アイドル研究部に顧問を付けてみた。   作:スパイラル大沼

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テスト

 

 

 

採点が終わり、俺は休憩に部室に向かった。

 

「うーっす、勉強やってるか……」

 

「まことに申し訳ありません」

 

「ません」

 

中では高坂と凛が何故か謝っていた。

 

「あら、先生」

 

その謝罪を無視して園田はこっちを見る。

 

「おう。何してんのお前ら」

 

「い、いえ。テストの件で……」

 

と、そこで思い出したように「あっ」と声を漏らす園田。

 

「先生」

 

「あー?」

 

「その、ラブライブの事、本当にありがとうございます」

 

「はぁ?……ああ、あれね」

 

「あ、私もありがとうございます!」

 

続いて高坂も頭を下げる。

 

「いやいやいや、顧問なら当然の事をしただけだから。だからお前ら、来週のジャンプ奢れよ」

 

「当然の事ではないのですね……」

 

頭痛を堪えるようにコメカミを抑える園田。

 

「いいだろ別に。250円を9人で割った所で精々30円弱だろうが」

 

「それは、そうなのですが……」

 

「ま、そんな事はいいから勉強しろよ」

 

そう言うと、ガバッとこっちを見る凛。

 

「そうだ!先生、担当教科何ー?」

 

「現代国語」

 

「あぁそう……なんでもないよ……」

 

ソッコーでヘコむ凛。

 

「なに、何事?赤点くらいお前ら突破出来んだろ?」

 

「それが、そうもいかないのです。穂乃果は数学、凛は英語が苦手のようでして……」

 

「はぁ?お前数学なんて公式に当てはめるだけだろうが。英語にいたってはただの言語だぞお前」

 

「そ、そんなこと分かってるよ!」

 

高坂がムッとなって反論する。

 

「てか今の範囲、数学って何やってんの?」

 

「び、微分……」

 

「あんなん算数じゃねぇか」

 

「穂乃果は小学生の頃から算数が苦手でして……」

 

「お前本物のバカか。算数に至ってはただの作業だからね。小学生だってできるレベルだからねうん」

 

俺が腕を組みながらうんうん頷いてると、悔しそうにう〜っと唸る高坂。すると、凛がこっちを見た。

 

「そこまで言うなら、先生は相当出来るんだよね?」

 

「えっ」

 

「そ、そうだよ!なら先生に教えてもらおうかな!」

 

便乗する高坂。

 

「い、いやいやいや。何言ってんの君タチ。俺はほら、文系だから。高校数学なんて覚えてないから」

 

「でも英語はただの言葉なんでしょ?」

 

「バッカお前文化が違ぇんだよ!」

 

「言ってることめちゃくちゃだにゃ!」

 

「そ、そうだよ!先生顧問でしょ⁉︎部員の学力の面倒くらい見てよ!」

 

その高坂の声に「そ、そうですよ!」「そうだにゃ!」と続くアホ共。

 

「……るせーな。お前ら仮にも受験したてと来年受験と受験生だろうが。赤点以上くらい自力で取れや」

 

すると、急に全員がジト目になる。

 

「て、テメェらなんだその目は」

 

「勝手にそんな約束してきた癖に」

 

「数学なんて楽勝とか言ってた癖に」

 

「てか、そもそも高校の教師の癖に」

 

凛、高坂、西木野と文句を言う。つーか最後、お前ニュアンス的に楽しんでんだろ。

 

「チッ、るせーな。わーったよ。それなりに対策してやるから。今日は自分で勉強しろ。いいな?」

 

「さっすが先生!」

 

けっ、調子のいいヤツめ。

 

「その代わり、赤点取らなかったら今月分のジャンプ四冊奢れよ」

 

 

 

 

2年の3限目。俺はウンコしていたため、6分ほど遅れて教室に入った。

 

「はい、現国授業始めんぞ〜。日直ごーれー」

 

すると、園田が号令をかける。つーかお前が日直かよ。

 

「あ、はい。起立、気を付け、礼」

 

で、「よろしくお願いしま〜す」と声が合わさる。

 

「はい、じゃあ今日はこの前の360ページの続きからやんぞ」

 

「先生、この前の続きは36ページです」

 

「じゃ、36ページ開けー」

 

いつも通りに始まる授業。黒板に文字が記されていく。

 

『次の数式を解け』

 

「せんせー。教科間違ってまーす」

 

声が上がった。

 

「何言ってやがんだ。お前らが数学苦手だろうと思ってわざわざ俺も苦手な数学に変えてやったんだろうが」

 

「そしたら現代文どうするんですか」

 

「現代文なんてお前、勉強しなくても取れんだろ。問題に答えが書いてあんだからよ。いいから数式解けってんだよ」

 

身勝手に記されていく文字。

 

『1+1=』

 

「いや本当に算数やるんですか⁉︎」

 

「はい、園田さんうるさいです。代わりに答えなさい」

 

「ええ⁉︎そ、それは……2で……」

 

「いいのか?2だけで」

 

「えっ」

 

「仮に2が正解だとして、答えが2だけということはない。世の中の問題には複数答えがあることもあるんだよ」

 

「や、でもこれは……」

 

「本当に2でいいんだな?小学生でもわかる答えが他にあるんじゃないのか?」

 

「うっ……」

 

「みんなそれを待ってるんだよ。早く答えろ」

 

すると、高校生になってまでこんな解答するのが恥ずかしいのか、顔を赤くしながら答えた。

 

「うう……た、田んぼの『田』……?」

 

その瞬間、ヴッヴ〜ッ‼︎と、電子音が鳴り響いた。俺の手元には×が書かれたボタンを押すと電子音が流れるあの棒が握られている。

 

「何、ふざけてるの?」

 

「そんな物持ってきてるあなたに言われたくありません‼︎」

 

「はい、今の0点の答えから分かるようにハズレです。正解は2、ただ一つです。それ以上でもそれ以下でもありません」

 

「結局合ってるんじゃないですか!」

 

「まぁ、情報の授業や大学の講義ではその他の答えが場合もありますが、基本的には、『2』、です」

 

あえて『2』を強調して言った。すると、顔を真っ赤にして俯く園田。

 

「しかし、高校生にもなって『田んぼの田』はないでしょう。今まで園田さんは何を勉強してきたんでしょうか。私でも小学4年生の頃には卒業していましたね」

 

「〜〜〜ッッ‼︎」

 

「もしかすると、みんなを笑わそうという意図があったのでしょうか。それともツッコミを待っていたのでしょうか。どちらにせよ、恥ずかしい事には変わりありませんね」

 

「や、やめてください!もう許してください!」

 

涙目になられてしまったので、そこで止めた。

 

「はい、というわけで、テストでは問題が簡単だからってふざけた回答しないように。では今日の授業はここまで」

 

「諸注意ですか‼︎」

 

 

 

 

 

 

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