魔法少女リリカルなのは~転生者は静かに暮らしたい~   作:レイブラスト

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EP09

「はぁ~あ……」

 

翌週の水曜。教室にて、僕は机に突っ伏していた。

 

「なぁ……元気だせよ。いくら何でも天気ばかりは仕様がないって」

 

「仕様がないもんか」

 

君は知らないだろうけどね。僕は原作通りとは言え、人的要素によって妨害されてるんだ。今回ばかりはへこむし、アイツ等が許せない。お門違いなのはわかってるけどさ。

 

「彩愛の奴も、最近は元気ないし……どうしたもんかなぁ」

 

「何々? どうしたの?」

 

顎に手を当てて博人君が考えていると、気になったクラスメイト達が近づいてきた。

 

「実は、これこれこういう訳で……」

 

1人では解決不能と考えたのか、博人君は事情を話し始めた。

 

「そんなことがあったのか」

 

「それにしても、空気が読めない天気ね」

 

「こればっかりはどうしようもなくてな」

 

「で、当の上川さんはどちらに?」

 

「ああ、今さっきトイレに行ったよ」

 

「じゃあ、戻って来るまでに何か考えようよ」

 

「え、考えるって……何を?」

 

思わず起き上がって尋ねる。

 

「決まってるでしょ。上川さんに告白する方法よ」

 

「!? い、いいの? 迷惑じゃ……」

 

「何が迷惑なもんか。俺達クラスメイトだろ? 困った時はお互い様だ」

 

「それに、他人の恋路って応援したくなるものよ」

 

「遠慮なく頼ってね」

 

「みんな……!」

 

いかん、感動しそうになる……。そんでもって涙が出そうになる!

 

「で、どんな告白にしたらいい?」

 

「何かきっかけがいるんなら、教室でサプライズ告白とかどうよ?」

 

「それいただきだ!」

 

パンッ、と手を叩いて博人君が声を上げる。

 

「サプライズ告白、これはかなりくるぞ……! 是非やろう!」

 

「でも、どんなサプライズにする?」

 

『『『う~ん……』』』

 

腕を考えるクラスメイト達。……って、いつの間にか全員が集まってるじゃん。

 

ガラッ!

 

「話は聞かせてもらったわ!!」

 

突然入ってきたのは担任の山崎先生。ノリが良い少し熱血な女性で、みんなに好かれている。ちなみに旦那さんと子供もいて円満だとか。てか、何その満を持しての登場は?

 

「尾崎君のサプライズ告白、微力ながら私も手伝わせてもらうわ!」

 

「え…本当ですか!?」

 

マジすか!? 正直微力どころか相当強力だよ!

 

「先生。どんなサプライズがいいでしょう?」

 

「まず肝心なのは不自然と思わせないこと。幸いにも今度これがあるから、利用するわ」

 

そう言うと、先生は1枚の紙を見せた。

 

「どれどれ……『聖祥小学校3年3組全員参加、プチのど自慢大会』? 何ですかこれ?」

 

「今度の授業に空きができるんで、折角だから何かやろうと思って企画しといたの。これで、尾崎君が告白ソングを歌いながら実際に告白する……なんてのはどうよ?」

 

「い……良いじゃないですか! 最高ですよ、先生!」

 

「さすがは山さんです!」

 

「ははは、褒める程でもないわ」

 

からからと笑う先生。……これは願ったり叶ったりの展開ではなかろうか? こんな大事になるとは思ってなかったけど、このチャンスを生かさない訳にはいかない!

 

「ようし、頑張るぞ!」

 

「その意気だ、智哉!」

 

親友の応援を受け、とりあえず少しして彩愛ちゃんが戻ってきたんで何事もなかったように授業を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後。予定通り、視聴覚室でプチのど自慢大会が行われることになった。と言っても、実際にはCDプレーヤーを使ったただのカラオケなんだけど。

で、準備がいいことに小さめの花束が目立たぬように置かれている。あれを渡せと告げられてるのだが……誰が考えたんだろ?

 

「えー、ではでは。これから、プチのど自慢大会を始めるわ。事前に引いたくじに書かれた番号順に歌ってね」

 

『『『はーい!』』』

 

「楽しみだね、智哉君」

 

「そうだね」

 

唯一事の真相を知らない彩愛ちゃんだが、楽しそうにしてくれているので何よりだ。

 

「ようし、歌うぞ! 『Choo Choo TRAIN』!」

 

お、いきなりEX○LEか。いいねぇ。

 

この後しばらくSM○Pやあ○しにも○クロ、A○B等があったが、全部紹介していたら長くなってしまうので割愛する。

 

「あ、私の番だ」

 

番号が中盤に差し掛かった頃、彩愛ちゃんが立ち上がった。僕は……この次!? マジで……

 

「えと、『LOVEマシーン』です」

 

歌っている間に段取りを再確認する。曲をある程度歌い、途中で音楽が止まったらそこで花束を手に取り告白。手を繋いで再び歌う。……随分とキザじゃないかこれ?

