大丈夫かな……」
「………………」
嫌な予感がしてきたな。と、思ってると、ライブが始まった。その様子を俺はぼんやり見守った。だが、俺の嫌な予感は的中した。一曲目が終わった時だ。真ん中の影がぶっ倒れた。
「えっ?」
「なにっ?」
隣の二人が声を漏らす。
「ちょっと見てくるわ」
俺は歩きながらステージに向かった。
「穂乃果!」
「穂乃果ちゃん!」
「おい、どうした」
「穂乃果が倒れちゃったんです!」
「うおわあ、的中」
っと、言ってる場合じゃねぇな。
「ライブは中止だ。お前らも風邪引く前に校舎入れ。客へ説明は絢瀬頼む」
「はいっ!」
高坂を肩に担ぐと、保健室に向かった。
*
数日後。俺は絢瀬やら南やらと高坂の家へ。
「本当に申し訳ありませんでした」
母親と思われる人に頭を下げる。
「俺が付いていながら」
「………もしかして、顧問の唐沢先生ですか?」
「へ?そうですけど」
「いいんですよ。どーせあの子が出来る出来るって言って勝手に背負い込んだだけなんですよね?」
「いや、俺はずっと別のことやってたんで知らないですけど、そうなの?」
最後のは絢瀬に向かって聞いた。
「ええ、少し、頑張りすぎかなって私達も思ったんですが、一生懸命な穂乃果を見てると、止められなくて」
なるほどね。
「唐沢先生、ちょっとお話ししませんか?あっ、あなた達は上で穂乃果が退屈してると思うから行ってあげて?」
そのままみんなは高坂の部屋へ行き、俺はそのお母様とお話し。
「雪穂、お店少しだけお願い」
「はーい。……あっ、先生、こんにちは」
「おう」
で、奥の部屋へ。
「どうぞ」
お茶とお菓子を出された。
「すみません。本当に」
「いえ、いいんですよ。先生は悪く……」
「あ、いえ。お菓子すいませんって意味で」
「あ、そっち。ていうか、娘に聞いた通り可笑しな人ですね」
「はぁ」
「一度、こうして話してみたいと思ってたんですよ。娘によく話を聞いてたので」
「話って、どんな?」
「テキトーだとか、ですかね?」
「あの野郎……。いやでも今回は落ち込んでるんすよ俺も。ライブの準備で練習にも全然顔出してやれませんでしたから」
「ですから、気にしないでください。元々はあの子の自業自得ですから」
「それに理事長にもスッゲー怒られたんすよ。こういう結果を招くのにラブライブ出場を許可したんじゃないって。ボーナスももらえなかったし」
「ふふふっ、やはりおかしな人ですね本当に」
「よく言われます」
話しながら俺はお菓子を一口。
「………美味いなこれ」
「ありがとうございます。それで、ラブライブの方はどうしたんですか?」
「辞退しましたよ当然」
「あの子、すっごく落ち込むでしょうね。そこで、お願いがあるのですが、」
「はい?」
「あの子を、元気付けてあげて下さい」
「俺がっすか?」
「はい。学校に復帰したからでいいですから」
「保護者監督不届きの俺がすか?」
「あなただからです。とにかく、よろしくお願いしますね」
「…………ま、やるだけやってみますわ。この饅頭、あとで10個下さい」
「ありがとうございます」
*
次の日、学校。
「はいじゃあHR始めんぞー。日直号令ー」
「………………」
「おい、日直誰だ。10秒以内に申告しないとのどちんこ雑巾絞りすんぞー」
「………あっ。はい!ごめんね先生」
高坂だった。まだショック受けてんのかあのバカ。
「きりーつ」
「あーいや待て待て。今日から号令は『STAND UP TO THE VICTORY』にする」
「はいっ。STAND UP」
高坂が言うと、全員立ち上がる。
「TO THE」
全員、気を付けをする。
「VICTORY〜」
全員、礼をして座った。まさか、俺の理想通りに従われるとは……。相当凹んでんなあのアホ。
「えーっと、特に連絡事項ないんでこれで終わるぞ。あと高坂、お前昼休みに屋上に来い」
「えっ?」
「来なかったら脳天にアルパカのうんこダンクシュートすっから」
「わ、分かりました」
さて、何て言おうか考えないとな。
*
昼休み。屋上。
「先生ー!呼び出しといて遅刻なんてひどいよー」
「悪い悪い。飯食ってたから」
「き、急な用事とかじゃないんだ……。まぁいいや。何の用?」
「あーいや何。偉く落ち込んでるみてぇだったから」
「そんな事ないよ。ただ、あとちょっとだったのに、残念だったなぁって……」
「それを人は落ち込んでるっていうんだよ。………ま、一言で言わせてもらえば今回はお前が悪い」
「えっ……」
「雪穂から聞いたぞ。お前、前日に走りに行ってたんだってな。いや、前日だけじゃない。その前も、ずっと」
「…………うんっ」
「まぁ、俺も準備やら何やらが忙しかったからとはいえ、お前の体調に気付いてやれなかったからな。そういう意味ではお前だけが悪いわけじゃないんだが……。普通、明日本番って時に走りに行ったりするか?バカなの?死ぬの?」
「………ごめんなさい」
「謝んなくていいよ。絢瀬達は気にしちゃいないだろうし、責めることもないだろうしな。ただ、キチンと反省しろよ」
「うんっ」
「で、キチンと反省した上で、だ。お前、このスクールアイドルとしての活動は楽しかったか?」
「うん。それは楽しかったよ。みんなでビデオ撮ったり、秋葉でライブしたり、合宿したり」
「なら、それでいいだろ。元々お前らの目的は学校の存続だ。その目標を達成した上で楽しめたんだからそれ以上に何を望むんだよ。みんな、満足とまではいかなかっただろうが、充実してたし、そもそも誰のおかげで楽しめたと思ってんだ?」
「あっ………」
「そう、お前……」
「海未ちゃんにノート返してない」
「お前話聞いてた?」
「あ、うん。聞いてたよ」
「とにかく、お前のおかげで学校救えてみんな楽しめたんなら、1個くらいお前のせいでオジャンにしても誰も文句は言わねーよ、そんだけだ」
「………そうだよね。うん。そうだっ。ありがと、先生!」
そのまま高坂は屋上を出てった。ま、これで一件落着かな。だといいな。
「あっ、またジャンプ買いそびれた」
コンビニ行こっ。