アイドル研究部に顧問を付けてみた。   作:スパイラル大沼

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リーダー

 

 

 

 

「た、助けて……」

 

今、カメラの前に映ってるのは小泉。緊張してるのか笑顔が引き攣っていた。そんな小泉に凛が言った。

 

「緊張しなくても平気」

 

「で、でも……!」

 

すると、渡り廊下の方にカメラを回す。そこには西木野が映っていた。

 

「真姫ちゃんもこっち来るにゃ!」

 

「はぁ…」

 

ため息をついて無視。俺は凛からビデオを取って言った。

 

「俺に任せろ。凛」

 

「? なんで凛だけ名前呼び?」

 

「星空ってなんか言いずらいだろ」

 

言いながら俺は西木野を撮る。

 

「あそこでカッコつけて柵に寄っかかってるのが西木野真姫。呼ばれてもため息をついて無視することによって大人っぽい対応出来てると勘違いしている中学二年生に見えなくもない15歳だ」

 

「って、その失礼なナレーションなんなのよ!つか、勝手に撮らないで!」

 

顔を若干赤らめてこっちに来る西木野。まぁそんなこんなでインタビュー。1年3人を並べてカメラで撮る。

 

「まずは三人にアイドルの魅力を聞いてみたいと思います。じゃあ、小泉さんから」

 

「え、えっ⁉︎」

 

東條が聞くと少し焦る小泉だが、

 

「かよちんは昔からアイドル好きだったんだよね!」

 

「は、はい……」

 

「それで、スクールアイドルに?」

 

と、いい感じにサポートもあって進んでいるところだったが、急に吹き出す。

 

「ちょっと止めて」

 

西木野が前に出てきた。何かと思ったが、カメラを握っていた高坂が変顔していたようだ。

 

「何してんのよ」

 

「いやー緊張してるみたいだから、いい感じに緊張ほぐそうと思って」

 

「ことり先輩も!」

 

南は南で、どっかで見たことあるような間抜けなお面をかぶっていた。

 

「って、先生も張り合わなくていい!」

 

俺は俺でシャアのお面を被っていた。すると、西木野が腰に手を当てて怒った。

 

「まったく!これじゃμ'sがドンドン誤解されるわ!」

 

「おお!真姫ちゃんがμ'sの心配をしてくれた!」

 

「! わ、私は、別にそんな……」

 

ソッコーで恥じらう西木野だったが、目の前に高坂のカメラがある事に気づいた。

 

「って、撮らないで!」

 

そして、次は練習のシーン。なんだかんだ、俺は練習してるところを見たことがないので少し興味があった。で、屋上。園田が前で手を叩きながらリズムを取り、周りがそれに合わせて踊る。ちなみにカメラは俺の手の中、

 

「花陽、ちょっと遅いです」

 

「は、はい!」

 

「凛はちょっと早い!」

 

「は、はい!」

 

「にこ先輩、昨日言ったところのステップまだ間違ってますよ」

 

「わ、分かってるわよ」

 

「真姫、もっと大きく動く」

 

「はい!」

 

「穂乃果、疲れてきた?」

 

「まだまだ!」

 

「ことり、今の動き忘れずに!」

 

「うん!」

 

「ラストー!」

 

と、思っていたより本格的に練習していた。で、ようやく休憩になる。

 

「どうですか?撮れました?」

 

園田が歩いて来て、カメラを確認する。映っていたのはスカートばかりで、パンツがギリギリ見えるか見えないかの映像だった。

 

「何を撮ってるんですか!マジメにやって下さい!」

 

と、いう発言を俺は鮮やかに無視して聞いた。

 

「つーかさ、お前らなんで園田に指示されてんの?」

 

「へ?」

 

「や、だってお前練習って普通リーダーが指揮取るもんだろ?穂乃果じゃなくていいのか?」

 

「あっ」

 

 

 

 

その日の練習が終わり、俺は理事長に呼び出された。

 

「失礼しまーす」

 

「お疲れ様です。唐沢先生。どうぞ掛けて下さい」

 

な、なんの呼び出しだろ……クビか?クビなのか?思い当たる節が多すぎて……。

 

「お茶です」

 

「はぁ、すんません」

 

「どうですか?μ'sは」

 

なんだ、そういう話か。

 

「どうも何も、俺にとっちゃはた迷惑ですよ。教師を脅迫して無理矢理顧問にするわ、人にビデオ作らせといて駄目出しするわ……碌なもんじゃないですよ」

 

「そうですか。いえ、去年からあなたがこの学校に来て、うちの娘の担任になってから、少し娘が変わったんです」

 

「は?む、娘?」

 

「ええ、南ことりです」

 

「…………え?マジ?」

 

「マジです」

 

……………マジかよ。

 

「まぁ何がどう変わったとかはよく分かりませんし、良い傾向なのかもわかりませんが、私は良くなったと思います」

 

「そうすか」

 

「昨日、あなたがアイドル研究部の顧問になったって喜んでましたよ」

 

「明らかに人選ミスですけどね」

 

「ふふっ」

 

……なんか笑われたぞ。

 

「ですが、ちゃんと生徒会の方もよろしくお願いしますね」

 

あーそういう話だったのか。

 

「ま、テキトーにやっときますわ」

 

「唐沢先生。我が校は、もしかしたら廃校になるかもしれないのは、分かっていますね?」

 

「えっ、そうなん?じゃねーや。そうなんすか?」

 

「………職員会議で伝えたはずですが」

 

「すいやせん。まったく聞いてませんでした」

 