 

「智哉君。次、智哉君の番だよ」

 

「! そうか……」

 

ついに来てしまった。覚悟を決めて、落ち着いていこう。素数を数えるんだ。2、3、5、7、11、13……この辺りでいいだろう。

……見れば、博人君や皆が「頑張れ」と目線で言っている。先生も頷いていた。

 

「では……『バンザイ~好きでよかった~』。歌います」

 

ウル○ルズの名曲を歌う。不思議なことに、歌い始めると段々落ち着いてくる。そして一番が終わって間奏に入った辺りで……歌が止まった。

 

(よし……!)

 

意を決して花束を持ち、彩愛ちゃんの前に歩いていく。

 

「?」

 

彼女は状況がよくわかっていない様子だったが、仕方ない。言ってないもの。

 

「……彩愛ちゃん」

 

「……智哉、君?」

 

「僕が前の金曜日に言おうとしていたこと。その気持ちの表れを、この歌に乗せた」

 

「! それって……」

 

何かを察したらしい彩愛ちゃんが、両手で口元を覆う。

 

「彩愛ちゃん。僕は、彩愛ちゃんのことが……好きです。ずっと、一緒に居てください」

 

思いの限りをぶつけ、花束を差し出す。受け取ってくれるだろうか……?

 

「……はい。喜んで……」

 

感極まり涙を流しながら、彩愛ちゃんは花束を受け取った。直後、クラスの皆が歓声を上げ、クラッカーまで飛んだ。

困惑する彩愛ちゃんの手を引き、再び前に立ってマイクを手に取り続きを歌う。

そして歌い終えたところで彩愛ちゃんが様々な気持ちが入り乱れた目線を向けた。

 

「えと、どういう、こと? 告白してくれたのは嬉しいけど……」

 

「俺達が提案したんだ。どうせ告白するならサプライズでやった方がいいってな」

 

得意気に言う博人君。それを聞いて、納得したように彩愛ちゃんは頷く。

 

「そうだったんだ……」

 

「ごめんね、黙ってて」

 

「ううん。こんな記憶に残る日にしてくれて、ありがとう」

 

「彩愛ちゃん……」

 

「2人共、良い雰囲気になるのはもう少し後だ。サプライズはまだあるんだ」

 

「「へ?」」

 

今度は揃って変な声を出してしまう。僕も知らない何かが、あるというのだろうか?

 

「ようやく俺の出番ですね」

 

視聴覚室に入ってきた人物を見て驚いた。右手にケーキの箱を持った西神君だったのだ。

 

「な、何で西神君が?」

 

「偶然サプライズを行うことを耳にしまして。俺にも何かできないかと考え、翠屋のケーキを買ってきました。よければ、召し上がってください。ちゃんとナイフとフォークにお皿もありますので」

 

そう言うと、笑顔で箱を渡してきた。……西神君。アンタ至れり尽くせりだな。

 

「ありがとう。早速食べるよ」

 

「うん」

 

「どういたしまして(本当はなのはさん達の見送りがあったんですが……断って正解でしたね)」

 

箱を開け、中のケーキを出して切り分けようとするが……

 

「あ、そうだ! 2人共、一緒にナイフを持ってケーキを切ってよ」

 

「「こう?」」

 

言われるがまま切る。……あれ? そう言えばこれ……

 

「ほう、やるねぇ。ケーキ入刀とは」

 

「やっぱり!? ていうかこれだと挙式じゃん!」

 

「ふぇ!? あ、あうあう……!」

 

多分冗談だとは思うけど、そのせいで彩愛ちゃんはパニック気味になってしまった。……まあ、これも思い出だと考えれば……いいかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、なのは達は。

 

「あれ、久数は?」

 

「今日は来ないって。なのはは理由聞いてる?」

 

「確かサプライズ告白がどうとか言ってたの(来なくてよかった)」

 

「サプライズか……(原作にそんなのあったか?)」

 

(いえ、ありません)

 

(だよな。だったら考えられるのは……転生者か抑止力か。どちらにせよ、原作に介入するだろう。それはいいとして、もし過度の介入によって俺の平穏が壊され、原作通りに行かなくなるなら……消すか)

 

(はい、マスター)

 

どうやら誠一はかなり危険な思想を持っていたようだ。




クラスぐるみで前回のリベンジを果たした智哉。2人の未来に幸あれ。
尚、白崎は他転生者による介入のし過ぎに懸念がある模様。
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