俺が職員室で小テストの丸付けをしてる時だ。
「唐沢先生」
なんかよばれた。
「なんすか?」
「一年生の小泉さんがお呼びですよ」
「あー……分かりました。すいませんねわざわざ」
で、テストをクリアファイルに入れて机の中にしまい、廊下に出た。すると、小泉がやけに焦った様子で待っている。
「………何?」
「あ、先生大変です!」
「分かった。分かったから落ち着いて。で、どうした?誰か死んだのか?」
「発想が物騒です!そんな事じゃなくて!」
そんなこと?死人が出るのってそんな事なんだ。
「ラブライブが開催されます!」
「っ⁉︎ なんっ……だと……⁉︎」
俺は衝撃の事実に腰から崩れそうになったが、なんとか堪え、踏ん張る。
「で、それ何?」
「知らないんですかあっ⁉︎」
と、今度は小泉が腰から崩れそうになる。いや知らないでしょ。なんだよそれ。
「と、とにかく部室に来てください!話はそれからです!」
「いやまだ小テストの採点中なんだけど……」
「後にしてください!」
あれ、おかしいな。こいつ、こんな子だったっけ。
*
「スクールアイドルの甲子園。それがラブライブです」
部室で小泉がパソコンを弄り、それを囲む俺とμ'sの皆さま。
「エントリーしたアイドルグループの中から、上位20チームが出場、No.1を決める大会です!噂には聞いてましたけど、すぐに始まるなんて!」
「へぇ〜」
「スクールアイドルは全国的にも人気ですし」
「盛り上がること間違いなしにゃー!」
「今のアイドルランキングから上位20組なら、1位のアライズは確定として……まさに夢のイベント……チケット発売日はいつでしょうかぁ……初日特典は……」
え、なに言ってんのこいつ?
「え、何?つーかお前見にいく気?」
その瞬間、俺の胸ぐらを掴む小泉。
「当たり前ですよ!これは一大イベントですよ⁉︎見逃せません……」
「や、だから……つーかお前本当に小泉?キャラ違くない?」
「とにかく!行くならみんなで見に行きましょうよ!」
「や、だからお前らが見に行ったら誰がμ's枠で出んだよ」
「「「えっ?」」」
全員が間抜けな声を上げる。
「あ、それ私も。てっきりみんなで頑張ろうって話かと思ってたんだけど……」
「ひゃああぁぁぁっっ‼︎わ、私達が出場なんて、恐れ多いですぅ!」
「何それ。アイドル憐みの例?つーか、お前ら学園維持のためにスクールアイドルやってんだろ?だったらお前、こういう大会でせめて予選突破するだけでも何かしら変わるんじゃねーの?」
そう言うと、全員が考えるような仕草を取る。やがて、南が口を開いた。
「そうだよね。スクールアイドルやってるんだもん。目指してみるのも悪くないよね?」
「ていうか、目指さないとダメだよね?」
それに高坂が突っ込む。
「ちなみにお前ら、今何位くらいなん?」
「えーっと、確か……」
と、園田がパソコンを確認する。
「! 順位が上がってます!」
「嘘!」
「どれどれ?」
と、西木野、凛とパソコンの周りに再び集まる。
「うわあ〜、もしかして凛達人気者?」
「そのせいね。最近、出待ちされてるのよ」
「嘘ぉ⁉︎出待ちぃ⁉︎」
「私されたことないよ⁉︎」
「そういう事もあるよな。アイドルってのは、残酷な格差社会でもあるんだからよ」
俺が言うと、園田が立ち上がっていった。
「とにかく、出るならもっと練習しなくてはいけませんね。みんな、そろそろ練習しましょう。先生も、客観的な意見が聞きたいので来てくれますか?」
「いいけど……つーか俺まだ小テストの採点が……」
「よぉーし、じゃあ練習しよう!」
高坂が言うと、全員が手を突き上げる。
「あの、だから採点が……」
こりゃ自宅で採点コースかな。