「まぁいいです。そういう意味で、生徒会も彼女達μ'sにも、ある意味では学校の未来が掛かっています」

 

「え?ちょっと待ってμ'sにそんな重い宿命あったの?」

 

「よろしくお願いしますね」

 

………なんか、プレッシャー掛けられた。

 

 

 

 

次の日、俺は部室に入った。

 

「うーっす」

 

だが、なんか会議みたいな雰囲気になっている。中央に矢澤が座り、その横の二列は向かい合うように他のメンバーが座っていた。

 

「リーダーは誰が相応しいか、大体私が部長についた時点で一度考え直すべきだったのよ」

 

矢澤がそう言う。

 

「おい、何してんのお前ら」

 

だが、無視して話は進む。

 

「リーダーねぇ……」

 

「今回の取材でハッキリしたでしょ。この子はリーダーにまるで向いてない。そうとなったら、早く決めた方がいいわね」

 

言うと矢澤は後ろのホワイトボードをひっくり返した。

 

「リーダーとは!誰よりも熱い情熱を持ち、みんなを引っ張っていけること!精神的支柱になれるほどに大きな懐を持った人間であること!そして何より!メンバーから尊敬される存在であること!」

 

なんかリーダー三カ条が出てきましたよ。

 

「この条件をすべて備えた人間となると……」

 

「海未先輩じゃない?」

 

「なんでやねーん!」

 

「いや古ぃーよその突っ込み」

 

俺は冷めた口調で口を挟んだ。

 

「あ、先生ヤッホー」

 

胸前で手を振る高坂。

 

「ヤッホーじゃねぇよ。つーか何、何してんのお前ら」

 

「今、新しいリーダー決めてる所なんです」

 

園田が答えた。

 

「はぁ?んなもん誰でもいいだろうが。ジャンケンで決めろよ」

 

「ならぁーん!」

 

急に声を上げる矢澤。

 

「唐沢陽太!」

 

「何呼び捨てでフルネームで呼んでんだコラ。つーか教師を指刺すな」

 

「あなたはリーダーの大切さが何も分かってない!アイドルグループのリーダーっていうのは、センターになれるって事なのよ⁉︎」

 

「おい、熱い情熱云々はどうした」

 

「アイドルグループのセンターっていうのは……!」

 

「晒し者」

 

「違う!」

 

「じゃ、公開処刑」

 

「だから違うって。お願いだから最後まで聞いて」

 

で、咳払いする矢澤。

 

「一番目立てるってことなの!」

 

「晒し者であってるじゃねぇか」

 

「アイドルにとって、目立つということは何よりも大事なの!」

 

「だったら街の真ん中で全裸でフラダンスでもしとけよ。目立つぞ」

 

「そんな警察と救急車にお世話になるような目立ち方じゃダメ!とにかく、リーダーは重要なの!それを選ばないと……」

 

「私は、海未ちゃんでいいと思うけどな」

 

高坂が遮って言った。

 

「い、いいのですか?リーダーの座を奪われようとしてるのですよ?」

 

「? なんで?」

 

こいつ話聞いてたのかよ。まぁなんでもいいや。

 

「いいじゃん。海未ちゃんに決定!」

 

「ええ⁉︎そ、そんな…無理ですよ……」

 

「面倒なヒト……」

 

西木野が呆れたようにもみあげを弄る。

 

「じゃあ、ことり先輩?」

 

小泉が聞いた。

 

「え?私?」

 

「副リーダーって感じだね」

 

凛がそれを一蹴する。

 

「でも、一年生でリーダーってわけにはいかないし……」

 

「仕方ないわね」

 

「いや、別に一年でリーダーでもいんじゃね?別にそいつに器量があれば年齢なんて関係ないだろ」

 

「や、でも学校の部活動ではありますし……」

 

「ここはやっぱり……穂乃果ちゃんがいいと思うけど……」

 

「仕方ないわね」

 

「私は海未先輩を説得したほうがいいと思うけど?」

 

「仕方ないわねぇ〜」

 

「と、投票がいいんじゃないかな」

 

『仕方ないわ……』

 

「うるせええっ!だぁってろクソチビ‼︎」

 

メガホンを使おうとした矢澤を黙らすと、俺は言った。

 

「だったらもう、実技で決めるしかねぇだろ。アイドルっつったら歌と踊りだろ?カラオケとゲーセンでも行って来いよ」

 

そうすれば俺は今日の部活は出なくて済む。

 

「それもそうですね」

 

「じゃあ行こっか」

 

「このメンバーでカラオケって初めてだねー」

 

何て言いながら全員は部室を後にした。さて、俺は今日は生徒会の方にも顔出しとこうかな。

 

 

 

 

生徒会室。そこでは絢瀬と東條が仕事していた。

 

「うーっす」

 

「先生。来るのが遅いです」

 

「悪い悪い。部活の方に顔出してたんだよ」

 

「部活?どこのですか?」

 

「アイドルけ……あっいや野球部」

 

「アイドル研究部⁉︎どういうつもりですか⁉︎」

 

「や、だから野球部だってば」

 

「うちの学校にソフト部はあっても野球部はありません。先生、どういうつもりなんですか?」

 

「別に脅迫されて仕方なく手を貸してるだけだよ」

 

「………」

 

「つーかお前こそ何。あそこに恨みでもあんの?親の仇なの?」

 

「そ、そういうわけではありません」

 

すると、ガタッと席を立つ絢瀬。

 

「失礼します」

 

そのまま出て行った。なんなのあいつ。

 

 

 

 

 

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